社会資本・腐食防食関連の技術用語 (索引)

 “社会資本“,及び“腐食防食“に関連する記事を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 ここでは,カ行 “き”の用語を  きあ~きこ,  きさ~きも,  きや~きよ,  きら~きん  に分けて紹介する。

 用語一覧 きら~

】  , 【 桐油(きりゆ) 】  , 【 均一腐食 】  , 【 キンク 】  , 【 均質化 】  , 【 金属 】  ,

金属間化合物 】  , 【 金属結合 】  , 【 金属元素 】  , 【 金属光沢 】  , 【 金属石鹸 】  , 【 金属組織 】  , 【 金属被覆 】  ,

金属表面処理 】  , 【 金属疲労 】  , 【 金属腐食 】  , 【 金属めっき 】  , 【 金属溶射 】  , 【 金めっき 】  , 【 銀めっき

 用語の概要と関連ページ


 【霧】( fog )
 微少な水滴が空気中に浮遊し,水平方向の視程 1km未満のもの。1km以上のものは“もや”という。
 発生形態により,蒸発霧(川,湖,海の水面からの水蒸気が冷たい空気に触れて発生),移流霧(湿った暖かい空気が冷たい地面や海面に触れた時に発生する海霧など),放射霧(地面が放射冷却で冷やされて発生する盆地霧など),前線霧(前線の両側の異なる性質の空気塊が混ざり発生),滑昇霧(湿った空気が山の斜面を昇るときの断熱冷却で発生)に分けられる。なお,氷晶からなる霧は氷霧という。
 関連ページ : 鋼の腐食:濡れについて ,  鋼の腐食:放射霧の発生 ,  
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 【桐油(きりゆ)】( tung oil, China wood oil, Chinese wood oil )
 きりの種子から採った乾性油。共役二重結合をもつエレオステアリン酸のグリセリドを多量に含み,重合しやすく,乾燥が速い。シナきり油と日本きり油が知られている。きり油のゲル化温度は,280℃で12分以内。【JIS K5500「塗料用語」】
 関連ページ : 防食基礎:有機高分子材料 ,  
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 【均一腐食】( uniform corrosion )
 読み「きんいつふしょく」,金属表面にほぼ均一に生じる腐食。全面腐食ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 関連ページ : 腐食基礎:腐食と電気化学 ,  腐食基礎:腐食分類 ,  腐食基礎:腐食形態による分類 ,  腐食基礎:表面の揺らぎ ,  腐食基礎:腐食現象の分類 ,  腐食概論:鋼の腐食とは ,  鋼の腐食:全面腐食と局部腐食 ,  鋼の腐食:土壌腐食(ミクロ腐食) ,  防食基礎:腐食試験・形態観察 ,  防食基礎:全面腐食の腐食度と腐食速度 ,  塗膜の試験規格:さびの等級 ,  
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 【キンク】( kink )
 金属表面は,金属結晶の格子欠陥(転位,空孔など)が顔を出す場所,欠陥の消滅場所になっている。表面には,結晶格子が切れて,階段状のステップ,ステップの曲がり部のキンクと呼ばれる格子欠陥が生じる。
 関連ページ : 腐食基礎:金属構造欠陥 ,  
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 【均質化】( homogenization )
 試料中の物質及び性質を均一にするため,(混合成分の場合)成分・小片・層といった試料の構成要素を組み合わせてより均一化する工程,又はあらかじめ処理された試料の成分・小片・層をより均一化する工程。【JIS K 5600-1-3「塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整】
 関連ページ : 塗料評価:試験準備 ,  
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 【金属】( metal )
 単体が金属としての性質を持つ元素の総称を金属元素というが,金属には明確な定義はなく,一般には,固体状態で,次の性質を示すものの総称とされる。
 ① 塑性変形が容易で,展延加工ができる。
 ② 不透明で輝くような金属光沢がある。
 ③ 電気および熱をよく伝導する。
 ④ 水溶液中で陽イオン(カチオン)になる。
 なお,水銀のみは,常温・常圧の下で液体である。一般には,比重4~5より重いものを重金属,軽いものを軽金属という。
 関連ページ : 金属概論:金属とは ,  金属概論:金属利用の歴史 ,  金属概論:金属元素 ,  金属概論:金属の化学的特徴 ,  金属概論:金属の結晶構造 ,  金属概論:金属の化学的分類 ,  金属概論:金属の工学的分類 ,  腐食基礎:金属構造欠陥 ,  腐食基礎:合金の結晶構造 ,  
