社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,ヤ行 “よ”の用語を よあ~ようせ, ようそ~よん に分けて紹介する。
用語一覧 よあ~ようせ
【 陽イオン 】 ,
【 溶解度 】 ,
【 溶解度積 】 ,
【 容器の中での状態 】 ,
【 要求性能 】 ,
【 陽極 】 ,
【 陽極酸化被膜(アルミニウム及びアルミニウム合金) 】 ,
【 陽極防食法 】 ,
【 溶剤 】 ,
【 溶剤形塗料 】 ,
【 溶射 】 ,
【 養生 】 ,
【 溶接(航空宇宙用スポット溶接及びシーム溶接作業) 】 ,
【 溶接管(アルミニウム及びアルミニウム合金) 】 ,
【 溶接構造用圧延鋼 】 ,
【 溶接構造用遠心力鋳鋼管 】 ,
【 溶接構造用高降伏点鋼板 】 ,
【 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼 】 ,
【 溶接構造用鋳鋼 】 ,
【 溶接接合 】 ,
【 溶接継手 】 ,
【 溶銑 】 ,
【 溶線式フレーム溶射 】
用語の概要と関連ページ
【陽イオン】( cation, positive ion )
カチオン(cation)ともいい,正の電荷を帯びたイオンをいう。イオン(ion)とは,原子や原子団(分子)が電子を得たり失うことで電荷を帯びた状態をいう。
歴史的には,ファラディーが電気分解の実験で,陽極(アノード:anode )に向かう粒子と陰極(カソード:cathode )に向かう粒子を発見し,これらの粒子をイオン(ion)と名付け,陽極に向かう粒子を陰イオン(anion :アニオン),陰極に向かう粒子を陽イオン(cation :カチオン) と呼んだのが始まりである。
関連ページ : 金属概論:金属とは , 鋼の腐食:水質の影響 , 鋼の腐食:水質(陽イオン)の影響 , 鋼の腐食:海水の特徴 ,
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【溶解度】( solubility )
溶質が一定量の溶媒に溶ける限界の量(飽和溶液の濃度)である。温度と溶解度の関係を図示したものを溶解度曲線という。
固体の溶解度は,一定温度( 20℃での測定例が多い)で,溶媒 100 g に対する溶質の質量( g )や飽和溶液 100 g に溶けている溶質の質量( g )などで表す。固体の溶解度は,温度で変化し,多くの溶質は温度の上昇で溶解度も上昇するが,溶解度の減少する物質もある。
関連ページ : 腐食基礎:参考(腐食反応) , 鋼の腐食:水質(温度)の影響 , 鋼の腐食:酸性雨の現状 ,
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【溶解度積】( solubility product )
濃度溶解度積,溶解度定数ともいわれ,難溶性の塩について,飽和溶液中での陽イオン濃度と陰イオン濃度の積で表す。溶解度積は,温度で決まる物質固有の定数で,イオン濃度の積が溶解度積を超えたときに沈殿し始める。
関連ページ : 腐食基礎:参考(腐食反応) , 腐食基礎:腐食反応 ,
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【容器の中での状態】( condition in container )
塗料を容器に入れて貯蔵した後の状態。顔料を含む塗料では,かき混ぜるか練り混ぜるかしてみて,一様な状態になればよいとする。【JIS K5500「塗料用語」】
JIS K 5600-1-1 「塗料成分試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般」参照。
関連ページ : 塗料評価:はじめに , 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 塗料評価:容器の中での状態 , 塗膜の評価:品質試験 ,
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【要求性能】( performance requirement, required performance )
目的および機能に応じて,構造物に求められる性能。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
関連ページ : 防食設計:防食設計の前提 , 防食設計:防食設計時の要点 ,
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【陽極】( positive pole )
電極の名称であるが,電池と電気分解では定義が異なる。
a ) 電気分解において電気活性物質から電子を受け取る電極。アノード( anode )となる。
b ) 電池の放電において電池活物質に電子を与える電極。正極,カソード( cathode )となる。
関連ページ : 腐食基礎:腐食と電気化学 , 腐食基礎:腐食開始と継続 ,
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【陽極酸化被膜(アルミニウム及びアルミニウム合金)】( Anodic oxide coatings on aluminium and aluminium alloys )
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜について,JIS H 8601「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜:Anodic oxide coatings on aluminium and aluminium alloys」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 ,
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【陽極防食法】( anodic protection )
アノード防食ともいい,陽極防食ともいい,電極電位を上げて不働態領域に保つことで目的を達成する電気化学的防食法をいう。
関連ページ : 防食基礎:概要 , 防食基礎:電気防食 , 防食基礎:陽極防食(排流法) , 塗料各論:ジンクリッチ系塗料 ,
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【溶剤】( solvent )
