社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,サ行 “し”の用語を  しあ~しけ,  しこ~しち,  しつ~しほ,  しま~しゆ,  しよ,  しら~しん  に分けて紹介する。

 用語一覧 しよ

ショア硬さ 】  , 【 ジョイントコート 】  , 【 常温乾燥形塗料 】  , 【 常温貯蔵安定性 】  , 【 蒸気圧 】  , 【 蒸気機関 】  ,

衝撃試験 】  , 【 衝撃接着強さ 】  , 【 衝撃強さ 】  , 【 上弦材 】  , 【 自溶合金溶射 】  , 【 照合電極 】  , 【 照査 】  , 【 詳細調査 】  ,

常磁性 】  , 【 上水 】  , 【 浄水場 】  , 【 上水道 】  , 【 使用性 】  , 【 使用制限 】  , 【 蒸着 】  , 【 蒸発霧 】  , 【 蒸発熱 】  ,

消波ブロック 】  , 【 床版 】  , 【 上部構造物 】  , 【 常用光源(色比較用の) 】  , 【 上路橋 】  , 【 上路トラス 】  , 【 初回検査 】  ,

触針式表面粗さ試験機 】  , 【 触針走査式膜厚測定法 】  , 【 除湿 】  , 【 除錆(じょせい) 】  , 【 除せい(錆)度 】  ,

ショット 】  , 【 ショットピーニング 】  , 【 ショットブラスト 】  , 【 ショップ鋼板 】  , 【 ショッププライマ― 】  , 【 助溶剤(じょようざい)

 用語の概要と関連ページ


 【ショア硬さ】( shore hardness )
 主に金属材料の反発硬さを表わす量の一つで,記号 HSで表される。先端にダイヤモンドチップを埋込んだ鋼製のハンマを一定の高さから試料表面に落下させ,ハンマのはね上がり高さを求めるショア硬さ試験機を用いる。はね上がりの高さから算出される値(エネルギー)を硬さの目安とする。⇒ 硬さ,反発硬さ
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・表面物性 ,  塗膜の評価:硬さ ,  
 用語一覧へ

 【ジョイントコート】( joint coat )
 JIS G 3443-3「水輸送用塗覆装鋼管−第3部:長寿命形外面プラスチック被覆」では,ジョイントコートを“現場溶接部外面に施す熱収縮被覆材料の総称。”と定義している。ジョイントコートには,熱収縮チューブ及び熱収縮シートがある。
 熱収縮チューブとは,酸化防止剤を含むポリエチレンを成形,架橋,延伸し,チューブ状にした熱収縮系基材に,合成ゴムを主成分とし,その他粘着付与剤,軟化剤,充塡剤などからなる粘着材を均一に塗布したもの。
 熱収縮シートとは,酸化防止剤を含むポリエチレンを成形,架橋,延伸し,シート状にした熱収縮系基材に,合成ゴムを主成分とし,その他粘着付与剤,軟化剤,充塡剤などからなる粘着材を均一に塗布したもの。
 関連ページ : 防食基礎:ライニング鋼管の設計施工 ,  
 用語一覧へ

 【常温乾燥形塗料】( )
 塗膜の乾燥条件として,自然乾燥で塗膜が形成される塗料をいう場合の一般的な名称として用いられる。⇒ 乾燥,自然乾燥
 関連ページ : 防食基礎:構造物塗装 ,  塗料概論:塗料の分類(工程) ,  
 用語一覧へ

 【常温貯蔵安定性】( storage stability at room temperature )
 常温で製品規格に規定する期間貯蔵した後,使用に適する状態を保つ性質。【JIS K 5600-2-7「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第7節:貯蔵安定性」】
 関連ページ : 塗料評価:はじめに ,  
 用語一覧へ

 【蒸気圧】( vapor pressure )
 気象学では,空気中の水蒸気分圧に対して用いられ,気液平衡の時の水蒸気分圧は飽和蒸気圧や平衡蒸気圧という。物理学一般では,蒸気圧を気液平衡の場合の平衡蒸気圧を指すことが多い。⇒ 平衡蒸気圧(へいこうじょうきあつ)
 関連ページ : 腐食基礎:清浄表面の濡れ ,  鋼の腐食:相対湿度とは ,  鋼の腐食:絶対湿度とは ,  鋼の腐食:水分子吸着 ,  
 用語一覧へ

