金属概論:鉄および鋼

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  【耐候性鋼】

 耐候性鋼(atmospheric corrosion resisting steel , weathering steel)は,大気中の水と酸素の影響で生成した腐食生成物が鋼材表面に付着し,その後の腐食を抑制する鋼材として知られる。
 JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」では,耐候性 (weathering resistance)を“低合金鋼などが自然環境の大気中での腐食に耐える性質。塗装鋼板及び塩化ビニル被覆鋼板では樹脂の劣化に耐える性質も含む。”と定義し,耐候性鋼を“大気中に置いて通常の鋼に比べてちみつなさびを形成しやすく,腐食速度を低減することができる圧延鋼材。”と定義している。
 
 耐候性鋼は,大気中において通常の鋼に比べて緻密なさびを形成しやすく,腐食速度を低減することができるため,橋梁,建築,その他の構造物では,溶接性に優れるJIS G 3114「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材:Hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure 」に規定される SMA材が使用されている。
 一方,高い耐候性が求められる車両,建築,鉄塔及びその他の構造物では,JIS G 3125「高耐候性圧延鋼材:Superior atmospheric corrosion resisting rolled steels」に規定される SPA材が用いられている。
 
 SMA材は,溶接構造用熱間圧延鋼材(SM材)と同様の機械特性を有する。鋼種として,塩の飛来が低い環境で,塗装せずに裸使用しても腐食の進行を抑制できるW仕様と塗装を前提としたP仕様がある。
 SPA材は,SMA材よりさらに高い耐候性を狙い,リン(P)を添加した鋼材である。このため,SPA材は溶接性に劣り,板厚み 16mm以下で溶接を必要としない部材に用いられる。


耐候性鋼材(SMA材,SPA材)の例
SMA材の厚さ:100mm以下,SPA材,H(熱間圧延),C(冷間圧延)
  記号    種類  化学成分(%) 引張強さ
N/mm2
C Si Mn P S Cu Cr Ni
  SMA400    W    ≦0.18    0.15~0.65    ≦1.25    ≦0.035    ≦0.035    0.30~0.50    0.45~0.75    0.05~0.30    400~540 
  SMA490    ≦1.40    490~610 
  SMA570    570~720 
  SMA400    P    ≦0.18    0.15~0.65    ≦1.25    ≦0.035    ≦0.035    0.20~0.30    0.30~0.55    ―    400~540 
  SMA490    ≦1.40    490~610 
  SMA570    570~720 
  SPA    H,C                0.070
~0.150 
      0.25~0.60    0.3~1.25    ≦0.65    490以上 

 【参考資料】
 1)谷野満,鈴木茂「鉄鋼材料の科学―鉄に凝縮されたテクノロジー」内田老鶴圃(2006)
 2) 大澤直 『金属のおはなし』 日本規格協会,2008年
 3) 齋藤勝裕 『金属のふしぎ』 ソフトバンククリエイティブ,2009年

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