社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,カ行 “か”の用語を  かあ~かいさ,  かいし~かか,  かき~かし,  かす~かち,  かつ~かね,  かの~かわ,  かん~かんす,  かんせ~かんん  に分けて紹介する。

 用語一覧 かんせ~

管制塔 】  , 【 乾性油 】  , 【 岩石圏 】  , 【 完全ふっ素化樹脂 】  ,

乾燥 】  , 【 乾燥(塗料) 】  , 【 乾燥時間(表面乾燥性) 】  , 【 乾燥膜厚(塗料) 】  , 【 乾燥密度 】  ,

干潮位(L.W.L) 】  , 【 管継手(配管用アルミニウム及びアルミニウム合金製突合せ溶接式管継手) 】  , 【 関東大震災 】  , 【 ガントリークレーン 】  , 【 官能検査 】  ,

γオキシ水酸化鉄 】  , 【 γ酸化第二鉄 】  , 【 ガンマ(γ)層 】  , 【 干満帯 】  , 【 関門鉄道トンネル 】  , 【 貫粒割れ 】  ,

顔料 】  , 【 顔料体積率(PVC) 】  , 【 顔料分散剤 】  , 【 関連知覚色

 用語の概要と関連ページ


 【管制塔】( airport control tower )
 離着陸する航空機を順序良く安全に誘導し指示を出す設備・管制官が配置された建物。
 関連ページ : 社会資本:空港設備 ,  
 用語一覧へ

 【乾性油】( drying oil )
 薄膜にし空気中に置くと,酸素を吸収して酸化し,これに伴って重合が起こって固化し,塗膜を形成する脂肪油。高度不飽和脂肪酸を含む。【JIS K5500「塗料用語」】
 空気中で徐々に酸化して固まる油のこと。油絵具や油ワニスに利用される。ヨウ素価(成分中の不飽和脂肪酸の量を示す指標)で分類され,ヨウ素価 130以上を乾性油,100~130を半乾性油,100以下を不乾性油という。
 広く知られる乾性油には,亜麻仁(あまに)油・桐(きり)油・芥子(けし)油・紫蘇(しそ)油・胡桃(くるみ)油・荏(えごま)油・紅花(べにばな)油・向日葵(ひまわり)油などがある。
 乾性油の主成分である不飽和脂肪酸(二重結合を持つ)の二重結合が空気中の酸素と反応し,過酸化物やラジカルが生じる。これらが開始剤となり,二重結合間の重合反応が進行することで分子量の大きな網目状の高分子となる。不飽和脂肪酸の量が多いもの,すなわちヨウ素価の高い油ほど固まるのが早い。
 不飽和脂肪酸の酸化反応や重合反応は発熱反応である。このため,ヨウ素価の高い油を布などに含ませ,空気にふれる面積を大きくすると,急速に反応が進み自然発火するおそれがある。
 関連ページ : 防食基礎:環境遮断(塗料・塗装) ,  防食基礎:有機高分子材料 ,  塗料概論:塗料のはじまり ,  塗料概論:長期防錆用塗料の登場 ,  塗料概論:塗料の分類(材料) ,  塗料概論:塗料構成材料 ,  塗料各論:塗料分類(形態別分類) ,  塗料各論:アルキド樹脂とは ,  鋼の腐食:大気とは ,  
 用語一覧へ

 【岩石圏】( lithosphere )
 地球上層部の岩石でできている部分。プレート(Plate)と同義で地球表層の 100~150km 部分の硬い岩盤を指す。
 関連ページ : 鋼の腐食:大気とは ,  
 用語一覧へ

 【完全ふっ素化樹脂】( polytetrafluoroethylene )
 ポリエチレンの水素原子を完全にハロゲン族のふっ素原子に置換した構造で,テフロンという商標で知られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene,四ふっ化エチレン樹脂ともいう)である。 ⇒ ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
 関連ページ : 防食基礎:有機高分子材料 ,  塗料各論:ふっ素樹脂とは ,  
 用語一覧へ

 【乾燥】( drying, desiccation )
 乾燥(drying , desiccation)は,蒸発により物体から不要の液体分を除くことを意味し,自然乾燥,加熱乾燥,凍結乾燥,吸水剤乾燥,減圧乾燥,真空乾燥,赤外線乾燥などの用いる手段により多くの分類がある。
 なお,乾燥(dry)は,例えば乾燥肌(dry skin)など,乾いた状態になっていることを意味する。
 関連ページ : 鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) ,  
 用語一覧へ

 【乾燥(塗料)】( drying )
 塗付した塗料の薄層が,液体から固体に変化する過程の総称。塗料の乾燥機構には,溶剤の揮発,蒸発,塗膜形成要素の酸化重合,縮合などがあり,乾燥の条件には,自然乾燥,強制乾燥,加熱乾燥などがある。また,乾燥の状態には,指触乾燥(※1),半硬化乾燥,硬化乾燥などがある。
 参考追記:(※1)指触乾燥とは,塗料の乾燥状態の一つで,塗った面の中央に触れてみて,試料で指先が汚れない状態になったときをいいます。【JIS K5500「塗料用語」】
 JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般(条件及び方法)」参照
 関連ページ : 防食基礎:構造物塗装 ,  塗装概論:はじめに ,  塗料概論:塗料の分類(工程) ,  塗料各論:塗料分類(形態別分類) ,  塗料各論:塗料分類(機能別分類) ,  塗料評価:乾燥時間 ,  塗料評価:半硬化乾燥 ,  
 用語一覧へ

