第四部:無機化学の基礎 生活と無機(建築材料)
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ここでは,建築物に用いられる材料の分類に関連し, 【建築材料の基本分類】, 【建設工事科目別の材料分類】, 【素材による分類】 に項目を分けて紹介する。
建築材料の基本分類
建築材料(建材)とは,建築物としての基本を構成する材料をいい,多種多様の材料が含まれる。材料の一般的な分類には,機能による分類,部位による分類,素材による分類がある。
機能による分類
構造材:柱,壁など建物の基本構造に関わる材料で,木材,鋼,鉄筋コンクリートなどが用いられる。
内装材:建物の内部に使う材料で,内壁,床,天井など種々の材料が用いられる。
外装材:建物の外部回りに使う材料で,外壁,屋根などに種々の材料が用いられる。
補助材料:その他の材料で,塗料,モルタル,接着剤などがある。
部位による分類
屋根材:建築物の屋根の構造や機能により,植物(わら,かや,樹皮,木片),鉱物(石,石綿),窯業品(瓦,化粧スレート),金属材料(トタン,ガルバリウム鋼板,銅,鉛,アルミニウムなど),防水材(モルタル,アスファルト,高分子シートなど)などが一般的である。その他に,ドーム構造には繊維シートや FRP なども用いられている。
壁材:壁材は,内装に用いる材料(内壁材,間仕切壁材)と外装に用いる外壁材に分けられる。用いられる材料には,木材,紙(壁紙),漆喰(しっくい),土,石,コンクリート,ガラス,石膏ボード,断熱材(グラスウール,ウレタンフォーム)などが用いられる。
床材:建築内部の床に用いる材料で,土,石(大理石など),コンクリート,植物(木材,イグサ,麻,竹,コルクなど),繊維(カーペット),合成樹脂などが用いられる。
建具:部屋の仕切り,外部との仕切りで,開閉機能のある障子,襖,窓,戸などの総称で,大きく木製建具(板戸,格子戸,障子,戸障子,ふすま,雨戸,欄間,フラッシュ戸(一般にいうドア),ガラス戸,ガラス障子など)と金属製建具(鋼,アルミニウム合金,ステンレス鋼など) のフラッシュ戸,ガラス戸,ガラス障子,網戸,シャッターなどがある。
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建設工事科目別の材料分類
一般的には,建築材料を原材料としてではなく,建築工事における科目別に用いられる二次加工製品としてみる分類方法も用いられる。
仮説工事材
足場材:パイプ足場,足場板,丸太
その他:縄,ロープ,シート,ホース,脚立など
基礎工事材
石材:割栗(わりぐり)石,間知(けんち)石,玉石,目潰し砂利
基礎くい:鋼管杭,鉄筋コンクリート杭,遠心力鉄筋コンクリート杭,松杭
矢板:鋼矢板,鉄筋コンクリート矢板,松矢板など
土留め:鉄筋コンクリート
骨材:砂,砂利,砕石,軽量骨材
セメント:普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,白色ポルトランドセメント
コンクリート混和物:表面活性剤,凝結調整剤,防水材など
型枠:木製仮枠パネル,合板パネル,メタルフレーム,フォームタイ
鉄筋・鉄骨工事材
棒鋼:丸鋼,平鋼,角鋼,異形鉄筋
形鋼など:山形鋼,溝形鋼,I形鋼,H形鋼,角形鋼管
鋼板:厚板,中板,薄板,帯鋼,縞鋼板
溶接棒:被覆アーク溶接棒,ガス溶接棒
鋲・ボルト・ナット
木工事材
木材:丸太,板類,ひき割類,引き角類,合板,フローリングボード,集成木材,木レンガ
薬剤:防腐剤,防虫剤,防炎剤
その他:竹,構造金物,釘,ねじ
石・タイル工事材
石材:大谷石,花崗岩,大理石,鉄平石など
コンクリート:空洞コンクリートブロック,鉄筋コンクリート組み立て塀
人造大理石:テラゾー
レンガ:普通レンガ,耐火煉瓦,セラミックブロック
タイル:磁器,半磁器,硬質タイル,モザイク,デラコッタタイル
屋根・防水工事材
植物:わら,かや,樹皮,木片
鉱物:石,石綿
瓦:粘土瓦,セメント瓦,スレート瓦,アルミ瓦
金属板:亜鉛めっき鋼板,ブリキ板,ガルバリウム鋼板,銅板,鉛板,アルミニウム板
