社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,カ行 “こ”の用語を  こあ~こうき,  こうく~こうす,  こうせ~こうそ,  こうた~こお,  こか~こん  に分けて紹介する。

 用語一覧 こあ~こうき

】  , 【 鋼帯 】  , 【 高温高圧用鋳鋼 】  , 【 高温酸化 】  , 【 高温酸化試験 】  , 【 高温腐食 】  , 【 高温腐食試験 】  ,

硬化(塗膜) 】  , 【 硬化(重合体の) 】  , 【 硬化乾燥 】  , 【 硬化乾燥状態 】  , 【 工学的ひずみ 】  ,

硬化剤 】  , 【 工業ガソリン 】  , 【 硬化触媒 】  , 【 鋼管 】  , 【 鋼管杭 】  , 【 鋼管構造 】  ,

工業用クロムめっき 】  , 【 合金 】  , 【 合金鋼 】  , 【 合金鉄

 用語の概要と関連ページ


 【鋼】( steel, ferrous metal )
 読み「はがね」,「こう」 :「はがね」の由来は刃物に用いる金属で,焼入れによって硬化する鉄合金を意味していた。
 JIS 用語では,鉄を主成分として,一般に約 2%以下の炭素と,その他の成分を含むもの。【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】
 鉄及び鉄合金については『鉄鋼:てっこう』参照。
 関連ページ : 金属概論:金属の工学的分類 ,  金属概論:鉄鋼の分類 ,  鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  鋼の腐食:淡水中の金属腐食 ,  
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 【鋼帯】( steel strip in coil, steel sheet in coil, steel plate in coil )
 平らに熱間圧延又は冷間圧延した鋼で,コイル状に巻いた鋼材。【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】
 関連ページ : 金属概論:鉄鋼(分類) ,  
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 【高温高圧用鋳鋼】( Steel castings for high temperature and high pressure service )
 SCPH材と記され,高温で使用される弁,フランジ,ケーシングその他の高圧部品用鋳鋼品,品質などはJIS G5151「高温高圧用鋳鋼品:Steel castings for high temperature and high pressure service」に規定されている。
 関連ページ : 金属概論:鋳鉄 ,  
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 【高温酸化】( high temperature oxidation )
 乾燥した空気中では,鉄鋼の場合に 500 ℃までの酸化はほとんど無視できる程度であるが,500℃を超える高温の場合には,鉄の酸化(腐食)が工学的に無視できない速度で進行する。この温度領域での液体の水の関与しない酸化を高温酸化や高温腐食という。
 ボイラで観察される高温腐食は,燃料油中のバナジウム( V ),石炭中のナトリウム( Na ),カリウム( K )などが燃焼の際に,溶融点の低い化合物を形成し,過熱器管壁,再熱器管壁などの高温伝熱面に付着,たい積し,金属を腐食するボイラなどに見られる現象で,バナジウムアタック(油灰腐食,石炭灰腐食,重油灰腐食ともいう),アルカリ硫酸塩腐食などがある。
 関連ページ : 鋼の腐食:フレティング・コロージョン ,  
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 【高温酸化試験】( hightemperatureoxidation test )
 高温の酸化性雰囲気中で酸化の程度を調べる試験。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 関連ページ : 防食基礎:人工環境腐食試験 ,  防食基礎:複合サイクル腐食試験 ,  
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 【高温腐食】( high temperature corrosion )
 読み「こうおんふしょく」,高温の水又は水蒸気による腐食で,一般にはボイラの腐食という。高温高圧下では酸素がなくても水と金属が直接反応して腐食が起こる。
 関連ページ : 腐食基礎:環境による分類 ,  腐食基礎:腐食現象の分類 ,  鋼の腐食:乾食 ,  防食基礎:人工環境腐食試験 ,  
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 【高温腐食試験】( high temperature corrosion test )
 高温環境で腐食の程度を調べる試験。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 関連ページ : 鋼の腐食:乾食 ,  防食基礎:人工環境腐食試験 ,  
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 【硬化(塗膜)】( curing )
 塗料を,熱又は化学的手段で縮合・重合させる工程。求める性能の塗膜が得られる。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料評価:下塗り塗料 ,  塗料評価:構造物用さび止めペイント ,  
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 【硬化(重合体の)】( cure (noun) (of a polymer) ,curing )
 プリポリマー又は重合組成物を重合及び又は架橋によってさらに安定して使用できる状態に変える工程。【JIS K 6900「プラスチック―用語」】
