腐食概論:鋼の腐食

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    【鋼材の変遷】

 建築,橋,船舶,車両,及びその他の構造物用として強度,及び必要に応じて溶接性を重視して製造された構造用鋼材(steel for structure , structural steel)が用いられる。
 現代の鋼橋や大型建築物では, SS材と略称される一般構造用圧延鋼材(rolled steels for general structure)SN材と略称される建築構造用圧延鋼(rolled steels for building structure)SM材と略称される溶接構造用圧延鋼材(rolled steels for welded structure)SMA材と略称される溶接構造用耐候性熱間圧延鋼(hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure)金属めっき(metal plating)や金属溶射(metal spraying)などを施したの表面処理鋼板(surface treated steel sheet , surface treated steel plate)などが用いられる。
 金属被覆鋼の腐食問題は,被覆金属と鋼との関係(密着性,酸化還元電位など),及び被覆金属の腐食特性を分けて考える必要がある。

鋼橋に用いる鋼について

 鉄橋は,年代により用いられる材料が異なるため,主に用いられた材料による年代区分が用いられている。鋳鉄(cast iron)が主に用いられた 1770~1850年は鋳鉄橋,錬鉄(wrought iron)が主に用いられた 1850~1880年は錬鉄橋,錬鉄ベッセマー鋼(bessemer steel)が併用された橋梁が多い 1880~1896 年は錬鉄・鋼併用橋,ベッセマー鋼を主に用いた 1895年以降は鋼橋と区分される。なお,ベッセマー鋼を主に用いた時代(1895~1910年)と一般構造用圧延鋼材(rolled steels for general structure)を用いるようになった 1910年以降とを区別することも多い。
 
 1960年代までの鋼構造物は,リベット接合(rivet joint)の構造であった。このため,用いられる鋼材は,溶接性を考慮する必要のない一般構造用圧延鋼材(SS材)が用いられてきた。
 その後,接合に溶接接合(welding)を用いるようになり,SS材では溶接個所の品質に課題が出た。このため,溶接構造用圧延鋼材(SM材)が新たに規定され用いられるようになった。
 
 1980年代には,鋼構造物の維持管理負担の低減を目的に,腐食性の低い環境に限り,無塗装でも実用上問題とならない腐食量ですむ鋼材として,溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(SMA材)が用いられるようになった。
 最近では,設計技術の向上により,引張強度の高い炭素鋼の高張力鋼(high tensile strength steels)も用いられるようになってきている。
 このため,現存する鋼構造物は,耐用年数 60年といいつつ,適切な維持管理により 100年以上使用されるものもある。このため鋼構造物は,架設年代により,錬鉄,ベッセマー鋼,SS材,SM材,SMA材や高張力鋼が混在していることになる。
 なお,鋼材の詳細な組成や規格については,【金属概要】の「鉄および鋼」で解説している。

【参考】 
 高張力鋼とは
 鉄鋼メーカ毎に成分が異なり,明確な定義はないが,シリコン(Si),マンガン(Mn),チタン(Ti)など10数種類の元素を配合した炭素鋼である。一般には,概略で 490 MPa程度以上の引張強度のものから高張力鋼と呼ばれる。 主流は,引張強度 590 MPa,780 MPa程度のものであるが,1 GPa級のものもある。
 高張力鋼は,軽量化を目的に 1950年代以降の鉄道車両や自動車に多用されてきた。構造物に関しては,大型化や板厚の増加による構造の簡略化などを目的に適用を検討されてきている。
 ボルトの記号について
 構造物ではF10TS10Tボルトがよく用いられる。ボルトの記号の意味は次の通りである。
 最初の記号は,一般的には F は摩擦接合用(for Friction Grip Joints)を意味し,S は構造用(for Structural Joints)を意味する。しかし,土木分野では,高力六角ボルトに F を,これと区別するためトルシア形高力ボルトに S を用いている。
 数値の 10 は強さ 10ton・f・cm-2(100kgf・mm-2)を,は強さが引張り(Tensile Strength)であることを表している。

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