腐食概論:鋼の腐食

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,腐食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒ “鋼の腐食とは” ⇒

         【乾 食】

 乾食(dry corrosion)は,金属が酸素,水蒸気(気体状態),炭酸ガスなどの反応性気体と接触することで,金属表面に反応生成物(酸化物)の固体被膜を生成して金属が消耗する現象である。
 低温では化学反応速度が非常に遅く,実用上の問題とはならない。このため,高温酸化や高温腐食ともいわれる。液体状の水が関わる湿食乾食とでは,メカニズムが根本的に異なるので,この違いが分かるように模式図を用いて解説する。

乾食と湿食の腐食メカニズム

乾食と湿食の腐食メカニズム


 例えば,鋼が酸素を含む高温の雰囲気に曝された場合に,金属表面全体がアノード部となり,鉄の酸化反応(Fe→Fe2++2e-)が進み,電子を放出しつつ鉄イオンが生成する。
 放出された電子と鉄イオンは,表面に生成した酸化物の層(格子欠陥を持ち,半導体的性質を有する。)の中を拡散し,酸化物層の表面に形成したカソード部に移動する。
 カソード部では,高温の酸素が電子を受け取る還元反応(4e-+O2→2O2-)で酸素イオン(O2-)が生成する。酸素イオンは,金属表面に向って酸化物層の内部を移動する。これにより,金属表面と酸化物層表面との間に電気回路が形成される。
 生成した酸化物層の内部構成は,鉄素地に近い方から(FeO:570℃以上で生成),Fe3O4,Fe2O3と酸素濃度の異なる組成になると考えられている。
 腐食速度に影響するのは,イオンサイズの大きい酸素イオンの酸化物層内の拡散速度である。すなわち,酸化物層(固体)内での酸素イオンの拡散速度に依存する。
 厳密には,酸化物皮膜が緻密な場合には固体内の拡散として扱えるが,皮膜の体積収縮などで微細な亀裂が発生すると物質の移動が容易になり,より早い速度で腐食することになる。

  ページトップ