 関連ページ : 塗料各論:ジンクリッチ系塗料の硬化特性 ,  塗料各論:エポキシ樹脂塗料概要 ,  塗料評価:下塗り塗料 ,  塗料評価:構造物用さび止めペイント ,  
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 【硬化乾燥】( dry-hard, hard dry, dry-through, dry through, through dry )
 塗料の乾燥状態の一つ。
 a)試験片の中央を親指と人差し指とで強く挟んでみて,塗面に指紋によるへこみが付かず,塗膜の動きが感じられず,また,塗面を指先で急速に繰り返しこすってみて,すり跡が付かない状態(dry-hard)になることをいう。JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般(条件及び方法) 参照。
 b) JISでは,塗膜の表面は乾燥しているが,塗膜の大部分は,まだ軟らかいといった状態ではなく,塗膜の厚さ全体を通じて乾燥している状態(through dry)をいう。
 規定の試験機を用いて,水平に置いた塗料又は関連製品の一回塗り又は多層塗り塗料系の塗面に,規定のガーゼを置き,その上に規定された荷重を規定時間かけてから,90度のねじれを与えたとき,塗膜の表面にガーゼの跡が残らず,塗膜に損傷が認められない場合,その乾燥状態を硬化乾燥状態(through dry state)にあるという。
 備考:1.ASTM では,水平に置いた試験片の塗面に親指を置いて,垂直に伸ばした腕の力を最大にして押し付け,同時に90度回転させたとき,塗膜にゆるみ,はがれ,しわ(※1),その他のねじれの徴候が認められない乾燥状態を dry-through にあるという。
 2.このほかに,塗膜を研磨したり(dry-to-sand),上塗りをしても異常が起こらない(dry-to-repeat),塗った物体の塗面に触れて持ち運びや包装ができる状態(dry-to-handle)などがある。JIS K 5600-3-3「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第3節:硬化乾燥性」 参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 (※1)塗装・塗料用語における”しわ”とは,乾燥中に塗膜に発生するしわのことで,通常は上乾きが著しいときに,表面の面積が大きくなってできるものです。しわには,平行線状,不規則線状,ちりめんじわ状などがあります。
 関連ページ : 塗装概論:はじめに ,  塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) ,  塗装概論:新設時塗装管理(膜厚管理) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装準備) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  塗料評価:乾燥時間 ,  塗料評価:半硬化乾燥 ,  
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 【硬化乾燥状態】( through-dry state )
 塗膜の表面は乾燥しているが,塗膜の大部分は,まだ柔らかいといった状態ではなく,塗膜の厚さ全体にわたって乾燥している状態をいう。
 塗料又は関連製品の単一塗膜系,又は多層膜系が,規定された乾燥時間経過後に,硬化乾燥状態に達しているかどうかの判定を行う試験方法は,JIS K 5600-3-3「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第3節:硬化乾燥性」(Testing methods for paints−Part 3 : Film formability−Section 3 : Through-dry)に規定されている。この規格では,規定された荷重,ねじれ,及び時間の下で,規定されたガーゼが塗膜に跡を残したり,損傷させたりしない場合を硬化乾燥状態であるとする。
 関連ページ : 塗料評価:乾燥時間 ,  
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 【工学的ひずみ】( engineering strain )
 記号 εeng で表され,標点距離の増分と原標点距離の比 (⊿L/L0 )で,公称ひずみ(nominal strain)や伸び(ひずみ)(elongation)とも呼ばれる。⇒ 公称ひずみ,ひずみ
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・機械特性 ,  
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 【硬化剤】( hardener, curing agent )
 塗料の硬度の増進又は硬化反応を促進若しくは制御するために用いられる橋かけ剤,樹脂,その他の変性剤。
 備考 常温硬化形塗料では,エポキシ樹脂塗料におけるアミンアダクト及びポリアミド樹脂,ポリウレタン樹脂塗料におけるポリイソシアネート類は,架橋反応によって硬化する硬化剤の代表的な例である。
 また,酸硬化形アミノ樹脂塗料における有機酸又は無機酸などの酸触媒,不飽和ポリエステル樹脂塗料の過酸化物(重合開始剤)とナフテン酸コバルト(促進剤)なども硬化剤ということがある。【JIS K5500「塗料用語」】
 備考で紹介する前者の多液形塗料での例は塗料の展色材(架橋剤・硬化剤)として,後者の例は塗料の添加剤(硬化促進剤)として扱われる。
 関連ページ : 防食基礎:塗料の構成 ,  塗料概論:塗料の分類(材料) ,  塗料概論:塗料構成材料 ,  塗料概論:塗料形成要素(展色材) ,  塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,  塗料各論:エポキシ樹脂塗料概要 ,  塗料各論:防食用変性エポキシ樹脂塗料 ,  
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 【工業ガソリン】( gasoline for industrial purpose )
