JIS K 5600_5_7

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「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第7節:付着性(プルオフ法)」
Testing methods for paints−Part 5 : Mechanical property of film−Section 7 : Adhesion test (Pull-off methods)

 本規格は,序文にもあるように,ISO規格の直訳のため,従来から日本で採用していた付着試験(プルオフ試験)での用語と異なる部分もあるので,JIS原文を多少編集して紹介する。
 
 【JIS規格の目次】(ここでは赤字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 装置(3.1 引張試験機,3.2 試験円筒,3.3 芯出し装置,3.4 切り込み装置),4 接着剤,5 試験の採取,6 試験板(6.1 試験板の調整及び塗装,6.2 試験塗膜の乾燥,6.3 膜厚),7 手順(7.1 環境条件,7.2 接着剤,7.3 試験アセンブリ,7.4 測定,7.5 測定回数),8 手順上の注意事項,9 結果の表わし方(9.1 破壊強さ,9.2 破壊の性質),10 試験報告
 
 【序文】
 この規格は,ISO 4624:1978, Paints and varnishes – Pull-off test for adhesionを翻訳したものである。
 この試験方法は,試験板に垂直の方向加えた引張力で生じる塗膜のはがれ,又は破れに必要な最小の張力の測定によって,塗料,ワニス若しくは関連製品の単一塗膜,又は多層塗膜系の付着力を評価するもので,引張試験機を用いて測定する。
 この試験結果は,試験する塗膜(単層,又は多層膜)の機械的性質だけでなく,素地の性質,及び調整,塗料の塗装方法,塗膜の乾燥状態,温度,湿度,及びその他の試験環境条件によって影響される。
 規定する試験方法は,どのような適用に対しても,次の補足情報によって補完することが必要である。
 a) 試験アセンブリ(試験のための構成,ここでは試験円筒,接着剤,及び試験片の構成体をいう)の表面,又は素地の材料,及び表面調整
 b) 素地,又は試験円筒(引張り治具,スペシメンともいう)に対する試験塗料の塗装方法
 c) 試験前の塗料の乾燥時間,及び条件(又は必要な場合は,焼付け及び静置の条件)
 d) JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法-第1部:通則-第7節:膜厚」による測定方法を用いて計測した単一塗膜,又は多層塗膜の乾燥膜厚の厚さ(マイクロメートル単位で表示)
 e) 接着剤(及び必要な場合は,混合比率)及び硬化条件
 f) 試験体構成後から試験開始までの期間,及び状態調節
 g) 使用したプルオフ試験アセンブリの型式(種類)
 h) 引張試験機の型式,及び円筒の直径
 
 【適用範囲】
 この規格は,塗料,ワニス,又は関連製品の単一塗膜,又は多層塗膜系に対するプルオフ試験の実施のための方法について規定する。
 この試験方法は,広範囲の素地に対して適用可能である。素地が変形性,例えば薄い金属板,プラスチック及び木であるか,又は堅固,例えば厚いコンクリート及び金属板であるかによって,異なった手順が規定されている。
 試験目的によっては,試験円筒(スペシメン)に塗装してもよい。この場合には,塗膜の厚さの測定方法は受渡当事者間の協定による。
 試験結果は,試験アセンブリの最も弱い境界面の破壊(界面破壊や,付着破壊という)か,又は最も弱い構成要素の破壊(凝集破壊という)に必要な最小張力である。
 なお,付着破壊と凝集破壊が同時に生じる(付着/凝集破壊という)ことがある。

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 【装置】

 引張試験機
 後述の規定に則して選択した手順に適したもの。
 張力は,塗装した素地面に対して垂直に加え,試験アセンブリ(塗膜,又は接着剤)の破壊が90秒以内に発生するように,1MPa/s超えない,実質的に一様な速度で増加させなければならない。
 張力を加えるのに適した方法を,図1及び図2(ここでは省略する)に示す。
  :1MPa/s=1MN/m2・s
 
 試験円筒
 他に規定がなければ,直径20mmで,試験中に決して変形することのない十分な厚さをもつ鋼製で,引張試験機の使用に適したもの。
 試験円筒の長さは,その直径の半分以上であることを推奨する。試験片に接着する表面は,使用前に試験円筒の長軸に対して垂直に調整しておく。
 日本では,鋼製の他にアルミニウム製のものも用いられている。
 
 しん(芯)出し装置
 試験円筒の長軸に対し垂直な方向の表面を試験片(塗膜)に接着するとき,引張試験の引張り方向に対し適正な角度を確保させるための養生装置。適切な設計例を図3(ここでは省略する)に示す。
 
 切込み装置
 試験円筒の周囲の硬化した接着剤,及び塗膜を基板まで切り込むための,鋭いナイフのようなもの。
 加えた引張力が試験円筒の表面以外に拡散しないように,すなわち引張り試験時の試験表面積を厳格にするため,試験円筒の外縁に沿って適確に,試験円筒周辺の接着剤,及び塗膜を基板まで切り込むことにより,周辺塗膜と縁切りをする。

  

 【接着剤】

 試験に使用する接着剤は,適切に選択する。
 塗膜の破壊を起こすためには,接着剤の凝集,及び接着力が被試験塗膜よりも大きいことが必要である。
 
 備考:一般的には,シアノアクリレート(Cyanoacrylate),二液無溶剤エポキサイド(two-component solventless epoxide),及びパーオキサイド触媒型ポリエステル(peroxide-catalised polyester)接着剤が適しているとされている。
 シアノアクリレート,及びポリエステル接着剤は,硬化時間が短く,高湿度状態での使用に適している。

