社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,ラ行 “ら”の用語を紹介する。

 用語一覧 

ラーメン橋 】  , 【 ライニング 】  , 【 ライニング鋼管 】  , 【 ライフサイクル 】  , 【 ライフサイクルコスト 】  , 【 落錘衝撃試験 】  , 【 ラジオメータ 】  , 【 らせん転位 】  ,

ラッカー 】  , 【 ラッカーエナメル 】  , 【 ラッカー系下地塗料 】  , 【 ラッカーサーフェーサー 】  , 【 ラッカーシンナー 】  , 【 落橋防止装置 】  , 【 ラテックス 】  ,

ラマン分光法 】  , 【 ランガー橋 】  , 【 ランゲリア指数 】  , 【 乱流

 用語の概要と関連ページ


 【ラーメン橋】( rigid-frame bridge )
 骨組構造のうちで,部材間が剛結されているものをラーメン構造といい,主構造にラーメン構造を用いた橋梁をラーメン橋いう。門形ラーメン橋,頬杖形ラーメン橋,フィーレンデール橋などがある。
 関連ページ : 鋼橋構造:ラーメン橋 ,  防食塗装系:鋼橋の構造例 ,  
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 【ライニング】( lining )
 一般には,物体の表面や内面に,付着できる物質で比較的厚く覆う表面処理法をいう。用いられる材料には,有機高分子材料(ポリエチレン,塩化ビニル,ふっ素樹脂,天然ゴム,合成ゴムなど),有機複合材料(FRP),耐食金属(鉛,ステンレス鋼,チタンなど),無機質材料(セメント,モルタル,ガラス,セラミック,黒鉛)などがある。
 金属の表面を防食するため,その表面に,他の複合材料を比較的厚く被覆すること。金属・無機物質などを溶射,焼き付け,はり合わせなどで被覆する無機質ライニングと,有機物質を流動浸せき,溶射,塗布,はり合わせなどで被覆する有機質ライニングとがある。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 関連ページ : 防食設計:防食法の概要 ,  防食基礎:環境遮断 ,  防食基礎:有機ライニングとは ,  防食基礎:有機高分子材料 ,  防食基礎:有機ライニングの要求性能 ,  防食基礎:有機ライニング鋼管 ,  防食基礎:ライニング方法 ,  防食塗装系:水道鋼管の防食 ,  防食基礎:有機ライニング鋼管 ,  
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 【ライニング鋼管】( lining steel pipe )
 高い耐食性が求められる上・下水道,化学工場,建築物などの露出配管や地中埋設配管として用いられる内・外面にライニング処理した鋼管をいう。ライニングの例として,JIS G3443 シリーズの水輸送用塗覆装鋼管が参考になる。⇒ 水輸送用塗覆装鋼管
 関連ページ : 防食基礎:有機ライニング鋼管 ,  防食塗装系:水道鋼管の防食 ,  
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 【ライフサイクル】( life cycle )
 原材料の取得又は天然資源の産出から,最終処分までを含む,連続的でかつ相互に関連する製品(又はサービス)システムの段階群。注記;ライフサイクルの段階には,原材料の取得,設計,生産,輸送又は配送(提供),使用,使用後の処理及び最終処分が含まれる。【JIS Q14001「環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引」】
 関連ページ : 防食設計:防食設計の前提 ,  防食塗装系:鋼橋の防食設計 ,  
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 【ライフサイクルコスト】( life cycle cost )
 生涯費用ともいい,英語の頭文字からLCCと略される。この費用は,企画・設計から調達・製造までの初期費用(イニシャルコスト;initial cost),使用し続けるために必要な維持費用(ランニングコスト;running cost),解体・廃棄物処理(waste management)などの廃棄に関わる費用を総合して考えたもの。
 関連ページ : 防食塗装系:鋼橋の防食設計 ,  
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 【落錘衝撃試験】( falling weight impact test, drop weight test )
