社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,ハ行 “へ”の用語を紹介する。

 用語一覧 

ヘアクラック(塗膜の) 】  , 【 平均太陽年 】  , 【 平均塗り面積(平均塗り坪) 】  , 【 閉鎖系 】  , 【 平面曲げ疲れ試験 】  , 【 ペイント 】  , 【 βオキシ水酸化鉄 】  , 【 β線後方散乱法 】  ,

ペーハー 】  , 【 へこみ(塗膜の) 】  , 【 ベッセマー鋼 】  , 【 ペット 】  , 【 ベネシャンブラインド (鋼製及びアルミニウム合金製) 】  , 【 ヘマタイト 】  , 【 ペリー 】  , 【 ペルフルオロアルコキシアルカン樹脂 】  , 【 ペルフルオロ(エチレン-プロピレン)プラスチック 】  ,

平滑性 】  , 【 べんがら 】  , 【 変状 】  , 【 片状黒鉛 】  , 【 変色(塗膜の) 】  , 【 変色 】  , 【 変性 】  , 【 変性アルキド樹脂塗料 】  , 【 変性エポキシ樹脂塗料 】  ,

変性天然樹脂 】  , 【 変態 】  , 【 ペンタエリトリトール 】  , 【 ベンツイミダゾロン 】  , 【 変電設備 】  , 【 変動作用 】  , 【 ベント工法

