防食概論:防食の基礎

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒ “防食の基礎” ⇒

        【試験片の機械特性(引張り,曲げ,衝撃,疲労)評価方法】

 【腐食試験板の物性評価】
 腐食試験後の機械的特性変化の評価に,表面粗さ(surface roughness),硬さ(hardness),引張強さ(tensile strength),曲げ強さ(flexural strength, bending strength),衝撃強さ(impact strength)など,一般的な金属材料試験が用いられる。
 ここでは,引張強さ曲げ強さ衝撃強さ疲れ試験(fatigue test)について紹介する

 【引張強さ】
 引張強度ともいい,材料を引張り,最大引張荷重を平行部の原断面積で除した値である。降伏後に試験片が耐えた最大の荷重が上降伏点より低い材料については,降伏後の最大の荷重を平行部の原断面積で除した値をとする。
 JIS Z 2241 「金属材料引張試験方法」には,金属材料の引張試験方法,及び室温(10~35℃)で測定できる金属材料の機械的性質について規定されている。
 引張荷重をかけた試験で評価できる材料特性には,ひずみ(strain),クリープ(creep),リラクセーション(relaxation)がある。
 関連JIS規格に,JIS Z 2254 「薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法」JIS Z 2271 「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法」JIS Z 2276 「金属材料の引張リラクセーション試験方法」がある。

 ひずみ(strain)
 物体の変形の状態を表現する量で,応力と共に用いられる重要な基本量である。ひずみは無次元量であるが,m/m などの単位を併記することもある。
 ひずみには,基準とした寸法 L0 (原標点距離)に対する変形後の寸法 L (標点距離)の場合に,
 標点距離の増分と原標点距離の比 (⊿L/L0 )で表したひずみは公称ひずみ(nominal strain),伸び(ひずみ)(elongation),工学的ひずみ(engineering strain)と呼ばれ,記号 e ,ε0 ,εeng などで表される。
 標点距離と原標点距離の比の自然対数{ ln (L/L0 )}で表したひずみは真ひずみ(true strain),対数伸び(ひずみ)(logarithmic strain)や,自然伸び(natural strain)と呼ばれ,記号 ε,εt ,εln などで表される。
 クリープ(creep)
 持続応力が作用する物体において,時間の経過とともに“ひずみ”が増大する現象をいう。
 クリープ試験(creep test)
 試験片を一定の温度に保持し,これに一定の荷重を加えて,時間と共に変化するひずみを測定する試験。その結果からクリープ曲線及びクリープ強さを求める。応力の種類によって,引張クリープ試験,圧縮クリープ試験などに分類される。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 クリープ曲線(creep curve)
 クリープ試験で求められたひずみと時間との関係曲線。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 クリープ強さ(creep strength)
 クリープ強度ともいい,一定温度下で,規定した負荷時間に規定したひずみを生じる応力。例えば,1000 時間に 1 %,0.1 %又は 0.01 %のひずみを生じる応力が用いられる。【JIS G0202「鉄鋼用語(試験)」】
 リラクセーション(relaxation)
 ストレス・リラクセーション(stress relaxation;応力緩和)のことであり,全ひずみ一定の条件の下で試験片の試験力(応力)が時間とともに低下する現象。【JIS G0202「鉄鋼用語(試験)」】
 リラクセーション試験(stress relaxation test)
 試験片を一定の温度に保持し,これに速やかに荷重を加えて規定の初期荷重(応力)又は全ひずみに達した後,全ひずみ一定の条件の下で,荷重(応力)の時間的低下を測定する試験。一般には引張リラクゼーション試験が多く行われる。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 引張りリラクセーション試験方法については,JIS Z 2276「金属材料の引張リラクセーション試験方法」に規定されている。

 【衝撃試験】
 衝撃試験(impact test)とは,材料の靱性又は脆性を調べるため,試験片に衝撃荷重を加えて破断し,要したエネルギーの大小,破面の様相,変形挙動,き裂の進展挙動などによって評価する試験である。
 衝撃荷重を加える方法によって,衝撃引張,衝撃圧縮,衝撃曲げ,衝撃ねじりなどの各種試験方法がある。また,用いる試験機の種類によって,シャルピー衝撃試験,アイゾット衝撃試験などと区別される。
 
