化 学 (有機化学)

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 ここでは,ポリエチレンなどのビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂について,【熱可塑性プラスチックの分類】【ポリエチレンテレフタラート】【ポリメタクリル酸メチル】【ポリカーボネート】【ポリアミド】【ふっ素樹脂】【ポリイミド】に項目を分けて紹介する。

 【熱可塑性プラスチックの分類】

 ここでは,以下に示す熱可塑性プラスチックの一般的な分類の中で,ポリ塩化ビニルやポリエチレンなど別途で紹介したビニル樹脂を除く赤色で示した身近な熱可塑性樹脂の概要,製法,主な用途などを紹介する。
 熱可塑性プラスチック
 汎用プラスチック
 非結晶性:ポリ塩化ビニル(PVC,塩ビ),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS),ポリエチレンテレフタラート(PET,ペット)ポリメタクリル酸メチル(PMMA,アクリル樹脂)など
 結晶性:ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)など
 汎用エンプラ
 非結晶性:ポリカーボネート(PC),変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)など
 結晶性:ポリアセタール(POM),ポリアミド(PA),ポリブチレンテレフタレート(PBT)など
 スーパーエンプラ
 非結晶性:ポリアリレート(PAR),ポリエーテルイミド(PEI),ポリサルフォン(PSF)など
 結晶性:超高分子量ポリエチレン(UHMW – PE),ふっ素樹脂(PTFEなど),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテルサルフォン(PES),液晶ポリマー(LCP),ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリイミド(PI)など
 
 なお,塗料や接着剤の分野では,PETなどの有機酸とアルコールの共重縮合(エステル生成反応で得られるポリエステル樹脂は,アルキド樹脂( alkyd resin )と称されている。

 

 【ポリエチレンテレフタラート】

 ポリエチレンテレフタラート(PET,ペット)は,ポリエステルの一種で,ペットボトルと称される飲料容器でなじみの深い高分子材料であるが,使われていることに気がつかないほど日常の製品に浸透している透明な非結晶性熱可塑性ポリエステル( Thermoplastic polyester :TP )である。
 なお,ポリエチレンテレフタラート( poly(ethylene terephthalate) )は慣用名で,IUPAC 名は,poly(oxyethyleneoxyterephthaloyl) である。
 熱可塑性ポリエステルには,PET の他に,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT),ポリエチレンナフタレート(PEN)などがある。
 
 製造
 テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルエチレングリコール共重縮合 エステル生成反応して得られる熱可塑性ポリエステルである。

ポリエチレンテレフタラート

ポリエチレンテレフタラート

 特性
 PET の一般的な特性として挙げられるのは,強靭で疲労強さが大きく,融点が高く耐熱性があり,熱処理・延伸すると強度は著しく向上し,寸法の安定性,電気絶縁性(体積抵抗率,絶縁破壊強さ,耐アーク性など)に優れ,耐摩耗性も良好で,耐候性も比較的良い。
 具体的には,フェノール,クレゾール,塩素化炭化水素などに侵されるが,他の有機溶剤や油脂類には優れた耐性を示す。エステル結合を有するため,熱水や塩基に対する耐性は低く,濃硫酸や濃硝酸で分解するが,希釈した酸には耐える。
 毒性がなく,ガス透過性の低い(ガスバリア性)材料の部類に入る。特に,二軸延伸を行うことで強度,ガスバリア性が向上する。
 
 主な用途
 二軸延伸で強度,ガスバリア性が向上するので,繊維,フィルム,シートでの用途が多い。
 主なフィルム用途には,絶縁材料,磁気テープ,写真フィルム,食品用包装フィルムなどである。シート用途としては,毒性が無いので,食材の容器,飲料カップやボトルなど容器全般に使われている。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6937-1「プラスチック−熱可塑性ポリエステル(TP) 成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」,JIS K 6937-2「プラスチック−熱可塑性ポリエステル(TP)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

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 【ポリメタクリル酸メチル】

 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は,アクリル樹脂( acrylic resin )の一種で,一般的にはアクリルガラスとして,水族館の水槽用途で知られている。ポリカーボネートと共に有機ガラスともいわれる。
 アクリル樹脂は,アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体をいい,透明性の高い非結晶性の熱可塑性プラスチックである。
 なお,ポリメタクリル酸メチル( poly methyl methacrylate )は慣用名で,IUPAC 名は,poly[1-(methoxycarbonyl) -1-methylethylene] である。
 