有機材料:繊維シート,プラスチック波板,プラスチック防水シート,アスファルトルーフィング,塗布防水層
その他:雨どい,雨抑え,ルーフドレイン,ベンチレータ,スカイライト
左官・塗装工事材
壁材:漆喰,モルタル,ドロマイトブラスター,石膏ブラスター,土,竹,石膏ラスボード,メタルラス
塗料:油性調合ペイント,合成樹脂調合ペイント,ワニス,エマルション塗料,防せい塗料,防水塗料,防火塗料,耐熱塗料
建具・ガラス工事材
木製建具:板戸,雨戸,障子,ふすま,格子戸,フラッシュ戸,桟唐戸,ガラス戸,よろい戸など
金属製建具:鋼製ドア・サッシ,ガラス製ドア,プラスチック製ドア,ステンレス製サッシ,アルミ製サッシ,鋼製シャッターなど
建具金物:蝶番,錠前,ドアクローザー,フロアヒンジ,上げ落とし,押板,取っ手,引手,戸車,レールなど
一般ガラス:普通板,磨き板,すりガラス,型板,網入り板ガラス
特殊ガラス:合わせガラス,強化ガラス,複層ガラス,耐熱ガラス,赤外線吸収ガラスなど
板戸とは,主に木材で作られた戸や扉である。フラッシュ戸とは,表面を平らに仕上げた戸である。桟唐戸(さんからと)とは,寺院などで見られる縦横に框 (かまち) を組み,間に薄い板を入れた扉である。よろい戸とは,日差しを遮りながら通風できるよう,幅の狭い羽根板が斜めに取り付けられた戸で,ルーバー戸,がらリ戸,しころ戸などともいわれる。
内装工事材
板材:硬質繊維板,中質繊維板,軟質繊維板,パーティクルボード,木質系セメント板,繊維強化セメント板,石膏ボード,吸音板,化粧板,フローリング,床タイル,リノリウム
シート材:紙,布,プラスチック,敷物など
その他:畳,接着剤,コーキング材,ガスケット類,リブ材など
繊維板とは,木材,竹,わら,パルプなどの植物繊維を圧縮成形して作った板でファイバーボードとも呼ばれ,軟質板は断熱・吸音材に,硬質板は壁パネル・外装に用いる。
パーティクルボードとは,木材の小片に合成樹脂接着剤を塗り,加熱圧縮して成形した板でチップ-ボードとも呼ばれる。
木質系セメント板とは,木材をリボン状に削り取った木毛とセメントとを混合し,板状に圧縮成形した材料で,壁,床,天井,屋根下地などに用いる。
繊維強化セメント板は, JIS A 5430 「繊維強化セメント板」に,石綿以外の繊維で強化成形したスレート(波板及びボード),けい酸カルシウム板及びスラグせっこう板の総称で,防・耐火性,遮音性,耐久性,意匠性などの性能を必要とする部位に用いられる。
リノリウムとは,亜麻仁油などの乾性油を酸化させたコロイド状物質に,樹脂・おがくず・コルク粉などを練り合わせ,麻布に塗り乾燥した板状の材料で,耐水性・弾性に富み,床や壁に用いられる。
配管工事材
金属管:鋼管,鋳鉄管,アルミニウム管,ステンレス管,鉛管
非金属管:土管,陶管,鉄筋コンクリート管,遠心力鉄筋コンクリート管,塩化ビニル管,ポリエチレン管
保温・保冷材:珪藻土,フェルト,ガラス繊維,ウレタンフォーム,発泡スチロールなど
その他:マンホール,雨水ます,バルブ,コック,便器,洗浄用タンク,洗面台,流し台,浴槽
鉛管の公的な規格として,JIS H 4311 「一般工業用鉛及び鉛合金管」はあるが,水道用の鉛管については,JIS H 4312 「水道用ポリエチレン複合鉛管」が 2004 年に廃止され,現在は用いられていない。
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素材による分類
建築材料に用いられる種々の材料は,次の素材で分類される。
木材:製材製品,集成材,合板木,繊維板など
植物繊維:かや,わら,紙,樹皮など
石材:花崗岩,安山岩,大理石などの岩石,アスベスト,人造石など
セメント:セメントペースト,モルタル,コンクリート,石膏など
粘土・火山灰・珪藻土製品:瓦,煉瓦,タイル,漆喰,土壁など
ガラス材:板ガラス,ガラスブロックなど
高分子材料:プラスチック,合成繊維,ゴム,アスファルト,塗料,接着剤など
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