社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,サ行 “そ”の用語を紹介する。
用語一覧 そ
【 層間付着性 】 ,
【 双極子 】 ,
【 双極子モーメント 】 ,
【 造鉱物 】 ,
【 倉庫環境 】 ,
【 走査電子顕微鏡 】 ,
【 層状剥離さび 】 ,
【 装飾めっき 】 ,
【 送水管 】 ,
【 相対湿度 】 ,
【 送電設備 】 ,
【 増粘(塗料) 】 ,
【 増粘剤(塗料) 】 ,
【 相変態 】 ,
【 測色 】 ,
【 促進黄色度 】 ,
【 促進剤 】 ,
【 促進耐候(試験) 】 ,
【 促進耐光性 】 ,
【 促進耐候試験機 】 ,
【 促進耐候性 】 ,
【 促進劣化試験 】 ,
【 測定断面曲線 】 ,
【 速度 】 ,
【 速度定数 】 ,
【 素地 】 ,
【 素地調整 】 ,
【 塑性 】 ,
【 組成分析 】 ,
【 塑性変形 】 ,
【 措置 】 ,
【 粗度 】 ,
【 その場分析 】 ,
【 粗面化 】
用語の概要と関連ページ
【層間付着性】( interlayer adhesion )
下塗り塗料と中塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅰ),中塗り塗料と上塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅱ)をいう。付着性は,規定の条件で塗料を塗付け,規定の養生を行った後に,粘着テープ剥離試験で付着性を評価する。【JIS K56592018「 鋼構造物用耐候性塗料」】
関連ページ : 塗料評価:はじめに , 塗料評価:中塗り塗料JIS品質 , 塗料評価:上塗り塗料のJIS品質項目 , 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 塗料評価:付着性 , 塗料評価:層間付着性 , 塗膜の評価:品質試験 ,
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【双極子】( dipole )
双極子には,電気双極子(electric dipole)と磁気双極子(magnetic dipole)がある。
分子内に生じた電子の偏りを原因として発生する電荷のひずみである。すなわち,分子構造の中で,正の電荷の重心と負の電荷の重心が一致しない電荷の配置を電気双極子という。電荷を磁荷に置き換えた関係を磁気双極子という。
関連ページ : 鋼の腐食:水分子吸着 ,
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【双極子モーメント】( dipole moment )
極性分子において,双極子の程度を比較する場合に,双極子モーメント(方向ベクトルと大きさの積)を用いる。
双極子モーメントμは,電荷の大きさδ,電荷の正と負の重心間の距離γとすると, μ = δ ・ γ で与えられる。
双極子モーメントの単位は,SI 単位系として認められていないが,広く使用(高等学校教育でも)されている D (デバイ)が用いられる。
関連ページ : 腐食基礎:腐食反応と溶存酸素 , 鋼の腐食:水分子吸着 ,
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【造鉱物】( slag )
⇒ スラグ
関連ページ : 塗装概論:研削材 ,
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【倉庫環境】( warehous environment )
屋内環境の一種で,物品などを貯蔵・保管するための建物の内部の環境を指すことが多い。
関連ページ : 鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) ,
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【走査電子顕微鏡】( scanning electron microscope )
SEM と略され,細く集束した電子線を試料上で二次元的に走査して試料から得られる二次電子などを用いて拡大像を形成する顕微鏡。【JIS K 0215「分析化学用語(分析機器部門)」】 ⇒ 電子顕微鏡
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・化学分析 ,
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【層状剥離さび】( delamination of rust )
金属表面から層状に剥離したさび層。
関連ページ : 鋼の腐食:腐食した鋼の腐食 , 防食基礎:耐候性鋼材とは , 防食塗装系:鋼鉄道橋の維持管理 ,
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【装飾めっき】( decorative plating )
製品に美観を付与するために行うめっき。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
関連ページ : 防食基礎:電気めっきの分類 ,
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【送水管】( water supply pipe )
浄水場から給水場まで水を導く施設。
関連ページ : 社会資本:水道システム ,
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【相対湿度】( relative humidity )
