社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,ハ行 “ふ”の用語を ふあ~ふさ, ふし, ふす~ふつ, ふて~ふら, ふり~ふん に分けて紹介する。
用語の概要と関連ページ
【フタル酸樹脂(塗料)】( phthalic resin coating, alkyd resin coating )
無水フタル酸を原料とするアルキド樹脂を塗膜形成要素とする塗料。耐候性が優れている。フタル酸樹脂エナメル。【JIS K5500「塗料用語」】 ⇒ アルキド樹脂,ポリエステル樹脂
関連ページ : 塗料概論:塗料の近代化 , 塗料概論:塗料の分類(材料) , 塗料各論:長油性フタル酸樹脂塗料 , 塗料各論:JISフタル酸樹脂塗料 , 塗料評価:合成調合ペイント中塗り用 , 塗料評価:上塗り(合成樹脂調合ペイント) ,
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【フタロシアニン顔料】( phthalocyanine pigment )
フタロシアニンと呼ばれる 4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物(テトラアザポルフィリン環)で青色~緑色の有機顔料。
銅フタロシアニンは中心金属として銅をもつ青色顔料,フタロシアニングリーンは,銅フタロシアニンの周囲の芳香核をポリクロル化した緑色顔料。
関連ページ : 塗料概論:着色顔料 ,
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【付着安定性】( interlayer adhesion )
JIS K5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」に規定される品質で,紫外線の影響を受けた塗膜に中塗り塗料を塗り重ねたときの付着性で,中塗り塗料の品質;層間付着性Ⅰに相当する下塗り塗料の品質を付着安定性という。⇒ 層間付着性
関連ページ : 塗料各論:非鉛系さび止めペイント , 塗料評価:鉛・クロムフリーさび止めペイント , 塗膜の評価:下塗り塗料 , 塗膜の評価:品質試験 ,
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【付着塩分量】( adhered salt content )
表面に付着・残留した飛来塩分の量。⇒ 飛来塩分
関連ページ : 塗装概論:塗替え塗装工程 , 塗装概論:新設時塗装管理(塗装作業) , 塗装概論:塗替え塗装管理(素地調整) , 塗装概論:塗替え塗装管理(塗装準備) , 防食塗装系:塗替え塗装 ,
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【付着性】( adhesive property, adhesion, adhesion test )
塗膜が下地面に付着して離れにくい性質。 【JIS K5500「塗料用語」】
塗膜の付着性を評価する JIS試験規格として,プルオフ法(Pull-off test)とクロスカット法 (Cross-cut test) が規定されている。
プルオフ法とは,引張試験機を用いて,試験板に垂直の方向に加えた引張力で生じる塗膜のはがれ,又は破れに必要な最小の張力の測定によって,塗料,ワニス若しくは関連製品の単一塗膜,又は多層塗膜系の付着力を評価する方法である。試験法については,JIS K 5600-5-7「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第7節:付着性(プルオフ法)」に規定されている。
クロスカット法は,塗膜に素地まで貫通する直角の格子パターンを刻み込んだとき,素地からのはく離に対して塗膜の耐性を評価する試験方法である。この方法は,塗膜付着の各要因の中から特に,下塗り又は基板いずれかへの付着性に左右される特性を評価できるが,付着性の定量的な測定手段とみなしてはならない。試験法については,JIS K 5600-5-6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定されている。
関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 , 塗装概論:塗替え塗装工程 , 塗装概論:塗替え塗装管理(素地調整) , 塗装概論:塗替え塗装管理(塗装準備) , 塗料評価:品質試験の項目と手順 , 塗料評価:付着性 , 塗膜の評価:塗膜品質の分類 , 塗膜の評価:機械的性質とは , 塗膜の評価:付着性 ,
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【付着;接着】( adherence )
二つの表面が界面に働く力でつなぎ合わされている状態。注−付着は接着剤を使用し,又は使用しないでも達成できる。【JIS K 6900[プラスチック用語」】
関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 , 塗料評価:付着性 ,
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【付着強さ】( adhesive strength )
乾燥した塗膜と素地との間の付着力の総和。JIS K 5600-5-6, JIS K 5600-5-7参照。備考 素地は未塗装又は既塗装でもよい。【JIS K 5500「塗料用語」】
