防食概論:防食の基礎

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          【陽極防食・排流法】

陽極防食とは
 前節の【電気防食とは】で,電位を酸化物として安定な領域,すなわち不動態領域まで,人為的に上げることを陽極防食と解説した。このことは,不動態化が可能な金属に限定される方法ともいえる。
 具体的には,ステンレス鋼,ニッケル合金,チタンや鋼などが対象で,腐食性の激しい環境(化学プラントの薬液槽や熱交換機など)で適用されている。
原理
 不動態化できる金属が,下図のアノード分極曲線を持ち,使用環境では,カソード分極曲線との交点点(腐食電位 E0 ,腐食電流 I 0 )となり,腐食し続ける状況にあるとする。
 ここで,環境中に対極(カソード電極)を設置し,外部電源により金属体をアノードとして通電する。これらとは別に設置した照合電極と金属体との電位差を計測しながら,対極-金属体間の電流値を,不動態領域となる図中の点(電位 E’)となるよう制御にすることで,腐食電流を著しく小さくできる。
 図からも分かるように,この方法は,電流が不足したり,過剰になった場合には,腐食を十分に抑制できなくなる危険をはらんでいる。

陽極防食原理図

陽極防食原理図

排流法とは
 排流法(drainge)とは,土蔵中に埋設された鋼管などの鋼構造物が,直流の電気鉄道などからの漏れ電流による【迷走電流腐食】を防止するための電気的な対策である。
 厳密な意味では,電気化学的対策とは言えないが,電気防食の一種として扱った。
 迷走電流腐食は,電気鉄道やその他電気設備から大地に漏れ出した直流電流によって腐食する現象で,電食とも呼ばれる。
 具体的には,鉄道レールから大地に漏れ出した電流が埋設管などを通り,変電所近くで埋設管からレールに向って戻るときに,電流の出口にあたる個所が異常な速度で腐食する現象である。
 この現象の抑制のため,埋設管とレールを電気回路で接続する方法がとられる。この方法を排流法という。排流法には,選択排流法強制排流法がある。
 排流法では,埋設管からレールに向う電流を通し,レールから埋設管に向う電流を阻止する。
 選択排流法とは,埋設管とレール間の整流のため,半導体整流器や継電器を取り付けるだけの受動的な方法である。
 強制排流法とは,埋設管とレールを結ぶ回路に直流電源を設け,排流を人為的に促進する方法である。

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