防食概論:防食の基礎

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒ “防食の基礎” ⇒

          【ライニング被膜の品質】

 有機ライニング鋼管の規格,JIS G 3443-3「水輸送用塗覆装鋼管−第3部:外面プラスチック被覆」,JIS G 3469「ポリエチレン被覆鋼管」には,品質項目として,外観,被膜厚さ,ピンホール,付着強度,及び衝撃強さを規定している。
 
 外観
 目視で観察し,被覆は,原管の鋼面によく密着し,有害なきず,凹凸,異物の混入などがあってはならない。

 被覆厚さ(規定の範囲内にあること)
 ポリウレタン被覆鋼管の被覆厚さ試験は,JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」の方法No.10「ブラスト処理鋼板の乾燥膜厚の測定」による。
 被覆厚さ検査は,ポリウレタン被覆については被覆鋼管 1 本ごと(全数に,ポリエチレン被覆については同一製造ロットごとに被覆鋼管 2 本を抜き取って行う。

 ピンホール(検出されないこと)
 ポリエチレンのピンホール試験は,ホリデーディテクター(holiday detector)を用い被覆面全面について行う。電圧は,接触形の場合は10~12kV,非接触形の場合は,20~40kVで行う。
 ポリウレタンのピンホール試験は,ピンホール探知器(pinhole detector)を用いて,ブラシ電極を被覆表面に当てながら移動してピンホールの有無を調べる。その場合のブラシ電極と鋼面との間に加える試験電圧は,Ⅰ形の場合は8~10kV,Ⅱ形の場合は12~15 kVとする。
 ピンホールが検出された場合は,その個所を補修する。
 ホリデー(holiday)
 塗膜やライニング膜などの被膜に存在する素地に達する文字通りのピンホールの他に,き裂,薄膜部,空洞(void)などの微小欠陥の総称として用いられる。なお,日本では,ホリデーの意味合いでピンホールと称する場合も多い。
 ピンホール(pinhole, pore)
 被膜を貫いて,素地や下地まで達している微細孔。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 材料の表面の極めて小さな直径の穴。注;フィルムの場合には,その穴は通常全厚さを貫通している。【JIS K 6900[プラスチック用語」】
 塗膜に針で作ったような小さな孔がある欠陥。肉眼で見分けられる程度の小さな孔をいう。【JIS K5500「塗料用語」】
 素地又は下地層まで達するめっきの細孔。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】

 付着強度(既定の値以上であること)
 付着性試験は,ポリウレタン被覆の場合は,a)により,ポリエチレン被覆の場合は,b)による。各試験は,常温で行う。
 a)付着強さ試験 JIS H 8300「亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射」の附属書A「密着性試験方法」A.2.2「引張密着強さ試験方法(A法)」による。
 A.2.2「引張密着強さ試験方法(A法)」は,塗膜の付着性を評価するJIS K 5600-5-7「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第7節:付着性(プルオフ法)」と同等の方法で,一般的には円形のジグを張り付け,ばね式などの引張り試験機(例えばアドヒージョンテスター)を用いて垂直に引張り,破断時の最大荷重を求め,用いたジグの断面積から応力を求める方法で評価する。
 b)ピール強度試験管の一端で測定する。被覆に間隔 10 mm,長さ 60 mm以上の 2本の切れ目を管軸に平行,又は直角方向に原管に達するまで入れる。その一端をはぎ起こし,20±15 ℃,50mm/min以下の速度で試験力を加え,引きはがしたときの試験力を読む。
 JIS G3477-1「ポリエチレン被覆鋼管−第 1 部:3 層ポリエチレン押出被覆鋼管」附属書 G に規定されるピール強度(peel strength)では,間隔 10 mm 以上,長さ 140 mm 以上の 2 本の切れ目を,管軸に平行又は直角方向に原管に達するまで入れる。10mm/min の速度で試験力を加え,140 mm 以上の長さを 90°又は 180°の角度で連続して引き剝がした時の試験力を読む。
 以上のように,ライニング被膜のピール強度とは,一般にいう 90度はく離試験,又は 180度はく離試験によるはく離強さである。
 はく離強さの定義に関しては,JIS K 6900[プラスチック用語」では,“あるはく離様式で使用する応力によって接着剤接合を破壊点に導き及び又は特定の破壊速度を継続するために必要な単位幅当たりの力。”と定義し,
 JIS K 6800「接着剤・接着用語」では,“接着面の一端にはく離応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。”と定義されている。
 はく離強さの試験法には,はく離方向の違いにより,90度はく離試験,180度はく離試験,T形はく離試験,浮動ローラ法などがある。これらの規定される規格例として,JIS K 6854-1「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第 1 部:90 度はく離」,JIS K 6854-2「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第 2 部:180 度はく離」,JIS K 6854-3「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第 3 部:T 形はく離」,JIS K 6854-4「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第 4 部:浮動ローラ法」が参考になる。

