防食概論:防食の基礎

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          【有機ライニングとは】

 陸上鋼構造物への適用例は少ないが,土壌環境や海洋環境では有機ライニングした鋼材の適用事例が多い。
 塗料・塗装と有機ライニングを区別する明確な定義はない。一般的には,被覆膜の厚みで区分される例が多い。多くの技術者は,500μm程度までを塗装,それ以上を有機ライニングと称している。
 また,材質に関しても,塗装との明確な区分はないが,一般的には,耐薬品性が高く,一度の施工で厚く被覆できる有機高分子材料が用いられている。
 有機ライニングは,一回で厚く施工するため,一般的な塗装に比較して,特殊な設備を必要とする場合が多く,複雑な形状の構造物に対する適用性に劣る。
 このため,腐食性の著しく高い環境や点検・補修が困難な環境で用いる単純な形状の部材に用いられる例が多い。例えば,海洋構造物に用いる鋼杭干満帯から飛沫帯の部分,地中埋設の鋼管や鋼杭などでの実用例がある。
 
 【地中埋設管】
 地中埋設管は,一旦埋設すると,損傷や腐食状況を観察できない容易に補修できないなどの理由から,有機ライニング工法が開発される前から,塗装と布とを組み合わせ,厚く被覆する防食対策が実施されていた。
 現在は,有機高分子材料を厚く被覆するライニング工法が主流となっている。次には,水道鋼管の被覆に関する規格を示す。
 なお,JIS は日本工業規格,JWWA は(社)日本水道協会の協会規格,WSP は日本水道鋼管協会の協会規格を意味する。
    JIS G 3452-3 「水輸送用塗覆装鋼管-第3部 外面プラスチック被覆」
    JIS G 3447-4 「水輸送用塗覆装鋼管-第4部 内面エポキシ樹脂塗料」
    JWWA K135 「水道用液状エポキシ樹脂塗料塗装方法」
    JWWA K151 「水道用ポリウレタン被覆方法」
    JWWA K152 「水道用ポリエチレン被覆方法」
    JWWA K153 「水道用ジョイントコート」
    JWWA K157 「水道用無溶剤形エポキシ樹脂塗料塗装方法」
    WSP 047 「水道用プラスチック被覆鋼管」
 
 【海洋構造物】
 港湾・海洋構造物は,【鋼の腐食】・【海洋環境の腐食】で解説したように,海水面との位置関係で腐食特性が著しく異なる。海中部は,電気抵抗の低い海水で常に覆われているので,電気防食が有効に機能する。
 しかし,干満帯から飛沫帯は,濡れと乾燥が繰り返され,電気防食を行っても期待する効果が得られない。そこで,高い遮断機能を期待した被覆による防食対策が広く用いられている。
 港湾・海洋構造物に適用される被覆工法は,塗装,有機ライニング,無機ライニングに分けられる。
 (財)沿岸技術研究センターの監修する「港湾鋼構造物防食・補修マニュアル」(平成9年)によると,部位別,期待耐用年数別の適用について,次の被覆工法や材料が推奨されている。
塗装
 ① 無機ジンクリッチペイント+エポキシ樹脂塗料,② 無機ジンクリッチペイント+タールエポキシ樹脂塗料,③ ガラスフレーク入り塗料
有機ライニング
 ① ポリエチレンライニング,② ウレタンエラストマーライニング,③ 超厚膜形ライニング,④ 水中施工型ライニング(水中施工できる塗料やパテを塗付け,その上に保護カバー),⑤ ペトロラタムライニング(石油系のワックスを含む布を巻き付け,その上に保護カバー)
無機ライニング
 ① モルタルライニング(保護カバー有り),② モルタルライニング(保護カバー無し),③ クラッド鋼(チタン,ステンレス鋼),④ 耐食性金属巻(モネルメタル等)

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