ライニングの付着強さに用いられる試験方法の JIS H 8300「亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射」の附属書A「密着性試験方法」A.2.2「引張密着強さ試験方法(A法)」は,塗膜の付着性を評価するJIS K 5600-5-7「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第7節:付着性(プルオフ法)」と同等の方法で,一般的には円形のジグを張り付け,ばね式などの引張り試験機(例えばアドヒージョンテスター)を用いて破断時の最大荷重を求め,用いたジグの断面積から応力を求める方法で評価する。
⇒ 付着性
関連ページ : 防食基礎:ライニング皮膜の品質 , 塗料評価:付着性 ,
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【ブチルセロソルブ】( butyl cellosolve )
エチレングリコールモノブチルエーテル(ethyleneglycol monobutyl ether),2-ブトキシエタノール(2-butoxyethanol),示性式 CH3CH2CH2CH2OCH2CH2OH ,沸点 171℃の無色液体。
関連ページ : 塗料概論:溶剤類 ,
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【普通鋼】( common steel, ordinary steel, plain steel )
一般的には,炭素鋼(炭素含有率 0.02~約 2%の鋼)の中で,炭素含有量 0.6%以上で広く利用されているものをいう。⇒ 炭素鋼
関連ページ : 金属概論:鉄鋼(分類) ,
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【復旧性】( restoration )
構造物の機能を使用可能な状態に保つ,あるいは短期間で回復可能な状態にとどめるための性能。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
関連ページ : 橋梁関連の基礎用語 ,
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【ふっ素化樹脂共重合体】( )
部分ふっ素樹脂あるいは完全ふっ素樹脂との共重合体をいう。共重合とは,2種類以上のモノマーを用いて行う重合で,これにより生成したポリマーを共重合体 (copolymer) と呼ぶ。
ペルフルオロアルコキシアルカン樹脂(PFA:tetrafluoroethylene – perfluproalkylvinylether copolymer,パーフルオロアルコキシアルカン,又は四ふっ化エチレン-フロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂ともいう),及びペルフルオロ(エチレン-プロピレン)プラスチック(FEP:fluorinated ethylene – propylene copolymer,テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン,四ふっ化エチレン-六ふっ化プロピレン共重合樹脂ともいう),エチレン/テトラフルオロエチレンプラスチック(E/TFE:ethylene – tetrafluoroethylene copolymer,エチレン-四ふっ化エチレン共重合樹脂ともいう)などがある。
関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂とは ,
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【ふっ素含有ポリオール】( )
クロロフルオロエチレン(例えばF2C=CFCl)とビニルエーテル類との交互共重合からなる溶剤に可溶なポリオール樹脂(フルオロエチレンビニルエーテルFEVEなど)である。一般的に常温硬化形ふっ素樹脂塗料と称される塗料の原料でもある。
関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂塗料(ポリオール硬化形) ,
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【ふっ素系樹脂】( fluorocarbon polymers )
フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂の総称である。耐熱性耐薬品性の高さや摩擦係数の小さいことが特徴である。デュポン社の商標「テフロン®」が有名でフッ素樹脂の代名詞となっている。中でも最も大量に生産されているフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン〈四フッ化樹脂〉である。フッ素樹脂にはフッ素化により次の分類がある。
完全フッ素化樹脂 :ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂,略号:PTFE)
部分フッ素化樹脂:ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂,略号:PCTFE, CTFE),ポリフッ化ビニリデン(略号:PVDF),ポリフッ化ビニル(略号:PVF)