 衝撃強さ試験(規定の値以上であること)
 被覆鋼管を V字台木,又はその他の適切な方法によって支持し,被覆面にポンチ(先端半径7.9±0.1mm)を垂直になるように設置し,その状態で別に定める条件で,おもりをポンチに落下させる。
 次いで,ピンホール探知器を用いて衝撃部の被覆貫通きずを調べる。なお,試験温度は,常温とする。
 ここで規定される試験は,衝撃試験の一種で,おもり(錘)を自由落下(落錘)させ耐衝撃性を評価する落錘(らくすい)衝撃試験(falling weight impact test , drop weight test)である。
 落錘衝撃試験が規定される JIS 規格の例には, JIS K 5600-5-3「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」,JIS K 7124-1「プラスチックフィルム及びシート−自由落下のダート法による衝撃試験方法−第1部:ステアケース法」,JIS K 7211-1「プラスチック−硬質プラスチックのパンクチャー衝撃試験方法−第1部:非計装化衝撃試験」などがある。
 JIS K 5600-5-3では,先端が丸い円柱形のおもりを外筒に沿って落下させ,塗膜に対する曲げ及び伸びの抵抗性を評価する落体式 (falling-weight method),素地の変形が極めて少ない場合に用いられ,塗膜の表面に球体を激突させ,そのときの塗膜の衝撃抵抗性で,割れ・はがれの有無を評価する落球式 (falling ball method) ,撃ち型と受け台が落球式と異なり,両者間のすき間がないので,エッジ部の衝撃と変形を同時に受ける抵抗性を評価するデュポン式 (DuPont method) が規定されている。
 
 【参考】
 接着,付着,密着などの用語について
 付着;接着(adherence)
 二つの表面が界面に働く力でつなぎ合わされている状態。注−付着は接着剤を使用し,又は使用しないでも達成できる。【JIS K 6900[プラスチック用語」】
 接着(adhesion)
 二つの表面が接着剤の助けをかりて,化学的又は物理的力又は双方によってつなぎ合わされている状態。【JIS K 6900[プラスチック用語」】
 接着剤を媒介とし,化学的若しくは物理的な力又はその両者によって二つの面が結合した状態。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 接着剤(adhesive)
 物体の間に介在することによって物体を結合することのできる物質。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 付着強さ(adhesive strength)
 乾燥した塗膜と素地との間の付着力の総和。JIS K 5600-5-6, JIS K 5600-5-7参照。備考 素地は未塗装又は既塗装でもよい。【JIS K 5500「塗料用語」】
 接着強さ(bond strength)
 接着された二面間の結合の強さ。引張りせん断強さ,圧縮せん断強さ,はく離強さなどで表される。接着力ともいう。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 密着強さ(adhesion strength , bonding strength)
 溶射皮膜が基材と結合している強さ(JIS H 8402参照)。【JIS H8200「溶射用語」】
 引張り接着強さ(tensile strength)
 さ接着面に引張り応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 引張りせん断接着強さ(tensile shear strength)
 引張り荷重によって接着面にせん断応力を加え,接着接合部が破断したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 せん断接着強さ(longitudinal shear strength)
 接着面にせん断応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 はく離(剥離)強さ(peel strength)
 ピール強さ(peel strength)やピール強度ともいわれる。はく離(剥離)強さの定義は,あるはく離様式で使用する応力によって接着剤接合を破壊点に導き及び又は特定の破壊速度を継続するために必要な単位幅当たりの力。【JIS K 6900[プラスチック用語」】
 はく離接着強さ(peel strength)
 接着面の一端にはく離応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 試験法には,はく離方向の違いにより,90度はく離試験,180度はく離試験,T形はく離試験,浮動ローラ法などがある。
 割裂接着強さ(cleavage strength)
 接着面の一端に集中応力を加え,接着接合部を破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 衝撃接着強さ(impact strength)
 接着面に衝撃応力を加え,接着接合部が破壊したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】
 曲げ接着強さ(flexural strength)
 接着面に曲げ応力を加え,接着接合部が破断したときの強さ。【JIS K 6800「接着剤・接着用語」】

  ページトップへ