 製法
 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は,ビニル樹脂の合成と同様に,メタクリル酸メチル付加重合(ラジカル重合)で重合度 10000 以上で製品化されている。

アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)

アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)

 大型水槽などで見られる厚い板の作製では,2 枚の板の間にモノマーと重合開始剤を封入し,その場で重合反応を進める方法(鋳込み重合やキャスティング重合などといわれる)が採られる。
 
 特性
 常用の耐熱温度は, 70~90 ℃程度とさほど高くない。密度 1170~1200 kg /m3 とポリエチレンに比較し重い。
 屈折率 1.49 で光沢があり,一般的な条件での可視光透過率 94%と一般的な無機ガラス( 90%程度)より透明度が高く,プラスチック材料の中では最高レベルの透明性を示す。
 耐衝撃性,耐候性には優れるが,クロロホルムやアセトンなど種々の有機溶媒に溶解する。
 
 主な用途
 高い透明性,耐衝撃性,加工性に優れ,着色が容易なため,無機ガラスの代用品として,水槽,建築物や乗り物の窓材,バイクの風防,航空機(戦闘機)のキャノピー(操縦席の風よけ),照明器具のカバー,腕時計の風防などに用いられている。
 無機ガラスでは困難な厚さや形状の製造が可能で,家庭用の大型水槽,水族館の水槽に活用されている。
 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に改質剤としてスチレン-メタクリル酸メチル-無水マレイン酸共重合(SMM)を添加し相溶させることで,耐熱性が向上し,自動車のメーターパネル,光学フィルム,発光ダイオード用レンズなどに利用される。
 一般的な樹脂の中では優れた耐候性を有するので,屋外用途の鋼鈑や他の樹脂板の塗装剤(アクリル樹脂塗料)としても広く使われている。
 アクリル樹脂塗料は,アクリル酸エステルを液状,又はワックス状に重合させたもを原料としている。また,水に分散させたアクリルエマルションは,水性アクリル絵具や接着剤としても用いられている。
 メタクリル酸メチル,ブタジエン,スチレンの共重合で得られるメタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合(MBS)は,ポリ塩化ビニル(PVC)の改質剤として用いられる。
 
 参考
 アクリル酸エステルは,アクリル酸とアルコールのエステルの総称で,合成樹脂,繊維,塗料,絵具,接着剤などの原料(モノマー)として,用途別に異なる組み合わせのエステル化合物が用いられる。
 合成樹脂用途と合成繊維用途には,アクリル酸メチル( methyl acrylate )が,アクリルゴム用途には,アクリル酸エチル( ethyl acrylate )が,塗料や接着剤用途には,アクリル酸エチル( ethyl acrylate ),アクリル酸ブチル( butyl acrylate ),アクリル酸 2 -エチルヘキシル( 2 -ethylhexyl acrylate ),アクリル酸 2 -ヒドロキシエチル( 2 -hydroxyethyl acrylate )などが用いられる。
 メタクリル酸メチルは,ポリメタクリル酸メチル(PMMA)以外にも各種ポリマー合成の原料としても用いられ,
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6717-1「プラスチック−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」,JIS K 6717-2「プラスチック−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

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 【ポリカーボネート】

 ポリカーボネート( polycarbonate )は,ポリカルボナート,ポリカ,PC ともいわれ,単量体単位(マー:最大の構成単位)の接合部がカーボネート基 ( –O–(C=O)–O– ) で構成される高分子のため,この名称が付けられた。
 ポリカーボネート(PC)は,常用の耐熱温度 120~130 ℃とエンジニアリング・プラスチック(エンプラ)に分類される透明な非結晶性の熱可塑性プラスチックである。
 なお,ポリカーボネート( polycarbonate )は慣用名で,IUPAC 名は,poly[oxycarbonyloxy(p-phenylene) -2,2-propylidene(p-phenylene)] である。
 
 製法
 エポキシ樹脂の主要な原材料でもあるビスフェノールA( bisphenol A )と,ホスゲンともいわれる二塩化カルボニル( carbonyl dichloride )又は炭酸ジフェニル(ジフェニルカーボネート,diphenyl carbonate )を原料として生産される。
 二塩化カルボニル(ホスゲン)を用いる場合(ホスゲン法)は,ビスフェノールAのアルカリ水溶液とホスゲンの塩化メチレン溶液との界面重縮合による。
 ホスゲンの毒性が高いので,非ホスゲン法として炭酸ジフェニルを用いる製造法が増えている。炭酸ジフェニルを用いる場合は,ビスフェノールAと炭酸ジフェニルを高温・減圧下でエステル交換による重合(エステル交換法又は溶解法と呼ぶ)で製造される。

