社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,サ行 “し”の用語を  しあ~しけ,  しこ~しち,  しつ~しほ,  しま~しゆ,  しよ,  しら~しん  に分けて紹介する。

 用語一覧 しつ~しほ

湿気硬化 】  , 【 湿球温度 】  , 【 湿式エアーブラスト 】  , 【 湿式ブラスト 】  , 【 湿式分析法 】  , 【 湿潤試験 】  , 【 湿潤密度 】  ,

湿食 】  , 【 実地試験 】  , 【 湿度 】  , 【 質別記号 】  , 【 実用塩分 】  , 【 実用塗り面積,実用塗り坪 】  , 【 質量絶対湿度 】  ,

質量法 】  , 【 質量保存則 】  , 【 指定化学物質 】  , 【 磁鉄鉱 】  , 【 支点 】  , 【 自動車 】  , 【 自動車用加工性熱間圧延高張力鋼 】  , 【 自動車用鋼板 】  ,

地肌塗り 】  , 【 しぶき 】  , 【 地覆 】  , 【 磁粉探傷試験 】  , 【 脂肪酸 】  , 【 示方書 】  ,

脂肪族炭化水素 】  , 【 脂肪族炭化水素系溶剤 】  , 【 脂肪油

 用語の概要と関連ページ


 【湿気硬化】( moisture curing )
 空気中の水分と反応して硬化。瞬間接着剤に用いられるシアノアクリレート(cyanoacrylates),尿素樹脂やポリウレタン樹脂の合成に用いられるイソシアネート(isocyanate),無機ジンクリッチペイントに用いられるアルキルシリケート(alkyl silicate)などが常温の空気中の水分により加水分解,縮合反応で重合が進むものとして知られる。
 関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂塗料分類 ,  
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 【湿球温度】( wet-bulb temperature )
 通風のある水で湿った表面において,純粋に蒸発のみによる冷却によって達成されうる最低の温度。
 一般的に用いられる湿球温度は,温度計の温度計感部を湿ったガーゼで包んだものが用いられる。
 関連ページ : 鋼の腐食:相対湿度とは ,  
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 【湿式エアーブラスト】( wet abrasive blasting )
 湿式ブラストの一種で,エアーブラストで用いる研磨材に水を混合してノズルから噴射する方式をいう。湿式サンドブラスト(wet sand blasting)ともいわれる。
 関連ページ : 防食基礎:ブラスト処理 ,  
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 【湿式ブラスト】( wet blasting )
 水を活用したブラスト処理の総称。湿式ブラストに共通する特性は,ブラスト処理中の粉じんの発生を抑制できること,ブラスト処理後に,さび再発の危険があることである。さび発生の防止に腐食抑制剤を添加してもよいが,その抑制剤を含む廃棄物の処理,ブラスト処理後の処理(塗装など)への影響に配慮する必要がある。
 関連ページ : 防食基礎:ブラスト処理 ,  塗装概論:ブラスト処理 ,  
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 【湿式分析法】( wet analysis )
 溶液中の反応によって行う化学分析方法。【JIS K 0211「分析化学用語(基礎部門)」】
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・化学分析 ,  
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 【湿潤試験】( humidity cabinet test )
 高湿度に調整した恒温装置内に試験片を入れて,湿潤状態に保ち,腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 湿り水蒸気の雰囲気中で塗膜などの変化を調べる試験。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 関連ページ : 塗膜の試験規格:湿潤冷熱繰り返し性 ,  
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 【湿潤密度】( wet density )
 土壌の物性を示す場合に用いられ,間隙水を含めた密度をいう。すなわち,土塊の質量/土塊の体積 ⇒ 密度
 関連ページ : 鋼の腐食:土壌について ,  
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 【湿食】( wet corrosion )
 読み「しっしょく」,液体状の水が存在するために起こる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 関連ページ : 腐食基礎:腐食とは ,  腐食基礎:腐食し易さとは ,  腐食基礎:酸素拡散律速とは ,  腐食基礎:腐食の継続について ,  腐食基礎:環境による分類 ,  腐食基礎:腐食現象の分類 ,  腐食概論:鋼の腐食とは ,  鋼の腐食:鋼腐食の基礎・目次 ,  鋼の腐食:湿食 ,  
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 【実地試験】( plant test, service test, field test )
 材料の使用環境中に試験片を設置するか,装置の部品そのもの,部材などを試験片とする腐食試験。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 関連ページ : 防食基礎:大気暴露試験 ,  塗膜の評価:耐久性とは ,  塗膜の評価:耐候性 ,  塗膜の試験規格:屋外暴露耐候性 ,  
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 【湿度】( humidity )
 大気中に水蒸気の形で含まれる水の量を比率で表した数値で,相対湿度と絶対湿度がある。
 関連ページ : 鋼の腐食:相対湿度とは ,  鋼の腐食:絶対湿度とは ,  鋼の腐食:水分子吸着 ,  鋼の腐食:大気腐食性評価 ,  
