腐食概論:腐食の基礎

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  【化学反応式とは】

 自然現象の科学的解釈では,必ず従わなければならないルールとして,エネルギー保存の法則と呼ばれる熱力学第一法則(the first law of thermodynamics),とエントロピー拡大の法則と呼ばれる熱力学第二法則(the second law of thermodynamics)がある。
 
 化学反応とは,原子間,分子間,又は原子・分子間での電子の授受を行う現象であり,当然のこととして,熱力学上の法則に従う。
 さらに,化学反応を扱う場合は,反応前後の質量が維持される質量保存の法則(law of conservation of charge),反応前後の元素の質量比が常に変わらない定比例の法則(law of definite proportions)倍数比例の法則(law of multiple proportions),及び反応前後で電荷の総量が変わらない電荷保存則(law of conservation of charge)に従うことも求められる。
 
 例えば,塩酸を水酸化ナトリウムで中和し,塩化ナトリウムと水を生成する化学反応式(中和反応(neutralization))は,
    HCl+NaOH → NaCl+H2O
と書き表されることが多い。なお,矢印の左側を反応前の反応物(reactants),右側を反応後の生成物(products)という。
 上記反応式は,化学を専攻する者にとって常識とされる水溶液中での反応過程を省略した簡易式になっている。水溶液中では,反応の途中段階で,塩酸と水酸化ナトリウムは,水和(水和過程は省略)した後に,正負のイオンに解離し,
    HCl+NaOH → H++Cl-+Na++OH-→NaCl+H2O
となる。反応前の原子数は,水素 2原子,塩素とナトリウムと酸素がそれぞれ 1原子である。質量保存の法則,定比例の法則に従うため,水溶液中の反応であっても,生成物として水分子(H2O)を省略しないで表記される。
 
 別の反応例として,塩化物イオンを二酸化マンガンで酸化し塩素ガスを発生させる反応(酸化還元反応(oxidation-reduction reaction))を次に示す。
   2Cl-+MnO2+4H+ → Cl2+Mn2++2H2O
 これは,-1価の塩化物イオン(Cl-)が酸化され,0価の塩素ガス(Cl2)になり,二酸化マンガン(MnO2:マンガンの電荷+4価)が還元され+2価のマンガンイオン(Mn2+)になる酸化還元反応である。反応式前後の電荷の総数は,反応物の+2(=-2+4)に対し生成物の+2と変化がなく,電荷保存則が成立している。
 これらの化学反応のように,多くの場合は,均質な溶液中において,反応物の分子がランダムに運動し,あるタイミングで分子同士が衝突するその瞬間に,電子の移動が起こり生成物が形成される過程を経ている。

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  【主な用語の概説】

 熱力学第一法則(the first law of thermodynamics)
 「孤立した系にあってはエネルギーの総和はどのような変化に対しても常に一定に保たれる。」と表現され,一般にエネルギー保存則とも呼ばれる。
 熱力学第二法則(the second law of thermodynamics)
 「熱は単独に低温の物体から高温の物体に移ることはない。」又は「断熱系において不可逆変化が生じた場合,そのエントロピーは増大する。」などと表現され,一般にはエントロピー増大則とも呼ばれる。
 熱力学第三法則(the third law of thermodynamics)
 「完全結晶のエントロピーは絶対零度ではすべて等しくなる。」という熱力学の基本法則の一つである。絶対零度は,熱力学的温度表示の 0度=-273.15℃である。熱力学的温度の単位には K(ケルビン)が用いられる。
 質量保存の法則(law of conservation of mass)
 「化学反応の前後で,関与する元素の種類と各々の物質量は変わらない。」と表現される。
 定比例の法則(law of definite proportions)
 「化学反応に関与する物質の質量の割合は,常に一定である。」と表現される。
 倍数比例の法則(law of multiple proportions)
 「同じ成分元素 A,Bからなる 2つの化合物 X,Yにおいて,同じ質量のAを含むX,Yでは,それぞれに含まれる Bの質量は簡単な整数比をなす。」と表現される。例えば,一酸化炭素と二酸化炭素では炭素に対しして酸素の質量割合は整数倍( 2倍)になることを意味する。
 電荷保存則(law of conservation of charge)
 「電荷の総量は永遠に変わらない。」と表現される。
 中和反応(neutralization)
 酸と塩基から塩を形成する化学反応で,酸・塩基反応ともいう。
 酸塩基反応(acid-base reaction)
 酸塩基の反応とは,塩を形成する化学反応をいう。
 アレニウスの定義による酸と塩基の反応では,水と金属塩を生成する。ブレンステッド・ローリーの定義による酸と塩基の反応では,金属塩に限定されず,必ずしも水の生成を伴わない反応で,非水溶液での反応も扱える。
 酸化還元反応(oxidation-reduction reaction)
 反応物から生成物が生じる化学反応において,物質間で電子の授受のある反応である。酸化還元反応では,ある物質の酸化過程と他の物質の還元過程が同時並行する。すなわち,一般にいうところの「酸化反応」と「還元反応」は,対象物質を見る立場で,現象の説明を容易にするために用いる便宜的な用語であり,それらを別個に扱うことはできない。
 酸化還元(oxidation-reduction)
 酸化( oxidation )とは,原子が電子を失うことであり,単体のときより電子密度が低くなった状態である。失った電子の数を正 ( + ) の酸化数とする。
 還元( reduction )とは,逆に電子を受け取ることで電子密度が高くなった状態である。受け取った電子の数を負 ( - ) の酸化数とする。

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