社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,ナ行 “ぬ”の用語を紹介する。

 用語一覧 

ヌープ硬さ 】  , 【 塗合わせ(塗りつぎ) 】  , 【 塗替え塗装 】  , 【 塗り重ね適合性 】  , 【 塗付け作業 】  ,

塗付け量 】  , 【 塗り面積(塗り坪) 】  , 【 濡れ 】  , 【 濡れ性 】  , 【 濡れ大気腐食 】  , 【 ぬれ膜厚(塗料)

 用語の概要と関連ページ


 【ヌープ硬さ】( Knoop hardness )
 押し込み硬さの一種で,記号 HKで表される。ダイヤモンドでできたひし形の四角錐(頂角 172.5度,130度,対角線長比 1:7.11)の剛体(圧子)を規定される荷重(試験力)で押込み,できたひし形のくぼみ(圧痕)の対角の長さで硬いか柔らかいかを判断する。微小領域,薄膜や脆性材料の測定が可能であるが,試験片表面を電解研磨などで鏡面状に仕上げる必要がある。⇒ 押し込み硬さ試験
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・表面物性 ,  塗膜の評価:硬さ ,  
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 【塗合わせ(塗りつぎ)】( lap )
 被塗物の表面全体を 1回塗りしているとき,新たに塗付された領域の隣に次の塗料を塗付する際にその一部を重ね合わせて塗りつぐ操作,又はその重なり部分をいう。
 塗装方法によって,その意味は多少異なるが,スプレー塗装ではパターンの重なりといい,膜厚の均一化を図るためには 1/3以上の重なりが必要であるという。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗装概論:塗り付け技術(刷毛塗り) ,  
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 【塗替え塗装】( repainting coat )
 新設時塗装に対して用いられる用語で,既設の構造物,建築物などの補修・改装などを目的に実施される塗装をいう。
 関連ページ : 防食基礎:素地調整概論 ,  塗装概論:はじめに ,  塗装概論:塗替え塗装工程 ,  塗装概論:塗替え塗装管理(施工の流れ) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗膜調査) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(除せい) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  防食塗装系:鋼橋の防食設計 ,  防食塗装系:塗替え塗装 ,  防食塗装系:塗装系記号(道路) ,  防食塗装系:道路:塗替え塗装の基礎 ,  防食塗装系:鉄道:塗替え塗装の課題 ,  防食塗装系:鉄道:塗替え塗装の基本 ,  
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 【塗り重ね適合性】( )
 ⇒ 重ね塗り適合性
 関連ページ : 塗料評価:はじめに ,  
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 【塗付け作業】( coating operation )
 ⇒ 塗装
 関連ページ : 塗装概論:塗り付け技術(刷毛塗り) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(施工の流れ) ,  
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 【塗付け量】( application rate )
 規定の作業条件で,単位面積に規定の厚さの乾燥塗膜を作るのに必要な塗料の量。一般に,g/m2,ml/m2,試験では,g/100cm2,ml/100cm2 で表す。塗り面積(spreading rate)の項参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗装概論:塗り付け技術(刷毛塗り) ,  塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  
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 【塗り面積(塗り坪)】( spreading rate )
 一定量の塗料によって必要な厚さの塗膜を作ることのできる表面積。通常,m2/l 又は m2/kg で表す。
 JIS K 5600-3-1「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第1節:塗り面積(はけ塗り)」参照
 備考: 塗り坪には,規定する条件によって,1)実用塗り坪,2)理論的塗り坪,3)平均的塗り坪がある。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗装概論:塗り付け技術(刷毛塗り) ,  塗料評価:はじめに ,  
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 【濡れ】( wetting )
 固体表面に接触している気体が液体に置き換えられる現象。
 関連ページ : 腐食基礎:清浄表面の濡れ ,  腐食基礎:汚染表面の濡れ ,  鋼の腐食:相対湿度とは ,  鋼の腐食:絶対湿度とは ,  鋼の腐食:水分子吸着 ,  鋼の腐食:濡れについて ,  鋼の腐食:海塩粒子の影響 ,  鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) ,  防食設計:環境の腐食性 ,  
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 【濡れ性】( wettability )
 固体表面に対する液体の親和性(付着しやすさ)を表す。液体が水の場合には,親水性や疎水性などで表される。濡れ性は接触角の大小で評価されることが多い。
 関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂塗膜性能 ,  
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 【濡れ大気腐食】( wet atmospheric corrosion )
 外気温度と鋼表面温度に大きい温度差が生じると,激しい結露による濡れに至る。この結露や降雨などによる水膜厚みが,1μm 以上で生じる腐食をいう。
 この領域では,水分子やイオンの移動に差がなくなり,腐食速度は,溶存酸素の鋼表面への拡散流束に依存するようになる。すなわち,水膜厚みの増加に伴い,酸素の拡散流束が低下し,腐食速度が減少し始める。
 関連ページ : 腐食基礎:環境因子と腐食速さ ,  鋼の腐食:大気腐食の分類 ,  
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 【ぬれ膜厚(塗料)】( wet-film thickness )
 塗装直後の未乾燥状態での膜厚。【JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 】
 当該規格には,ぬれ膜厚を求める方法として,機械式測定法(mechanical methods)と重量法(gravimetric method, difference in mass,)が規定されている。
 機械式測定法には,“くし形ゲージ”(comb gauge),“ロータリー形ゲージ”(wheel gauge),がある。
 “くし形ゲージ”(comb gauge)では,板の両端の一対の歯の内側に隙間の異なる歯列があり,塗料によってぬれる歯の最も大きいギャップの読みから塗料の厚みを求める。
 “ロータリー形ゲージ”(wheel gauge)には,円筒に同じ直径で同軸となる 2つの枠と直径が小さく偏心している枠の 3つの枠があり,外側の枠の一方には,目盛が刻まれており,偏心枠の数値は,同心枠の目盛と対比して読み取ることができる構造を持つ。枠を転がし塗料で濡れている偏心した枠の最も高い目盛の値からぬれ厚みを求める。
 重量法によるぬれ膜厚は,揮発性の高い成分の量が少ない液状の塗料に対し,塗料使用量を,塗料の密度及び塗装された面積で除すことで求める。塗料使用量は,被塗物の重量増加量から求められる。
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  塗装概論:塗装施工管理 ,  塗装概論:新設時塗装管理(膜厚管理) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  防食塗装系:塗替え塗装