相対湿度(RH)とは,ある温度(T)で計測された水蒸気圧(E)と,その温度での飽和水蒸気圧( Es (T))(saturated water vapor pressure) に対するの百分率と定義されている。
RH(%)=100×E/Es (T)
関連ページ : 腐食基礎:汚染表面の濡れ , 腐食概論:鋼の腐食とは , 鋼の腐食:大気腐食の分類 , 鋼の腐食:相対湿度とは , 鋼の腐食:絶対湿度とは , 鋼の腐食:水分子吸着 , 鋼の腐食:放射霧の発生 , 鋼の腐食:結露の発生1 , 鋼の腐食:海塩粒子の影響 , 鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) , 塗膜の試験規格:屋外暴露耐候性 ,
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【送電設備】( electricity transmission apparatus, power transmission apparatus )
発電所から一次変電所,二次変電所を経由して,配電用変電所まで高電圧を送る(送電)設備。
関連ページ : 社会資本:電源設備 , 社会資本:電力流通設備 ,
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【増粘(塗料)】( thckening )
増粘とは,不適切にならない程度に塗料のコンシステンシーが上昇する現象。適切な作業性のためには,塗料の粘度を上げる必要のある場合がある。増粘の方法には,ポリマーの分子量,官能基及び溶剤の選択,増粘剤の添加などがある。【JIS K5500「塗料用語」】
⇒ 増粘剤(thickener)
関連ページ : 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,
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【増粘剤(塗料)】( thckener )
一般に粘弾性調整剤,レオロジーコントロール剤, チキソトロピック剤とも呼ばれ,液体の粘性を高めるために混入する添加物の総称。塗装時のたれ防止,塗布厚の調整,塗りやすさの改善,レベリング性の改善,沈降防止などを目的に,塗装,塗工方式に合わせたレオロジー特性を調整する添加剤である。チキソトロピック剤には,無機系(沈降炭酸カルシウム,粘土系など),有機系(界面活性剤系,酸化ポリエチレン系,金属石けん系など),複合系(変性粘土系,表面処理炭酸カルシウムなど)など多種類ある。
関連ページ : 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,
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【相変態】( phase transformation )
同一の化学組成の物質において,物理的性質,原子配列が異なる状態へ変化する現象を変態(modification)といい,結晶相での変態を特に相変態といわれる。なお,単体の変態に対しては,同素体(allotrope)ともいわれる。
一般的には,鋼や合金を熱処理した場合の原子の集合状態の異なる変化を相変態という。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼の微細構造 ,
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【測色】( colorimetry )
表色系で必要な色表示に用いられる諸量を測定すること。色の測定。
備考 感覚としての色の測定及び心理物理量としての色の測定を含むが,通常,後者の意味で用い られる。心理物理量としての色の測定は,CIE(国際照明委員会)が定めた一連の規約に従って測定・計算され,その結果は,例えば,三刺激値,色度座標として表される。【JIS Z8120「光学用語」 】
関連ページ : 塗膜の評価:視覚特性とは , 塗膜の評価:色の目視比較 , 塗膜の評価:測色(色差) ,
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【促進黄色度】( accelerated yellowness )
白塗膜及び透明塗膜の時間とともに黄変する傾向を試験するために,塗膜を湿度の高い暗所において黄変を促進させ,色の三刺激値から黄色さを求め,これを促進黄色度の値とする。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料評価:上塗り塗料のJIS品質項目 , 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 塗膜の評価:品質試験 ,
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【促進剤】( accelerator )
塗料の添加剤として用いられるものは,塗料に少量添加して反応,例えば,架橋反応を促進する物質。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料概論:塗料構成材料 , 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,
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【促進耐候(試験)】( artificial weathering, accelerated weathering test, accelerated weathering, )
