防食概論:防食の基礎

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          【防食設計の前提】

   構造物の設計段階では,まず基本的な要求性能を満足できるように検討される。このときに,はじめには,寸法,形状とそれに見合う材料強度が検討される。
 次の段階では,構造物の期待耐用年数(設計寿命)に応じた材料特性と維持管理について考慮される。この中で,金属材料の疲労寿命や耐食性は,使用環境との関連で考察することになる。
 金属疲労の寿命に関しては,多くの研究成果があり,使用材質,形状と想定される繰り返し荷重が決まれば,比較的正確に予測できる。
 一方,金属の腐食性や防食対策の長期耐久性に関して,定量的な評価を的確にできるほど研究は進んでいない。このため,防食対策の費用対効果を適切に評価するのが大きな課題になる。
 
 一般的に,要した経費に対して得られる効果は,下図の費用対効果曲線(模式図)で説明される。図に示すように費用対効果は非線形の応答を示すのが一般的である。
 下図を例えば,鋼材の防食対策経費に対する防食寿命(防食対策の更新までの期間など)とした場合に,費用の増加に比較して得られる効果の増加は徐々に小さくなる。
 ここで,問題となるのは,必要最小限の効果をどの段階に設定するかである。これを下回ると,将来に予期しない経費(大規模補修工事や取り換え工事など)が発生することになる。

費用対効果曲線

費用対効果曲線(模式図)

 図の例で,防食対策Aの寿命(赤線が,構造物の期待耐用年数と同等の寿命と仮定する。この場合は,1回の防食対策で構造物を腐食損傷から守ることができる。
 一方,防食対策Aの1/2の効果(寿命)の防食対策 Bを採用すると仮定すると,構造物の期待耐用年数の途中で防食機能を喪失するため,防食対策の更新が必要になり,構造物維持のため防食対策を 2回実施しなければならない。
 しかし,防食対策Aの経費に比較し,防食対策Bは1/4の経費で済む。従って,構造物の耐用期間中の防食対策経費は,物価変動など諸条件を無視すると,防食対策Aより大幅に低く抑えられることになる。
 防食設計では,防食対策の効果(寿命)や施工経費に加えて,防食対策更新の難易,物価変動,防食技術革新の見込み,建設後の維持管理計画など,構造物のライフサイクルを考慮した防食設計が求められる。

 蛇足:実用上では,防食対策の寿命設定が最も困難な課題である。使用実績の多い防食対策では,類似の実用ケースを参考に寿命を想定できる。新規の防食対策や参考となる使用実績が少ない場合は,暴露試験,促進暴露試験結果などを参考に寿命を予測せざるを得ない。このため,悪意のある担当者が,恣意的な試験結果のみを用いて結果を誘導することも可能である。防食対策選定の適否は,十年以上しないと判別できないケースが多く,不適切な選定と判明した時には,設計時の担当者はいないことが多い。

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