化 学 (無機化学)

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 ここでは,非金属元素の化学的性質に関連し,【オキソ酸とは】【オキソアニオンの種類と名称】【主なオキソ酸の特徴】に項目を分けて紹介する。

 【オキソ酸とは】

 オキソ酸( oxoacid )は,酸素酸とも呼ばれ,一般的には“酸素を含む無機酸の総称”と認識されているが,生化学分野やフリー百科事典「ウィキペディア」では,カルボン酸などの有機酸にまで拡大解釈した解説が見られる。
 なお,無機化学命名法( IUPAC )では,オキソ酸を“酸素原子を含み,酸素以外の元素を少なくとも1個以上含み,酸素に結合する水素原子を少なくとも1個以上含み,プロトンを失って共役塩基を生成する化合物。”と定義している。
 この定義に従うと,オキソ酸は,中心となる非金属元素又は金属元素に酸素が,オキソ基( = O )又は水酸基(ヒドロキシル基 – OH ) の形で結合している無機酸となり,この中には配位している水分子の水素原子が酸性となるアクア酸( aqua acid :Fe(H2O)63+ など),オキソ基( = O )が無いヒドロキソ酸( hydroxoacid : Si(OH)4 など)も含まれる。
 一般的には,次亜塩素酸( HClO),硫酸( H2SO4 ),硝酸( HNO3 ),炭酸( H2CO3 ),リン酸( H3PO4 )などがオキソ酸(酸素酸)に分類され,塩酸( HCl )などハロゲン化水素酸,硫化水素酸( H2S ),シアン化水素酸( HCN )など酸素を含まない無機酸は,水素酸( hydracid )に分類される。

 

 【オキソアニオンの種類と名称】

 オキソアニオン( oxoanion )は,オキシアニオン,酸素酸イオンなどともいい,XnOmZ-( X は酸素 O 以外の原子)で表される。
 化学式XOmZ-で表されるオキソアニオンは,元素 X の酸化数とその周期表での位置により定まる。
 酸化数の異なるオキソイオンは,酸化数を区分するため化合物に接頭語(過,亜,次亜)がつけられる。
 日本語の化合物命名の通則(日本化学会)によると,原則として古くから知られているものを○○酸と呼び,それより酸化数が低い順に,○○酸次亜○○酸の接頭語をつけ,酸化数が高いものには,○○酸の接頭語をつける。
 
 第 2 周期元素のオキソアニオンには,炭酸イオン( CO32- )や硝酸イオン( NO3- )があり,平面の三角形型の構造で中心原子と酸素原子とがπ結合をもつ。2 価の陰イオンは,1 個だけ水素を持つ 1 価の陰イオン,例えば,炭酸イオン( CO32- )は HCO3-炭酸水素イオンという)を作る。
 
 第 3 周期元素のオキソアニオンで,広く知られるものに,リン酸イオン PO43-硫酸イオン SO42-過塩素酸イオン ClO4- など四面体型構造のものがある。
 塩素のオキソイオンには,酸化数 7 の過塩素酸イオンの他に,酸化数 5 の塩素酸イオン ClO3- ( 3 つの結合電子対と 1 つの非結合電子対をもつ三角錐形構造),酸化数 3 の亜塩素酸イオン ClO2- ( 1 つの結合電子対と 1 つの非結合電子対を持つ折れ線形構造),酸化数 1 の次亜塩素酸イオン ClO- がある。
 酸化数 3 の陰イオンには,1 個だけ水素を持つ 2 価の陰イオン, 2 個の水素を持つ 1 価の陰イオンがある。例えば,リン酸イオン( PO43- )は HPO42-リン酸水素イオンという)や H2PO4-リン酸二水素イオンという)を作る。
 一般に水素を持つ陰イオンを加熱すると水を失い,縮合した陰イオンを作る。例えば,硫酸水素イオン( HSO4- )からピロ硫酸イオン( S2O72- )が,リン酸水素イオン( HPO42- )からピロリン酸イオン( P2O74- )やトリポリリン酸イオン( P3O103- )などができる。
 
