防食概論:防食の基礎

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒ “防食の基礎” ⇒

          【ライニング鋼管の設計・施工】

 ここでは,水道用有機ライニング鋼管の施工,及び管理の例を紹介する。
 【工場出荷と現地施工】
 工場で製作されたライニング鋼管は,損傷を与えないように現地に搬入しなければならない。工場出荷時における梱包, 管端支柱材, 緩衝材については,例えば,日本水道鋼管協会 WSP 004 「水道用塗覆装鋼管梱包基準」などに準拠するのが良い。
 現地では,下図に示すように,規定長の鋼管を溶接で接合しながら順次敷設することになる。

有機ライニング鋼管の現地施工例

有機ライニング鋼管の現地施工例
出典:日鉄住金パイプライン&エンジニアリング株式会社HP
(http://www.nspe.nssmc.com/business/water/index.html)

 鋼管の敷設作業,溶接作業,継手部の現場防食作業,損傷部の補修作業などの施工品質が,その後の鋼管の耐久性に大きく影響する。
 一旦土中に埋設された鋼管類は,目視検査ができない状況で長期間の使用に供される。このため,工事の設計・施工に関し,日本水道鋼管協会で次に示す基準類を定め,厳格な施工管理を実施している。
 設計・施工基準類
 WSP 069-2005「水道用鋼管の埋設配管設計マニュアル」
 一般埋設鋼管路について,初心者でも容易に設計ができることを目的とした設計手順書,設計例により個々の規格や技術的項目に触れながら説明している。
 WSP 002-2010「水道用塗覆装鋼管現場施工基準」
 水輸送用塗覆装鋼管,及び水道用塗覆装鋼管の布設(開削工法)に関する一般的基準を定めたものである。施工に関する一般事項,鋼管の取り扱い,及び布設方法,土木工事,溶接工事,塗覆装方法,検査方法などの概要ならびに留意点について記述されている。
 開削工法(open cut method , cut and cover method)とは,オープンカット工法とも呼ばれ,俗に“露天掘り”といわれる。両側に沿って鉄くいを打ち込み,地上から掘り進むもの。
 検査基準類
 WSP 008-97「水道用鋼管現場溶接継手部の非破壊検査基準」
 放射線透過検査基準,超音波探傷検査基準の解説と水道用鋼管現場溶接継手部の非破壊試験(nondestructive testing)の手引書である。
 非破壊試験とは,素材や製品を破壊せずに,欠陥の有無,その存在位置,大きさ,形状,分布状態などを調べる試験。鋼質試験などに応用されることもある。放射線透過試験,超音波探傷試験,磁粉探傷試験,浸透探傷試験,渦流探傷試験がある。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 現場塗覆手引き類
 WSP 061-2012「水道用塗覆装鋼管現場塗覆装施工マニュアル」
 鋼管現場塗覆装の品質向上を目的とした現場作業者用の施工マニュアルである。
 WSP 072-2009「水道用無溶剤形エポキシ樹脂塗料塗装方法」
 WSP 075-2012「長寿命形水道鋼管用無溶剤エポキシ樹脂塗料塗装方法(現場溶接部の動力工具による下地処理と手塗り塗装)」
 水道用鋼管の現場溶接部内面に無溶剤形塗料(solventless paint)を使用する場合の塗装方法を規定している。適用する塗料,動力工具による下地処理方法,塗装方法,塗膜の養生方法,品質管理基準などから構成されている。

 【ジョイントコートの種類】
 現場溶接部外面には,工場で施工したライニングと同等以上の防食性能が求められる。このために,溶接部等の現場添接部に適用できる塗覆装(ジョイントコートという)が多種提案されている。
 ジョイントコート(joint coat)には,塗覆装に用いる材料の中で,防食材が熱収縮チューブ,熱収縮シートなどのプラスチック系被覆材料,及び防食ゴムシートなどのゴム系被覆材料がある。次に,主なジョイントコートの種別を示す。
 プラスチック系ジョイントコート
 加熱収縮(thermal shrinking, heat shrinkable)機能をもつポリエチレンを主成分とした熱収縮チューブ,又は熱収縮シートで構成されたジョイントコートをいう。
 熱収縮チューブは,安定剤を含むポリエチレンを架橋し,チューブ状に延伸成形した熱収縮系基材に,合成ゴムを主成分として,その他粘着付与剤,軟化剤,充てん剤などを配合した粘着材を均一に塗布したものである。
 熱収縮シートは,安定剤を含むポリエチレンを架橋し,シート状に延伸成形した熱収縮系基材に,熱収縮チューブと同様の粘着材を均一に塗布したものである。
 ゴム系ジョイントコート
 防食ゴムシート及び保護ゴムシートで構成されるジョイントコートをゴム系ジョイントコートという。
 防食ゴムシートは,エチレンプロピレンターポリマ,及びブチルゴムを主成分とし,その他軟化剤,充てん剤などから構成される加硫ゴムシートに,合成ゴム,又はアクリルゴムを主成分とした粘着材を均一に塗布したものである。
 保護ゴムシートは,ブチルゴムを主成分とした非加硫ゴムシートである。

 【施工に関連する基準類】
 参考のため,樹脂ライニング施工業者の団体「樹脂ライニング工業会」で発行する施工,安全,試験に関連した基準,マニュアル類を紹介する。
 設計関連
  「樹脂ライニング用缶体設計基準書」PLA-R-101-04 ,「新設コンクリート構造物の防食樹脂ライニングのための下地標準仕様書」PLA-R-401-91 ,「既設コンクリート構造物の樹脂ライニング下地処理仕様書(案)」PLA-R-402-94 ,「ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂ライニング」PLA-R-501-93
 施工関連
  「樹脂ライニング用ブラスト処理に関する基準」PLA-R-107-99 ,「防食樹脂ライニング施工管理基準」PLA-R-109-03 ,「樹脂ライニングの現地施工における安全作業基準」PLA-R-201-04 ,「樹脂ライニングの現地施工における安全チェックリスト」PLA-R-202-04
 検査関連
  「樹脂ライニング皮膜のピンホール試験基準」PLA-R-102-97 ,「樹脂ライニング皮膜の厚さ測定に関する基準」PLA-R-103-96 ,「樹脂ライニング皮膜のバコール硬さ測定に関する基準」PLA-R-104-96 ,「樹脂ライニング皮膜の接着強さ測定基準書」PLA-R-105-98 ,「樹脂ライニングへの環境剤の浸透性試験法についての基準書」PLA-R-106-86 ,「コンクリート面樹脂ライニング皮膜のピンホール試験基準」PLA-R-108-99

 【参考】
 超音波探傷試験(ultrasonic testing)
 UT と略記され,超音波パルスを与え,その反射を計測することで。超音波を透過させる材料の亀裂等の欠陥の検出,その位置の判別も可能となる。
 磁粉探傷試験(magnetic particle testing)
 MP と略記され,磁性材料の表面または橋面付近の亀裂に磁力線の乱れが生じ,それに沿って付着した磁性粉を観察することで亀裂などの欠陥の検出ができる容易な方法である。
 渦流探傷試験(eddy current testing)
 ED と略記され,渦電流を測定物に与え表面の渦電流の変化を検出する方法で,導電材料の表面および表層部の欠陥(特に亀裂)の検出に有効である。
 浸透探傷試験(penetrant testing)
 PT と略記され,金属及び非金属の亀裂検査に古くから用いられる方法で,亀裂に浸透した薬液を現像することで,目視観察,写真記録ができる。

  ページトップへ