 【乾燥時間(表面乾燥性)】( drying time(surface-drying test) )
 JIS K 5600-3-21999「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第2節:表面乾燥性(バロチニ法)」のバロチニ法(Ballotini method)を用いた塗料が乾燥(液体から固体に変化する過程の総称)するのに必要な時間。
 関連ページ : 塗料評価:はじめに ,  塗料評価:品質試験の項目と手順 ,  塗料評価:乾燥時間 ,  塗膜の評価:品質試験 ,  
 用語一覧へ

 【乾燥膜厚(塗料)】( dry-film thickness )
 塗料乾燥後の膜厚。 【JIS K5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」 】
 当該規格には,乾燥膜厚の測定に使用する機械式測定法(mechanical methods),質量法(gravimetric method, difference in mass,),光学的方法(optical methods),磁気法(magnetic methods),放射線法(radiological method)及び音響法(acoustic method)が規定されている。
 機械式測定法には,マイクロメータなどを用いた塗膜除去箇所との厚さの違いによる厚さの差法(difference in thickness),塗膜除去箇所の深さ計を用いたデプスゲージ法(depth gauging),表面粗さ計と同様の原理で,塗膜除去箇所の触針走査で求める表面輪郭の走査(surface profile scanning)ある。
 重量法には,質量法(difference in mass)があり,光学的方法には,塗膜断面を成形し拡大観察する断面法(cross-sectioning),一定角度で斜めに切削した塗膜の幅を計測して三角関数を用いて深さを求めるくさび形切削法(wedge cut)がある。
 磁気法には,永久磁石と強磁性の素地との間の磁気吸引力を測定する磁気プルオフ膜厚計(magnetic pull-off gauge),強磁性の素地に電磁石が接近するときに磁場中で起こる電磁誘導による磁気誘導膜厚計(megnetic-induction gauge),導電性素地中の高周波渦電流によって生じた磁場の変化かラ求める渦電流膜厚計(eddy-current gauge)がある。
 放射線法には,素地からの放射線反射を利用するβ線後方散乱法(beta backscatter method)があり,音響法には,音波の伝達時間差を利用する超音波膜厚計(ultrasonic thickness gauge)がある。
 関連ページ : 防食基礎:腐食試験・厚み測定 ,  塗装概論:塗装施工管理 ,  塗装概論:新設時塗装管理(膜厚管理) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(塗装作業) ,  塗装概論:塗替え塗装管理(竣工検査) ,  防食塗装系:塗替え塗装 ,  
 用語一覧へ

 【乾燥密度】( dry density )
 土壌の物性を示す場合に用いられ,土粒子のみを考慮した密度をいう。すなわち,土粒子の質量/土塊の体積 ⇒ 密度
 関連ページ : 鋼の腐食:土壌について ,  
 用語一覧へ

 【干潮位(L.W.L)】( low water level )
 干潮とは,主として月と太陽の起潮力によって潮位が極小となった状態。多くの海岸で1日2回ずつ現れる。
 関連ページ : 鋼の腐食:海洋腐食環境区分 ,  
 用語一覧へ

 【管継手(配管用アルミニウム及びアルミニウム合金製突合せ溶接式管継手)】( Aluminium and aluminium alloy butt-welding pipe fittings )
 アルミニウム及びアルミニウム合金管の配管に突合せ溶接によって取り付けるアルミニウム及びアルミニウム合金製の継目なし及び長手継目をもつ管継手について,JIS B 2321「配管用アルミニウム及びアルミニウム合金製突合せ溶接式管継手:Aluminium and aluminium alloy butt-welding pipe fittings」に規定されている。
 関連ページ : 金属概論:アルミ関連JIS規格 ,  
 用語一覧へ

 【関東大震災】( the great Kanto earthquake disaster )
 大正12(1923)年9月1日午前11時58分に発生した相模湾一帯を震源とするマグニチュード 7.9 の巨大地震,台風の影響で火災が広がり,死者・行方不明者は約 10万5千人,建物の全半壊・焼失は約 37万棟。
 関連ページ : 塗料概論:塗料工業の黎明期 ,  
 用語一覧へ

 【ガントリークレーン】( gantry crane )
 港湾の荷さばき施設の一つで,橋型クレーン,門型起重機,ブリッジクレーンともいわれ,一般的には,レール上を移動可能な門型の大型クレーンを指す。
 関連ページ : 社会資本:港湾設備 ,  
 用語一覧へ

 【官能検査】( sensory evaluation )
 物理的,化学的方法によらず,人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で製品の品質を判定する。
 関連ページ : 塗料評価:塗膜の外観 ,  塗膜の評価:測色(色差) ,  
 用語一覧へ