 第3周期以降の元素の単独のオキソアニオンは高い電荷を持つため,水溶液中ではオキソアニオン同士の縮合(水を失う)が起こりうる。例えば,クロム酸イオン( CrO42- )の縮合で二クロム酸(重クロム酸)イオン( Cr2O72- )の生成などがある。

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 【主なオキソ酸の特徴】

 主なオキソ酸(酸素酸)の特徴として,名称,オキソイオンの組成式,元素の酸化数,遊離酸(水素化物)の組成式と特徴,塩の特徴や用途を紹介する。

主なオキソイオンの特徴
  名称    組成式    酸化数    遊離酸の性質    塩の性質    用途例 
  次亜塩素酸
  hypochlorous acid 
  ClO-    1    HClO,不安定で単離不能
  pKa = 7.53 
  不安定で,酸化性が著しい。    殺菌剤,漂白剤 
  亜塩素酸
  chlorous acid 
  ClO2-    3    HClO2,不安定で単離不能
  pKa = 2.36 
  不安定で,酸化性が高い
  無水物は爆発す恐れあり。 
  漂白剤,酸化剤 
  塩素酸
  chloric acid 
  ClO3-    5    HClO3,炭酸同様に単離不能 
  強酸 pKa = -1 
  比較的安定,水溶液の酸化性は弱く 
  加熱で酸素発生。 
  火薬の原料
  携帯酸素発生器 
  過塩素酸
  perchloric acid 
  ClO4-    7    HClO4,無色の液体
  強酸 pKa = -8.6 
  各種陽イオンと安定な塩を作り
  酸化性はない。 
  試薬 
  亜硫酸
  sulfurous acid 
  SO32-    4    H2SO3,不安定で単離不能
  pKa = 1.78 
  安定な亜硫酸塩,亜硫酸水素塩
  還元性が著しい。 
  還元剤,脱酸素剤 
  防腐剤 
  硫酸 
  sulfuric acid ) 
  SO42-    6    H2SO4,酸化力,脱水力のある液体 
  強酸 pKa = -3 
  安定な硫酸塩,硫酸水素塩を作る。    工業用原料・試薬 
  亜硝酸 
  nitrous acid ) 
  NO2-    3    HNO2,不安定で単離不能 
  弱酸,pKa = 3.38 
  アルカリ塩は安定 
  相手により酸化剤,還元剤になる。 
  合成用試薬 
  硝酸 
  nitric acid 
  NO3-    5    HNO3,酸化力のある液体 
  強酸 pKa = -1.4 
  安定な硝酸塩を作る。    工業用原料 
  合成用試薬 
  次亜リン酸 
  hypophosphorous acid 
  H2PO2-    1    H3PO2,別名ホスフィン酸 
  強酸 
  アルカリ金属塩 
  アルカリ土類金属塩は安定 
  還元性が著しい。 
  還元剤 
  亜リン酸 
  phosphorous acid 
  HPO32-    3    H3PO3,固体の弱酸    アルカリ金属塩 
  アルカリ土類金属塩は安定 
  還元性が著しい。 
  還元剤 
  リン酸 
  phosphoric acid 
  PO43-    5    H3PO4,固体の弱酸 pKa = -3    各種イオンと安定な塩を作る。    緩衝溶液 
  試薬・肥料 
  炭酸 
  carbonic acid 
  CO32-    4    H2CO3,単離不能 
  弱酸 pKa1 = 6.35 
  各種イオンと安定な塩を作る。    工業用原料 
  ケイ酸 
  silicic acid 
  SiO44-    4    H4SiO4 は存在せず 
  重合してゲル状の固体 
  弱酸 pKa1 = 9.86 
  アルカリ金属塩は水可溶。    ガラス,陶磁器 
  水ガラス原料 

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