道路橋の維持管理

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 【構造物点検の概要】

 道路の点検は,鉄道の検査に相当する。同様の内容に対して呼称が異なるので,ここで両者の関係の対照表を示す。


鉄道の“橋梁検査”と道路の“橋梁点検”の対照表
  鉄道  道路
  線路巡回(点検車,徒歩)   通常点検(パトロールカー,徒歩)
  初回検査(供用開始前の全般検査)   定期点検 初回(2年以内)
  通常全般検査(2年毎)
 特別全般検査(10年毎)
  中間点検 2~3年毎
  定期点検(5年毎)
  随時検査(地震,台風等災害や大事故後)
  変状が発生した橋梁と類似の構造の橋梁
  特定点検(特定事象に着目した点検)
  異常時点検(地震,台風等災害や大事故後)
  個別検査(原因推定,健全度判定,措置判定)   詳細調査(補修の必要性,補修方法決定)
  監視(個別検査後の措置の一種)   追跡調査

(1) 通常点検
 通常点検は,通常巡回として日常の道路巡回時に道路パトロールカー内から橋梁の異常を発見する目的で道路巡回実施要領(案)に従って実施される。
 道路巡回実施要領(案)は,「直轄維持修繕実施要領」(昭和33年6月,最終改正昭和37年10月)に基づき,各地方整備局等が道路巡回のために定めた要領(案)である。
 具体的な道路巡回は,各地方整備局に任されているが,概ね 2 日に 1 回のパトロールカーによる巡回調査と年に 1 回の徒歩巡回による調査が実施されている。従って,構造物においては,移動しながら発見できるほどの重大な損傷(鉄道では変状という)の発見に限られるため,次に説明する定期点検や中間点検が主要な点検といえる。
 例えば,中部地方整備局の平成22年度「道路維持管理方針(案)」によると次のように規定されている。
 (1) 道路巡回は,道路を常時良好な状態に保つため,道路全般の状態及び利用状況をパトロールカーなどからの目視により確認するとともに,道路の異状や損傷,障害物等の危険要因を早期に発見・除去し,道路の保全に努めるための情報収集や処理を実施する。
 (2) 道路巡回は,原則として 2 日に 1 回の頻度で実施する。また,1 年に 1 回,徒歩で道路施設(橋梁,トンネルなど)の状況を確認する。なお,豪雨や地震発生等の異常時においては,利用者の安全確保のための巡回を実施する。

(2) 定期点検
 定期点検は,橋梁に係る維持管理を効率的に行うために必要な記録を得ることを目的に 5 年に 1 回実施する。実施は,国土交通省で定める「点検要領」に従って実施される。
 しかし,橋梁の下を道路や鉄道が交差する場合,駐車場や歩道などに利用されている場合は,「橋梁における第三者被害予防措置要領(案)」に基づき 2~3年に 1 回実施される。
 定期点検の詳細に関しては,別に解説する。
 
(3) 中間点検
 中間点検は,事故や火災などによる不測の損傷の発見や,損傷の急激な進展などにより直近に行われた定期点検時の状態と著しい相違が生じている箇所がないことを概略確認するために目視を基本として行うもので,定期点検の中間年( 2.5 年目)に実施し定期点検を補うものである。
 特に,定期点検の結果,進行性の損傷が疑われた場合や補修等の効果の確認が必要な場合など継続的な観察が必要と判定された橋梁に対しては適切な時期に実施する必要がある。

(4) 特定点検
 特定点検は,定期点検とは別に,特定の事象に着目して予防保全的な観点などから実施される点検で,主にコンクリート構造物で実施される。
 例えば,塩害が懸念される地域にあっては,塩害に対する予防保全の観点から定期点検とは別に定期的な調査を行って塩害の進行状況を把握しておき,適切な時期に補修等の対策が行えるようにする。塩害に対する点検は「コンクリート橋の塩害に関する特定点検要領(案)」による。

(5) 異常時点検
 異常時点検は,地震や台風などの災害や大きな事故が発生した場合,橋梁に予期していなかった異常が発見された場合に実施される点検である。
 橋梁に予期していなかった異常が発見された場合の例として,平成 14 年度に実施した PCT 桁橋の間詰めコンクリートの抜け落ちに対する点検や鋼製橋脚の隅角部の亀裂に対する点検などがこれに相当する。その後は,同種の事象に対しては点検要領が定められ,「鋼製橋脚隅角部の疲労損傷臨時点検要領」(平成14年5月),「PCT桁橋の間詰めコンクリート点検要領(案)」(平成15年1月)に従った点検が実施される。
 
(6) 詳細調査
 詳細調査は,補修等の必要性の判定や補修等の方法を決定するため,損傷原因や損傷の程度をより詳細に把握する目的で実施するものであり,損傷の種類に応じて適切な方法で行うことになっている。
 例えば,鋼製橋脚隅角部に生じた亀裂に対する詳細調査では,表面の亀裂の状態を調査する以外に,必要に応じて開先形状や内部亀裂の状態を明らかにするための非破壊調査や発生応力の測定など広範な調査が行われる。
 詳細点検で実施される非破壊検査方法の特徴を次に示す。
  • 超音波板厚測定
     本方法では,金属,非金属及び超音波を透過させる材料に関し,超音波により共振を起こして厚さを測定ができる。測定が容易で使用実績が多数あり,信頼できる方法の一つである。
     問題点として,記録保存が困難なこと,厚い塗膜がある場合には精度が低くなることが挙げられる。
  • 渦流探傷試験
     本方法は,渦電流を測定物に与え表面の渦電流の変化を検出する方法で,導電材料の表面および表層部の欠陥(特に亀裂)の検出に有効である。測定速度が速く経済的である。
     問題点として,形状が単純なものでないと適用しにくい,内部欠陥は検出できない。内部欠陥以外の材料的な要因の影響を受ける。測定に熟練を要するなどが挙げられる
  • 磁粉探傷試験
     磁性材料の表面または橋面付近の亀裂に磁力線の乱れが生じ,それに沿って付着した磁性粉を観察することで亀裂などの欠陥の検出ができる容易な方法である。
     問題点としては,鉄鋼などの磁性材料のみに適用可能であること,内部の損傷は計測できないこと,亀裂の深さは測定できないことが挙げられる。
  • 超音波探傷試験
     超音波パルスを与え,その反射を計測することで。超音波を透過させる材料の亀裂等の欠陥の検出,その位置の判別も可能となる。材料の厚さの制限が少ない,持ち運びが容易,使用実績が多く経済的な方法である。
     問題点としては,記録の保存が困難,測定に熟練を要する,損傷の形状種類の把握は困難,塗膜が厚いと精度が悪くなるなどが挙げられる。
  • 浸透探傷試験
     金属及び非金属の亀裂検査に古くから用いられる方法で,亀裂に浸透した薬液を現像することで,目視観察,写真記録ができる。作業能率が良く材料を選ばない方法である。
     問題点としては,表面の亀裂に限定されること,表面が粗い場合,多孔質の材料には適用できないなどが挙げられる。
  • 超音波探傷試験
     高力ボルト F11T などの損傷(遅れ破壊につながる亀裂など)を超音波の反射時間より調べる方法である。亀裂の大きさや位置により結果がばらつく。
(7) 追跡調査
 追跡調査は,詳細調査などの結果,鋼部材の亀裂,コンクリート部材のひびわれ,下部工の沈下,移動,傾斜,洗掘など進行の恐れのある損傷や異常が発見された場合に,その進行状況を把握する目的で実施するものである。

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