塗膜は屋外にさらされると,日光,風雨などの作用を受けて劣化する。この種の劣化の傾向の一部を短時間に試験するために,紫外線又は太陽光に近似の光線などを照射し,水を吹き付けるなどして行う人工的な試験。JIS K 5600-7-7「第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」 , JIS K 5600-7-8「第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法)」 参照。【 JIS K5500 「塗料用語」】
人工光源から発する光と断続的な人工降雨を与える装置を用い,試験片の腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
促進耐候性試験と称し,紫外線,可視光線の照射や断続的降雨など,人工的に加速された自然条件を作り出した試験装置内へ試験片を置き,さびの発生状態などを調べる試験。主としてめっきや塗覆装の耐候性加速試験として用いられる。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
促進耐候性試験と称し,人工光源から発する光と断続的な人工降雨,結露などを与える装置を用い,試料の物理的及び化学的変化を調べる試験。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
関連ページ : 塗膜の試験規格:促進耐候性 , 塗膜の評価:上塗り塗料 , 塗膜の評価:促進耐候性 , 塗膜の評価:塗膜品質の分類 , 防食基礎:人工環境腐食試験 ,
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【促進耐光性】( exposure to artificial radiation )
耐光性及び耐光堅ろう度(又は色の堅ろう度)の用語は,光に暴露された結果として,材料の外観の変化に対する堅ろう度を意味する。もし変化があった場合,その大きさは,材料が暴露された光の量及び質,並びに材料そのものの性質及び組成に影響される。
同じ成分からなるが,その比率が異なる二つの組成物は,耐光性が同じではないであろうし,同じ比率であるが,その成分が同じでない二つの組成物も,耐光性が同じではないであろう。
自然光に暴露される場合には,試験条件は非常に多くの変動因子によって連続的に変化する(例えば,光の強度及びスペクトル分布,温度,相対湿度並びに大気中の不純物の量及び性質)。そのために,試験結果は,同様に行われた別の試験結果と関連付けられない。したがって,結果を単に時間の関数として表現するのは推奨できない。【JIS K5101-9 「顔料試験方法−第 9 部:耐光性」序文】
関連ページ : 塗膜の試験規格:耐久性評価試験規格 ,
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【促進耐候試験機】( accelerated weathering machine )
促進耐候性を試験する機械。各種の形式のうち,アトラス形が最も広く使われている。炭素アーク灯を 2 個用いて特定波長分布の光を発生させて塗膜に照射し,更に 120分間照射中に 102分間隔で 18分間ずつ水の霧を吹き付ける。Weather-O-meter は,アトラス会社の商標。このほかに光源としてキセノンランプ,紫外線蛍光ランプを用いるものなどがある。JIS K 5600-7-7「第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」 , JIS K 5600-7-8「第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法)」 参照。【 JIS K5500 「塗料用語」】
関連ページ : 塗膜の評価:促進耐候性 , 塗膜の試験規格:促進耐候性 ,
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【促進耐候性】( artificial weathering, accelerated weathering )
屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質を耐候性(weather resistance , weathering)という。塗膜の耐候性を評価するためには,実環境への暴露試験が必要となる。これに対し,人工光源を用いた試験機を用いて得られた塗膜の性質を促進耐候性(人工的耐候性)という。
光源としてキセノンアークランプを用いた促進試験装置内で,水及び水蒸気の作用を含めて,促進耐候性試験,又は促進耐光性試験によって,塗膜を暴露する方法については,JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」(Testing methods for paints-Part 7 : Long-period performance of film- Section 7 : Accelerated weathering and exposure to artificial radiation (Exposure to filtered xenon-arc radiation))に,紫外線蛍光ランプを用いた方法は,JIS K 5600-7-8「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法)」(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 8 : Accelated weathering (Exposure to fluorescent UV lamps))に規定されている。
