化 学 (化学反応)

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 ここでは,化学反応とエネルギーに関連し,【化学反応とは】【化学反応式】【熱化学方程式】に項目を分けて紹介する。

 【化学反応とは】

 物質の変化には,物質を構成する粒子(原子,イオン,分子)が変わらない物理変化( physical change ),物質を構成する粒子が変わる化学変化( chemical change ),粒子そのものが変化する原子核反応( nuclear reaction )に分けられる。
 物理変化とは,固体物体の変形(伸縮,切断,接合など),気体や液体の状態変化(相変位)などが例として挙げられる。
 一方,物質の溶解現象は,電解質がイオンに解離し溶ける場合は化学変化,分子がそのまま液体に分散する溶解現象は物理変化であるが,溶解現象そのものを区分することが困難である。このように,物理変化と化学変化の境界は,必ずしも明確ではないが,あえて明確にする必要性もない。
 化学反応( chemical reaction )とは,化学変化と同義で,一般的には,原子間の結合の生成,切断によって異なる物質を生成する現象である。
 【化学結合とは】で紹介したように,物質は,電子対の共有,又は電子の授受による化学結合で構成されている。従って,化学反応は,電子の授受を伴う反応と考えられる。
 化学反応では,反応する出発物質を反応物( reactant ),基質( substrate ),又は始原系,原料などと呼び,反応で生成ずる物質は生成物( product )と呼ぶ。

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 【化学反応式】

 化学反応の表示には化学反応式( chemical equation )が用いられる。化学反応式を書く場合の基本を紹介する。
 化学反応式では,反応形式が,不可逆反応( irreversible reaction )か,可逆反応( reversible reaction )かを明示するため表示方法が異なる。また,化学反応による熱収支を明示する場合には,次に紹介する熱化学方程式( thermochemical equation )を用いる。これは,化学反応式に似ているが,考え方が異なるので別に解説する。

 1 )共通原則
 式の左辺反応物右辺生成物を置くのを原則とする。
 反応物,生成物の分子式を用い,質量保存の法則,倍数比例の法則など【化学の基本則】に反しないように原子数のバランスを保つ。
 例えば,水素( H2 )と酸素( O2 )が反応して水( H2O )ができる反応では,反応物が水素と酸素で生成物が水となる。この反応は,常温常圧では,不可逆反応と考えられるので,( 2 )で紹介すように化学式では右矢印で結び,
      H2 + O2 → H2O
と書いてみた。
 しかし,水素は,左辺と右辺で 2 個とあっているが,酸素は左辺 2 個に対し,右辺では 1 固となり,質量保存の法則,及び倍数比例の法則に反する。そこで,化学式では,左辺と右辺の原子数を合うように,
     2H2 + O2 → 2H2O
としなければならない。
 化学反応式を一般化して記述すると,次のようになる。
     αA +βB +γC +・・・ → α’A’ +β’B’ +γ’C’ +・・・
 α,β,γ,α’ ,β’ ,γ’は,化学量論係数(又は量論係数: stoichiometric coefficient )と呼ばれ,倍数比例の法則に適合する分子式の反応物と生成物について,質量保存の法則に適合するように決められる。複雑な化学反応では,係数を求めるために行列式を用いた計算が必要になる。

 2 )不可逆反応( irreversible reaction )
 反応物と生成物を右向き矢印(→)で結ぶ
      反応物 → 生成物
 不可逆反応とは,反応物から生成物へ(正反応という)の一方向のみに進む反応,または逆方向の反応が無視できるほどしか起こらない場合をいう。
 多くの場合は,この反応の生成物が他の化学反応で消費されるようなケース,反応生成物が系外に除去(気体となり飛散する,固体の沈殿物として除去されるなど)され逆反応が起きない場合で,「反応が不可逆的に進行する」などと表現する。

  3 )可逆反応( reversible reaction )
 原則は,反応物と生成物を両向きの矢印(⇆)で結ぶ。可逆反応であっても,正反応のみに注目した論旨では,不可逆反応と同じ(→)で表記する場合も少なくない。
      反応物 ⇆ 生成物
 可逆反応とは,反応物から生成物への反応(正反応)と生成物から反応物への反応(逆反応)が同時に起こる反応である。この系は,最終的に一定量の反応物と生成物を含む平衡状態に落ち着く。

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 【熱化学方程式】

 ここでは,表記法の概要を紹介し,詳細については,後述の【熱化学方程式】で紹介する。
 化学反応式との大きな違いは,熱が計算できるように,化合物の状態を気体( g ),液体( l ),固体( s )を化合物の後に付け,化学反応の反応熱を付記することである。
 熱化学方程式の表記法には,次の 2 種がある。表記法により符号が反転することに注意。
 ● 化学化反応式と反応熱(モルエンタルピー: kJ / mol )を併記する方式
 この場合の水素と酸素から水が生成する反応( 25 ℃,1 気圧)の熱化学方程式は,
      2H2 ( g ) + O2 ( g ) → 2H2O ( l )  ;  ⊿ H = ‐285.83 kJ / mol
となる。なお,負の⊿ H は発熱を,正の⊿ H は吸熱を意味する。
 ● 化学式の右辺に生成熱を加えて表す方式
 この場合は,左辺と右辺を(=)で結び,記述する熱量は,反応熱ではなく,示した化学式の熱量となるので,単位は kJ となる。
 先の反応熱を併記する表記法と異なり,プラスが発熱を意味する。
 例えば,水の生成反応は,次のように表記できる。
      2H2 ( g ) + O2 ( g ) = 2H2O ( l ) + 571.66 kJ
反応熱と数値を合わせる場合は,生成物の係数を 1 とする。このため,他の物質の係数は分数となる。この表記は熱化学方程式に固有のもので,広く用いられている。
      H2 ( g ) + 1/2O2 ( g ) = H2O ( l ) + 285.83 kJ 

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