腐食概論:腐食の基礎

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  【均一腐食:腐食反応】

 【腐食の開始と継続】で解説したように,金属表面に露出する結晶粒界や転位等の欠陥部がアノードとなり腐食が開始する。
 アノードの周辺がカソードとなり腐食が進行する段階で,次の変化が起きる。
  ① アノード:金属イオン(例えば Fe2+)の生成・離脱,pHの低下,金属表面の形状変化(表面の溶失)。
  ② カソード:水酸化物イオン(OH-)の生成,pHの上昇,周辺の溶存酸素濃度低下。
 アノードで生成した金属イオンは,腐食反応の進行に従い濃度が増加する。しかし,加水分解,酸化を受けて徐々に固体の腐食生成物として水膜から除去される。
 このことは,金属イオンの増加量には,環境に応じたある限界値(平衡値)が存在することを意味する。
 例えば,鉄イオンは,水膜のpHが強酸性のときは,水和したアコイオン(Fe2+ (aq))として安定に存在できるが,中性領域では,加水分解を受け固体の腐食生成物(2価鉄の水酸化鉄(Ⅱ)(Fe(OH)2・nH2O)として水膜から除かれる。
 このとき,加水分解反応で周辺の水膜でpH低下が起きる。
    加水分解:Fe2+(aq) → Fe(OH)2・nH2O+2H+
 pHが塩基性領域では,酸塩基反応で固体の水酸化鉄(Ⅱ)として水膜から除かれる。
    酸塩基反応:Fe2+(aq)+2OH- → Fe(OH)2・nH2O
 生成した水酸化鉄(Ⅱ)は,溶存酸素で酸化される。
    酸化反応:4Fe(OH)2+O2 → 4FeOOH+2H2O
 酸化が早い場合は,いわゆる錆の主成分である3価鉄の含水酸化鉄(FeOOH,オキシ水酸化鉄ともいう)になり,酸化が緩やかな場合は2価鉄と3価鉄の中間生成物(みどり錆など)を経由して,含水酸化鉄四三酸化鉄(マグネタイトFe3O4)などが生成する。
 このように,腐食が進むことで,アノードは表面形状の変化,水膜の酸性化,カソードでは溶存酸素濃度低下などが起き,腐食開始前に比較し,金属表面には,局部的な環境の不均一が発生する。
 
 ここでの水膜の変化をまとめると,
 ① 溶存酸素濃度:カソード表面の腐食反応で消費される。酸素濃度の低下はカソード≫アノードである。
 ② 金属イオン濃度:アノード表面から沖合に向い濃度勾配が生じる。沖合では加水分解,酸化還元等を受け,固体として除去(乾湿繰り返しの環境では,金属表面に沈着)される。
 ③ pH:アノードはpH低下,カソードはpH増加。
 となる。
 
 腐食の初期にアノードとカソードに,局部的な“環境の不均一”が生じる。この不均一が固定されると局部腐食になる。均一腐食になるためには,腐食の進行に伴う“環境の不均一”が固定されない条件が必要である。
 これ関しては,次で紹介する「表面の揺らぎ」のような変化が考えられる。

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