 【蒸気機関】( steam engine )
 蒸気機関車(steam locomotiv)で知られる蒸気機関は,ボイラーから送られた水蒸気の膨張および凝縮を利用して往復運動を起こし動力を得る熱機関。イギリスの発明家トーマス・ニューコメンが1712年に実用機関を製作した。その後,スコットランドの数学者ジェームズ・ワットが高効率の蒸気機関を1769年に開発したことで普及した。
 関連ページ : 社会資本:鉄道の変遷 ,  
 用語一覧へ

 【衝撃試験】( impact test )
 試験片に物体が激突したときの衝撃及びそれによって生じる試験板の変形に対する塗膜の抵抗性を調べる試験。先端が球状の おもりを塗面に落として,塗膜に割れ・はがれができるかどう かで判定する。【JIS K5500「塗料用語」】
 材料の靭性又は脆性を調べるため,試験片に衝撃荷重を加えて破断し,要したエネルギーの大小,破断の様相,変形挙動,き裂の進展挙動などによって評価する試験。衝撃荷重を加える方法によって,衝撃引張,衝撃圧縮,衝撃曲げ,衝撃ねじりなどの各種試験方法がある。また,用いる試験機によって,シャルピー衝撃試験,Iゾット衝撃試験などと区別される。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 ,  防食基礎:腐食試験・機械特性 ,  塗料評価:耐衝撃性 ,  塗膜の評価:機械的性質とは ,  
 用語一覧へ

 【衝撃接着強さ】( impact strength )
 接着面に衝撃応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 ,  塗料評価:付着性 ,  
 用語一覧へ

 【衝撃強さ】( impact strength )
 衝撃的な荷重で材料を破壊するために要するエネルギーの値。耐衝撃性および靱性(じんせい)の指標として使われる。
 プラスチックの耐衝撃性評価には,アイゾット衝撃試験(Izod impact strength test),シャルピー衝撃試験(Charpy impact test),落錘衝撃試験などが用いられ,それぞれ衝撃的な荷重の加え方および 試験片の大きさ形状などが異なる。
 関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 ,  防食基礎:腐食試験・表面物性 ,  塗料評価:耐衝撃性 ,  塗膜の評価:耐衝撃性 ,  
 用語一覧へ

 【上弦材】( upper chord member )
 トラスの上下にある部材を弦材といい,そのうち上側の弦材のこと。単純支持トラスでは圧縮材となる。
 関連ページ : 鋼橋構造:トラス橋・部材 ,  
 用語一覧へ

 【自溶合金溶射】( self-fluxing alloy spraying )
 溶射材料に自溶合金を用いて行う溶射(JIS H 8303参照)。主として鉄鋼材料に対し耐摩耗性,耐食性,耐熱性などを付与する目的で用いる。【JIS H8200「溶射用語」】
 自溶合金(self fluxing alloy)とは,ニッケル(Ni)基,ニッケル-クロム(Ni-Cr)基あるいはコバルト(Co)基の合金にほう素(B)とけい素(Si)を 1%から数%添加したもので,耐磨耗性,耐食性,耐高温酸化性などにすぐれている。
 溶射後,加熱再溶融処理(フュージング)を施すことによって,緻密で基材との密着力の高い皮膜を作ることができる。
 Bと Siの添加は合金の融点を下げフュージングを容易にすると同時に,皮膜中の酸化物を除去するフラックス(flux)成分として働く。このため,自溶合金と呼ばれている。
 フュージング後の皮膜に形成されたホウ化物は硬度が高く,耐磨耗性の向上に寄与する。また,溶融処理により皮膜が緻密化するので,耐腐食性も高く防食用途にも用いられる。【日本溶射学会・溶射用語集より】
 関連ページ : 防食基礎:金属溶射 ,  防食基礎:溶射方式 ,  
 用語一覧へ

 【照合電極】( reference electrode )
 参照電極,比較電極ともいい,作用電極又は指示電極と組み合わせて電位を測定又は制御するために基準とする電極。⇒ 基準電極
 関連ページ : 腐食基礎:酸化還元電位 ,  防食基礎:陽極防食(排流法) ,  
 用語一覧へ

 【照査】( check, checking )
 読み「しょうさ」,構造物が要求性能を満たしているか否かを,理論的あるいは経験的に確証のある解析や適切な供試体による実験等により判定する行為。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
 用語一覧へ

 【詳細調査】( detailed investigation, detailed examination )
 補修等の必要性の判定や補修等の方法を決定するに際して,損傷原因や損傷の程度をより詳細に把握するために,道路橋の点検で実施する調査をいう。(鉄道橋では,個別検査という。)
 関連ページ : 維持管理(道路):構造物点検 ,  防食塗装系:はじめに ,  
 用語一覧へ

