腐食概論鋼の腐食

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 土壌腐食の基礎(土壌に埋設された金属の腐食)

 迷走電流腐食とは(直流の漏電による腐食)

 迷走電流(stray current)とは,電気鉄道やその他電気設備から大地に漏れ出した直流電流によって腐食する現象で,“電解腐食(electrolytic corrosion),略して電食”とも呼ばれる。
 異種金属接触腐食(galvanic corrosion)も電食と称されることがあるが,厳密には迷走電流腐食(stray current corrosion)について用いる用語である。

 典型的な電食は,直流電気鉄道で古くから観察されている。模式的には下図に示されるように,電流の出口にあたる個所が異常な速度で腐食する。

迷走電流による腐食(模式図)

迷走電流による腐食(模式図)

 一般的には,図の上半分で示すように,線路と平行した埋設鋼管で電食による損傷(ガス漏れなど重大事故原因になりうる)が見られる。
 線路と直角する鋼管や垂直に埋設された鋼杭においても,図の下半分に示すように,線路と平行する低抵抗率の土壌の連続した層があると電食の可能性が高くなる。

 土中に電流の漏れる位置が固定されると,その位置のレール底面や締結装置の局部的な異常腐食に至る。この場合は,レール破断など脱線原因となるので,注意が必要である。
 
 腐食量は,原理的にファラデーの電気分解の法則(Faraday's laws of electrolysis)に従い,通過した電気量から推定できる。
 例えば,1mAの電流が 1年間流れると,鉄を 9.1g溶解することになる。なお,腐食量(侵食度)は,電流の出口の面積に依存する。
 交流電流においても,直流ほどではないが,電流密度が高い場合には腐食を促進する作用を有するといわれている。鋼や銅に比較してアルミニウムは,交流による腐食を受けやすい金属といわれている。
 【参考】
 迷走電流腐食(stray current corrosion)
 読み「めいそうでんりゅうふしょく」,正規の回路以外のところを流れる電流によって生じる腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 直流電鉄の線路付近の線路から漏れた電流による埋設鋼管などの局部的腐食として問題となる腐食現象である。迷走電流の原因が直流電車線路の場合を特に電食ともいう。
 ファラデーの電気分解の法則(Faraday's laws of electrolysis)
 1833 年にイギリスの科学者マイケル・ファラデーによって発見された電気量と物質変化量の関係
 ●物質の量 m ( g ) は,流れた電気量(電流×時間)に比例する。電流 I ( A ) ×時間 t ( s ) =電気量 Q ( C ) なので,
    m = K ・ I ・ t = K・Q
    ここに,K :電気化学当量(比例定数)
 ● 1グラム当りの等量の物質を析出させるのに必要な電気量は,物質の種類によらず一定である。物質の分子量 M ( g / mol ) とすると,
    m = ( MQ ) /( zF )
    ここに,z :イオン価数,F :ファラデー定数 ( 9.6485 × 104 C/mol )

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