社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)
“社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
ここでは,カ行 “こ”の用語を こあ~こうき, こうく~こうす, こうせ~こうそ, こうた~こお, こか~こん に分けて紹介する。
用語一覧 こうく~こうす
【 鋼杭 】 ,
【 航空・鉄道事故調査委員会 】 ,
【 工具鋼 】 ,
【 鋼桁橋 】 ,
【 光源(一次光源) 】 ,
【 硬鋼 】 ,
【 航行援助施設 】 ,
【 鋼構造 】 ,
【 鋼構造物 】 ,
【 鋼構造物用耐候性塗料 】 ,
【 高降伏点鋼板 】 ,
【 黄砂 】 ,
【 鋼材 】 ,
【 格子 】 ,
【 格子欠陥 】 ,
【 格子構造 】 ,
【 格子振動 】 ,
【 高湿度環境 】 ,
【 公衆安全性 】 ,
【 高周波電磁界 】 ,
【 工場環境 】 ,
【 工場地域 】 ,
【 工業塗装 】 ,
【 鋼床版桁橋 】 ,
【 公称ひずみ 】 ,
【 孔食 】 ,
【 孔食係数 】 ,
【 孔食指数 】 ,
【 孔食電位 】 ,
【 硬水 】 ,
【 降水 】 ,
【 降水量 】
用語の概要と関連ページ
【鋼杭】( steel pile )
鋼材を用いた杭基礎(くいきそ)である。杭基礎とは,軟弱な地盤などに建設される構造物を支えるために,地盤に打ち込まれる杭をいう。鋼杭は,鋼管を用いた鋼管杭,H形鋼を用いた H形鋼杭に分類される。
関連ページ : 鋼の腐食:迷走電流腐食 , 防食基礎:有機ライニングとは ,
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【航空・鉄道事故調査委員会】( Aircraft and Railway Accidents Investigation Commission )
航空事故や鉄道事故の原因の究明,及び今後の事故防止のために必要な調査を行う国土交通省の審議会等である。略称は事故調,事故調委など。
1974年1月11日に航空事故調査委員会として運輸省に設置された,2001年10月1日に航空・鉄道事故調査委員会に改組,2008年10月1日に国土交通省の外局たる運輸安全委員会に改組された。
関連ページ : 社会資本:空港 ,
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【工具鋼】( tool steels )
金属又は非金属材料の切削,そ性加工用などの各種ジグ・工具に用いる鋼の総称。用途が広く,要求性能が多岐にわたるので種類が非常に多い。一般には化学成分及び性能を考慮して炭素工具鋼(carbon tool steels),合金工具鋼(alloy tool steels),及び高速度工具鋼(high speed tool steels)に分類される。【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】
工具鋼に関する JIS 品質規格には,JIS G 4401「炭素工具鋼鋼材:Carbon tool steels」,JIS G 4403「高速度工具鋼鋼材:High speed tool steels」,JIS G 4404「合金工具鋼鋼材:Alloy tool steels」がある。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼の分類 ,
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【鋼桁橋】( steel beam bridge )
鋼桁を主構造とする橋梁をいう。
この構造では,主桁が曲げモーメントとせん断力を受け持つ。桁の構造によって,I 形桁,H形桁,鈑桁(プレートガーダー),格子桁,箱型桁に分類される。
鈑桁(プレートガーダー)橋は,鋼板を組み合わせて作った I 形の桁を主桁として使用した鋼桁橋梁をいう。この構造は,自重が小さく,工期が比較的短いという特徴がある。箱形桁橋は,ねじれに強いので,支間の大きい橋に使用されるが,質量が大きくなる。
関連ページ : 鋼橋構造 , 防食塗装系:鋼橋の構造例 ,
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【光源(一次光源)】( lightsource )
エネルギーの変換によって発生した光を放出する表面又は物体。
参考 IEC(国際電気標準協議会)では. 一次光源 だけを使用しているが,我が国では,単に, 光源 と呼ぶ。ただし,二次光源と対比して使われる場合は,一次光源と呼んでもよい。【JIS Z8113 「照明用語」】
関連ページ : 塗膜の評価:色の目視比較 ,
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【硬鋼】( hard steel )
⇒ 炭素鋼
関連ページ : 金属概論:鉄鋼(分類) ,
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【航行援助施設】( facilities for supporting navigation )
