化 学 (無機化学)

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 ここでは,無機化学の基本に関連し,【物質の電気的性質とは】【オームの法則】【電気抵抗率】【電気伝導率(導電率)】に項目を分けて紹介する。

 【物質の電気的性質とは】

 物質が電気を導くか否かは,固体,液体,気体では異なる意味を持つ。
 
 固体
 原子又はイオンの配置が固定され,動くことができない。このため,固体の電気伝導は電子の移動に限定される(電子伝導)。金属の電気伝導性は,【エネルギーバンド】で紹介した自由電子の移動で説明される。
 
 液体
 溶融金属を除き,電子は液体中に単独で存在することができない。
 液体中の一方の電極表面で,電子が何れかの原子(分子やイオン中の)に取り込まれ,陽イオンが中性分子に,中性分子が陰イオンになるなどの変化が起きる。
 同時に,同じ量の電子が,他方の電極表面で放出され,陰イオンが中性分子に,中性分子が陽イオンになるなどの変化が起き,両電極を結ぶ導線中の電子の移動で電流が流れる。
 この状況の電極間の液体中では,陰イオンと陽イオンの移動で電流が流れる。従って,液体に電気を導くとき,そこにイオンが存在することになる(イオン伝導)。
 
 気体
 大気環境など通常の条件では気体に電気の伝導性はない。しかし,身近な例での雷などでは,高電圧の発生により気体分子の一部が陽イオンと電子に分かれて空中で自由に運動できるようになり電気が伝導する。
 この状態はプラズマと呼ばれ,この現象を利用したものに,水銀ガスのプラズマを利用した蛍光灯,ネオンサイン,放電プラズマを利用したアーク溶接,プラズマ溶射などがある。

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 【オームの法則( Ohm's law )】

 電気回路の部品に流れる電流と部品の両端の電位差との比例関係に関する法則で,ドイツの物理学者ゲオルク・オーム( Georg Simon Ohm )によって 1826 年に再発見・公表されたため,その名を冠してオームの法則と呼ばれる。
 表記法と記号の意味
 電流が I で電位差が V であるとき
      V = RI
と表記する場合は,比例係数 R は電気抵抗( electric resistance )と呼ばれる。電気抵抗は,一般的に物質の電気の通し難さの比較に用いられる指標として用いられる。この式を,
      I = GV
と表記する場合は,比例係数 G( = 1/R )は電気伝導度( conductance ),あるいはコンダクタンス( conductance )と呼ばれる。電気伝導度は,一般的に物質の電気の通し易さの比較に用いられる指標として用いられる。
 電流の単位にアンペア( A )を,電位差の単位にボルト( V )を用いたとき,電気抵抗 R の単位にオーム( ohm ,記号Ω)が用いられ,コンダクタンス G の単位にはジーメンス( siemens ,記号 S )が用いられる。

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 【電気抵抗率】

 オームの法則で表される電気抵抗は,物体の形状,すなわち断面積や長さで変化するので,物性値として扱えない。物質の特性値としては,物質形状に依存しない電気抵抗率( resistivity )が用いられる。
 ここで,簡単のため,物体内の微小な断面を⊿ S とし,電流が断面の法線方向に均一に流れると仮定すると,電流 I と電流の密度 j の関係は,
      I = j ・ ⊿ S
と表される。
 一方で,微小な断面の法線方向に距離⊿ L 離れた位置の電位差 V は,電場を E として
      V = E ・ ⊿ L
と表される。
 この電流 I と電位差 V にオームの法則( V = RI )を適用すれば
      E = ( R ⊿ S /⊿ L ) j
      E =ρ j
電場と電流密度の関係が得られる。この表現はオームの法則の微分型表現といわれ,実際の導体の電気抵抗は,その形状で積分することで得られる。
 この式における比例係数 ρ = R⊿ S /⊿ L は,原理的には導体の材質と温度で一義的に決まる値(物性値)として扱え,比例係数ρ(ロー)電気抵抗率あるいは単に抵抗率という。単位は,Ω m(オームメートル )である。
 
 電気抵抗率ρは,物質固有の値であるが,温度で変わる他に材料中の不純物の量や塑性ひずみの有無によっても変わる。
 比例係数ρは,技術分野により,呼び名が固有抵抗( specific resistance )比抵抗( resistivity , specific resistance )体積抵抗率( volume resistivity )など様々である。なお,体積抵抗率は,電気抵抗率の高い物体の絶縁性能の議論で問題となる物体表面を導通する電流の寄与の評価に用いる表面抵抗率(シート抵抗)と区分する場合に用いられる。
 
 参考:電場( electric field )
 電界とも呼ばれ,電荷の周りに存在する力の場。電場の強さは,E の文字を使って表されることが多い。用語として,電場は理学系で,電界は工学系で用いられることが多い。

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 【電気伝導率(導電率)】

 金属などの導体や絶縁体などでは,一般的に電気の通り難さの比較として電気抵抗率が用いられる。しかし,溶液や土壌を扱う技術分野では,電気の通り易さで比較した方が説明し易い場合が少なくないため,電気伝導率( electric conductivity )を用いる例が多い。
 電気伝導率は,電気抵抗率ρの逆数を記号σ( = 1 /ρ:シグマ)で表し,導電率( conductivity ),比電導度( specific conductivity )の他に,電気伝導度,電導率,または単に伝導率,伝導度と称される。
 電気抵抗の逆関数により,電流密度 j と電場 E との関係は
      j =σE
で表される。
 電気伝導率σ単位は,電気抵抗率の逆数なのでΩ-1 m-1 となるが,Ωの逆数は,すなわちコンダクタンスになるので,ジーメンス( siemens ,記号 S )を用い S m-1 (ジーメンス/メートル)を用いるのが一般的である。

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