社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,ア行 “う”の用語を紹介する。
用語の概要と関連ページ
【ウイーンの変位則】( Wien's displacement law )
黒体からの輻射のピークの波長が温度に反比例するという法則である。
関連ページ : 鋼の腐食:物体の温度変化 ,
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【ウェットキャンドル法】( wet candle method )
【JIS Z 2382 「大気環境の腐食性を評価するための環境因子の測定」】(ウェットキャンドル法による塩化物の測定 原理):一定面積の織物を湿潤状態で雨を遮断して暴露すると,織物表面に塩化物が捕集される。この塩化物を化学分析によって定量する。分析結果から塩化物の付着度を計算し,平方メートル・日当たりのミリグラム [mg/ (m2・d)] で表す。
ウェットキャンドル法では,瓶の中に挿入した心棒に外科用ガーゼを巻き付け,オクタン酸を加えた 20%グリセリン溶液で常に濡れるようにして暴露し,1か月間暴露した後に全方向からガーゼに付着した塩分を分析する。
関連ページ : 鋼の腐食:海塩粒子量測定 , 塗膜の試験規格:屋外暴露耐候性 ,
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【ウェット膜厚】( wet-film thickness )
ぬれ膜厚ともいい,塗装直後の未乾燥状態での膜厚。【JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 】
当該規格には,ぬれ膜厚を求める方法として,機械式測定法(mechanical methods)と重量法(gravimetric method, difference in mass,)が規定されている。
機械式測定法には,“くし形ゲージ”(comb gauge),“ロータリー形ゲージ”(wheel gauge),がある。
“くし形ゲージ”(comb gauge)では,板の両端の一対の歯の内側に隙間の異なる歯列があり,塗料によってぬれる歯の最も大きいギャップの読みから塗料の厚みを求める。
“ロータリー形ゲージ”(wheel gauge)には,円筒に同じ直径で同軸となる 2つの枠と直径が小さく偏心している枠の 3つの枠があり,外側の枠の一方には,目盛が刻まれており,偏心枠の数値は,同心枠の目盛と対比して読み取ることができる構造を持つ。枠を転がし塗料で濡れている偏心した枠の最も高い目盛の値からぬれ厚みを求める。
重量法によるぬれ膜厚は,揮発性の高い成分の量が少ない液状の塗料に対し,塗料使用量を,塗料の密度及び塗装された面積で除すことで求める。塗料使用量は,被塗物の重量増加量から求められる。
関連ページ : 塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) , 塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) , 防食基礎:腐食試験・厚み測定 , 防食塗装系:塗替え塗装 ,
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【上横構】( upper lateral bracing )
主桁や主構の相互の位置を保ち,地震荷重,風荷重などの横荷重に抵抗するために連結する部材。一般には,山形鋼などをトラス形に組み,ガセットを介して主桁の上フランジに接合する。
関連ページ : 鋼橋構造:鋼桁部材 ,
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【ウォータージェットブラスト】( water jet blasting )
超高圧水のウォータージェット(water jet)を持ちたブラスト工法をいう。ウォータージェットとは,加圧( 300MPa 程度)した水を細孔( 0.1~ 1mm)を通して得られる水流をいう。水に何らかの研磨材を添加したウォータジェットをアブレシブジェット(abrasive water jets)といい,水に不溶なものであれば材料を選ばないので,鉄鋼,ガラス,鉄筋コンクリート,宝石,複合材料や厚物の加工に用いられている。
関連ページ : 防食基礎:ブラスト処理 , 塗装概論:ブラスト処理 ,
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【浮桟橋】( floating pier )
港湾の係留施設の一つ。
関連ページ : 社会資本:港湾設備 ,
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【薄鋼板】( steel sheets )
熱間圧延によって製造した鋼板で,通常,厚さ3.0mm未満のもの。薄板ともいう。【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】
関連ページ : 金属概論:一般構造用圧延鋼 ,
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【ウスタイト】( Wüstite )
二価鉄のFeO ,酸化第一鉄,酸化鉄(Ⅱ)ともいう。⇒ 酸化鉄
関連ページ : 鋼の腐食:鋼の腐食生成物 ,
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【渦電流】( eddy current )
電導体にかかる磁場が変化した時,又は磁場の中を電導体が移動した時,電磁誘導にり導体内に生じる磁場に垂直な渦形の電流。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,
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【渦電流式膜厚計】( eddy-current thickness tester )
渦電流膜厚計(eddy-current gauge)ともいわれ,JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 に規定する測定法 7Dで,導電性素地中の高周波渦電流によって生じた磁場の変化から膜厚を決定するものである。
電磁現象を利用 した膜厚計には,① 交番磁界を利用 したもの,② 静的磁界を利用 したもの,③ 高周波渦電流を利用 したものがある。いずれも電磁式膜厚計といえるが,一般的には,① は電磁膜厚計といい,② は磁気膜厚計といい,③ の素地金属に発生する高周波渦電流の大きさを利用するものは渦電流式膜厚計と呼び区別されている。
検出器のコイルに高周波電流を流し,導電性金属に近づけると,金属の表層に渦電流が発生する。発生した渦電流の振幅及び位相が被膜の厚さや材料種により変わることを利用して厚みが求まる。
主に,金属表面の導電性のない被膜(塗膜やライニングなど)の厚み測定に用いられるが,強磁性の鉄や鋼を素地とする場合は,亜鉛やアルミなどの常磁性金属の皮膜の厚さも検出できる。⇒ 電磁膜厚計,磁気膜厚計
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 , 塗装概論:新設時塗装管理(膜厚管理) , 塗膜の評価:環境因子繰り返し性 ,
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【渦流探傷試験】( eddy current testing )