 【常磁性】( paramagnetism )
 外部磁場を加えると,その方向に弱く磁化し,磁場を取り除くと元の状態に戻る磁性。
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  
 用語一覧へ

 【上水】( tap water, service water )
 主として飲料用に溝または管に通じた清水をいい,給水する設備を上水道という。⇒ 水道
 関連ページ : 鋼の腐食:淡水とは ,  
 用語一覧へ

 【浄水場】( water purification plant, water filtering plant )
 取水した水から不純物を沈殿・濾過し,最終段階で,塩素による消毒(旧式),塩を原料に製造した次亜塩素酸ナトリウムによる消毒,オゾンと生物活性炭を使った高度浄水処理(最新方式)などを行う施設。
 関連ページ : 社会資本:水道システム ,  
 用語一覧へ

 【上水道】( water supply )
 ⇒ 水道
 関連ページ : 社会資本:水道 ,  
 用語一覧へ

 【使用性】( employment )
 構造物の使用者が快適に構造物を使用するための性能,および周辺の人々が快適に生活するための性能。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
 用語一覧へ

 【使用制限】( usage restrictions, restriction on use )
 使用制限は,健全度 AA,A1,A2 と判定された場合の措置である。さらに,事故・災害等で実施される場合も多い。
 関連ページ : 維持管理(鉄道):健全度 ,  
 用語一覧へ

 【蒸着】( vapor deposition )
 金属や酸化物などを蒸発させ,蒸気を素材表面に付着させ,薄膜を形成する方法。蒸着には,物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)がある。
 関連ページ : 防食基礎:金属被覆(分類) ,  
 用語一覧へ

 【蒸発霧】( evaporation fog )
 蒸気霧ともいい,川,湖,海の水面が冷たい空気に覆われたときに暖かい水面から蒸発する水蒸気が冷えて発生する霧。
 関連ページ : 鋼の腐食:濡れについて ,  
 用語一覧へ

 【蒸発熱】( heat of evaporation )
 蒸発(evaporation)とは,液体が気体に変わる現象をいう。気化(vaporize)ともいい,熱を与え続けると,蒸発と共に液体の温度も上昇するが,ある温度に至ると熱を与えても温度の上昇が止まり,容器界面などからも激しく蒸発し始める。この温度を沸点(boiling point)という。蒸発するときに吸収するエネルギー(潜熱)が蒸発熱,又は気化熱(heat of vaporization)である。
 潜熱(latent heat)は,転移熱(heat of transition)といもいい,物質が温度を変えないで,相転移するために吸収または発生する熱をいう。すなわち,相転移が進行中の温度が一定のままとなる。例えば,融解熱,凝固熱,凝縮熱,蒸発熱,昇華熱などがある。
 関連ページ : 鋼の腐食:結露の発生 ,  塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  
 用語一覧へ

 【消波ブロック】( wave dissipating concrete block )
 読み「しょうはぶろっく」は,消波根固(ねがため)ブロック,波消しブロック(なみけしブロック)とも呼ばれる。一般的には,商標「テトラポッド」として広く知られ,水の勢いの制御,波消し,護岸を目的とし,海岸や河川などに設置されるコンクリートブロックである。
 代表的な製品として四脚ブロックの「テトラポッド」(tetrapod) がある。
 関連ページ : 鋼の腐食:海岸のしぶき ,  
 用語一覧へ

 【床版】( floor slab )
 読み「しょうばん」,橋の床を構成しているもの。【新版図説土木用語辞典】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
 用語一覧へ

 【上部構造物】( superstructure )
 一般にフーチング天端より上方の構造物で,橋台く体,橋脚く体,桁等の構造物の総称。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
 用語一覧へ

 【常用光源(色比較用の)】( daylightsimulator )
 物体色の色比較を行う場合に,実用的に標準イルミナント D65並びに補助標準イルミナント D50,D55及び D75の代用として用いられる相対分光分布をもつ人工光源。
 備考 その特性評価方法及びそれによる等級 A~Dの区分は,JIS Z 8720「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」附属書(常用光源の分光分布の評価方法)に定められている。 【JIS Z8105「色に関する用語」】
 関連ページ : 塗膜の評価:色の目視比較 ,  
 用語一覧へ

 【上路橋】( deck bridge )
 通路が主桁,主構,又はアーチの上方にある橋。
 交通の支障が少なく,見通しが良いなどの特徴がある。景観(デザイン)以外に,桁上空間に余裕がない場合に適用される。
 関連ページ : 防食塗装系:鋼橋の構造例 ,  
 用語一覧へ

