化 学 (有機化学)

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 ここでは,身近なポリウレタン樹脂に関連し,【ポリウレタン樹脂とは】【ポリウレタンの合成】【イソシアネート】【ポリオール】【製品化】に項目を分けて紹介する。

 【ポリウレタン樹脂とは】

 ポリウレタン( PU :polyurethane )とは,ポリウレタン樹脂塗料に関する【ポリウレタン樹脂とは】で紹介したように,ウレタン結合( –NH・CO・O– )を有する重合体の総称である。
 ここでは,塗料用材料の解説を目的とした【ポリウレタン樹脂とは】で紹介されていない内容を中心に紹介する。
 
 ウレタン結合は,イソシアネート基( isocyanate :−N=C=O )と水酸基( −OH )の付加重合により生成される。従って,付加重合で重合体が生成するためには,複数イソシアネート基を持つ単量体(通常はジイソシアネート)と複数水酸基を持つ単量体(ポリオール,通常はジオール)により構成される。
 ポリウレタンは,特性や用途により,一般的にウレタン樹脂,ウレタンゴム(エラストマー),ウレタンフォーム,ポリウレタン樹脂塗料などに分けられる。一般的な製品の常用耐熱温度は 90~130℃程度である。
 ポリウレタンには,多くの種類があり,熱可塑性樹脂の他に,プリポリマー(プレポリマー)と硬化剤などを用いて橋かけ( 3 次元網目構造)することで熱硬化性樹脂が得られる。
 なお,プリポリマー( prepolymer )とは,“単量体又は単量体類とその最終の重合体との中間の重合度の重合体。”と定義されている。
 
 主な用途
 熱可塑性製品
 ホットメルト接着剤,熱可塑性エラストマー(ホース,靴底,ロール,フィルムなど),ポリウレタンフォーム(クッション材などの軟質フォーム,断熱材などの硬質フォーム,建材用吹付け発泡材など),モールド形成品(靴底,自動車インパネ,バンパー,アームレストなど),弾性繊維(下着,水着,ジャージ,靴下など)などがある。
 熱硬化性の製品
 ポリウレタン樹脂塗料,二液型接着剤,熱硬化性エラストマー(ロール,タイヤ,ベルト,パッキン,ダストカバー),防水材(床材,屋上防水,スポーツ競技場など)などがある。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6401「耐荷重用軟質ポリウレタンフォーム−仕様」

 

 【ポリウレタンの合成】

 【塗料各論】ポリウレタンとは( PUR ,poly urethane resin )で紹介するように,複数イソシアネート基を持つ単量体(通常はジイソシアネート)と複数の水酸基を持つ単量体(ポリオール,通常はジオール)の付加反応で形成したウレタン結合( –NH・CO・O– )で連結した熱可塑性樹脂が得られる。

ウレタン結合(模式図)

ウレタン結合(模式図)

 ウレタンプリポリマーと硬化剤などを用いて橋かけ( 3 次元網目構造)することで熱硬化性樹脂が得られる。橋かけに用いられる硬化剤には,ジクロロジアミノジフェニルメタン( MBOCA ),ジエチルトルエンジアミン( DETDA ),ポリメチレンポリフェニレンポリアミン( MDA )などのアミン類が用いられる。

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 【イソシアネート】

 イソシアネート( RNCOとは,イソシアナート,イソシアン酸エステルなどとも呼ばれ,非常に反応性に富み,水( H2O )と容易に反応しアミン( RNH2 + CO2を形成する。このため,保管は,低温の乾燥空気中で行う。
 ポリウレタンに用いられる主なジイソシアネートには,ジフェニルメタンジイソシアネート( MDI :軟質,硬質ウレタンフォーム,塗料,接着剤,エラストマーに用いられる),トリレンジイソシアネート( TDI :トルエンジイソシアネートともいわれ,軟質ポリウレタンフォームに用いられる),ヘキサメチレンジイソシアネート( HDI :耐紫外線性の高い塗料に用いられる),イソホロンジイソシアネート( IPDI ),キシリレンジイソシアネート( XDI ),水添キシリレンジイソシアネート( H6XDI ),ナフタレンジイソシアネート( NDI ),ノルボルネンジイソシアネート( NBDI )などがある。