関連ページ : 塗膜の試験規格:促進耐候性 , 塗膜の試験規格:耐久性評価試験規格 , 塗膜の評価:化学的性質とは , 塗膜の評価:環境因子繰り返し性 , 塗膜の評価:促進耐候性 , 塗膜の評価:耐久性とは , 塗膜の評価:塗膜品質の分類 , 塗膜の評価:品質試験 , 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 防食基礎:人工環境腐食試験 ,
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【促進劣化試験】( accelerated aging test )
加速劣化試験ともいい,材料や製品を過酷な条件下に置き,意図的に劣化(aging)を進めて,材料や製品の寿命を検証する試験。
過酷な条件で試験し,長期間の劣化が短期間に進むと仮定することで,長期の劣化に代える。ただし,起こり得るすべての劣化要因の予測・再現が不可能なため,実環境での長期間の劣化の再現とは必ずしも言えない。
温度,湿度,紫外線,放射線などが,材料劣化の促進に用いられる一般的な条件の要素である。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・評価法 ,
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【測定断面曲線】( total profile )
縦軸及び横軸からなる座標系において,基準線を基にして得られたディジタル形式の測定曲線。【JIS B0651「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」】
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・表面物性 ,
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【速度】( velocity )
物理学では,運動している質点の単位時間あたりの方向を含む変位を表すベクトル量を意味する。
速度を厳密に定義すると,一般的には加速度の影響を受けるので,距離の時間に対する変化率は一定とは限らない。そこで,位置 x の時刻 t に対する変化を表すグラフを考え,ある時刻の勾配がある時刻の速度となる。ある時刻の速度の絶対値は,瞬間の速さといわれる。
位置の変化量以外に,着目する現象の時間的に変化に対しても拡大使用され,面積速度(face velocity),角速度(angular velocity),反応速度(reaction velocity , reaction rate)など,学術分野により種々の概念が定義されている。
関連ページ : 腐食基礎:溶存酸素濃度の影響 ,
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【速度定数】( rate constant )
反応速度と反応物の濃度との関係(反応速度式)は,
ν = k [ A ]α [ B ]β [ C ]γ・・・
と表したとき,
べき乗係数の総和( n =α+β+γ+・・・)を全反応次数( overall reaction order )といい,係数 k を n 次反応の速度定数と呼ぶ。
関連ページ : 腐食基礎:腐食は化学 ,
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【素地】( substrate surface, substrate )
溶射にあたっては,基材の溶射被膜をほど濃く面。被溶射面ともいう。【JIS H8200「溶射用語」】
塗料が塗装される面。備考:素地は,未塗装表面及び既塗装表面の両者を含む。生地,下地も同義で用いられる。【JIS K5500「塗料用語」】
皮膜形成の基となる材料。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
素地調整(surface preparation)】
塗料の付着性及び防せい効果をよくするために,機械的又は化学的に被塗装物体表面を処理し,塗装に適するような状態にすること。ケレンともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
基材の表面に目的とする溶射被膜が良好に付着するよう,基材表面のミルスケール,さびなどの付着に有害な物質を除去し,また,表面に適切な粗さを与える処理のこと(JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」参照)。溶射作業の前工程の一つ。【JIS H8200「溶射用語」】
塗装に備えて表面を処理するすべての方法。生地こしらえ,下地ごしらえを参照。
備考:1.木部面では,汚れ,異物の除去,打痕の補修,けば取り,かんな目,逆目の除去,やにの処理,裂け目,虫穴の充填など。金属面では,加工時にできたうねり,ひずみ,溶接跡の処理,付着した油脂類,研削材,金属くず,さびなどの除去。壁塗りでは,付着した塗材の除去,き裂埋め,しみ抜き,割れ目,くぼみ目等の補修,あく止め,吸い込み止めなどがある。