バインダーを十分に溶解し,所定の乾燥条件で揮散する単一又は混合された液体。狭義では,バインダーの溶媒をいい,ほかに助溶剤(※1),希釈剤(※2)がある。本来は,蒸発速度の大小によって区分するが,沸点の高低によって,高沸点溶剤・中沸点溶剤・低沸点溶剤に分けることもある。
参考追記:(※1)助溶剤とは,それ自体は塗膜形成要素を溶解する性質はないが,溶剤に加えると溶剤単独のときより溶解力が大きくなる性質のある蒸発性の液体です。ニトロセルロースラッカーではアルコール類が助溶剤として使われます。
(※2)希釈剤とは,それ自体溶解力のある溶剤ではないが,溶剤と併用して悪影響なく使用できる,単一又は混合された揮発性液体のことです。
塗料で使用例の多い溶剤には,水,石油系混合溶剤,ミネラルスピリット,トルエン,キシレン,エタノール,ブタノール,イソプルピルアルコール(IPA),ブチルセロソルブ,ケトン,シクロヘキサン,サクサンブチル,酢酸エチルなどがある。【JIS K5500「塗料用語」】
関連ページ : 防食基礎:塗料の構成 , 塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) , 塗料概論:塗料の分類(材料) , 塗料概論:塗料構成材料 , 塗料概論:溶剤類 ,
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【溶剤形塗料】( solvent-based paint )
溶媒として,水以外の溶剤(有機溶剤)を用いる塗料。水を溶剤とする塗料は,水性塗料といわれる。
関連ページ : 塗料概論:分類(形態,機能) ,
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【溶射】( Thermal spraying-Zinc, aluminium and their alloys )
燃焼又は電気エネルギーを用いて溶射材料を溶融又はそれに近い状態にした粒子を基材に吹き付けて被膜を形成すること。 【JIS H8200「溶射用語」】
燃焼又は電気エネルギーを用いて溶射材料を加熱し,溶融又はそれに近い状態にした粒子を素地に吹き付けることによる皮膜の形成。 【JIS H0201「アルミニウム表面処理用語」】
ブラスト法で適度な粗度に素地調整した鋼材表面に,溶融した亜鉛や亜鉛-アルミニウム合金などを吹き付けて,鉄鋼の防食目的で施した亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射皮膜については,JIS H 8300 「亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射:Thermal spraying-Zinc, aluminium and their alloys」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 , 防食設計:防食法の概要 , 防食基礎:環境遮断 , 防食基礎:金属被覆(分類) , 防食基礎:金属溶射 , 防食基礎:溶射方式 , 防食基礎:溶射材料と手順 , 防食基礎:溶射皮膜の品質 , 防食基礎:腐食試験・試験片準備 ,
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【養生】( masking, curing, conditioning )
日本語の養生(ようじょう)には多数の意味がある。一般的には次の二つに大別される。
第一に,日常生活の中で広く用いられる生を養うことを意味する養生である。すなわち,身体の状態を整えること,健康を増進すること,病気の自然治癒をうながすことなどを指す養生(hygiene,take care of one's health)で,摂生(せっせい;hygiene,health maintenance),保養(recuperation,preservation of one's health)などともいわれる。
第二に,工学分野で用いられる養生がある。工学分野では,先に完成した部分を周辺物からの汚損や傷から保護する養生(masking),コンクリート施工に於けるセメントの硬化反応や有機化合物の硬化反応などが十分に進むように必要な温度や組成を保つ作業全体を意味する養生(curing,cure)が用いられる。
塗料などの化学分野では,試験前の試料及び試験片を養生雰囲気に指定期間保持することによって,その温度及び湿度を規定条件に合わせるように全体として設計された操作を養生(conditioning)という。
塗料,及びその原材料を養生及び試験する際,一般的に使用する温度及び相対湿度の条件については,JIS K 5600-1-6「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」 (Testing methods for paints−Part 1 : General rule−Section 6 : Temperatures and humidities for conditioning and testing)に規定されている。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・試験片準備 , 塗装概論:塗り付け方法 , 塗料評価:試験準備 ,
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【溶接(航空宇宙用スポット溶接及びシーム溶接作業)】( Resistance spot and seam welding process for aerospace use )
航空宇宙用金属とその合金の抵抗溶接のうち,スポット溶接及びシーム溶接作業に関する要求事項について,JIS W 2018「航空宇宙用スポット溶接及びシーム溶接作業:Resistance spot and seam welding process for aerospace use」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 ,
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【溶接管(アルミニウム及びアルミニウム合金) 】( Aluminium and Aluminium Alloy Welded Pipes and Tubes )