ポリカーボネートの合成

ポリカーボネートの合成

 特性
 可視光透過率は,90%程度と一般的な無機ガラスと同程度の透明度を有し,耐熱性( 130 ℃~180 ℃まで使用可),難燃性,寸安定性に優れる。特に耐衝撃性については,一般的なガラスの 250 倍以上といわれほど強い。
 欠点
 塩基,有機溶剤で劣化する。また,接着剤などによる接合が困難である。さらに,エステル結合を持つため,高温高湿度下で加水分解におる劣化が進む。
 
 主な用途
 透明で,著しく高い耐衝撃性を利用し,光学用途( CD ,DVD ,光ファイバ,カメラ,双眼鏡など)や航空機・自動車など輸送機器(風防,ライト,ヘルメットなど),建築材料(窓材,屋根材など),家庭用品(哺乳瓶,食器,スーツケースなど)医療機器,防弾ガラスの材料,スポーツ用品,ゴーグル,プラスチックねじなどに用いられている。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6719-1「プラスチック−ポリカーボネート(PC)成形用材料及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」,JIS K 6719-2「プラスチック−ポリカーボネート(PC)成形用材料及び押出用材料−第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方」,JIS K 6735「プラスチック−ポリカーボネート板−タイプ,寸法及び特性」

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 【ポリアミド】

 ポリアミド( PA:polyamide )とは,カルボニル基と窒素の結合(アミド結合)によって重合した結晶性の熱可塑性プラスチックである。
 一般に脂肪族骨格を含むポリアミドをナイロン(Nylon)と総称し,芳香族骨格のみで構成されるポリアミドはアラミド(aramid)と総称される。
 
 ナイロン
 脂肪族系のポリアミドを示す名称で,元来は商標であったが,今日では化合物を示す慣用名として定着している。
 ナイロン 6 やナイロン 66 など,伝統的な名称の中の数値は,原料としたモノマー成分の炭素数に由来する指数で,ラクタムの重縮合で得られるナイロン 6 (ε-カプロラクタム;C6H11NO ),ナイロン 11 (ウンデカンラクタム;C11H21NO )がある。
 なお,ラクタムとは,環式化合物で,環状部分に –NHCO– を有するものをいう。
 
 ジアミンとジカルボン酸共重縮合で得られるものには,ナイロン 12(ラウロラクタム;C12H23NO ),ナイロン 66(ヘキサメチレンジアミン;H2N–(CH2)6–NH2 ,アジピン酸;HOOC–(CH2)4–COOH ),ナイロン 610(ヘキサメチレンジアミン;H2N–(CH2)6–NH2 ,セバシン酸;HOOC–(CH2)8–COOH )などがある。
 ベンゼン環を有するモノマーを用いたものには,脂肪族の炭素数と芳香族のモノマーを示す指標を入れたナイロンMXD6(メタキシレンジアミン;H2N–CH2–C6H4–CH2–NH2 ,アジピン酸;HOOC–(CH2)4–COOH ),ナイロン 6T(ヘキサメチレンジアミン;H2N–(CH2)6–NH2 ,テレフタル酸;HOOC–C6H4–COOH )などがある。
 
 アラミド
 芳香族系のポリアミドで,高耐熱性・高強度のエンジニアリング・プラスチックに分類される。アラミドは,商標ケブラーとして知られる p –フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドの共重縮合で得られるパラ系アラミド( poly-p-phenyleneterephthalamide ),商標ノーメックスで知られる m –フェニレンジアミンとイソフタル酸クロリドから共重縮合して得られるメタ系アラミド( poly-m-phenyleneisophthalamide )に大別される。

アラミドの例

アラミドの例

 製造
 ナイロン 66 の製造は,【高分子合成反応】で紹介した共重縮合の例に示すように,ヘキサメチレンジアミン( H2N–(CH2)6–NH2 )とアジピン酸( HOOC–(CH2)4–COOH )を加熱することで,脱水反応による縮合重合(共重縮合)で合成される。
 この反応では,生成した水により重合が止まるので,水の処理が必要になる。
 