2.JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」では,素地調整は,鋼材の表面に防食を目的とする塗膜が良好に付着するよう,鋼材表面のミルスケール,さびなどの皮膜の付着に支障となる物質を除去し,また,表面に適切な粗さを与える機械的又は化学的処理。また,国内ではこの素地調整のほかにさまざまの用語,例えば,下地処理,前処理,生地ごしらえ,ケレンなどが用いられる。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・試験片準備 , 塗装概論:素地調整技術 , 塗装概論:塗装施工管理 , 塗料各論:塗料分類(工程別分類) , 塗料評価:付着性 , 防食塗装系:新設時塗装方法 ,
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【素地調整】( surface preparation, cleaning )
塗料の付着性及び防せい効果をよくするために,機械的又は化学的に被塗装物体表面を処理し,塗装に適するような状態にすること。ケレンともいう。【 Z0103「防せい防食用語」】
鋼橋製作時の素地調整には,鋼材製作時の一次素地調整と橋梁組立後の防食塗装時に行う二次素地調整,及び架設工事で行う現場塗装での素地調整がある。
鉄鋼メーカ等で行われる一次素地調整は,原板ブラスト(blasting for rolled sheet)とも呼ばれる。この処理は,製鉄工場で熱間圧延で生成したミルスケール(黒皮),付着物やその後に発生した赤さびなどを除去することを目的として行われる。
二次素地調整は,橋梁製作工場で実施する防食塗装前の素地調整である。ここで実施するブラスト処理は製品ブラストともいわれる。
関連ページ : 鋼橋製作:素地調整 , 防食基礎:素地調整概論 , 防食基礎:ブラスト処理 , 防食基礎:さび度,除せい度 , 防食基礎:腐食試験・試験片準備 , 塗装概論:塗装技術(素地調整) , 塗装概論:ブラスト処理 , 塗装概論:手工具 , 塗装概論:動力工具 , 塗装概論:新設時塗装管理(素地調整) , 塗装概論:塗替え塗装管理(素地調整) , 塗装概論:塗替え塗装管理(除せい) , 塗装概論:塗替え塗装管理(塗膜除去) ,
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【塑性】( plasticity )
読み「そせい」,可塑性(かそせい)ともいい,力を加えて変形(ひずみ)した物質が,力を除去しても元に戻らない性質(変形のまま)。⇒ 可塑性
関連ページ : 金属概論:金属とは , 金属概論:金属の結晶構造 ,
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【組成分析】( composition analysis )
物質の化学種を明らかにする手法を指し,成分分析,化学分析ともいう。⇒ 化学分析
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・化学分析 ,
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【塑性変形】( plastic deformation )
読み「そせいへんけい」,固体材料に加わる力がある限度より小さい場合は,力を除去することで元の形に戻る。この力の範囲を弾性範囲という。弾性範囲を超える外力が加わると,力を除去しても元の形に回復しない。この性質を塑性(そせい)や可塑性(かそせい)といい,変形を塑性変形という。
多くの金属材料は金属組織の層状のすべりによって塑性変形する。これを利用した金属材料の圧延,鍛造,押出加工,引抜加工,プレス加工などの塑性加工により,曲線を持つ製品など優れた意匠(design)の製品が得られる。
関連ページ : 塗膜の評価:硬さ ,
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【措置】( action )
読み「そち」,処置ともいい,一般には,事態に応じて必要な手続きをとること,うまく取り計らい始末することなどを意味する。また,古文などでは,物事をそのままに打ち捨てておくことの意味で用いられる。
構造物等の維持管理では,構造物の監視,補修・補強,使用制限,改築・取替等の総称を意味する。
関連ページ : 維持管理(鉄道) , 維持管理(鉄道):健全度 , 維持管理(鉄道):措置 , 塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) , 塗装概論:塗膜変状と措置(塗装作業時) ,
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【粗度】( surface roughness )
⇒ 表面粗さ
関連ページ : 防食基礎:溶射材料と手順 , 防食基礎:溶射皮膜の品質 ,
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【その場分析】( in‐situ analysis )
試料採取や試料調整せずに,現象が起きているその場において,形態・組成・状態の変化を観測・分析すること。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・化学分析 ,
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【粗面化】( surface roughening )
溶射被膜の密着性を向上させるために,基材に不規則な凹凸を付ける前処理。ねじ切り法,溝切り法,ローレット法,スロット法,ブラスト法などがある(JIS Z 0313「素地調整用ブラスト処理方法通則」参照)【JIS H8200「溶射用語」】
関連ページ : 塗装概論:ブラスト処理 , 防食塗装系:道路:塗装系金属溶射用