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 【質別記号】( temper designation )
 質別とは,製造過程における加工・熱処理条件の違いによって得られた機械的性質の区分をいう。
 アルミニウム,マグネシウム及びそれらの合金の展伸材及び鋳物の質別記号について,JIS H 0001「アルミニウム,マグネシウム及びそれらの合金−質別記号:Aluminium, magnesium and their alloys−Temper designation」に規定されている。
 関連ページ : 金属概論:アルミニウム合金とは ,  金属概論:アルミ関連JIS規格 ,  
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 【実用塩分】( practical salinity )
 実用塩分単位(practical salinity unit)の頭文字をとった psu で表記される。
 伝統的には,溶けている物質の質量の比で定義され,千分比 ‰(パーミル)で表記される絶対塩分(absolute salinity , salinity)が用いられていたが,溶解する複数の塩の分析が煩雑であることから,塩を含む水の特性である電気伝導率(electric conductivity)によって定義する実用塩分が 1980年代から用いられるようになった。
 電気伝導率から換算される実用塩分は,絶対塩分表示とほぼ同じ値になるよう工夫されている。例えば,海水の塩分は,絶対塩分で 35‰(パーミル)と表示し,実用塩分で 35 psu 又は単に 35 と表示する。
 関連ページ : 腐食概論:鋼の腐食とは ,  鋼の腐食:海水の特徴 ,  
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 【実用塗り面積,実用塗り坪】( practical spreading rate )
 実用的な条件の下で規定された方法で1回塗りしたとき,一定量の塗料で塗ることができる規定の被塗素地の面積。通常,m2/l 又は m2/kgで表す。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料評価:はじめに ,  
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 【質量絶対湿度】( )
 気象用語で,乾燥空気の質量に対する水蒸気の質量の比で表される。重量絶対湿度,混合比(mixing ratio , humidity ratio)ともいう。
 関連ページ : 鋼の腐食:相対湿度とは ,  
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 【質量法】( gravimetric method, difference in mass )
 JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 に規定する測定法 5で,未塗装の試験片と塗装後の試験片の質量差を乾燥塗膜の密度と塗装面積で除することで膜厚が得られる。⇒ 乾燥膜厚(塗膜)
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  
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 【質量保存則】( law of conservation of mass )
 質量保存の法則ともいい,素粒子論・核物理・宇宙論などを除く分野,特に化学で重要な法則,フランスの科学者アントワーヌ・ラヴォアジエが1774年に“化学反応の前と後で物質の総質量は変化しない”と提唱した。
 現代の化学では,アインシュタインの提唱する特殊相対性理論(質量とエネルギーの等価性)により,厳密な意味での質量保存の法則は成立しない。
 核反応などでは質量変化を認められる。しかし,実用範囲では質量保の存則が成立するとして不都合が少ないため,一般的な化学反応では質量保存の法則に従って議論されている。
 関連ページ : 腐食基礎:化学反応式とは ,  腐食基礎:電荷保存則と腐食 ,  
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 【指定化学物質】( designated chemical substance )
 化学物質排出把握管理促進法(化管法)において指定する化学物質を指す。指定化学物質には,PRTR制度及び化管法 SDS制度対象の第一種指定化学物質(classⅠdesignated chemical substance) 462物質,化管法 SDS制度のみで対象となる第二種指定化学物質(classⅡdesignated chemical substance) 100物質がある。
 関連ページ : 塗料概論:環境規制 ,  塗膜の評価:はじめに ,  
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 【磁鉄鉱】( magnetite )
 読み「じてっこう」,マグネタイトともいい,鉄(Ⅱ,Ⅲ)の等軸晶系の酸化鉱物で化学組成 Fe3O4 (四酸化三鉄),金属光沢を持つ黒色の鉱物で,強い磁性を持つ。粉末状の砂鉄はたたら製鉄の主要な原料として用いられていた。
 関連ページ : 腐食基礎:腐食反応と溶存酸素 ,  鋼の腐食:腐食生成物 ,  
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 【支点】( support )
 橋脚・橋台や地盤などに設置されたはりや構造物を支持する点。はりの支点は,可動支点,回転支点,固定支点の三つに分けられ,荷重が作用すると支点には反力が生じる。【新版図説土木用語辞典】
 関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,  
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 【自動車】( automobile, motorcar )
 原動機を装備し,その動力によって車輪を回転し,軌条によらずに道路上を走る車。
 一般的な認識では,三輪以上で乗員が車室内に備えられた座席に座る構造を備えたものを 意味するが,法規上ではオートバイやカタピラによって走行する車両,牽引される車両も自動車として定義されている。
