化 学 (無機化学)

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 ここでは,構造物,建築物の主要材料であるコンクリートに用いられる材料に関連して,【コンクリート構成材料】【骨材】【混和材】【水とアルカリ性】に項目を分けて紹介する。

 【コンクリート構成材料】

 コンクリート( concrete )とは,JIS A 0203 「コンクリート用語:Concrete terminology 」では,“セメント,水,細骨材,粗骨材及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし,これらを練り混ぜその他の方法によって混合したもの,又は硬化させたもの”と定義している。
 また,まだ固まらない状態にあるコンクリートをフレッシュコンクリート( fresh concrete )という( JIS A 0203 )。
 細骨材(砂)粗骨材(砂利)を合わせた骨材は,コンクリートの 70 %程度を占め,コンクリートの品質(物性や劣化特性)に与える影響が大きいので,適切な組成,粒度,不純物などが規定されるのが一般的である。
 一般には,粗骨材(砂利)を除いたもの,すなわち骨材として細骨材(砂)のみを用いたものをモルタル( mortar )と呼びコンクリートとは区別される。

コンクリートとは

コンクリートとは
元図出典:名城大学「建設材料システム工学科」(左),セメント協会「コンクリートとは」(右)

 【骨材】

 骨材( aggregate )とは,JIS A 0203 では,“モルタル又はコンクリートをつくるために,セメント及び水と練り混ぜる砂,砂利,砕砂,砕石,スラグ骨材,その他これらに類似の材料。”と定義されている。  
 また,細骨材( fine aggregate )は,“ 10 mm 網ふるいを全部通り,5 mm 網ふるいを質量で 85 %以上通る骨材。”,粗骨材( coarse aggregate )は,“ 5 mm 網ふるいに質量で 85 %以上とどまる骨材。”と定義されている。
 
 JIS A 5308 「レディーミクストコンクリート: Ready-mixed concrete 」では,骨材に対し,骨材の種類,粗骨材の最大寸法,アルカリシリカ反応抑制対策の方法,骨材のアルカリシリカ反応性による区分が規定されている。
 一般的には,堅硬かつ物理的・化学的に安定(アルカリシリカ反応性など)で,適度な粒度・粒形を有し,有害量の不純物(塩分など)を含まない良質の骨材を使用することを基本とした品質規定や材料指定を設けるのが一般的である。
 なお,レディーミクストコンクリートとは,工場で予め調整され,ミキサ車などで荷卸し地点まで配達されるフレッシュコンクリートで,一般にいうところの“生コン”である。

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 【混和材料】

 混和材料( admixture )とは,JIS A 0203 では,“セメント,水及び骨材以外の材料で,コンクリートなどに特別の性質を与えるために,打込みを行う前までに必要に応じて加える材料。”と定義されている。
 混和材料は,コンクリート特性改善,品質向上,施工性改善を目的とし,目的に応じた数多くの材料が適用・開発されている。
 例えば,ポゾラン作用のあるフライアッシュ,シリカフューム,火山灰,珪けい酸白土など,潜在水硬性のある高炉スラグ微粉末,硬化過程において膨張を起こさせる膨張材,オートクレーブ養生で高強度を生じる珪酸質微粉末などがある。
 その他には,増量材,着色顔料,石灰石微粉末,シリカフューム,エトリンガイト系高強度混和材,超早強混和材なども用いられる。
 混和材料の中で,使用量が比較的多く,それ自体の容積がコンクリートなどの練上がり容積に算入されるものを“混和材”( admixture, mineral admixture )といい,使用量が少なく,それ自体の容積がコンクリートなどの練上がり容積に算入されないものを“混和剤”( chemical admixture, chemical agent )といい,用語を区別している。
 
 関連用語
 フライアッシュ
 フライアッシュは,石炭火力発電所で溶融した灰分が冷却されて球状となったもの(副産物)である。JIS A 6201 「コンクリート用フライアッシュ」に品質が規定されている。
 フライアッシュの主な成分には SiO2 (全体の 50 ~ 60 %),Al2O3 ( 25 %程度)で,少量のFe2O3 や炭素を含む。
 シリカフューム
 シリカフュームは,フェロシリコンやフェロシリコン合金製造時の中間生成物( SiO )が排気ダクトの中で酸化され,SiO2 として回収された副産物である。
 高炉スラグ微粉末
 高炉スラグ微粉末とは,溶鉱炉でせん(銑)鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを高速の水や空気を多量に吹き付けて得た急冷粒状体を微粉砕したものである。
 