ED と略記され,渦電流を測定物に与え表面の渦電流の変化を検出する方法で,導電材料の表面および表層部の欠陥(特に亀裂)の検出に有効である。
関連ページ : 防食基礎:ライニング鋼管の設計施工 ,
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【打込み式高力ボルト】( driving fit high strength bolt )
支圧接合に用いる高力ボルト
関連ページ : 鋼橋製作:ボルト継手 ,
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【うねり曲線】( waviness profile )
断面曲線にカットオフ値λf 及びλc の輪郭曲線フィルタを順次適用することによって得られる輪郭曲線。λf 輪郭曲線フィルタによって長波長成分を遮断し,λc 輪郭曲線フィルタによって短波長成分を遮断する。この輪郭曲線は,意図的に修正された曲線である。【JIS B0601「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」】
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・表面物性 ,
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【漆】( japanese lacquer, lacquer, japan )
ウルシ (漆)科の落葉樹の樹皮と木質部の間から分泌される乳白色の粘りけのある液体を生漆(きうるし)という。生漆に油・着色剤などを加えて製造した天然樹脂塗料を漆という。
漆の主成分はフェノール誘導体のウルシオール(urushiol)で,酸化酵素ラッカーゼの作用により, 25~30℃,相対湿度 75~85%の条件でウルシオールの酸化重合により乾燥(硬化)する。
ウルシオールは,化学式 C21H34O2 で表される炭素原子数 15の不飽和の側鎖のついた二価フェノールで,側鎖の構造により 5種のものが知られている。
関連ページ : 防食基礎:有機高分子材料 , 塗料概論:塗料のはじまり ,
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【ウルシオール】( urushiol )
漆の主成分で,化学式 C21H34O2 で表される炭素原子数 15の不飽和の側鎖のついた二価フェノールで,側鎖の構造により 5種のものが知られている。⇒ 漆(ウルシ)
関連ページ : 塗料概論:塗料のはじまり ,
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【ウレア結合】( urea bond )
⇒ ユリア結合
関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂とは ,
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【ウレタン】( urethane )
19世紀に,フランスの有機化学者デュマ(Jean Baptiste André Dumas;1800年~1884年)が,尿素(urea)とエタノール(ethanol)のエステル反応で得られるエカルバミン酸エチル( H2NC(O)OC2H5 ;ethyl carbamate)をウレタン(urethane)と命名したといわれている。
カルバミン酸( NH2C(O)OH )のエステル(一般式 H2NC(O)OR )およびその置換体(一般式 R'‐NH‐C(O)O‐R )の総称をカルバメート(carbamate)やカルバマートというが,俗称で広義のウレタンともいう。
なお,デュマの弟子のウルツ(Charles Adolphe Wurtz;1817年~1884年)は,エチレンイソシアネート( CH3CH2NCO )とエタノール( H3CH2OH )とからウレタン( C2H5‐NH‐C(O)O‐C2H5)が得られる反応を初めて見出1)し,これがポリウレタン化学の始まりとされている。
1);疋田淳・渡辺政美:「ポリウレタン樹脂塗料」,色材 49[8],p.509(1974)
関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂とは ,
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【ウレタン結合】( urethane bond )
ウレタン結合( –NH・CO・O– )は,イソシアネート基(isocyanate :−N=C=O )と水酸基( −OH )の付加重合により生成される。従って,付加重合で重合体が生成するためには,複数のイソシアネート基を持つ単量体(通常はジイソシアネート)と複数の水酸基を持つ単量体(ポリオール,通常はジオール)により構成される。
関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂とは ,
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【上塗り】( over coating, finishing )
下地塗膜の上にまたは直接素地に上塗り用の塗料を塗る行為。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料各論:塗料分類(工程別分類) , 塗料評価:上塗り塗料 ,
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【上塗り適合性(中塗り)】( overcoatability )
ある塗料の塗膜の上に,決められた塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な組合せ塗膜層が得られるための,塗り重ねられる下地塗膜の性状。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 塗料評価:上塗り適合性 , 塗膜の評価:品質試験 ,
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【上塗り塗料】( top coat, topcoat, finishing coat )
塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするとき,上塗りに用いる塗料。
備考:1.ISO用語規格では,“top coat”と“finishing coat”とは同義語で,“塗装系の最終の塗料(coat)”をいう。
2.CEOでは,“topcoat”は“通常プライマー,アンダーコート,又は素地に直接塗装される塗装系の最終塗膜に用いる塗料”をいう。
3.上塗りは,1回又はそれ以上塗られることもある。また,ある種の系では,上塗りが素地に直接1回又はそれ以上塗装されることもある。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 塗料概論:塗料の分類(工程) , 塗料各論:塗料分類(工程別分類) , 塗料評価:上塗り塗料のJIS品質項目 , 塗膜の評価:上塗り塗料 , 塗膜の評価:促進耐候性 , 塗膜の評価:耐候性 , 塗膜の試験規格:白亜化の等級 , 防食塗装系:防食塗装に用いる塗料 , 防食基礎:ブラスト処理 ,
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