 道路交通法第三条:自動車は、内閣府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさを基準として,大型自動車,中型自動車,普通自動車,大型特殊自動車,大型自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)、普通自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)及び小型特殊自動車に区分する。
 関連ページ : 社会資本:道路 ,  社会資本:自動車の発展 ,  
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 【自動車用加工性熱間圧延高張力鋼】( Hot-rolled high strength steel plate, sheet and strip with improved formability for automobile structural uses )
 SPHF材と記され,主に自動車,電気機器,建築材料などに用いる加工性の良い熱間圧延高張力鋼板及び鋼帯,品質については,JIS G 3134「自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板及び鋼帯:Hot-rolled high strength steel plate, sheet and strip with improved formability for automobile structural uses」に規定されている。
 関連ページ : 金属概論:鉄鋼製品JIS ,  
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 【自動車用鋼板】( automobile steel sheet )
 一般的には,厚み 3mm未満の自動車用途に作られて良品質の鋼板をいう。日本工業規格(JIS 規格)はないが, 日本鉄鋼連盟に自動車用鋼板に関する団体規格(JFS A 1001 「自動車用熱間圧延鋼板及び鋼帯;Hot-rolled steel sheet and strip for automobile use 」,JFS A 2001 「自動車用冷間圧延鋼板及び鋼帯」など)がある。
 関連ページ : 金属概論:鉄鋼の分類 ,  
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 【地肌塗り】( primary coat, priming coat )
 物体の素地に直接塗る工程。素地の過度の吸収及びさびの発生を防ぎ,素地に対する塗膜層の付着性を増加するなどのために行う。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料各論:塗料分類(工程別分類) ,  塗料各論:鉛系さび止めペイント ,  塗料各論:ジンクリッチ系塗料 ,  塗料評価:プライマーとは ,  
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 【しぶき】( splash, spray )
 飛沫ともいい,水などが細かく飛び散ること。または,その水滴をいう。
 関連ページ : 鋼の腐食:大気環境の腐食・目次 ,  鋼の腐食:飛来塩分について ,  鋼の腐食:海岸のしぶき ,  
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 【地覆】( felloe guard, wheel guard )
 読み「じふく」で,地伏とも書かれる。橋梁の高欄の最下部の横材,建物の土台,門や建物などの最下部の横木などをいう。
 関連ページ : 防食塗装系:道路:塗装系コンクリート面用 ,  
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 【磁粉探傷試験】( magnetic particle testing )
 MP と略記され,磁性材料の表面または橋面付近の亀裂に磁力線の乱れが生じ,それに沿って付着した磁性粉を観察することで亀裂などの欠陥の検出ができる容易な方法である。
 関連ページ : 維持管理(道路):構造物点検 ,  防食基礎:ライニング鋼管の設計施工 ,  
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 【脂肪酸】( fatty acid )
 母体が鎖式炭化水素で一価のカルボン酸,脂肪酸以外は,飽和カルボン酸,不飽和カルボン酸,芳香族カルボン酸に分けられる。
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂とは ,  塗料各論:アルキド樹脂塗料 ,  
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 【示方書】( specification )
 読み「しほうしょ」,仕様書ともいわれる。施工において必要な基準等を詳しく解説した文書である。示方書においては,施工を行う者に対し,作業の行程,施工方法,仕上り,材料やその調整等について適切に指示できる技術情報が記されている。なお,一般的事項を定めたものは標準示方書(共通仕様書)という。
 関連ページ : 社会資本:道路橋示方書 ,  
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 【脂肪族炭化水素】( aliphatic hydrocarbon )
 非芳香族性の炭素と水素のみで構成される脂肪族化合物で,多重結合の有無により飽和と不飽和に,形状により鎖式と環式に分けられる。なお,環式の脂肪族炭化水素は,飽和,不飽和を問わず脂環式炭化水素( alicyclic compound )といわれる。
 関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,  
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 【脂肪族炭化水素系溶剤】( aliphatic hydrocarbons solvent )
 溶剤として用いる脂肪族炭化水素の総称。ミネラルスピリット,灯油など。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,  
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 【脂肪油 】( fatty oil )
 油脂のうち,融点が低く,常温で液状のものを脂肪油といい,固体のものを脂肪とよんで区別している。
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂とは