第四部:無機化学の基礎 非金属元素

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  ここでは,非金属元素の一般的な定義と元素の特徴を紹介する。

  非金属元素とは

 非金属元素( nonmetal )
 一般的に“金属元素以外の元素を指す”と認識されている。
 金属元素( metal )
 【元素の分類】で紹介したように,単体が金属としての性質を持つ元素の総称とされている。
 金属の性質については,【金属結合とは】で紹介したように,明確な定義はないが,一般には,固体状態で,次の性質を示すものと考えられている。
  ① 塑性変形が容易で,展延加工ができる。
   不透明で輝くような金属光沢がある。
   電気および熱をよく伝導する。
   水溶液中で陽イオン(カチオン)になる。
 なお,広辞苑では,“固体状態で金属光沢・展性・塑性(延性)を持ち,種々の機械的工作を施すことができ,かつ電気および熱の良導体であるなどの性質を持つ物質の総称。”と定義し,
 大辞林では,“単体のうち,金属光沢をもち,熱や電気をよく伝え,展性や延性に富む物質の総称”と定義している。

 非金属元素の特徴
 金属以外の元素を非金属元素と定義した場合には,元素を特徴づける性質を一概に言うことができない。
 しかしながら,非金属元素は,金属元素に比べて電子親和力が高いため,自由電子を放出して金属結晶を形成できないことは共通している。
 さらに,非金属元素に分類される全ての元素が典型元素( typical element )に分類される。従って,非金属元素は,典型元素の特徴も有する。

 典型元素の一般的な特性については,次のように紹介されている。
 ● 価電子の数は,例えば 14族(炭素,ケイ素)の元素では 4 と,その属番号の下一桁の数字に等しくなる。ただし,18族は 0 となる。
 ● ホウ素,アルミニウムなどの 13 族を除きオクテット則( Octet rule )に従う場合が多く,族が小さいほど陽イオンになりやすく,族が大きいほど( 18族を除く)陰イオンになりやすい。
 オクテット則とは,原子の最外殻電子の数が 8個あると,化合物やイオンとして安定に存在するという経験則である。なお,当初は,原子核を中心とする立方体の 8 つの頂点(オクテット)を電子が占めた状態を考えていた。
 ● 元素の酸化数については,アベックの規則( Abegg's rule )に従い,短周期の族番号を N(例えば,長周期の 13 族は,短周期で 3A 族なので,N = 3 となる)とすると,最大の正の酸化数は + N ,最小の負の酸化数は ‐( 8‐N ) の値をとる。
 アベックの規則とは,1904年ドイツの物理化学者アベック( Richard Abegg )によって1904 年に提唱された原子価に関する指摘で,“正常原子価および逆原子価の最高値の絶対値の和は常に 8 になる”というものである。

周期表

周期表

 高等学校教育などで扱われる元素の分類では,次の元素を非金属元素としている。
 周期表 1族の水素( H )
 周期表 13族のホウ素( B )
 周期表 14族の炭素( C ),ケイ素( Si )
 周期表 15族の窒素( N ),リン( P ),ヒ素( As )
 周期表 16族の酸素( O ),いおう( S ),セレン( Se ),テルル( Te )
 周期表 17族のふっ素( F ),塩素( Cl ),臭素( Br ),よう素( I ),アスタチン( At )
 周期表 18族のヘリウム( He ),ネオン( Ne ),アルゴン( Ar ),クリプトン( Kr ),キセノン( Xe ),ラドン( Rn ) である。

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