 【上路トラス】( deck truss )
 通路が主構の上方にあるトラスをいう。下方にあるトラスを下路トラスという。
 関連ページ : 鋼橋構造:トラス橋 ,  防食塗装系:鋼橋の構造例 ,  
 用語一覧へ

 【初回検査】( prior inspection )
 構造物の初期状態の把握を目的に,新設工事,改築・取替を行った構造物の供用開始前に行う検査である。なお,大規模な補修・補強を実施した構造物についても必要に応じて実施する。初回検査の調査項目は,通常全般検査の調査項目に準じて行うが,必要に応じて調査項目を適宜設定する。
 関連ページ : 維持管理(鉄道):考え方 ,  
 用語一覧へ

 【触針式表面粗さ試験機】( contact-type surface roughness tester )
 表面上を触針が運動して表面の輪郭形状の偏差を測定し,パラメータを計算し,輪郭曲線を記録することができる測定機。【JIS B0651「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」】
 触針の先端が試料の表面に直接触れ,表面をなぞる時の触針の上下運動を記録するので,接触式表面粗さ計で測定される表面形状や粗さの精度は,触針の先端形状と接触圧に影響される。
 一般的に,触針にはサファイヤやダイヤモンドが使用され,その先端半径は通常約 10μm,5μm,2μmの物が用いられ,理想的な触針の形状は,球状先端をもつテーパ角度 60°又は 90°の円錐である。
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・表面物性 ,  
 用語一覧へ

 【触針走査式膜厚測定法】( measuring method of coating thickness by profilometer )
 基材の断面曲線と溶剤皮膜表面の断面曲線とから皮膜厚さを測定する方法(JIS H 8401溶射皮膜の厚さ試験方法 参照)。【JIS H8200「溶射用語」】
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  
 用語一覧へ

 【除湿】( dehumidification )
 湿気を取り除くこと。特に,室内などの閉鎖された空間について用いられる。
 関連ページ : 防食設計:防食法の概要 ,  防食基礎:水分除去 ,  
 用語一覧へ

 【除錆(じょせい)】( derusting )
 金属腐食で生じた錆(さび)を取り除くこと。
 関連ページ : 塗装概論:塗替え塗装管理(除せい) ,  
 用語一覧へ

 【除せい(錆)度】( preparation grade )
 清浄度の中で,ミルスケール及びさびの除去程度。【 JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」】
 ある(素地調整)方法によって得られる清浄仕上げの品質水準を説明する分類。
 JIS Z 0313-1998「素地調整用ブラスト処理面の試験及び評価方法」では,除せい度とそれに対する鋼材表面の状態を次のように定義している。
 Sa1  拡大鏡なしで,表面には,弱く付着したミルスケール,さび,塗膜,異物及び目に見える油,グリース,泥土がない。
 Sa2  拡大鏡なしで,表面には,ほとんどのミルスケール,さび,塗膜,異物及び目に見える油,グリース,泥土がない。残存する汚れのすべては,固着している。
 Sa2 1/2  拡大鏡なしで,表面には,目に見えるミルスケール,さび,塗膜,異物,油,グリース及び泥土がない。残存するすべての汚れは,そのこん跡が斑点又はすじ状のわずかな染みだけとなって認められる程度である。
 Sa3  拡大鏡なしで,表面には,目に見えるミルスケール,さび,塗膜,異物,油,グリース及び泥土がなく,均一な金属色を呈している。ブラストに先立って,厚いさび層,油,グリースや泥土は除去する。
 この規格は,ISO8501-1(Preparation of steel substrates before application of paints and related products -Visual assessment of surface cleanliness - Part 1 ; Rust grades and preparation grades of uncoated steel substrates and of steel substrates after overall removal of previous coatings. )に整合しており,判定はISO規格の写真集と比較して行うことになっている。
 一方,比較的使用例の多い米国の規格,SSPC (Steel Structures Painting Council): 「米国鋼構造物塗装協会で規格するブラスト仕上げ等級」では,除せい度の等級は,次のように規定している。
 White Metal Blast Cleaning(完全ブラスト処理:SP5)  全ての錆・ミルスケール・ 塗料その他異物を除去する。  ISO規格のSa3相当
 Near-White Blast Cleaning(準完全ブラスト処理:SP10)  全ての異物を完全に除去。極めて軽微なくもり・条痕,錆の染み・ミルスケール・酸化物等の軽微な残滓は容認。1平方インチ当たり95%以上は残滓がないこと。ISO規格のSa2 1/2相当
 Commercial Blast Cleaning(経済的ブラスト処理:SP6)  少なくとも1平方インチ当たり2/3は錆・ミルスケールの残滓がないこと。ISO規格のSa2相当
 Brush-off Blast Cleaning(スイープブラスト処理:SP7)  固く付着したミルスケール,錆及び塗膜の残滓を除き全ての異物を除去する。ISO規格のSa1相当。
 関連ページ : 鋼橋製作:素地調整 ,  防食基礎:素地調整概論 ,  防食基礎:さび度,除せい度 ,  防食基礎:腐食試験・試験片準備 ,  塗装概論:塗装技術(素地調整) ,  塗装概論:ブラスト処理 ,  塗装概論:新設時塗装管理(素地調整) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(素地調整) ,  塗膜の評価:耐塩水噴霧性 ,  防食塗装系:鋼橋の防食設計 ,  防食塗装系:新設時塗装方法 ,  防食塗装系:塗替え塗装 ,  
 用語一覧へ

