腐食概論:腐食の基礎

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  【環境による分類】

 腐食現象は,図に示すように,金属を取り巻く環境で分類できる。

腐食の環境による分類

腐食の環境による分類

 環境による分類では,腐食現象に水が関与するか否かで大別される。金属表面に液体状の水の存在で起こる腐食を湿食(wet corrosion)といい,比較的低い温度で広く観察される一般的な腐食現象である。
 液体状の水の作用を受けることなく,腐食性の気体(高温の水蒸気や酸素,及び酸化性ガスなど)と直接反応する腐食を乾食(dry corrosion)という。
 
 湿食に分類されるものには,地表付近の大気中で気象因子の影響を受ける大気腐食(atmospheric corrosion),河川水,湖沼水,上水,地下水などの淡水中で起きる淡水腐食(corrosion in fresh water),海や塩水湖などの海水中で起きる海水腐食(corrosion in sea water),埋設された杭,管やケーブルなどの土壌中で起きる土壌腐食(soil corrosion)に分けられる。
 
 乾食に分類されるものに,ボイラや発電設備などの高温の水又は水蒸気による高温水腐食(high temperature corrosion),焼却炉や化学プラントなどの液体の水の存在しない場でのガス腐食(gaseous corrosion)などがある。

  【用語の概説】

 腐食(corrosion)
 金属がそれをとり囲む環境物質によって,化学的又は電気化学的に侵食されるか若しくは材質的に劣化する現象。【JIS Z 0103「防せい防食用語」
 環境(environment)
 広辞苑では,“① めぐり囲む区域,② 四囲(周囲,周り)の外界。周囲の事物。特に,人間または生物をとりまき,それと相互作用をおよぼし合うものとしてみた外界。自然的環境と社会的環境とがある。”と解説している。
 大辞林では,“① 取り囲んでいる周りの世界。人間や生物の周囲にあって,意識や行動の面でそれらと何らかの相互作用を及ぼし合うもの。また,その外界の状態。自然環境の他に社会的,文化的な環境もある。② 周囲の境界。まわり。 ③ 動作中のコンピューターの状態。ハードウエア,ソフトウエア,ネットワークにより規定される。”と解説している。
 一般的には,地形,地質,土壌,陸水,海洋,気候,植生,動物などの総体としての自然環境,歴史,社会,経済,政治などの条件を問題にする人文環境に大別される。
 一方,地球環境,大気環境,水環境,土壌環境,高温環境,電磁環境,腐食環境など,限定した範域や側面で捉えた環境分類もある。
 湿食(wet corrosion)
 読み「しつしょく」,液体状の水が存在するために起こる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 金属表面の濡れ,結露,吸着など液体状の水が存在する比較的低い温度で見られる一般的な金属の腐食。
 乾食(dry corrosion)
 読み「かんしょく」,液体状の水の作用を受けることなく,腐食性の気体と反応して生じる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 例えば,水が関与しない高温の空気,反応性ガスによる特殊環境での腐食。
 大気腐食(atmospheric corrosion)
 読み「たいきふしょく」,大気中で起きる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 大気中の水(水蒸気,降雨)で金属表面に薄い水膜が形成し,水膜に溶け込んだ酸素の還元で腐食反応が進む。
 大気中では,乾食に分類されるかわき大気腐食,湿食に分類される薄い水膜(大気中の水蒸気の付着)による湿り大気腐食,厚い水膜(結露や降雨)による濡れ大気腐食に分けられる。
 最も身近に観察されるのが濡れ大気腐食で,水膜に溶け込んだ酸素の還元で腐食反応が進む。工場や海に近い環境など大気に含まれる汚染物質,特に水に溶けてイオンとなる電解質が大きい環境では実用上で不都合な速さで腐食が進行することが知られている。
 淡水腐食(corrosion in fresh water)
 読み「たんすいふしょく」,河川水,上水,地下水などの淡水中で起きる腐食の総称である。
 海水腐食(corrosion in sea water)
 読み「かいすいふしょく」,海水中で起きる腐食の総称である。海水面からの深さで腐食速度が異なるのが特徴である。
 土壌腐食(soil corrosion)
 読み「どじょうふしょく」,土壌中で起きる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 土質の違い,通気性の違いなどによるマクロ腐食電池形成による腐食,微生物の影響を受けた腐食などがある。人工的な環境として,電車線路や高圧線からの漏れ電流による埋設管などの局部的腐食を特に迷走電流腐食(電食)(stray current corrosion)と呼ぶ。
 マクロ腐食電池(macro-galvanic cell)
 マクロセルともいわれ,アノードとカソードがはっきりと区別できる程度の大きさをもち,その位置が固定されている腐食電池をいい,異種金属接触電池,通気差電池などがこれに属する。【JIS Z 0103「防せい防食用語」】
 迷走電流腐食(stray current corrosion)
 正規の回路以外のところを流れる電流によって生じる腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 直流電鉄の線路付近の線路から漏れた電流による埋設鋼管などの局部的腐食として問題となる腐食現象である。
 高温水腐食(high temperature corrosion)
 高温の水又は水蒸気による腐食で,一般にはボイラの腐食という。高温高圧下では酸素がなくても水と金属が直接反応して腐食が起こる。
 ガス腐食(gaseous corrosion)
 液体の水の存在しない場での腐食現象を総称してガス腐食という。単に乾食ということもある。

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