アルミニウム及びアルミニウム合金条並びにアルミニウム合金ブレージングシートを高周波誘導加熱溶接したアルミニウム及びアルミニウム合金の溶接管並びにアルミニウム及びアルミニウム合金板をイナートガスアーク溶接又はこれと同等な溶接方法によって溶接したアルミニウム及びアルミニウム合金の溶接管について,JIS H 4090「アルミニウム及びアルミニウム合金溶接管:Aluminium and Aluminium Alloy Welded Pipes and Tubes」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 ,
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【溶接構造用圧延鋼】( Rolled steels for welded structure )
SM材と記され,橋梁,船舶,車両,石油貯槽,容器及びその他の溶接構造物に用いる熱間圧延鋼材及び熱間押出形鋼であって,特に溶接性の優れたものをいい,品質規格については,JIS G 3106「溶接構造用圧延鋼材:Rolled steels for welded structure」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼(分類) , 金属概論:鉄鋼製品JIS , 金属概論:溶接構造用圧延鋼 , 鋼の腐食:鋼材の変遷 , 鋼の腐食:鋼材の選定 , 防食塗装系:鋼橋の構造例 ,
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【溶接構造用遠心力鋳鋼管】( Centrifugally cast steel pipes for welded structure )
SCW材と記され,圧延鋼材,鍛鋼品又は他の鋳鋼品との溶接構造に用いる特に溶接性の優れた,管の厚さ 8mm以上 150mm以下の溶接構造用遠心力鋳鋼管(鋳鋼管),品質などは JIS5201「溶接構造用遠心力鋳鋼管:Centrifugally cast steel pipes for welded structure」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鋳鉄 ,
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【溶接構造用高降伏点鋼板】( High yield strength steel plates for welded structure )
SHY材と記され,橋梁,圧力容器,高圧設備,その他の構造物に使用する鋼板で溶接性がよく,引張強さが 780 N/mm2,耐力が 685 N/mm2級の熱間圧延鋼板で,品質については,JIS G 3128「溶接構造用高降伏点鋼板:High yield strength steel plates for welded structure」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼製品JIS ,
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【溶接構造用耐候性熱間圧延鋼】( Hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure )
SMA材と記され,橋梁,建築,その他の構造物に用いる,溶接性を考慮した耐候性熱間圧延鋼材をいう,品質については,JIS G 3114「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材:Hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼製品JIS , 金属概論:耐候性鋼 , 鋼の腐食:鋼材の変遷 , 鋼の腐食:耐候性鋼の適用 , 防食塗装系:鋼橋の構造例 , 防食塗装系:鉄道:塗替え劣化耐候性鋼用 ,
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【溶接構造用鋳鋼】( Steel castings for welded structure )
SCW材と記され,圧延鋼材,鋳鋼品又は他の鋳鋼品との溶接構造に用いるもので,特に溶接性に優れた鋳鋼品,品質などは JIS G 5102「溶接構造用鋳鋼品:Steel castings for welded structure」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鋳鉄 ,
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【溶接接合】( welding )
溶接には圧接,融接,ろう接があるが,一般には融接のことをいう。圧接とは,接合部を加熱して柔軟にし,圧力を加えて接合させる。鉄筋の継手にも使われる。融接とは,ガスまたはアークなどで接合部を溶融して接合させる。鋼構造など一般的に使われる。ろう接とは,融点の低い金属を溶融添加して接合させる。はんだ付け,ろう付けに用いられる。
関連ページ : 鋼橋製作:接合・溶接 , 鋼の腐食:鋼材の変遷 , 鋼の腐食:鋼材の選定 ,
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【溶接継手】( welded joint )
溶接接合によって継がれた部材の継手
関連ページ : 鋼橋製作:溶接継手 ,
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【溶銑】( molten iron )
溶けた銑鉄,銑鉄を加熱して溶かすこと。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼の分類 ,
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【溶線式フレーム溶射】( wire flame spraying )
線状の溶射材料を用いて行うフレーム溶射。 【JIS H8200「溶射用語」】
線状の溶射材料を連続的に送給しながらガス炎で溶融し,さらに二次的に流す圧縮空気流によって細粒化した溶滴を加速して被覆対象物に衝突堆積させて皮膜とする溶射法.炭素鋼,アルミニウム,亜鉛などの溶射に利用される。
線材にすることができないセラミックなどもセラミック充填プラスチックチューブ(cored wire)にすることによって溶射可能になる。【日本溶射学会・溶射用語集より】
⇒ フレーム溶射
関連ページ : 防食基礎:金属溶射 , 防食基礎:溶射方式