 用語の概要と関連ページ


 【ヘアクラック(塗膜の)】( hair cracking )
 最上層塗膜の表面だけに起こるごく細い割れ。形は不規則で,ところかまわず起こる。割れの項参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗膜の試験規格:割れの等級 ,  
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 【平均太陽年】( mean solar year )
 太陽年(回帰年)は,黄道上の分点(春分・秋分)と至点(夏至・冬至)から出て再び各点に戻ってくるまでの周期をいう。そこで,基点の異なる春分回帰年,秋分回帰年,夏至回帰年,冬至回帰年の平均(約 365.2422日)を平均太陽年,平均回帰年という。⇒ 回帰年
 関連ページ : 鋼の腐食:大気の腐食性 ,  防食基礎:全面腐食の腐食度と腐食速度 ,  
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 【平均塗り面積(平均塗り坪)】( natural spreading rate )
 熟練した試験者によって,はけで流れ・たれのないように,一様に塗付した場合のウエットフィルム質量当たりの平均面積又はウエットフィルム容量当たりの平均面積。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料評価:はじめに ,  腐食基礎:清浄表面の濡れ ,  鋼の腐食:相対湿度とは ,  鋼の腐食:絶対湿度とは ,  鋼の腐食:水分子吸着 ,  鋼の腐食:海塩粒子の影響 ,  
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 【閉鎖系】( closed system )
 閉じた系ともいい,外界とエネルギーを交換するが,物質を交換しない系をいうが,外界とのエネルギーおよび物質の交換をしない孤立系を含めていう場合もある。
 なお,外界とのエネルギーや粒子の交換がある系を開放系,開いた系という。
 関連ページ : 鋼の腐食:水質(温度)の影響 ,  
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 【平面曲げ疲れ試験】( plane bending fatigue test )
 平面曲げとは,平板状試験片に,その軸を含みその板面に直交する面内の曲げモーメントを繰返し与える荷重方法をいう。【JIS Z2275「金属平板の平面曲げ疲れ試験方法」】⇒ 疲れ試験
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・機械特性 ,  
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 【ペイント】( paint )
 素地に塗付したとき,保護,装飾又は特殊な性能を持つ不透明膜を形成する,液状,ペースト状又は粉末状の顔料を含む塗料。
 備考:広義では,顔料を含む塗料の総称。狭義では,顔料をボイル油で練り合わせて作った塗料をいう。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗装概論:はじめに ,  塗料概論:塗料とは ,  塗料各論:はじめに ,  
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 【βオキシ水酸化鉄】( β iron(III) oxide-hydroxide )
 オキシ水酸化鉄の一種,β-FeOOH,赤金鉱,アカガナイト(akaganeite)と呼ばれる。⇒ オキシ水酸化鉄,アカガネイト
 関連ページ : 鋼の腐食:腐食生成物 ,  
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 【β線後方散乱法】( beta backscatter method )
 JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 に規定する測定法 8で,電離放射線と塗膜との相互作用から塗膜厚みを求める。一般的に,素地と被膜材料の原子番号の差が 5以上の場合に用いられる。⇒ 乾燥膜厚(塗膜)
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  
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 【ペーハー】( potential hydrogen ,power of hydrogen )
 ⇒ pH(ピーエッチ,ピーエイチ),水素イオン濃度指数
 関連ページ : 鋼の腐食:水質の影響 ,  
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 【へこみ(塗膜の)】( cratering )
 クレーターともいい,乾燥後の膜の表面にできる小さな円形のくぼみ。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料評価:塗膜の外観 ,  
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 【ベッセマー鋼】( bessemer steel )
 イギリスの発明家ベッセマー(Sir Henry Bessemer ;1813~1898年)により発明された酸性酸化物を炉壁にした転炉(ベッセマー転炉)による鋼の精錬法(ベッセマー法)で作られたものをいう。
 ベッセマー法では,転炉中の融解した銑鉄に空気を吹きつけ,不純物を酸素の作用で取り除くことができ,不純物の少ない良質の鋼が得られるようになった。
 関連ページ : 鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  
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 【ペット】( PET )
 ⇒ ポリエチレンテレフタレート
 関連ページ : 防食基礎:有機高分子材料 ,  
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 【ベネシャンブラインド (鋼製及びアルミニウム合金製)】( Steel and aluminium alloy venetian blinds )
 鋼製及びアルミニウム合金製の多数のスラットを水平に組み立てたもので,スラットの角度が操作でき,かつスラットとボトムレールを手動によって昇降できる室内用ベネシャンブラインドについて,JIS A 4801「鋼製及びアルミニウム合金製ベネシャンブラインド:Steel and aluminium alloy venetian blinds」に規定されている。
 関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 ,  
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 【ヘマタイト】( hematite )
 鉄(Ⅲ)の酸化鉱物の一種である赤鉄鉱(せきてっこう)の鉱物名で,化学式α-Fe2O3 で表される。
 関連ページ : 腐食基礎:腐食反応と溶存酸素 ,  鋼の腐食:フレティング・コロージョン ,  鋼の腐食:鋼の腐食生成物 ,  
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 【ペリー】( )
 1854年(安政元年)に来航し,日本に油性塗料(西洋ペイント)を初めて持ち込んだといわれている。
 関連ページ : 塗料概論:歴史(日本の油性塗料) ,  
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 【ペルフルオロアルコキシアルカン樹脂】( perfluoroalkoxy alkanes, tetrafluoroethylene – perfluproalkylvinylether copolymer )
 PFA ⇒ ふっ素化樹脂共重合体
 関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂とは ,  
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 【ペルフルオロ(エチレン-プロピレン)プラスチック】( fluorinated ethylene – propylene copolymer )
 テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(FEP)⇒ ふっ素化樹脂共重合体
 関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂とは ,  
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 【平滑性】( smoothness )
 表面が平らで滑らかである性質。
 関連ページ : 塗膜の評価:鏡面光沢度 ,  
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 【べんがら】( red iron oxide )
 酸化鉄(Ⅲ)を主成分とする顔料。黄味がかった赤から紫までの色相をもつものがある。【JIS K5500「塗料用語」】
 JIS K 5109「酸化鉄(顔料)」参照
 関連ページ : 塗料概論:着色顔料 ,  
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 【変状】( harmful alteration, deformation )