 読み「らくすいしょうげきしけん」,試料におもり(錘)を自由落下(落錘)させ,耐衝撃性を評価する試験。⇒ 例えば,JIS K 5600-5-3「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」では,先端が丸い円柱形のおもりを外筒に沿って落下させ,塗膜に対する曲げ及び伸びの抵抗性を評価する落体式 (falling-weight method),素地の変形が極めて少ない場合に用いられ,塗膜の表面に球体を激突させ,そのときの塗膜の衝撃抵抗性で,割れ・はがれの有無を評価する落球式 (falling ball method) ,撃ち型と受け台が落球式と異なり,両者間のすき間がないので,エッジ部の衝撃と変形を同時に受ける抵抗性を評価するデュポン式 (DuPont method) が規定されている。
 他には,JIS K 7124-1「プラスチックフィルム及びシート−自由落下のダート法による衝撃試験方法−第1部:ステアケース法」,JIS K 7211-1「プラスチック−硬質プラスチックのパンクチャー衝撃試験方法−第1部:非計装化衝撃試験」などが参考になる。
 関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 ,  塗料評価:耐衝撃性 ,  塗膜の評価:機械的性質とは ,  
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 【ラジオメータ】( radiometer )
 放射計(radiometer)ともいわれ,光(電磁放射)のエネルギー,照度などを測定する装置。放射による素子の温度上昇(熱効果)を用いるもの,光電管や半導体素子などの光電効果を利用するものがある。
 関連ページ : 塗膜の試験規格:屋外暴露耐候性 ,  
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 【らせん転位】( screw dislocation )
 転位線に垂直な原子面は転位線のまわりでらせん状に配列。
 関連ページ : 腐食基礎:金属構造欠陥 ,  
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 【ラッカー】( lacquer )
 揮発性の高い溶媒(ナフサ,キシレン,トルエン,ケトンなど)に樹脂を溶かしたものを指す。溶剤の揮発で乾燥し,硬くて耐久性の高い塗膜を得られる。
 関連ページ : 塗料概論:塗料のはじまり ,  塗料概論:塗料工業の黎明期 ,  塗料概論:塗料の分類(工程) ,  塗料概論:塗料形成要素(展色材) ,  塗料各論:塗料分類(形態別分類) ,  
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 【ラッカーエナメル】( lacquer enamel )
 金属面・木材面の有色不透明な塗装に適する液状・揮発乾燥性の塗料で,セルロース誘導体を塗膜形成要素とし,自然乾燥で塗膜を形成する。セルロース誘導体,樹脂,可塑剤などを溶剤に溶かして作ったビヒクルに顔料を分散して作る。JIS K 55311「ニトロセルロースラッカー」参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料各論:塗料分類(形態別分類) ,  
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 【ラッカー系下地塗料】( lacquer undercoat )
 工業用ニトロセルロース・樹脂・可塑剤などを溶剤に溶かしたビヒクルに顔料を分散させた不透明・揮発乾燥性の液状又はペースト状の塗料で,工業用ニトロセルロースを主な塗膜形成要素とし,自然乾燥で短時間に塗膜を形成するもの。ラッカーエナメル塗装の際の下塗り又は中塗りに用いる。【JIS K55352003 「ラッカー系下地塗料」】
 ラッカー系下地塗料には,ホルムアルデヒド系防腐剤,ユリア系樹脂,フェノール系樹脂及びメラミン系樹脂のいずれをも含まない。
 一般には,金属の地肌塗りに用いるラッカープライマー, 下地修正塗りに用いるラッカーパテ,中塗りに用いるラッカーサーフェーサーに分けられる。
 関連ページ : 塗料評価:プライマーとは ,  
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 【ラッカーサーフェーサー】( lacquer surfacer )
 ラッカーエナメル塗装の際の中塗りに適する液状・不透明・揮発乾燥性の塗料で,硝酸セルロースを主な塗膜形成要素とし,自然乾燥で短時間に研磨しやすい塗膜を形成する。硝酸セルロース,樹脂,可塑剤などを溶剤に溶かして作ったビヒクルに,顔料を分散して作る。JIS K 5535 参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料評価:中塗り塗料 ,  
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 【ラッカーシンナー】( lacquer thinner )