フッ素化樹脂共重合体: ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(略号:PFA),四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(略号:FEP),エチレン・四フッ化エチレン共重合体(略号:ETFE),エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(略号:ECTFE)
常温硬化型のふっ素樹脂塗料(塗料名称では,JIS規格を含め,ひらがな表記が標準)には三フッ化又は四フッ化形のフルオロエチレンビニルエーテル樹脂(FEVE)とイソシアネートで硬化するタイプが多く用いられている。
関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂とは , 防食基礎:有機高分子材料 , 防食基礎:有機ライニングの要求性能 ,
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【ふっ素樹脂塗料】( fluoropolymer coatings )
ふっ素含有ポリウレタン樹脂塗料⇒ ポリウレタン樹脂塗料
関連ページ : 塗料各論:ポリウレタン樹脂塗料(ポリオール硬化形) , 塗料各論:JIS耐候性塗料 , 塗料各論:ふっ素樹脂塗料 , 塗料各論:ふっ素樹脂塗膜性能 , 塗料評価:上塗り塗料 , 塗料評価:上塗り(鋼構造物用耐候性塗料) , 塗膜の評価:上塗り塗料 ,
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【ふっ素プラスチック】( fluoro plastic )
1個又はそれ以上のふっ素原子(F)を含む単量体で製造する重合体,又はそのような単量体とその他の単量体との共重合体で,そのふっ素含有単量体が質量で最大量存在するものを主成分とするプラスチック。【JIS K 6900「プラスチック−用語」】
関連ページ : 塗料各論:ふっ素樹脂とは ,
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【物体(知覚)色】( object-color )
対象物体に属しているように知覚される色。【JIS Z8105「色に関する用語」】
物体色には,一次光源として光を発している面に属しているか,又はその光を鏡面反射しているように知覚される発光色(luminous colo(u)r),二次光源として光を透過又は反射している面に属しているように知覚される非発光物体色(non-luminous colo(u)r)がある。
関連ページ : 塗膜の評価:色の目視比較 ,
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【物体色】( object-color )
対象物体に属しているように知覚される色。【JIS Z8105「色に関する用語」】
物体色には,一次光源として光を発している面に属しているか,又はその光を鏡面反射しているように知覚される発光色(luminous colo(u)r),二次光源として光を透過又は反射している面に属しているように知覚される非発光物体色(non-luminous colo(u)r)がある。
関連ページ : 塗料概論:着色顔料 , 塗膜の評価:視覚特性とは ,
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【物理蒸着】( physical vapor deposition )
高温加熱,スパッタリングなどの物理的方法で物質を蒸発し,基板に凝縮させ,薄膜を形成する方法。略称:PVD。
参考:真空蒸着,イオンプレーティング,スパッタリングなどの総称。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
関連ページ : 防食基礎:金属被覆(分類) ,
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【不動態】( passive state )
これまでの文献等では,用語として不働態を用いていたが,現在は,JIS 用語を含め,不動態(passive state)を用いる例が多い。
標準電位列で卑な金属であるにもかかわらず,電気化学的に貴な金属であるような挙動を示す状態。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
本来,ひ(卑)である電極電位を示し,不安定であるべき金属があたかも貴である金属のように振る舞う状態。この状態では,電極電位も貴の値を示す場合が多い。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
一般的には,金属をとり囲む環境の影響で,電気化学列で卑な金属(腐食しやすい金属)が,表面を酸化物で覆われるなどして本来の活性を失い,貴な金属のように挙動する状態を不動態といい,この状態になることを不動態化(passivity)と理解されている。
不動態化は,酸化力のある酸にさらされた場合,陽極酸化処理によっても生じる。不動態となる酸化被膜(不動態被膜)の典型的な厚みは,数 nm である。
すべての金属が不動態となるわけではなく,不動態になりやすいのは,アルミニウム,クロム,チタンなどやその合金である。
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