防食概論:防食の基礎

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           【正しい大気暴露試験を実施するためには】

 実使用環境(大気環境中,海水・淡水など自然水中,土壌中,プラント中など)で,実時間軸での材料劣化の評価試験は,材料開発,腐食現象解明,防食対策研究にとって必要不可欠の試験である。また,耐食性,防食性の有効性の最終確認するための最も信頼できる試験でもある。
 実使用環境での試験を実地試験(field test)というが,材料の長期耐久性評価などを目的とする場合,実暴試験といい,大気環境の場合は,特に屋外暴露試験(outdoor- exposure test),大気暴露試験(atmospheric exposure test)や耐候試験(weathering test)などともいう。
 実際の環境に試験片や商品を置くだけで,屋外暴露試験といえるのか?
 特定の環境下で,試験材のみの評価に限定すれば,問題ないと考えられる。しかし,その試験結果から他の環境での挙動を推定したり,他の場所で試験した材料との比較を行うのであれば,暴露条件の統一や,環境因子の把握が必要不可欠になる。
 逆にいえば,規定された条件以外で試験した結果と比較するのは技術的意味合いが乏しいとも言える。
 単に物を置くだけは,暴露試験とはいえない。では,満足すべき条件とは?

【大気暴露試験】
 JIS Z 2381 「大気暴露試験方法通則」JIS Z 2382 「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」を中心に,大気暴露試験として満足すべき条件や試験手順を紹介する。
 なお,大気暴露試験に関連する他のJIS規格には,JIS Z 2383「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法」JIS H 0521「アルミニウム及びアルミニウム合金の大気暴露試験方法」,JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性」などがある。

    【暴露試験の標準的な流れ】
 暴露試験場の選定(JIS Z 2381) → 暴露試験方法の選定(JIS Z 2381) → 暴露試験期間の設定(JIS Z 2381) → 試料数量の決定 → 試料の前処理(JIS Z 2383) → 暴露試験の開始 → 環境因子モニタリング(JIS Z 2381,JIS Z 2382),途中経過の観察 → 暴露試験の終了 → 評価(JIS Z 2383)

    【暴露試験場の選定】
     暴露試験場の満たすべき要求条件を次に示す。
  1. 地域的な気象の特徴が明らかな場所とする。
  2. 大気汚染因子量の年ごとの変動が少ない場所とする。
  3. 東,西及び赤道の方向の仰角 20 度以上,反赤道方向の仰角 45 度以上に日照,降水,通風などの環境条件に著しい影響を及ぼす建築物などの地上物件,草木などがない場所とする。
  4. 暴露試験装置の設置場所は,水はけのよい芝地とし,太陽放射光の照り返し,ほこりの舞い上がり,冠水などを防止する処置を施す。
  5. 暴露試験装置の下及び周辺の草木などの高さは,0.2m 以下とする。
  6. 暴露試験に影響を及ぼす気象因子及び大気汚染因子を測定できる場所とする。
    【試験方法の選定】

暴露試験方法とその概要
  暴露試験方法    概    要 
  直接暴露試験    日射,雨,風などの大気環境に試料を直接暴露する。試料以外からの汚染を受けない構造の暴露架台を用いる。 
  アンダーグラス暴露試験    雨,雪などの直接的な影響を避けるため,上面を板ガラスで覆った試験架台に取り付けて行う。風の通り方により,自然通風型,強制通風型,密閉型に分けられる。 
  遮蔽暴露試験    遮蔽構造物の下や中などに試験片を設置して,日射,雨,雪,風などの直接的影響を避けた状態の暴露試験。風の通り方により,自然通風型,一定方向の風通りを遮断する通風制御型,室内を模擬した密閉型に分けられる。 
  ブラックボックス暴露試験    内外面とも全面を黒色処理した金属製試験箱の上面に試料を取り付けて大気に直接暴露する方法。太陽光により高温となる屋根や自動車部品などの暴露を想定している。 
  太陽追跡集光暴露試験    太陽放射光の光軸を追跡し,フレネル反射鏡(可視,紫外域の光を効率よく反射)を用いて集光した部位に試料を取り付け,太陽放射光の影響を高めた暴露方法。暴露の目的により水噴霧が可能な方法とする。 
    暴露試験装置(架台等)の一般的な要求事項
  1. 暴露試験装置は,暴露架台,試験箱,試料保持枠などで構成され,暴露試験に適した堅ろうな構造とする。
  2. 暴露試験装置の構成材料は,暴風雨,積雪荷重及び暴露架台の全面に試料を取り付けた場合の最大荷重に耐える強度と耐久性をもつものとする。
  3. 暴露試験装置の構成材料は,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化に影響を与えない耐食性のあるステンレス鋼,アルミニウム合金,塗覆装を施した鉄鋼などの金属の形材,適切な防腐処理を施した木材などの不活性な材料とする。
  4. 暴露試験装置は,暴風雨,積雪,凍上などの影響を受けないように,適切かつ,堅固に設置する。
  5. 暴露架台,試料保持枠,試験箱及びこれらに附属する取付け器具類は,暴露試験方法の種類・目的,試料の種類,形状,寸法及び暴露試験条件の設定に適した構造とする。
  6. 試料と直接接触する試料保持枠,試料取付け器具などの部材は,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化に影響を及ぼさない不活性な材料とする。
  7. 腐食生成物による汚染などが暴露試験を行う試料に影響を及ぼすおそれがある場合は,暴露架台・試料保持枠・試験箱・金具類などの部材,遮へい構造物の部材,応力又はひずみを加えるための装置類及び附属器具類には,防せい・防腐処理などの適切な保護処理を施す。
  8. 試料の取付け機構は,試料の自由変形を妨げず,試料が脱落するおそれがない構造とし,試料の取付け及び取外しが容易で,安全に取り扱うことができるものとする。
  9. 暴露試験装置は,試料面が規定の暴露方位及び角度に設定でき,維持できる構造とする。
  10. 暴露試験装置の接地面から暴露試験を行う試料の最下端部までの距離は,0.5m 以上とする。ただし,暴露した試料の材料又は製品規格に,接地面からの距離が規定されている場合は,その規定による。

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