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 【金属間化合物】( intermetallic compound )
 複数の金属元素で構成され,構成元素の原子比が一定(簡単な整数)の化合物である。金属間化合物は,元の金属と異なる特有の結晶構造を持ち,電子状態の異なる元素が規則的に配列するため,構成元素の単体金属には無い特性(物理的,化学的)を持つ。
 例えば,ランタン(La)とニッケル(Ni)の LaNi5 (水素吸蔵合金),ニオブ(Ni)とスズ(Sn)の Nb3Sn (超電導材料),チタン(Ti)とニッケル(Ni)の TiNi (形状記憶材料)などが知られる。また,構成元素として,半金属元素や非金属元素を含むものもある。例えば,マグネシウム(Mg)と半金属元素のホウ素(B)の MgB2 (超電導材料)も金属間化合物である。
 関連ページ : 腐食基礎:合金の結晶構造 ,  
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 【金属結合】( metallic bond )
 金属内での原子の結合。自由電子 (free electron)を媒介として,陽イオンとなった金属原子が結びつく。
 関連ページ : 金属概論:金属とは ,  金属概論:金属の化学的特徴 ,  金属概論:金属の結晶構造 ,  
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 【金属元素】( metallic element )
 単体が金属としての性質を持つ元素の総称。化合物を作るとき陽イオンになり易い。⇒金属
 関連ページ : 金属概論:金属とは ,  金属概論:金属元素 ,  
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 【金属光沢】( metallic luster )
 金属一般に見られる特徴で,磨いた金属面が放つ光沢をいう。
 関連ページ : 金属概論:金属とは ,  金属概論:金属の化学的特徴 ,  
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 【金属石鹸】( metallic soap )
 アルカリ塩(ナトリウム,カリウム)以外の金属塩と脂肪酸から成る石鹸をいう。代表的脂肪酸には,ステアリン酸(CH3(CH2)16CO2H),ラウリン酸(CH3(CH2)10CO2H),リシノール酸(CH3(CH2)5CH(OH)CH2CH=CH(CH2)7CO2H),オクチル酸(CH3(CH2)3CH(CH2CH3)CO2H)などが,代表的な金属塩には,鉛(Pb),カルシウム(Ca),アルミニウム(Al),亜鉛(Zn),マグネシウム(Mg),バリウム(Ba)などがある。
 関連ページ : 塗料各論:アルキド樹脂塗料 ,  塗料各論:長油性フタル酸樹脂塗料 ,  
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 【金属組織】( structure of metal )
 金属材料の中の原子のつながりや結晶の構成をいう。金属材料の断面を金属顕微鏡で観察し分類できる。
 東部金属熱処理工業組合のホームページには,様々の鋼の熱処理によって変化する金属組織写真が掲載されている。
 関連ページ : 金属概論:鉄鋼の微細構造 ,  金属概論:溶融亜鉛めっき層の構造 ,  
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 【金属被覆】( metal coating, metallic coating )
 あらゆる方法で得られるすべての金属被覆を意味する一般的用語。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 一般的には,めっきや溶射など,金属材料で被覆(coating)する表面処理方法をいう。特に,母材となる金属に耐食・耐熱性や美観の向上を目的に行う金属表面処理(metal finishing)を指す場合が多い。
 防食目的の場合は,環境遮断を目的とした被覆防食法の一種で,耐食性に優れる貴金属や耐食性の高いクロム,ニッケルなどをめっきする方法,流電陽極(犠牲陽極)となりうる電極電位の卑な金属を被覆(めっき,溶射など)する方法がある。
 関連ページ : 鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  防食設計:期待耐久性 ,  防食基礎:金属被覆(分類) ,  防食基礎:金属被覆(機能分類) ,  