 無色透明で異臭がなく,水及び沈殿物を含まず,洗浄,溶解,希釈,抽出などの用途に適当な品質の精製鉱油。【JIS K 2201「工業ガソリン」 】
 工業ガソリンは,用途によって次の 5 種類に分けられる。 1号は,洗浄用途の“ベンジン”と称され,引火点-,初留温度 30℃以上,蒸留試験で 50%留出温度 100℃以下,終点 150℃以下, 2号は,ゴム用溶剤,塗料用途の“ゴム揮発油”と称され,引火点 -,初留温度 80℃以上,蒸留試験で 50%留出温度 120℃以下,終点 160℃以下, 3号は,抽出用途の“大豆揮発油”と称され,引火点 -,初留温度 60℃以上,蒸留試験で 50%留出温度 -,終点 90℃以下, 4号は,塗料用途の“ミネラルスピリット”と称され,引火点 30℃以上,初留温度 -,蒸留試験で 50%留出温度 180℃以下,終点 205℃以下, 5号は,ドライクリーニング,塗料用途の“クリーニングソルベント”と称され,引火点 -,初留温度 38℃以上,蒸留試験で 50%留出温度 150℃以下,終点 210℃以下。
 関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,  塗膜の評価:耐揮発油性 ,  
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 【硬化触媒】( curing catalyst )
 触媒(catalyst)とは,少量使用して化学反応の速度を増大し,かつ理論上は反応の終りにも化学的に不変のまま残留する物質。【JIS K 6900「プラスチック―用語」】
 すなわち,化学反応の反応速度を高める目的で用い,反応前後で変化しない物質,又は反応後に再生して元に戻る物質をいい,有機高分子反応における硬化触媒には,酸硬化触媒(ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA) 触媒,ジノニルナフタレン(モノ)スルホン酸(DNNSA)触媒,p-トルエンスルホン酸(p-TSA)触媒など),りん酸ブロック触媒,ウレタン硬化触媒(有機スズ化合物,金属錯体,ジルコニウム錯体など)などが用いられる。
 関連ページ : 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,  塗料各論:ポリウレタン樹脂塗料分類 ,  
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 【鋼管】( steel pipe )
 鋼の圧延で得られる管形の物。鋼帯・ビレット・厚板などの鋼を加工して得られるので,二次製品として扱われる。
 関連ページ : 社会資本:水道 ,  防食基礎:有機ライニングとは ,  
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 【鋼管杭】( steel tube pile, steel pipe pile )
 地中に打ち込む鋼製の杭をいう。
 関連ページ : 社会資本:港湾設備 ,  
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 【鋼管構造】( steel tubular structure )
 鋼管を部材として使用した構造である。
 一般的には,柱部材として橋脚やラーメン脚に用いられることが多い。鋼管内部をコンクリートで充填し,梁あるいはアーチ部材として使用されることもある。
 関連ページ : 防食塗装系:鋼橋の構造例 ,  
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 【工業用クロムめっき】( electroplated coatings of chromium for engineering purpose, industrial chromium plating, hard chromium electroplating )
 主として耐磨耗性を付与する目的で施した比較的厚いクロムめっき。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 関連ページ : 防食基礎:電気めっきの分類 ,  
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 【合金】( alloy )
 2 種以上の金属元素で構成される金属材料。または,金属元素と非金属元素との共融体で金属的性質を示す材料をいう。主要成分の数により 2元合金・3元合金・4元合金などという。
 関連ページ : 金属概論:金属とは ,  金属概論:鉄鋼(基礎) ,  金属概論:アルミニウム合金とは ,  腐食基礎:金属結晶構造 ,  腐食基礎:合金の結晶構造 ,  
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 【合金鋼】( alloy steel )
 【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】における定義は次の通りである。
 鋼の性質を改善向上させるため,又は所定の性質をもたせるために合金元素を 1 種又は 2 種以上含有させた鋼。
 合金元素の含有率の基準は ISO 4948-1 と若干異なるが,関税協力理事会(Customs Co-operation Council)の分類では化学成分が次の数値以上の鋼をいう。・・・中略・・・
 便宜上,合金元素含有率の多少によって,高合金鋼又は低合金鋼ということもある。
 関連ページ : 金属概論:金属の工学的分類 ,  金属概論:鉄鋼の分類 ,  鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  
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 【合金鉄】( ferro-alloy )
 鉄に,1種以上の金属元素を多量( 20~90%)に加えた合金の総称で,フェロシリコン,フェロマンガン,フェロニッケル,フェロクロムなど多種ある。これらは,鉄鋼の脱酸や脱硫,特殊鋼への合金元素の添加に用いられる。 ⇒ フェロアロイ
 関連ページ : 金属概論:金属の工学的分類