防食概論:防食の基礎

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          【防食設計(期待耐久性)】

 防食対策の選定に先立ち,構造物の寿命(新設時の期待寿命,既設構造物の残存寿命),鋼や防食対策に用いる材料に対する架設環境の腐食性,構造物の架設環境(地形や周辺環境)や詳細構造に応じて,維持管理計画との関連を配慮し,防食対策に期待する耐久性を適切に設定する必要がある。
 
 要求性能について
 腐食が構造物に与える影響の程度により防食対策が変わる。
 すなわち,構造物設計や維持管理において,補修対策や取り換えと判断される腐食程度に応じて,適用可能な防食対策の範囲が異なる。
 例えば,腐食しろを設定している場合,鋼材の腐食度(閾値)を設定している場合,景観上の制約がある場合などで状況が著しく異なる。
 点検,補修作業の難易と時期
 構造物の多くは50年以上の長期間使用を前提としている。最近の鋼橋設計では,100年以上の耐用年数を念頭に入れている。実際に,100年以上経過した鋼構造物も数多く存在している。
 実用的な防食対策の中で,放置して構造物の期待耐用年数に匹敵する寿命を有するものはないと考えた方が良い。
 ステンレス鋼,耐候性鋼などの耐食金属材料を構造材料に用いたとしても,異常腐食の有無に関する定期点検が必要である。
 被覆防食では,皮膜の健全性の定期点検と補修が,電気防食では電源設備や犠牲電極の定期点検と補修が必要である。
 なお,防食対策の耐久性について,その機能が失われるまでの期間とするのか,点検や補修が必要になるまでの期間とするのか明確にしておく必要がある。
 
 環境の腐食性(防食対策の)
 ここでいう腐食性とは,採用候補になった防食対策に対する腐食性である。
 例えば,金属被覆として亜鉛めっきを用いる場合は,亜鉛の腐食に与える影響を示す。
 塗料・塗装,有機ライニングなどの有機被覆の場合は,有機材料の腐食(劣化)に与える環境因子として紫外線,水,酸化剤(酸素,オゾン等)などが挙げられる。
 しかし,塗膜劣化に至らない状況でも,塗膜内部の微細欠陥を原因とする鋼腐食(局部腐食)に至る場合が多いので,塗装による防食対策では,塗膜欠陥からの局部劣化に影響する環境因子(濡れ,酸素,塩類)の評価,塗膜の局部劣化程度の評価と補修対策を考慮した維持管理が重要になる。

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