社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,ナ行 “な”の用語を紹介する。
用語一覧 な
【 ナイロン 】 ,
【 中塗り 】 ,
【 中塗り塗料 】 ,
【 流れ 】 ,
【 流れ止め剤 】 ,
【 ナフテン 】 ,
【 ナフテン系炭化水素 】 ,
【 鉛・クロムフリーさび止めペイント 】 ,
【 鉛系さび止めペイント 】 ,
【 鉛酸カルシウム 】 ,
【 鉛酸カルシウムさび止めペイント 】 ,
【 鉛石鹸 】 ,
【 軟鋼 】 ,
【 軟水 】
用語の概要と関連ページ
【ナイロン】( nylon, polyamide )
“ナイロン”は,一般名称として用いられているが,元来はデュポン社の商品名で,化学名はポリアミドである。
繰り返しているアミド結合の 85 %以上が脂肪族又は環状脂肪族単位と結合している長鎖状合成高分子から成る繊維( JIS L 0204 「繊維用語」)。
脂肪族系のポリアミドを示す名称で,元来は商標であったが,今日では化合物を示す慣用名として定着している。ラクタムの重縮合で得られるナイロン 6 (ε-カプロラクタム;C6H11NO ),ジアミン( ヘキサメチレンジアミン;H2N–(CH2)6–NH2 )とジカルボン酸(アジピン酸;HOOC–(CH2)4–COOH )の共重縮合で得られるナイロン 66 など,伝統的な名称の中の数値は,原料としたモノマー成分の炭素数に由来する指数である。⇒ ポリアミド
関連ページ : 防食基礎:有機高分子材料 , 塗装概論:塗り付け技術(ローラ塗り) ,
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【中塗り】( intermediate coating )
下塗りと上塗りとの中間層として,中塗り用の塗料を塗る操作。下塗り塗膜と上塗り塗膜との間の付着性の増強,総合塗膜層の厚さの増加,平らさ又は立体性の改善のために行う。英語では,目的によって,undercoat,ground coat,surfacer,texture coat などという。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料各論:塗料分類(工程別分類) ,
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【中塗り塗料】( intermediate coat, undercoat )
塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの,中塗りに用いる塗料。下塗り塗膜と上塗り塗膜との中間にあって,両者に対する付着性をもち,塗装系の耐久性を向上させる目的に用いるもの,下塗り塗面の平滑さの不足を補うために用いるものなどがある。後者では,塗膜が厚くて研磨しやすいことが特徴である。
備考:1.ISO用語規格では,“intermediate coat”と“undercoat”とは同義で,“地肌塗り(priming coat)と上塗り(finishing coat)の間のコート(coat)”をいう。
2.BS用語規格及びCEDでは,“undercoat”は,上塗り塗料を塗る前に,目止め,肌直し,地肌塗りなどを行った素地面,又は素地調整を行った旧塗膜面に塗装される塗料をいう。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 防食基礎:鋼橋塗装の塗料 , 塗料概論:塗料の分類(工程) , 塗料各論:塗料分類(工程別分類) , 塗料評価:中塗り塗料JIS品質 , 塗膜の評価:中塗り塗料 , 防食塗装系:防食塗装に用いる塗料 ,
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【流れ】( sagging, running, runs, tears, droplets )
小さなたるみ。不均等な垂直表面に塗ったとき,例えば,割れ,あななどに塗料が過剰に集まり,余った塗料が周囲の流動が止まってからも流動して起きる下方への細い塗料層の移動。移動距離の短いものは tears 又は droplets と呼ばれることもある。たるみの項参照。
備考 流れは,吹付け塗りの際,各表面の膜厚の調整が難しいナット,ボルトなどの複雑な部位の周りで起こることが多い(CED)。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料評価:塗膜の外観 ,
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【流れ止め剤】( antisagging agent, antisag agent, antirunning agent )
塗料の添加剤として用いられるものは,塗装したとき,塗膜にたるみを生じる傾向を減少させるために塗料に配合する物質。塗料に適切な流展性を与える増粘剤が多く用いられ,溶剤形塗料には有機ベントナイト,金属石けん,ホワイトカーボン,脂肪酸アマイドなどが,水系塗料にはベントナイト,ポリビニルアルコール,メチルセルロース,カルボキシセルロース,ヒドロキシエチルセルロースなどが用いられる。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料概論:塗料構成材料 , 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,
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【ナフテン】( naphthene )