灯台,灯浮標など
関連ページ : 社会資本:港湾設備 ,
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【鋼構造】( steel structure )
鋼材のみから構成される構造物である。
一般的には,整備された工場で部材を作製し,これを現場に運搬・架設して構造物とする。鉄鋼は,現在まで約 200年の歴史があり信頼性が高いこと,現場での作業が容易であること,現場での工事期間が短いことなどから,広い範囲の構造物に用いられている。
関連ページ : 防食塗装系:鋼橋の構造例 ,
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【鋼構造物】( steel structure )
主要材料に鋼材が用いられている構造物。
関連ページ : 鋼の腐食:結露の発生2 ,
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【鋼構造物用耐候性塗料】( long durable paints for steel structures )
JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」は,主に鋼構造物の美装仕上げ塗りに用い,長期の耐候性をもつ塗料について規定している。この規格では,耐候性を上塗り塗料,及び中塗り塗料に区分し,上塗り塗料は,促進耐候性や屋外暴露試験結果により 1級,2級,3級に区分されている。
関連ページ : 防食基礎:鋼橋塗装の塗料 , 塗料各論:JIS耐候性塗料 , 塗料評価:鋼構造物耐候塗料中塗り用 , 塗料評価:上塗り(鋼構造物用耐候性塗料) , 塗膜の評価:中塗り塗料 , 塗膜の評価:上塗り塗料 ,
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【高降伏点鋼板】( Higher yield strength steel plates )
SBHS材と記され,主として橋梁に用いる高い降伏点又は耐力を有し,溶接性に優れる熱間圧延鋼板及び耐候性熱間圧延鋼板,品質については,JIS G 3140「橋梁用高降伏点鋼板:Higher yield strength steel plates for bridges」に規定されている。
関連ページ : 金属概論:鉄鋼製品JIS ,
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【黄砂】( yellow sand )
中国のタクラマカン砂漠,中国とモンゴルにかけたゴビ砂漠など,東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の砂塵が強風により巻き上げられ,広範囲に飛散した後に地上に降り注ぐ気象現象,又は飛散した砂を指す。
日本に飛来する黄砂粒子は,4µm をピークとする粒径分布で,石英,長石,雲母,緑泥石,カオリナイト,方解石(炭酸カルシウム),石膏(硫酸カルシウム),硫酸アンモニウムなどで構成されるが,生態系に影響する化学物質や微生物(カビ,細菌など)などを含む可能性も指摘されている。
関連ページ : 鋼の腐食:酸性雨の成分由来 ,
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【鋼材】( steel products )
圧延,鍛造,引抜き,鋳造など各種の方法で所要の形状に加工された鋼の総称。鋼塊及び鋼片は含まない。【JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」】
製鋼で得た鋼を圧延,鋳造,鍛造加工した製品で,鉄鋼 1次製品ともいう。形状によって条鋼,鋼板,鋼管などに分類される。なお,一般的には普通鋼の圧延鋼材を指す場合が多い。
関連ページ : 鋼橋製作:工程 , 金属概論:鉄および鋼 , 鋼の腐食:鋼材の変遷 , 鋼の腐食:鋼材の選定 ,
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【格子】( lattice )
結晶を構成する粒子(原子,イオン,分子)の構造単位で,それらを点で置き換えて理想化した網目状の格子を空間格子( space lattice )という。空間格子の最小の繰り返し単位(平行 6 面体)を単位胞( unit cell ),又は単位格子という。 ⇒ 空間格子
関連ページ : 腐食基礎:金属構造欠陥 , 鋼の腐食:物体の温度変化 ,
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【格子欠陥】( lattice defect )
格子欠陥とは,金属原子の配列が理想状態の単位結晶の配列と異なり,構造的に不完全さを持っていることをいう。格子欠陥は,その形態から点欠陥,線欠陥及び面欠陥に分けられる。
点欠陥には原子の欠落した原子空孔と格子間に余分の原子が入る格子間原子がある。線欠陥には転位が,面欠陥には積層欠陥,結晶粒界,双晶面などがある。