 シャルピー衝撃試験(Charpy pendulum impact)とは,
 金属材料に衝撃を与えて,吸収されるエネルギーを決めるシャルピー衝撃(Vノッチ及び Uノッチ)試験方法。試験片を 40mm 隔たっている二つの支持台で支え,かつ切欠き部を支持台間の中央に置いて切欠き部の背面をハンマによって 1 回だけ衝撃を与えて試験片を破断して,吸収エネルギー,衝撃値,破面率,遷移温度などを測定する試験。【JIS Z 2242「金属材料のシャルピー衝撃試験方法】
 シャルピー衝撃試験機を用い,試験片を規定寸法に隔たっている二つの試験片支持台で支え,かつ,試験片の中央をハンマで,1 回の衝撃によって試験片を破断し,シャルピー衝撃値を測定する試験。シャルピー衝撃値は,試験片を破断するのに要した吸収エネルギー (J) {kgf・cm}を試験片の中央部の元の断面積で除した値 (kJ/m2){kgf・cm/cm2}。【JIS K7077「炭素繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法」】
 アイゾット衝撃試験(Izod impact strength test)
 材料の靭性の評価に用いられる衝撃試験で,試験片の片面に規定されるノッチ(切り込み)をいれ,片端を固定したのち,通常はノッチの付いている方向から振り子(ハンマー)を衝突させて破壊時に吸収するエネルギーを算出する。試験片を破壊するために必要な力を試験片の幅で割ってもとめた値をアイゾット衝撃値という。
 アイゾット衝撃試験機を用い,試験片の一端を切欠き部で固定し,他端をノッチ部から 22mm 隔たっている位置でノッチ部と同じ側の面をハンマによって 1 回だけ衝撃を与えて試験片を破断し,アイゾット衝撃値を測定する試験。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 試験片の一端を切欠き部で固定し,他端を切欠き部から 22mm 隔たっている位置で切欠き部と同じ側の面をハンマによって 1 回だけ衝撃を与えて試験片を破断し,アイゾット衝撃値を測定する試験。【JIS K 7110「プラスチック-アイゾット衝撃強さの試験方法」】

 【曲げ試験】
 曲げ試験(bend test)とは,材料の変形能を調べるための試験。通常,試験片を規定の内側半径で規定の角度になるまで曲げ,湾曲部の外側の裂けきず,その他の欠点の有無を調べることをいう。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 試験方法は,JIS Z 2248「金属材料曲げ試験方法」に規定されている。

 【疲れ試験】
 疲れ試験(fatigue test)は,疲労試験ともいい,試験片に繰返し応力又は変動応力を加えて,疲れ寿命や疲れ限度などを求める試験である。応力の種類に応じて,ねじり疲れ試験(torsional fatigue test),軸荷重疲れ試験(axial load fatigue test),回転曲げ疲れ試験(rotating bending fatigue test),平面曲げ疲れ試験(plane bending fatigue test)などに分類される。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 関連するJIS規格には,JIS Z 2273「金属材料の疲れ試験方法通則」,JIS Z 2274「金属材料の回転曲げ疲れ試験方法」,JIS Z 2275「金属平板の平面曲げ疲れ試験方法」などがある。

 【参考 JIS規格】
 JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」,JIS Z 2248「金属材料曲げ試験方法」,JIS Z 2251「ヌープ硬さ試験−試験方法」,JIS Z 2254「薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法」,JIS Z 2271「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法」,JIS Z 2273「金属材料の疲れ試験方法通則」,JIS Z 2274「金属材料の回転曲げ疲れ試験方法」,JIS Z 2275「金属平板の平面曲げ疲れ試験方法」,JIS Z 2276「金属材料の引張リラクセーション試験方法」,JIS K 7110「プラスチック-アイゾット衝撃強さの試験方法」

  ページトップへ