 特性と主な用途
 ナイロン
 アミド基を有する為に吸水性は高いが,結晶性が高いので,耐油性,耐薬品性が優れる。結晶化度が大きくなると比重,引っ張り強さ,圧縮強さ,曲げ強さ,硬度,熱的性質,電気的性質が向上する。
 アミド基の水素結合のため,優れた強靭性、耐衝撃性、柔軟性を示す。結晶化度が大きくなると,衝撃強さ,伸び,吸水率,透明性が減少する。
 ガラス繊維,無機フィラーなどの充填材との親和性が高く,繊維補強プラスチックに適している。
 ナイロンの主な用途には,繊維製品(布,ロープなど),自動車部品(エンジンカバー,吸気マニホールド,ドアミラーステー,アクセルペダル,アームレスト,シートベルト部品,ドアハンドルなど),機械部品(ギア,ハブ,コネクタ,マグネットスイッチ部品,軸受,ファン,インペラー,プーリー,キャスターなど),玩具,スポーツ・レジャー用品などがある。
 
 アラミド
 芳香族ポリアミドは,高耐熱性・高強度のエンジニアリング・プラスチックである。この特性は,上図の化学式から分かるように,芳香族ポリアミドが分子として直鎖状の構造を持っていることに起因する。
 パラ系アラミド p-フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドから共重縮合して得られるパラ系アラミド繊維は,商品名ケブラー(デュポン・東レ),トワロン(帝人)として市販されている。
 鋼鉄の 5 倍の引っ張り強度を有し,耐熱・耐摩擦性が高く,切創や衝撃にも強いため,スチールワイヤー,ガラス繊維,アスベストなどの代替品として利用される。
 例えば,繊維強化プラスチックの補強繊維(船体,飛行機,自転車),ヨットの帆,ラジアルタイヤのタイヤコード,光ファイバーケーブルのシース線,作業用皮手袋,防弾チョッキ,防刃ベスト,ヘルメット
 メタ系アラミド
 m-フェニレンジアミンとイソフタル酸クロリドから共重縮合して得られるメタ系アラミド繊維は,ノーメックス(デュポン・東レ),コーネックス(帝人)として市販されている。
 耐熱性繊維として,バグフィルター,樹脂補強剤,宇宙服等にも応用された。防炎性を生かした消防服やカーテン,カーペットなどに利用されている。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6920-1「プラスチック−ポリアミド (PA)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」,JIS K 6920-2「プラスチック−ポリアミド(PA)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方」,JIS K 6933「プラスチック−ポリアミド−粘度数の求め方」

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 【ふっ素樹脂】

 ふっ素樹脂(PTFEなど)は,【ふっ素樹脂とは】で紹介するように,非常に耐熱性が高く,スーパーエンジニアリング・プラスチックに分類される結晶性の熱可塑性プラスチックである。
 ふっ素樹脂は,ふっ素の占める割合で,ポリテトラフルオロエチレン( PTFE )の完全ふっ素化樹脂,ポリふっ化ビニル( PVF ),ポリふっ化ビニリデン( PVDF ),ポリクロロトリフルオロエチレン( PCTFE )などの部分ふっ素化樹脂,ペルフルオロアルコキシアルカン樹脂( PFA ),ペルフルオロ(エチレン-プロピレン)樹脂( FEP ),六ふっ化エチレンプロピレン樹脂( PFEP ),エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体( E/TFE )などのふっ素化樹脂共重合体に分けられる。
 なお,完全ふっ素化樹脂のポリテトラフルオロエチレン( polytetrafluoroethylene )は慣用名で,IUPAC 名は,poly(1,1-difluoromethylene) である。
 
 特性
 完全ふっ素化樹脂
 ポリテトラフルオロエチレン PTFE は,商標テフロンとして知られ,抜群の耐熱性(連続使用温度約 260℃),優れた耐薬品性(殆どの薬品に侵されない),耐燃焼性低い表面エネルギー(非粘着性,高撥水性:水接触角約 110°),低摩擦特性(物質中で最も摩擦が少ない),低誘電率,高い絶縁性を活かした分野で利用されている。
 欠点としては,流動性が低く加工性が悪い。このため製品には,製造されたブロックを機械加工で成形されるものが多い。
 部分ふっ素化樹脂及びふっ素化樹脂共重合体
 これらの材料は,PTFE の特性を多少犠牲するが,欠点の加工性が改善されている。
 例えば,E/TFE の特性は,ポリエチレン( PE )とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との中間の性質を示すが,熱可塑性樹脂の成形方法が適用できる。同様に,PCTFE,PFEP も射出成形や押出成形を適用できる。
 