 ラッカー類の希釈に適する透明・揮発性の液体で,硝酸セルロース・樹脂の溶剤に希釈剤(※1)を混合して作る。
 参考追記:(※1)希釈剤とは,それ自体溶解力のある溶剤ではないが,溶剤と併用して悪影響なく使用できる,単一又は混合された揮発性液体のこと。JIS K 5538「ラッカー系シンナー」参照【JIS K5500「塗料用語」】
 ラッカーシンナーは,溶解力が高く,乾燥性が早い芳香族炭化水素系(トルエン,キシレンなど),エステル(酢酸エチル,酢酸ブチルなど),ケトン(アセトン,MEKなど)を主成分とし,いわゆる強溶剤に分類される。
 関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,  
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 【落橋防止装置】( anti-bridge-collapse device )
 偶発作用による桁の橋台く体,橋脚く体等から逸脱を防止する装置。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
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 【ラテックス】( latex )
 ⇒ 合成樹脂エマルション
 関連ページ : 塗料各論:塗料分類(形態別分類) ,  
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 【ラマン分光法】( Raman scattering spectroscopy, Raman spectroscopy )
 a) ラマン散乱を分光することによって,目的物質の遷移(主に分子振動準位間の遷移)を観測する手法。 b) ラマン散乱の分光で得られる情報と同等の情報(選択律は異なる場合がある。)を得ることが可能なハイパーラマン分光法,コヒーレント反ストークスラマン分光法,逆ラマン分光法,誘導ラマン分光法などの非線形分光法。【JIS K 0211「分析化学用語(基礎部門)」】
 ラマン(散乱)分光法とは,ラマン散乱光を分光測定する方法。【JIS K 0212「分析化学用語(光学部門)」】
 ラマン散乱(Raman scattering)とは,物質に光を照射したときに,照射光と振動数の異なった散乱光とが生じる現象。【JIS K 0212「分析化学用語(光学部門)」】
 ラマン散乱光は,物質を構成する分子の振動などの影響を受けるため,化合物を特定できる官能基の種類と量に関する情報が得られる。分光法には,ハイパーラマン散乱分光法(hyper-Raman scattering spectroscopy),非線形ラマン分光法(nonlinear Raman spectroscopy),チップ増強ラマン散乱分光法(tip-enhanced Raman scattering spectroscopy),顕微ラマン分光法(Raman microscopy),顕微レーザーラマン分光法(laser Raman microscopy)などがある。
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・化学分析 ,  
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 【ランガー橋】( Langer bridge )
 アーチリブに軸方向圧縮力だけを受け持たせ,補剛桁または補剛トラスで曲げモーメント,せん断力を受け持たせる構造の橋梁をいう。
 関連ページ : 鋼橋構造:アーチ橋 ,  防食塗装系:鋼橋の構造例 ,  
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 【ランゲリア指数】( Langelier's index )
 給水系における水の腐食性の指標となる水中の炭酸カルシウム(CaCO3)の析出傾向を示す数値。
 水の実際の pH と水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態にあるときのpH(pHs)の差から求める。
 ランゲリア指数が小さいほど炭酸カルシウムは溶解しやすく,腐食性が強いことを示す。
 日本の水道では,「水質管理目標設定項目」に,基準値は「-1程度以上とし極力0に近づける」とされている。
 関連ページ : 鋼の腐食:水質(陽イオン)の影響 ,  
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 【乱流】( turbulent flow )
 流体の各部分の速度や圧力などが不規則に変動(乱れ)し,混合しながら流れる流れをいう。
 乱れを含まない流れは層流(laminar flow)といわれる。レイノルズ数が低い場合には,流れは安定し層流状態を保つ。
 関連ページ : 腐食基礎:流速の影響 ,  鋼の腐食:エロージョン・コロージョン