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 【試料の採取】

 試料の採取は,JIS K 5600-1-2 「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第2節:サンプリング」の規定に従って,試験する製品(又は多層塗膜系の場合は各製品)の代表的試料を採取する。
 次いで, JIS K 5600-1-3「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第3節:試験用試料の検分及び調整」の規定に従って,試験用に試料を検分及び調整する。

  

 【試験板】

 試験板の調整及び塗装
 JIS K 5600-1-4「塗料一般試験方法-第1部:通則-第4節:試験用標準試験板」に従って規定された試験板を調整し,試験する製品又は塗膜系を規定の方法によって塗装する。
 
 試験塗膜の乾燥
 塗装した試験板を規定時間,及び規定条件下で乾燥(又は焼付け及び静置)する。乾燥条件は,温度23±2℃,及び相対湿度50±5%において24時間以上とする。
 一般的には,時間の限定より,硬化乾燥を確認した後(1週間程度養生する例が多い)に試験されることが多い。
 
 膜厚
  JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法-第1部:通則-第7節:膜厚」に規定されている手順の一つによって,乾燥塗膜の厚さをマイクロメートル単位で測定する。

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 【手順】

 環境条件
 試験は,温度23±2℃,及び相対湿度50±5%において行う。
 
 接着剤
 製造業者の説明書に従って接着剤を準備し,使用する。接着剤は,試験アセンブリの構成部品のしっかりした連続的で一様に接合させるのに必要最小限の量を用いる。できれば,直ちに余分の接着剤をすべて除去する。
 
 試験アセンブリ
 堅固な素地,及び変形性素地に対する一般的試験方法
  塗装した素地から切り出した試験片の一部(直径30mm以上の円板,又は一辺の長さ30mm以上の正方形板)を用いる。
 等しい直径の2個の試験円筒の清浄にした表面に一様に,接着剤を塗布する(備考1.及び備考 3.参照)。
 試験円筒が試験片の中心と軸方向に一線になるように,試験片を2個の試験円筒の接着剤塗布面の間に置く(サンドイッチ法)。
 しん出し装置内で試験アセンブリを位置合せし,接着剤の硬化時間維持する(備考 2.参照)。
 接着剤の硬化後に,切込み装置を用いて試験円筒の周囲を注意深く生地まで通して切り込む。
  備考1:接着剤と塗膜の界面からの破壊を防止するため,塗膜の表面を軽く研磨するのが望ましい。
  備考2:高湿度下での特殊試験では,接着剤の硬化時間をできるだけ短くするため,適した接着剤を選定する。
  備考3:変形性素地に対しては,素地の両面に試験する製品を塗装した試験片を用いるのが望ましい。
 
 片面だけの試験に対する方法(堅固な表地だけに適する)
 サンドイッチ法が困難な試験片などに対し,1個の試験円筒を用い,一方向からの引張りで試験する方法である。
 試験円筒の清浄化した面に接着剤を一様に塗布する。
 試験円筒の接着剤を試験片の塗膜に密着させ,接着剤が硬化した後に切込み装置を用いて,注意深く試験円筒の周囲を素地まで切り込む。
 外側リングを試験円筒に配し,外側リングを抑えながら試験円筒を引張る。
 
 試験円筒に塗装する方法
 2個の試験円筒のうち,一方の試験円筒に塗料を塗り付けたものを試験片として用いる方法である。
 一つの試験円筒に,試験対象の塗料を塗り付け,前述の「試験板」に従い準備する。
 塗膜の硬化後に,他の試験円筒に接着剤を塗布し,塗装した試験円筒の塗膜面に接触させ,しん出し装置中で接着剤が完全に硬化するまで静置する。
 接着剤の硬化後に2つの試験円筒を互いに引張り試験する。
 
 測定
 接着剤の硬化時間が過ぎたならば,直ちに試験アセンブリを引張試験機内に置き,曲げモーメントがかからず,張力が試験部分全体に一様に加わるように注意して試験円筒を整列する。張力を塗面に垂直に加え,張力を最初に加えてから90秒以内に試験アセンブリの破壊が起きるように1MPa/sを超えない速度で増加する。試験アセンブリを破壊した張力を記録し,後述の方法 に従って破面を検査する。
 
 測定回数
 少なくとも3回の測定を実施する。参照試験の目的には,最小限5回の測定を行う。すべての測定結果を報告する。
 
 【手順上の注意事項】
 ・結果は,使用する試験アセンブリによって影響される。さらに,結果は,張力の軸方向のアライメントが確保されない限り,再現可能な結果は得られない。
 ・破壊が主として接着剤に起因している場合には,別の種類の接着剤を用いることによって,より有用な結果を得るように努める。

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 【結果の表し方】

 破壊強さ
 各試験アセンブリに対する破壊強さ(MPa)は,次の式によって算出する。
   4F/πd2
   ここに,F:破壊力(N)
       d:試験円筒の直径(mm)
 直径が20mmの試験円筒の場合の破壊力(MPa)は,次の式によって算出する。
   4F/400π=F/314
 
 破壊の性質
 試験結果は,付着破壊(界面破壊),凝集破壊,又は付着/凝集破壊の用語を用いて,破壊された部位別に,破壊面積の百分率,及び位置を表す。
 便宜上,観測した結果の記載には,次の略語が用いられる。
   A =基板(素地)の凝集破壊
   A/B=素地と第一塗膜との界面の付着破壊
   B =第一塗膜の凝集破壊
   B/C=第一塗膜と第二塗膜との界面の付着破壊>
   −/Y=最終塗膜と接着剤との界面の付着破壊
   Y =接着剤の凝集破壊
   Y/Z=接着剤と試験円筒との界面の凝集破壊
 
 :試験塗膜が20MPaの張力で破壊し,第一塗膜の凝集破壊約30%,第一塗膜と第二塗膜間の付着破壊約70%の場合は,その試験結果は,次のように表される。
   20MPa,30%B,70%B/C

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