 【ショット】( shot )
 使用前の状態で,りょう(稜)角,破砕面又は他の鋭い表面欠陥がなく,長径が短径の2倍以内の球形状の粒子。【 JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」】
 鋳鋼ショット(cast steel shot)
 関連ページ : 防食基礎:ブラスト処理 ,  塗装概論:研削材 ,  
 用語一覧へ

 【ショットピーニング】( shot peening )
 鋳鉄ショット,鋳鋼ショットなどの鋼球を遠心力又はその他の方法で吹き付ける方法。ショットブラストと同様な方法。この目的は,基材表面のショットを打ち付ける冷間加工によって表面の硬さを高め,疲労強度を増加させる。【JIS H8200「溶射用語」】
 関連ページ : 塗装概論:研削材 ,  
 用語一覧へ

 【ショットブラスト】( shot blast )
 鋳鉄ショット,鋳鋼ショットなどの鋼球を遠心力又はその他の方法で吹き付けて基材表面のスケール,さび,塗膜などを除去し,清浄にするブラスト処理。【JIS H8200「溶射用語」】
 金属製品の表面に鋼粒ショットを吹き付けて,清浄にする工程。ブラスト処理の項参照。【JIS K5500「塗料用語」】
 圧縮空気又は遠心力などで,ショット,カットワイヤなどを品物に吹き付けて行う表面処理。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 関連ページ : 鋼橋製作:工程 ,  鋼橋製作:素地調整 ,  防食基礎:素地調整概論 ,  
 用語一覧へ

 【ショップ鋼板】( shop sheet steel )
 鋼材表面には,熱間圧延工程で生成したミルスケールやその他工程での汚れなどが付着しているので,これらの除去と表面粗さ付与の目的でショットブラスト(一次素地調整,原板ブラストと呼ばれる)を行う。
 ブラスト処理の後,直ちに(3時間以内)プライマー(エッチングプライマー,又はジンクリッチプライマーが一般的)を塗りつけて橋梁製作メーカーに出荷される。この鋼板をショップ鋼板という。
 関連ページ : 鋼橋製作:工程 ,  鋼橋製作:素地調整 ,  防食基礎:構造物塗装 ,  塗装概論:新設塗装工程 ,  
 用語一覧へ

 【ショッププライマ―】( shop primer )
 鋼材をブラスト処理し,本塗装に先立って,ブラスト直後に塗装する塗料。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 参考追記:一般的な鋼橋の製作では,鋼板のブラスト処理(原板ブラストという)とショッププライマー塗装は,鋼材メーカーで実施される。ショッププライマーを塗装した鋼板はショップ鋼板と呼ばれる。この塗装の目的は,その後に実施される橋梁製作メーカーでの塗装系の本塗装までの間の一次防せいである。なお,橋梁製作メーカーで実施する本塗装に先立って行われる橋梁ブロックのブラスト処理は,製品ブラストといわれる。
 関連ページ : 鋼橋製作:素地調整 ,  防食基礎:構造物塗装 ,  塗料各論:ジンクリッチ系塗料 ,  
 用語一覧へ

 【助溶剤(じょようざい)】( co-solvent )
 それ自体は塗膜形成要素を溶解する性質はないが,溶剤に加えると溶剤単独のときより溶解力が大きくなる性質のある蒸発性の液体。ニトロセルロースラッカーではアルコール類が助溶剤として使われる。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 防食基礎:塗料の構成 ,  塗料概論:塗料構成材料 ,  塗料概論:溶剤類