 一般的には,普通と異なる状態を意味する。
 構造物の維持管理では,あるべき健全な状態から性能が低下している状態。(道路では損傷という)
 塗装・塗膜管理では,塗膜のあるべき健全な状態から性能が低下している状態。
 関連ページ : 維持管理(鉄道) ,  維持管理(鉄道):変状 ,  防食塗装系:はじめに ,  
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 【片状黒鉛】( graphite flake, flake graphite )
 ねずみ鋳鉄中に生じる片状の黒鉛。備考:ばら状黒鉛(graphite rosette),共晶黒鉛(eutectic graphite)もこれに含まれる。【JIS G 0201「鉄鋼用語(熱処理)」】
 関連ページ : 金属概論:鋳鉄 ,  
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 【変色(塗膜の)】( tarnish, tarnishing, discoloration, discoloring )
 塗膜の色の色相・彩度・明度のどれか一つ又は一つ以上が変化する現象。主として彩度が小さくなり,又は更に明度が大きくなる現象を退色という。【JIS K5500「塗料用語」】
 環境などによって,めっき面が本来の色調を失う現象。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 保管中の薬品などの付着およびめっき浴からの引き上げ時に,めっき表面が変色したもの。
 参考:めっき引き上げ時に生じる変色は,光の干渉・反射に起因したもので,耐食性に影響はない。【JIS H8641「溶融亜鉛めっき」】
 関連ページ : 塗料概論:着色顔料 ,  塗料評価:塗膜の外観 ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗膜調査) ,  塗装概論:塗膜変状と措置(経年変化) ,  塗膜の試験規格:塗膜劣化評価(規格) ,  
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 【変色】( tarnish, tarnishing, discoloration, discoloring )
 塗膜の色の色相・彩度・明度のどれか一つ又は一つ以上が変化する現象。主として彩度が小さくなり,又は更に明度が大きくなる現象を退色という。【JIS K5500「塗料用語」】
 環境などによって,めっき面が本来の色調を失う現象。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 保管中の薬品などの付着およびめっき浴からの引き上げ時に,めっき表面が変色したもの。
 参考:めっき引き上げ時に生じる変色は,光の干渉・反射に起因したもので,耐食性に影響はない。【JIS H8641「溶融亜鉛めっき」】
 関連ページ : 金属概論:亜鉛について ,  防食基礎:溶融めっきの不具合 ,  
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 【変性】( modification )
 合成樹脂の骨格の一部を重縮合に際して添加剤で置き換えて,その性質を変えることをいう。変性樹脂塗料とは,変性樹脂を加えたり樹脂骨格を変えたりした樹脂を用いた塗料をいう。
 なお,デンプンを化学薬品,酵素などで処理するのも変性(modification)といい,タンパク質の立体構造変化,エチルアルコールに容易に分離できない不快な味や悪臭を与えて工業アルコールにすることも日本語で同じ変性(denaturation)という。
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂塗料 ,  塗料各論:長油性フタル酸樹脂塗料 ,  塗料各論:防食用変性エポキシ樹脂塗料 ,  塗料各論:ポリウレタン樹脂塗料分類 ,  
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 【変性アルキド樹脂塗料】( modified alkyd resin )
 塗料などに用いる場合には,着色剤との適合や耐久性を付与するため,油脂で変性した油変性アルキドとして用いることが多い。油脂は脂肪酸とグリセリンからなるエステルである。油脂に酸とポリアルコール類を加えて反応させると,硬さ,強靭さ,耐薬品性,電気抵抗などの性質を調節した樹脂が作れる。
 反応後の樹脂は,取り扱いを容易にするため溶剤に溶かすことが多い。変性アルキド樹脂を用いた塗料の例を次に示す。
 硬質樹脂変性アルキド樹脂塗料:ロジン変性アルキド樹脂塗料,マレイン酸樹脂変性アルキド樹脂塗料,フェノール樹脂変性アルキド樹脂塗料,エポキシ樹脂変性アルキド樹脂塗料
 他の樹脂との混合アルキド樹脂塗料:繊維素誘導体塗料,アミノアルキド樹脂塗料,シリコーン変性アルキド樹脂塗料,塩化ゴム混合アルキド樹脂塗料
 不飽和モノマー変性アルキド樹脂塗料:スチレン化アルキド樹脂塗料,ビニルトルエン化アルキド樹脂塗料,アクリル化アルキド樹脂塗料
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂塗料 ,  
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 【変性エポキシ樹脂塗料】( modified epoxy resin coating )
 エポキシ樹脂に,改質目的で石油系・石炭系樹脂(変性樹脂という)を用いて変性した塗料。変性樹脂自体に防食性はないが,内部応力の緩和,水蒸気透過性の低減などにより,タールエポキシ樹脂塗料と同様の防食性を発揮する。
 変性エポキシ樹脂塗料は,発がん性が認められない変性樹脂を用いることで,JIS 製品規格が廃止されたタールエポキシ樹脂塗料の代替塗料として用いられる。さらに,ある程度の着色が可能なことから高い防食性を期待する塗替え塗装などでの利用が拡大している。
 関連ページ : 塗料各論:防食用変性エポキシ樹脂塗料 ,  塗料評価:構造物用さび止めペイント ,  防食塗装系:防食塗装に用いる塗料 ,  
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 【変性天然樹脂】( modified natural resin )
 天然樹脂を適切な化学反応で部分的に変えたもの。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂塗料 ,  
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 【変態】( transformation, modification )
 化学的組成が同じで,原子配列,化学結合,物理的性質などが異なる状態に変る現象をいう。なお,生物学での多細胞生物が成長過程で形態を変える現象に対しても同じ日本語の変態を用いるが,英訳は metamorphosis と異なる。ちなみに,常軌を逸脱した人を意味する変態には,pervert ,abnormal ,deviant ,kinky などの単語が用いられる。
 関連ページ : 金属概論:鉄鋼の微細構造 ,  
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 【ペンタエリトリトール】( pentaerythritol )
 ペンタエリスリトールともいい,IUPAC 名 2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオール,示性式 C(CH2OH)4 ,多価アルコール類の一種でアルキド樹脂原料,合成潤滑油原料として用いられる。
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂とは ,  
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 【ベンツイミダゾロン】( benzimidazolon )
 アゾ系顔料で,緑味の黄色,耐候性が高く耐熱性にも優れ自動車用や高級塗料用として用いられる。
 関連ページ : 塗料概論:着色顔料 ,  
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 【変電設備】( transformer equipment )
 電圧の調整,周波数変換,交流と直流との相互変換,直流の電圧変換などの電力の変換・調整操作とその監視・制御を行うための設備。
 関連ページ : 社会資本:電力流通設備 ,  
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 【変動作用】( variable action )
 変動が頻繁または連続的に起こり,かつ変動が持続的成分に比べて無視できないほど大きい作用。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
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 【ベント工法】( erection method of bent style )
 移動式クレーンなどで鋼製ベントと呼ばれる仮設備で架設桁を支持する構台を組み立てる。次いで,運ばれてきた架設桁をクレーンで吊り上げ,所定順序に従って架設し,架設桁同士をボルト又は溶接で連結する。最後にベントを解体する工法である。
 一般的な架設工法で,他の架設工法に比べて少ない仮設備で施工でき,架設工期も短くてすむ。
 関連ページ : 鋼橋製作:架設工法