腐食概論鋼の腐食

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 大気腐食(実環境因子の影響)

 鉄鋼の大気腐食(屋内環境の腐食因子)

 大気腐食の特徴は,淡水中や海水中の連続した濡れ環境と異なり,断続的な濡れ(wetting)と乾燥(drying)の繰り返しの環境で腐食することにある。
 大気腐食といった場合には,屋外環境(outdor environment)での腐食を扱うのが通例である。しかし,屋内環境(indoor environment)の腐食も無視できない場合が少なくない。
 腐食の観点から,屋内環境を分類すると,ビル,家屋などの居住環境,工場環境,倉庫環境に分けることができる。

 居住環境(habitat , residential environment)

 居住環境では,水回りを除いて,概して相対湿度(relative humidity)が低く,汚染物質の濃度も低い。しかし,浴室,厨房では高湿度環境(high‐humidity environment)が長い時間維持される。厨房では,塩水飛沫,汚染ガスの発生も考えられる。
 トイレでは,ガス成分として,アンモニア,メタンチオール(メチルメルカプタン),硫化水素,二酸化硫黄などが検出されている。
 排せつ時に発生する硫化水素濃度は 0.4~2ppm(埼玉県の悪臭防止法に基づく排出口の許容濃度 0.02ppm)程度と言われている。1回当たりのガス発生量は少ないが,トイレの換気が不十分な場合は金属の腐食に影響する可能性が考えられる。

 工場環境(factory environment , plant environment)

 工場環境は,あえて解説する必要はないと考えるが,生産工程で発生する腐食性成分や塵埃が金属腐食に影響する。特に,酸水溶液のミスト塩化水素などの腐食性ガスに注意が必要である。
 筆者は,機械洗浄に用いていた塩素系有機溶剤が気化し,吸着した金属表面での塩酸生成の化学反応で,激しい腐食に至った事例を経験している。

 倉庫環境(warehous environment)

 保管するものによっては,塩害(salt damage),結露(dew formation)などに注意が必要である。
 海産物を扱う倉庫では,多量の塩,及び塩水が使用されるので,排水設備,通路近辺での塩水やその飛沫付着による腐食に留意しなければならない。
 空調が必要な物品を扱う倉庫では,空調された倉庫内と外気との温度差により,壁内部や出入り口近辺において,結露による腐食に留意しなければならない。
 【参考】
 相対湿度(relative humidity)
 相対湿度(RH)とは,ある温度(T)で計測された水蒸気圧(E)と,その温度での飽和水蒸気圧( Es (T))(saturated water vapor pressure) に対するの百分率と定義されている。
    RH(%)=100×E/Es (T)
 濡れ(wetting)
 固体表面に接触している気体が液体に置き換えられる現象。
 乾燥(drying , desiccation)
 乾燥(drying , desiccation)は,蒸発により物体から不要の液体分を除くことを意味し,自然乾燥,加熱乾燥,凍結乾燥,吸水剤乾燥,減圧乾燥,真空乾燥,赤外線乾燥などの用いる手段により多くの分類がある。
 なお,乾燥(dry)は,例えば乾燥肌(dry skin)など,乾いた状態になっていることを意味する。
 塩害(salt damage , salt injury , salt pollution , chloride attack , chloride damage)
 一般的に“多量の塩分によって農作物その他の植物や電気設備,鋼,コンクリート構造の施設などが害を受けること”と理解されている。
 台風などの海から吹いてくる塩分を多量に含んだ風による塩害は塩風害(えんぷうがい)や潮風害(ちょうふうがい)という。干ばつ時に海水が河口付近に侵入し,付近の田地に起こす塩害は干塩害(かんえんがい)という。
 結露(dew formation)
 露点以下の温度で水蒸気が凝縮すること。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 水蒸気を含んでいる空気が冷却して露点以下になり,水蒸気が液化して露を結ぶ現象。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】

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