 【γオキシ水酸化鉄】( γ iron(III) oxide-hydroxide )
 オキシ水酸化鉄の一種,γ-FeOOH,鱗鉄鋼,レピドクロサイト(lepidocrocite)と呼ばれる。⇒ オキシ水酸化鉄,レピドクロサイト
 関連ページ : 鋼の腐食:腐食生成物 ,  
 用語一覧へ

 【γ酸化第二鉄】( γ iron(III) oxide )
 三価鉄の酸化鉄(γ-Fe2O3),γ酸化鉄(Ⅲ),磁赤鉄鋼,マグヘマイトともいう ⇒ 酸化鉄
 関連ページ : 鋼の腐食:腐食生成物 ,  
 用語一覧へ

 【ガンマ(γ)層】( γ layer )
 溶融亜鉛めっき鋼のめっき最下層の鉄と亜鉛の合金層である。通常観察されることは少ないが,鉄素地に接した非常に薄い層である。その結晶構造は,立方晶系で,Fe3Zn10 と考えられている。
 関連ページ : 金属概論:溶融亜鉛めっき層の構造 ,  
 用語一覧へ

 【干満帯】( tidal zone )
 読み「かんまんたい」潮間帯(intertidal zone)ともいい,高潮線と低潮線との間をいう。干満帯は,潮汐の変化により,上部から大潮最大満潮線,大潮平均満潮線,小潮平均満潮線,平均潮位,小潮平均干潮線,大潮平均干潮線,大潮最低干潮線にも区別される。
 関連ページ : 鋼の腐食:海洋環境(環境区分) ,  鋼の腐食:海洋環境腐食 ,  防食基礎:有機ライニングとは ,  
 用語一覧へ

 【関門鉄道トンネル】( kanmon (railway) tunnel )
 山陽本線 下関駅 - 門司駅間にある海底トンネルの名称。世界初の海底鉄道トンネルで1942年(昭和17年)に運転開始,1944年(昭和19年)に複線化。
 関連ページ : 社会資本:鉄道の変遷 ,  
 用語一覧へ

 【貫粒割れ】( transcrystalline crack, transgranular cracking )
 多結晶体とも呼ばれる微小な結晶の集合した実用金属材料の割れの形態は,結晶粒界に沿って進行する粒界割れ,結晶粒の内部に進行する貫粒割れ(粒内割れ)に分けられる。
 関連ページ : 鋼の腐食:応力腐食割れ ,  鋼の腐食:腐食疲労 ,  
 用語一覧へ

 【顔料】( pigment )
 一般に水や有機溶剤に溶けない微粉末状で,光学的,保護的又は装飾的な性能によって用いられる物質。無彩又は有彩の,無機又は有機の化合物で,黄色,補強,増量などの目的で塗料,印刷インキ,プラスチックなどに用いる。屈折率の大きいものは隠ぺい力が大きい。
 備考:特殊な場合には,例えば,防せい顔料では,ある程度の水溶性が必要とされることがある。【JIS K5500「塗料用語」】
 参考追記:塗料に用いる顔料は,期待する性能で,着色顔料,さび止め顔料,体質顔料,特殊機能顔料などに分けられる。
 不溶性の固体物質で,微粉末の着色体。【JIS H0201「アルミニウム表面処理用語」】
 着色目的で,水や溶剤に溶解する染料とは区別される。
 関連ページ : 防食基礎:塗料の構成 ,  塗料概論:塗料とは ,  塗料概論:塗料の分類(材料) ,  塗料概論:防せい:体質顔料 ,  塗料概論:着色顔料 ,  塗膜の評価:化学的性質とは ,  防食塗装系:鋼橋の防食設計 ,  
 用語一覧へ

 【顔料体積率(PVC)】( pigment volume concentration )
 頭文字を取り PVC(ぴーぶいしー)と略称される。塗料の不揮発分全体の容積の中で,顔料,及び/又は体質顔料,及び/又はその他の非塗膜形成要素の固体粒子全体の容積が占める百分率で表した割合。塗膜の性質を同種の塗料間で比較するのに役立つ。【JIS K5500「塗料用語」】
 臨界顔料体積濃度(critical pigment volume concentration ;C.P.V.C.)とは,固体粒子間の空げきがバインダーでちょうど充てんされて,その近傍で,ある種の塗膜の性質が急激に変化する顔料体積濃度の値。それを超えると,顔料粒子をつなぐバインダーが不足して塗膜が多孔質になり始める。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料各論:ジンクリッチ塗料の特徴 ,  
 用語一覧へ

 【顔料分散剤】( dispersing agent, dispersant )
 塗料の添加剤として用いられるものは,ビヒクルの中で顔料の表面に吸着されて,顔料のビヒクルに対する湿潤性を増して顔料の分散性を助長する薬剤。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 塗料概論:塗料副要素(添加剤) ,  
 用語一覧へ

 【関連知覚色】( related perceived colour )
 他の色と相互に関連して見えている面に属するように知覚される色。例えば,通常の背景又は周囲視野とともに相互に関連して知覚される色。【JIS Z8105「色に関する用語」】
 関連ページ : 塗膜の評価:色の目視比較