一般式 CnH2n ,5員環や 6員環の環状構造をもつ飽和炭化水素(シクロアルカン,cycloalkane),およびそれらにアルキル側鎖のついた誘導体に対する総称。シクロパラフィンともいう。多環式の飽和炭化水素を含める場合もある。
関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,
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【ナフテン系炭化水素】( naphthenic hydrocarbon )
⇒ ナフテン
関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,
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【鉛・クロムフリーさび止めペイント】( lead-free, chromium-free anticorrosive paint )
JIS K56742019 「鉛・クロムフリーさび止めペイント;Lead-free, Chromium-free anticorrosive paints」,一般的な環境下での鉄鋼製品,鋼構造物などのさび止めに用いる塗料で,鉛フリー及びクロムフリーのさび止め顔料を含むさび止めペイント。種類は,次によって区分する。a)1種 有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。b) 2種 水を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
関連ページ : 塗料概論:長期防錆用塗料の登場 , 塗料概論:塗料の分類(材料) , 塗料各論:非鉛系さび止めペイント , 塗料評価:下塗り塗料 , 塗料評価:鉛・クロムフリーさび止めペイント , 防食塗装系:防食塗装に用いる塗料 ,
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【鉛系さび止めペイント】( lead-based anticorrosive paint )
非鉛系さび止めペイントに対する用語で,さび止め顔料(防せい顔料)として鉛化合物を用いたさび止めペイントである。現在は廃止されているが,過去には鉛系のさび止めペイントの JIS規定として,平成 22年 5月に廃止された JIS K 5622「鉛丹さび止めペイント」,JIS K5624「塩基性クロム酸鉛さび止めペイント」,JIS K5627 「ジンククロメートさび止めペイント」,JIS K5628 「鉛丹ジンククロメートさび止めペイント」,平成 26年 4月に廃止された JIS K 5623「亜酸化鉛さび止めペイント」,JIS K 5625「シアナミド鉛さび止めペイント」,亜鉛めっき鋼用途の平成 28年 12月に廃止された JIS K 5629「鉛酸カルシウムさび止めペイント」などがあった。
関連ページ : 塗料概論:長期防錆用塗料の登場 , 塗料概論:塗料の分類(材料) , 塗料概論:構成(防せい・体質顔料 , 塗料各論:塩基性防せい顔料 , 塗料各論:鉛系さび止めペイント , 塗料評価:下塗り塗料 ,
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【鉛酸カルシウム】( calcium plumbate )
組成式 2CaO・PbO2 又は Ca2PbO4 で表される 淡黄色又は淡褐色。平成28に廃止された JIS K 5629 「鉛酸カルシウムさび止めペイント」として,亜鉛めっき鋼などの亜鉛めっき面用さび止め顔料として用いられる。
関連ページ : 塗料概論:塗料の分類(材料) ,
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【鉛酸カルシウムさび止めペイント】( calcium plumbate anticorrosive paint )
主として亜鉛めっき鋼製品の地肌塗りに用いる鉛酸カルシウムさび止めペイント,さび止め顔料として鉛酸カルシウムをワニスで練り合わせて作った液状の酸化によって自然乾燥する塗料。【JIS K 5629 「鉛酸カルシウムさび止めペイント」平成28年12月廃止】
関連ページ : 塗料概論:塗料の分類(材料) , 塗料概論:防せい:体質顔料 , 塗料各論:塩基性防せい顔料 , 塗料各論:鉛系さび止めペイント , 防食塗装系:建築物亜鉛めっき面の防食塗装 ,
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【鉛石鹸】( lead (metal) soap )
金属石鹸(metallic soap)とは,アルカリ塩(ナトリウム,カリウム)以外の金属塩と脂肪酸から成る石鹸をいう。代表的金属塩には,鉛,カルシウム,アルミニウム,亜鉛,マグネシウム,バリウムなどがある。
鉛石鹸,カルシウム石鹸などは,水に溶けず洗浄力はないが,乾燥剤・顔料・防水剤・樹脂の安定剤などに広く利用される。
関連ページ : 塗料各論:塩基性防せい顔料 , 塗料各論:不動態化,還元系防せい顔料 ,
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【軟鋼】( soft steel )
⇒ 炭素鋼
関連ページ : 金属概論:鉄鋼(分類) ,
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【軟水】( soft water )
カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が少ない水。
WHOでは,Mアルカリ度 120(ppm)以下を軟水,これ以上を硬水と分類し,日本では 100以下を軟水,100~300を中硬水,300以上を硬水と分類している。
関連ページ : 鋼の腐食:淡水とは