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 【金属表面処理】( metal finishing )
 母材となる金属材料に,母材とは異なる特性を持つ皮膜もしくは表面変質層を形成する技術をいう。表面処理の主な目的は,装飾,防食,表面硬化,機能性付与に大別され,用いられる手法には,表面清浄化,研摩,エッチング(etching),電着,化成処理,蒸着,溶融被覆,拡散浸透,ライニング(lining),コーティング(塗装,めっき,溶射など)
 関連ページ : 鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  
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 【金属疲労】( metal fatigue )
 材料に応力が繰り返し作用すると,静的破壊の強度よりかなり小さい応力(繰り返しの最大応力)で無数の微小な亀裂が生じ破壊する現象を材料の疲労や疲れという。金属材料の場合には金属疲労と言われることが多い。
 材料の疲労(疲れ)に対する強さの試験に用いられる材料試験を疲労試験という。金属材料の疲労試験については,JIS Z2273「金属材料の疲れ試験方法通則」などに準じて行われる。
 一般的に,機械や構造物に作用する荷重は時間的に変動するため,これを構成する材料にとって,静的破壊強度と共に疲労強度も設計時の重要な因子となる。
 関連ページ : 鋼の腐食:腐食疲労 ,  防食設計:防食設計の前提 ,  塗装概論:新設時塗装管理(素地調整) ,  
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 【金属腐食】( metallic corrosion )
 金属がそれをとり囲む環境物質によって,化学的又は電気化学的に侵食されるか若しくは材質的に劣化する現象。【JIS Z 0103「防せい防食用語」】
 単に腐食といわれることが多い。⇒ 腐食(ふしょく,corrosion)
 関連ページ : 防食設計:防食設計とは ,  
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 【金属めっき】( metal platingl )
 めっきされた金属をさす。「めっき」は,鍍金(ときん)とも言われ,金属を中心とする材料に対し,材料の装飾,耐食性向上,耐摩耗性向上,表面硬さなどの表面機能付与を目的に,異種金属の薄膜被覆による表面処理やその方法を指す。
なお,多くの記事で「メッキ」と片仮名で表記されることも少なくないが,「めっき」は,滅金(めっきん)に由来する日本語なのでひらがな表記とする 。
 関連ページ : 鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  
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 【金属溶射】( metal (thermal) spraying )
 溶射材料に金属を用いて被膜を形成する溶射。【JIS H8200「溶射用語」】
 溶射とは,ブラスト法で適度な粗度に素地調整した鋼材表面に,溶融した亜鉛や亜鉛-アルミニウム合金などを吹き付けて,防食皮膜を形成する方法である。
 鉄鋼に防食の目的で施した亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射皮膜について,JIS H 8300「亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射:Thermal spraying-Zinc, aluminium and their alloys」に規定されている。
 関連ページ : 鋼橋製作:その他防食対策 ,  鋼の腐食:鋼材の変遷 ,  防食基礎:金属被覆(分類) ,  防食基礎:金属溶射 ,  防食基礎:溶射材料と手順 ,  塗料各論:不動態化,還元系防せい顔料 ,  
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 【金めっき】( gold plating )
 金イオンや金錯イオンを含む電解質に直流又はパルス電流を流して,陰極上に金属金を析出させる処理。
 参考:金含有率が99.9%以上の電気めっき。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 関連ページ : 防食基礎:電気めっきの分類 ,  
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 【銀めっき】( silver plating )
 銀イオンや銀錯イオンを含む電解質に直流又はパルス電流を流して,陰極上に金属銀を析出させる処理。【JIS H0400「電気めっき及び関連処理用語」】
 関連ページ : 防食基礎:電気めっきの分類