腐食概論:腐食の基礎

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  【環境による分類】

 腐食現象は,図に示すように,金属を取り巻く環境で分類できる。

腐食の環境による分類

腐食の環境による分類

 第一に,腐食現象に水が関与するか否かで分類され,金属表面に液体状の水の存在で起こる腐食を湿食といい,比較的低い温度で広く観察される一般的な腐食現象である。
 液体状の水の作用を受けることなく,腐食性の気体(高温の水蒸気や酸素,及び酸化性ガスなど)と直接反応する腐食を乾食という。
 湿食に分類されるものには,地表付近の大気成分,気象因子の影響を受ける大気腐食,河川水,湖沼水,上水,地下水などの淡水中で起きる淡水腐食,海水中で起きる海水腐食,土壌に埋設された杭,管やケーブルで起きる土壌腐食に分けられる。
 乾食に分類されるものに,ボイラや発電設備などの高温の水又は水蒸気による高温水腐食,焼却炉や化学プラントなどの液体の水の存在しない場でのガス腐食などがある。

 【腐食現象の概要】

  • 湿食(wet corrosion)
     金属表面に,液体状の水が存在するために起こる金属の腐食。比較的低い温度で見られる一般的な金属の腐食。
  • 乾食(dry corrosion)
     液体状の水の作用を受けることなく,腐食性の気体と反応して生じる金属の腐食。例えば,水が関与しない高温の空気,反応性ガスによる特殊環境での腐食。
  • 大気腐食(atmospheric corrosion)
      大気中で起きる金属の腐食の総称である。大気中の水蒸気で金属表面に薄い水膜が形成し,水膜に溶け込んだ酸素の還元で腐食反応が進む。部位や気象条件により,結露や降雨により表面に厚い水膜が形成することもある。
     腐食速度には,大気の汚染物質,特に水に溶けてイオンとなる電解質が大きく影響する。
  • 淡水腐食(corrosion in fresh water)
     河川水,上水,地下水などの淡水中で起きる腐食の総称である。
  • 海水腐食(corrosion in sea water)
     海水中で起きる腐食の総称である。海水面からの深さで腐食速度が異なるのが特徴である。
  • 土壌腐食(soil corrosion)
     土壌中で起きる腐食の総称である。土質の違い,通気性の違いなどによるマクロセル形成による腐食,微生物の影響を受けた腐食などがある。人工的な環境として,電車線路や高圧線からの漏れ電流による埋設管などの局部的腐食を特に電食と呼ぶ。
  • 高温水腐食(high temperature corrosion)
     高温の水又は水蒸気による腐食で,一般にはボイラの腐食という。高温高圧下では酸素がなくても水と金属が直接反応して腐食が起こる。
  • ガス腐食(gaseous corrosion)
     液体の水の存在しない場での腐食現象を総称してガス腐食という。単に乾食ということもある。

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