関連ページ : 腐食基礎:金属構造欠陥 , 腐食基礎:金属表面の特徴 , 腐食基礎:腐食反応と溶存酸素 , 腐食基礎:金属表面:はじめに ,
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【格子構造】( grating structure )
並列した主桁を横桁で連結し,格子状に組んだものをいう。1本の主桁に作用する荷重を,横桁によって他の主桁にも分配し,道路などで幅員の広い橋において,経済的な設計ができる。
関連ページ : 鋼橋構造:ラーメン橋 ,
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【格子振動】( lattice vibration )
結晶格子を構成している原子や分子が,格子点(安定な位置)の付近で行う微小の振動をいう。この振動は,熱を駆動力とし,結晶内を波として伝わる。
格子振動は,熱伝導の原因の一つで物体の比熱とも深く関わる。また,電気伝導にも影響する。
関連ページ : 鋼の腐食:物体の温度変化 ,
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【高湿度環境】( high‐humidity environment )
湿度の高い状態の環境を指すが,人の健康への影響からは相対湿度 70%以上を指すことが多い。金属の腐食の観点からは,清浄な金属表面が濡れた状態になる相対湿度 80%以上を指すことが多い。
関連ページ : 鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) ,
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【公衆安全性】( public safety )
構造物に起因した第三者への公衆災害を防止するための性能。【鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)】
関連ページ : 塗膜の評価:はじめに , 橋梁関連の基礎用語 ,
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【高周波電磁界】( high frequency electromagnetic field )
周波数 10MHz~300GHz の電磁界(電磁波)をいい,利用分野には非接触式ICカード,携帯電話,通信設備,放送局,電子レンジなどがある。⇒ 電磁界
関連ページ : 塗装概論:新設時塗装管理(膜厚管理) ,
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【工場環境】( factory environment, plant environment )
屋内環境の一種で,製品の生産・製造,既成製品の点検,整備,保守等を行う施設の内部の環境を指すことが多い。
関連ページ : 鋼の腐食:鉄鋼の大気腐食(屋内) ,
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【工場地域】( industrial area )
工業地帯ともいわれ,JIS Z2381 「大気暴露試験方法通則」 附属書 C(参考)暴露環境の区分 C2 大気汚染区分(大気汚染物質による区分) では,“生産活動に伴って,大気汚染物質を発生する地域。 ”と定義している。
関連ページ : 鋼の腐食:大気腐食(硫黄酸化物の推移) ,
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【工業塗装】( industrial coating )
電気製品,通信機器,電気設備,自動車部品,金属製品,プラスチック製品,建設資材などの主に工場で行う塗装をいう。
関連ページ : 防食基礎:工業塗装 ,
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【鋼床版桁橋】( beam bridge with plate floor )
箱形桁橋は,ねじれに強いので,大支間の橋に使用されるが,質量が大きくなる。そこで,支荷重を軽減するため,鉄筋コンクリートスラブの代わりに鋼床版を用いた橋梁である。鋼床版は箱型桁の上フランジに供用し,補剛リブで補強する。
関連ページ : 鋼橋構造 ,
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【公称ひずみ】( nominal strain )
記号 ε0 ,εなどで表され,基準とした寸法 L0 (原標点距離)に対する変形後の寸法 L (標点距離)の場合に,標点距離の増分と原標点距離の比 (⊿L/L0 )で表したひずみをいう。
公称ひずみは,伸び(ひずみ),工学的ひずみなどとも呼ばれる。ひずみは無次元量であるが,m/m などの単位を併記することもある。⇒ ひずみ
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・機械特性 ,