ジイソシアネート(代表例)

ジイソシアネート(代表例)

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 【ポリオール】

 ポリオールとして,多種多様の化合物がポリウレタンの製造に用いられる。これらは分子の種別により,主にポリエーテルグルコール,ポリエステルポリオール,ポリマーポリオールの 3 種に大別される。
 
 ポリエーテルポリオール
 塩基性触媒(水酸化カリウムなど)の存在下,多価アルコールやアミンなどを開始剤に,エポキシ基を持つエチレンオキシド( 1,2-エポキシエタン,オキシランともいう)やプロピレンオキシド( 1,2-エポキシプロパン)を付加重合(アニオン開環重合させた樹脂である。

ポリエーテルポリオール合成例

ポリエーテルポリオール合成例

 開始剤官能基数 2 のグリコールを用いた重合体は直線状になる。官能基数 3 以上の開始剤(グリセリンなど)を用いると,ヒドロキシル基を起点に複数の重合が進行し分枝状のポリオールが得られる。
 なお,グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたポリオキシプロピレントリオール((C3H6O)m(C3H6O)n(C3H6O)pC3H8O3 )は,最も広く用いられるポリエーテルポリオールである。
 用いられる開始剤には,官能基数 2 のエチレングリコール(エタン-1,2-ジオール),プロピレングリコール( 1,2-プロパンジオール),官能基数 3 のグリセリン(プロパン-1,2,3-トリオール),トリエタノールアミン( 2,2',2"-ニトリロトリエタノール),官能基数 4 のペンタエリトリトール( 2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオール),エチレンジアミン(エタン-1,2-ジアミン)などある。
 一般的には,官能基数 2~4 ,分子量 1000~5000 のものは家具,軟質ポリウレタンフォーム,防水材,シーリング材に,官能基数 3~8 ,分子量 500~1000 のものは冷蔵庫,建築断熱材用の硬質ポリウレタンフォームに使用される。粘度が低いという特徴はあるが,耐候性が低いため塗料用途などでは使用が限定される。
 
 ポリエステルポリオール
 カルボン酸と多価アルコール脱水縮合で得られる。用いられるカルボン酸には,アジピン酸(HOOC–(CH2)4–COOH),フタル酸(C6H4(COOH)2)など,多価アルコールには,エチレングリコール(エタン-1,2-ジオール),1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキサンジオールなどが用いられる。
 フタル酸系のポリエステルポリオールは,硬質ポリウレタンフォームの改質(断熱性能,燃焼特性)に,アジピン酸系ポリエステルポリオールは高性能エラストマーとして使用される。
 
 ポリマーポリオール
 アクリル酸エステルとビニル化合物などを共重合したアクリル樹脂のアクリルポリオール(耐水性,耐薬品性,耐光性に優れる),ビスフェノール形エポキシ樹脂をアミン変性,又はアミノアルコール変性したエポキシポリオール(防食塗装用途),ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)の重合体や,ブタジエンとアクリロニトリル(CH2=CH-C≡N)やスチレン(C6H5CH=CH2)との共重合体の末端に水酸基を有するポリオレフィン系ポリオール(電気的特性に優れる),クロロフルオロエチレン(例えばF2C=CFCl)とビニルエーテル類との交互共重合からなるふっ素含有ポリオール(耐候性に優れる)などがある。

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 【製品化】

 直鎖状の炭化水素(メチレン基4~8個のもの)は合成繊維に用いられ,直鎖状化合物(ポリエステル、ポリエーテルなど)の側鎖に芳香族化合物を持つものは合成ゴム(ウレタンゴム)に用いられる。
 また,側鎖を種々変えることで,発砲体や接着剤ポリウレタン樹脂塗料などに使用される。
 
 発泡体(ウレタンフォーム)の原料には,飽和ポリエステル(ポリエーテル)とトリレンジイソシアネートなどを用い,反応過程で発生する炭酸ガスで発泡させるものと添加剤(発泡剤)を加えるものがある。
 ウレタンフォーム製品の製造は,工場内で発砲したブロックを切断する「スラブ成形」,金型を用いて成形する「モールド成形」,大型の断熱ボードなどの「ラミネート成形」,空間に直接ウレタン原液を注入して発泡させる「注入成形」などに分けられる。

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