 主な用途
 ふっ素樹脂の主な用途は,優れた特性に応じ,次のようなものがある。
 耐熱性,耐薬品性を求められる化学プラント,半導体製造装置,リチウムイオン電池パッキンなど,耐燃焼性,絶縁性が求められる電線被覆(精密電子機器),光ファイバーケーブル被覆など,低摩擦性が求められるベアリング,軸受けなどの機械部品,非粘着性が求められるフライパンなどの家庭用調理機器,食品加工機器,プリンターやコピー機の摺動部分,長期の耐紫外線性が求められる構造物,建造物等の外装材,屋外電線被覆などに活用されている。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6935-1「プラスチック−ふっ素ポリマーのディスパージョン,成形用材料及び押出用材料−第1部:分類の体系と仕様作成のための基準」, JIS K 6884「四ふっ化エチレン樹脂普通寸法許容差(削り加工)」,JIS K 6885「シール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ(生テープ)」,JIS K 6896「四ふっ化エチレン樹脂成形粉」
 JIS K 6894「金属素地上のふっ素樹脂塗膜の試験方法」,JIS K 6935-2「プラスチック−ふっ素ポリマーのディスパージョン,成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸特性の求め方」,JIS K 6891「四ふっ化エチレン樹脂成形粉試験方法」,JIS K 6892「四ふっ化エチレン樹脂ペースト押出成形粉試験方法」,JIS K 6893「四ふっ化エチレン樹脂ディスパージョン試験方法」,JIS K 6895「四ふっ化エチレン樹脂製品の寸法測定方法」

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 【ポリイミド】

 ポリイミド(PI)とは,単量体単位(マー)イミド結合( –N{–C(O)–}2を含む高分子の総称である。
 イミド( imide )とは,アンモニア( NH3や第一級アミン( NH2Rにカルボニル基(>C=O )が2つ結合した構造( HN(COR)2RN(COR)2である。化学工業では,多くのイミドはモノマーとしてポリアミドの製造に使われる。
 
 工業的に活用されるポリイミドは,芳香族化合物がイミド結合で連結する芳香族ポリイミドで,スーパーエンジニアリング・プラスチックに分類される結晶性の熱可塑性プラスチックである。
 なお,ポリイミド( polyimide )の中で,芳香族四塩基酸と芳香族ジアミンとの共重縮合によって,初めて商品化された芳香族ポリイミド(カプトン:デュポン社)の IUPAC 名は,poly (4,4'-oxydiphenylene-pyromellitimide) である。
 
 製法
 無水ピロメリット酸(ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物)とジアミン( 4,4’ - ジアミノジフェニルエーテル)を等モルで縮合重合(共重縮合させ,ポリアミド酸(ポリアミック酸)を得る。
 次いで,ポリアミド酸を加熱( 200 ℃以上)又は,触媒(アミン系)を用いて脱水と環化反応(イミド化という)でポリイミドを得る。
 イミド化で発生する水の速やかな除去のため,カルボン酸無水物などを脱水剤として用いることがある。

ポリイミドの合成例

ポリイミドの合成例

 ポリイミドは,耐熱性が高く溶融しない。また,溶媒にも溶解しないので,成形やコーティングが必要な場合は,ポリイミド化前の状態(前駆体),すなわちポリアミド酸の溶液を用い,乾燥(溶剤除去)により成形物を得てからイミド化によりポリイミド製品を得る。
 
 特性
 芳香族ポリイミドは,共役構造を持ち,イミド結合のため分子間力が強く,熱的,機械的,化学的に高い性質を持つ。例えば,機械的,電気的特性が 数 ケルビン( – 269 ℃)~673 ケルビン(約 400 ℃)の広範な温度領域で維持できる。
 高耐熱性:300 ℃クラスの常用耐熱性,長期耐熱性を有し,一時的には 500 ℃まで対応できる。
 高機械特性:強靭さ,耐摩耗性に優れる。
 耐薬品性:有機溶剤,石油製品,酸,塩基など耐薬品性に優れる。
 
 主な用途
 フィルムとしての主要用途は,電子回路材料の絶縁基材である。例えば,回路基板の各種部材・ベースフィルム・カバーフィルム・補強板,フレキシブルディスプレイ基板,太陽電池のベース基板などである。
 ポリアミド酸の溶液をコーティング剤として用い,塗布乾燥後に熱処理でイミド化させて電子回路の絶縁層,多層配線基板の層間絶縁材料,半導体素子の表層の保護膜としての用途がある。
 他に,接着用フィルムの基材,熱プレスの離型材,スピーカーコーン,シールド材,ヒーターなどの耐熱絶縁フィルム,金属成型品の保護膜などの用途がある。

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