 主な混和材
 ポゾラン( pozzolan )
 それ自体は水硬性をほとんどもたないが,水の存在のもとで水酸化カルシウムと反応し,不溶性の化合物を作って硬化する鉱物質の微粉末の材料( JIS A 0203 )。
 主な材料については,JIS A 6201 「コンクリート用フライアッシュ」,JIS A 6206 「コンクリート用高炉スラグ微粉末」, JIS A 6207 「コンクリート用シリカフューム」で品質が定められている。
 セメント混和用ポリマー
 作業性,保水性の向上目的の合成樹脂,ゴム類が用いられる。
 大別すると水性ポリマーディスパージョン(スチレンブタジエンゴム,ラテックス,エチレン酢酸ビニル,ポリアクリル酸エステルエマルションなど),再乳化形粉末樹脂,水溶性ポリマー,液状ポリマーの4種類ある。
 これらについては,JIS A 6203 「セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂」に品質が規定されている。
 膨張材
 硬化収縮による割れ防止を目的に,セメント及び水とともに練り混ぜた後,水和反応によってエトリンガイド( 3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O ),水酸化カルシウム( Ca(OH)2 )などを生成し,コンクリート又はモルタルを膨張させる混和材( JIS A 0203 )で,JIS A 6202 「コンクリート用膨張材」に品質が定められている。
 
 主な混和剤
 コンクリートに用いる AE 剤,高性能減水剤,硬化促進剤,減水剤,AE 減水剤,高性能 AE 減水剤及び流動化剤の品質については,JIS A 6204 「コンクリート用化学混和剤」に制定されている。
 AE 剤
 作業性向上,凍結抵抗性,溶解耐性目的に,コンクリート中に空気泡を発生させる界面活性剤。
 AE 減水剤
 セメント粒子表面に負の電荷を与え,粒子の分散を改善し流動性を高める。
 オキシカルボン酸塩,リグニンスルホン酸塩,AE 減水剤より高い減水性能を持つ高性能 AE 減衰剤として,ポリカルボン酸系,ナフタリン系,アミノスルホン酸系が用いられる。
 流動化剤
 流動性の増大を主たる目的とし,ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物塩,メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物塩,スチレンスルホン酸共重合物塩などの界面活性剤が用いられる。現在は,高性能 AE 減水剤に取って代わられている。
 分離低減剤
 水分,骨材,セメントペーストとの分離抑制目的の添加剤で,セルロース系,アクリル系,グリコール系高分子などの増粘剤が用いられる。
 起泡剤(発泡剤)
 コンクリートに気泡を導入し,断熱性や軽量性を与える。
 起泡剤として合成界面活性剤,樹脂石鹸系,蛋白系が,発泡剤としてアルミニウム粉末が用いられる。
 凝結・硬化調節剤,急結剤
 水和による硬化速度の制御を目的に,無機系促進剤として硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩,アルミナなどが,有機系促進剤として無水マレイン酸,酢酸,アミン類などが,無機系遅延剤としてリン酸塩,ホウ酸,亜鉛化合物,銅化合物などが,有機系遅延剤として糖・アルコール類,高分子有機酸などが,急結剤としてアミン酸アルカリ塩,炭酸アルカリ塩,水溶性アルミニウム塩などが用いられる。
 防錆剤(腐蝕抑制剤)
 鉄筋の防食を目的に,亜硝酸塩,クロム酸塩などが用いられる。
 コンクリートに適用可能な材料については,JIS A 6205 「鉄筋コンクリート用防せい剤」に定められている。
 防水剤
 水分透過の抑制を目的に,塩化カルシウム,水ガラス(けい酸ナトリウム),けい酸質粉末,高級脂肪酸,ポリマーディスパージョンなどが用いられる。

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 【練混ぜ水とアルカリ性】

 練混ぜ水
 コンクリートの練混ぜ水は,コンクリートの凝結,硬化後のコンクリートの諸性質,混和剤の性能,鉄筋の発錆せいなどに大きな影響を及ぼすきわめて重要な材料である。
 JIS A 5308 「レディーミクストコンクリート」では,練混ぜ水として上水道以外を用いる場合に,適合する水質(懸濁物質の量,溶解性蒸発残留物の量,塩化物イオン( Cl- )量,セメントの凝結時間の差,モルタルの圧縮強さの比)を規定している。
 
 養生に用いる水
 JIS 規定はないが,主な事業者のコンクリート示方書解説などで,油,酸,塩類などコンクリートの表面を侵す物質などについて記述されるのが一般的である。
 
 塩基性(アルカリ性)
 クリンカー鉱物は,水と接するとけい酸カルシウム水和物( CSH )や水酸化カルシウム( Ca(OH)2を生成するため,比較的強い塩基性を示す。
 水酸化カルシウムは,水酸化ナトリウムなどの強塩基ほどではないが,フレッシュコンクリートで pH 13 程度の塩基性(アルカリ性)を示す。このために,刺激性があり,長時間付着で角膜,鼻の粘膜,皮膚に炎症を起こす可能性がある。
 セメントの取り扱いでは,適切な保護具(保護メガネ,防護マスクなど)の着用を心がける。なお,硬化後は,表面の水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素により中和(炭酸カルシウム)されるため,直接接触しても大きな影響がない。

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