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【孔食】( pitting corrosion )
読み「こうしょく」,金属内部に向かって孔状に進行する局部腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
局部腐食が金属内部に向かって孔状に進行する腐食。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
関連ページ : 腐食基礎:腐食形態による分類 , 腐食基礎:腐食現象の分類 , 鋼の腐食:全面腐食と局部腐食 , 鋼の腐食:孔食 , 防食基礎:腐食試験・形態観察 , 防食基礎:腐食試験・局部腐食 ,
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【孔食係数】( pitting factor )
“孔食係数”とは,計測された凹部の最大腐食深さ(Pmax:μm)を試験片の質量減少量から求めた平均溶解深さ(Xm:μm)で除した Pmax/Xm をいう。
なお,似ているが意味の異なる用語に“孔食指数(PREN)”がある。これは,ステンレス鋼の合金成分(クロム,モリブデンなど)による孔食感受性を評価する指数で“孔食係数”とは全く異なるので注意が必要である。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・局部腐食 ,
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【孔食指数】( pitting resistance equivalent number )
“孔食指数(PREN)”とは,ステンレス鋼の合金成分(クロム,モリブデンなど)による孔食感受性を評価する指数で,値が大きいほど孔食が起こり難い。
なお,似ているが意味の異なる用語の“孔食係数”は,計測された凹部の最大腐食深さ(Pmax:μm)を試験片の質量減少量から求めた平均溶解深さ(Xm:μm)で除した Pmax/Xm をいう。
関連ページ : 防食基礎:腐食試験・局部腐食 ,
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【孔食電位】( pitting potential )
ある不働態化した金属材料に孔食が発生する臨界の電位(臨界孔食電位)よりも貴な電位域をいい,この電位では対象材料に孔食の発生ならびに進展が生じる。
孔食性を評価するため,中性3.5%塩化ナトリウム水溶液における動電位法による孔食電位を求める孔食電位測定(pitting potential measurement)は,ステンレス鋼の電気化学的な孔食試験として用いられる。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
関連ページ : 鋼の腐食:孔食 , 鋼の腐食:腐食度比較(海洋環境) ,
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【硬水】( hard water )
カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水。
WHOでは,Mアルカリ度 120(ppm)以下を軟水,これ以上を硬水と分類し,日本では 100以下を軟水,100~300を中硬水,300以上を硬水と分類している。
関連ページ : 鋼の腐食:淡水とは ,
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【降水】( precipitation )
大気中で水蒸気が凝結し形成された液体(または固体)の水が重力で落下する現象。
水蒸気を含む空気塊が上昇することで,膨張(断熱冷却)し湿度が上昇する。このため,水蒸気は,大気中の微粒子(海塩粒子などの大気エアロゾル粒子)を核にして凝結(大きさ数~数十µmの雲粒)し雲が形成される。この過程は凝結過程(condensation process)や拡散過程(spreading process)といわれる。
微小の水滴である雲粒は,併合過程(coalescence process)を経て大きさ数 mmの雨粒や雪片まで成長する。
大きさ 0.1mm程度以下の水滴は,通常の上昇気流に支えられて浮遊できるが,これを超える大きさまで成長すると上昇気流に逆らい重力で落下する。なお,落下する水滴は,上昇気流が大きいほど大きくなれるが,約 8mmまで成長すると,水滴の状態では落下中に分解するので,これ以上の大きい雨粒は観察されない。
関連ページ : 鋼の腐食:酸性雨の現状 ,
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【降水量】( amount of precipitation )
降った雨がどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さで,mm(ミリメートル)で表わされる。なお,雪やあられは,雨量計で溶かして降水量として観測される。
関連ページ : 塗膜の試験規格:屋外暴露耐候性