防食概論防食の基礎

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは“ ⇒ “防食概論(防食の基礎)” ⇒

  防食設計と分類

 防食設計時の要点

 鋼橋などの陸上鋼構造物を対象とした防食対策の設計では,想定される腐食現象別に,腐食損傷を受けた際の影響度を推定し,損失を最小限に抑えながら構造物の安全,高い健全度(soundness, integrity)を確保できる方法を検討しなければならない。

腐食現象の分類

腐食現象の分類

 構造物維持管理の観点から,腐食現象を分類した例を上図に示した。腐食発生個所や進展程度をある程度予測が可能な場合,腐食発生や程度が予測できない場合など,腐食の発生・進展の予測や検査方法,発生した場合の対応等を事前に検討しておくのが望ましい。
 このためには,架設地の環境の腐食性把握,構造物の期待耐用年数や防食対策に期待する耐久性などの設定,及び構造物の構造を考慮した維持管理上の制約条件把握が必要になる。
 【参考】
 腐食形態の例
 均一腐食(uniform corrosion)
 読み「きんいつふしょく」,金属表面にほぼ均一に生じる腐食。全面腐食ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 局部腐食(localized corrosion)
 読み「きょくぶふしょく」,金属表面の腐食が均一でなく,局部的に集中して生じる腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 局部的に集中して起こる腐食。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 金属種や腐食要因の違いで孔食,すき間腐食,異種金属接触腐食など様々ある。
 粒界腐食(intergranular corrosion)
 読み「りゅうかいふしょく」,金属材料の結晶粒界に選択的に生じる腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 一般的には,金属表面に腐食生成物が多量に堆積し目視で認識困難であるが,放置すると材料の破断などの原因になる。
 結晶粒の界面(結晶粒界)は,二つの結晶粒の格子が乱れた不連続領域になっている。結晶粒界は,結晶粒内部に比べて,不純物が入り込む機会が多く,金属の腐食にとって欠陥部として働き,甚だしい場合に局部腐食として問題となる。
 腐食割れ(dry corrosion)
 読み「ふしょくわれ」,腐食と応力の相乗効果で金属が応力単独の場合より早期に割れる現象。応力腐食割れ,腐食疲労などがある。
 目視では確認困難で,応力計測から予測される疲労寿命より著しく短い期間に疲労亀裂の発生や破断に至る場合がある。
 選択腐食(selective leaching)
 読み「せんたくふしょく」,脱成分腐食(dealloying)ともいわれる。特定の合金成分が選択的に溶解する腐食。黄銅から亜鉛が溶解する場合を脱亜鉛腐食(dezincification)という。【JIS Z0103「防せい防食用語」

  ページのトップへ