腐食概論:鋼の腐食

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         【耐候性鋼の適用】

  SM材(溶接構造用圧延鋼材;rolled steels for welded structure)の防食は塗装を基本とし,SMA材(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼;hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure)は架設環境の腐食性が低い場合に塗装せずに裸の状態(無塗装)で使用できる。SMA材(裸仕様)の適否は,架設環境の飛来塩分(flying salinity)で判定されている。
 
 道路の鋼橋では,原則として飛来塩分量 0.05mdd(mg・dm-2・day-1)未満の環境で耐候性鋼を裸仕様で適用できるとしている。鉄道でも同様に,飛来塩分量と付近環境(温泉地,凍結防止剤散布道路の有無など)により裸仕様の耐候性鋼を架設可能な環境を規定している。
 陸上構造物に影響する塩分には,広く知られる海由来の飛来海塩粒子(airborne sea salt particles)の他に,道路で凍結防止を目的に散布する塩の影響も無視できない。このため,この分野では飛来する塩の総称として飛来塩分ということが多い。
 
 参考
 飛来海塩粒子(airborne sea salt particles)
 大気中に含まれるエアロゾル粒子の中の海塩粒子を指す。
 海塩粒子(sea salt particle)とは,海岸の波打ち際及び/又は海上で波頭が砕けたときに発生する海水ミストが,風で運ばれて飛来した粒子。海塩粒子の大きさは,約 0.01μm~20μm である。【JIS Z 2381「大気暴露試験方法通則」】
 飛来塩分(flying salinity)
 海や塩湖などの自然由来の塩を飛来海塩粒子というが,飛来塩分という場合は,飛来海塩粒子に加え,散布された凍結防止塩,工場などからの人為的な原因で飛来する塩粒子なども含まれる。
 飛来塩分量
 飛来塩分量を表す単位 “mdd”は,1日当たりに単位面積(デシメートル平方:10cm×10cm)に付着する量(mg)を意味し,測定方法で値が変わる。大気中の絶対量の評価ではなく測定装置に付着した量の評価であることに留意する必要がある。
: 道路分野での飛来塩分量測定には,独特の土研式飛来塩分測定方法を用いているため,JIS Z 2382「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」に規定するガーゼ法やウェットキャンドル法とは測定原理が異なる。このため,JIS法で求められた飛来塩分測定結果を耐候性鋼の適用可否にそのまま用いて良いかは不明である。

 適用事例
 鉄道では,SMA材を裸仕様で設計する場合にも,橋梁全体の耐久性向上を目的に,「桁端部の橋台前面位置まで塗装」することを基本とし,「下フランジ下面の塗装」も推奨している。
 最近は,SMA材の裸使用が困難な環境でも裸使用可能な耐候性鋼材として,ニッケル系高耐候性鋼材の適用事例も増えている。

 支承部の要求性能には,機械的性質以外に。構造が複雑であること,濡れ時間が長く塗替え塗装作業の困難個所であることなどの特殊事情を考慮した耐食性に優れる材料が求められる。このため,多くの場合は,靭性の高い鋳鉄品が多く用いられてきた。
 使用実績の多いものに,SC450などのJIS G 5101(炭素鋼鋳鋼品)規格品,SCW410などのJIS G 5102(溶接構造用鋳鋼品)規格品,SCMn1AなどのJIS G 5111(構造用高張力炭素鋼および低合金鋼鋳鋼品)規格品などがある。
 支承部のピン材やアンカーバーには,S35CNなどの機械構造用炭素鋼材(JIS G 4051)が用いられている。
 最近では,耐震性の向上なども含めて,ゴム製の支承が用いられる場合が増えてきている。

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