防食概論:防食の基礎

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          【防食設計(期待耐久性)】

 防食(corrosion prevention)の設計に先立ち,構造物の寿命(新設時の期待寿命,既設構造物の残存寿命),鋼や防食に用いる材料に対する架設環境の腐食性を明らかにする。
 次いで,構造物の詳細構造や架設地の地形や周辺環境などによる制約条件に応じて,維持管理計画との関連を配慮し,採用できる防食対策の選定,防食に期待する耐久性を適切に設定する必要がある。
 なお,周辺環境による制約には,例えば,河川上のため対策工事が渇水期に限定,道路や線路をまたぐため工事が夜間の短時間しかできない,住宅が近くブラスト処理など騒音の大きい工事が困難などが挙げられる。
 
 防食対策の要求性能について
 腐食が構造物に与える影響の程度により採用できる防食対策が変わる。
 すなわち,構造物設計や維持管理において,補修(mending, recovery)や取り換えと判断される腐食程度に応じて,適用可能な防食対策の範囲が異なる。
 例えば,腐食しろ(corrosion margin)を設定している場合,鋼材の腐食度(閾値)を設定している場合,景観上の制約がある場合などで状況が著しく異なる。
 腐食しろとは,金属製品が,使用中の腐食によって失われることをあらかじめ想定して,その分だけ増しておく厚さをいう( JIS Z0103「防せい防食用語」)。

 点検,補修作業の難易と時期
 構造物の多くは50年以上の長期間使用を前提としている。最近の鋼橋設計では,100年以上の耐用年数を念頭に入れている。実際に,100年以上経過した鋼構造物も数多く存在している。
 実用的な防食対策の中で,放置しても構造物の期待耐用年数に匹敵する寿命を有するものはないと考えた方が良い。
 例えば,ステンレス鋼,耐候性鋼などの耐食金属材料を構造材料に用いた構造物において,全体の 99.9%が健全であったとしても,0.1%で局部腐食(local corrosion)による不具合が発生すると構造物全体の健全性に影響することもある。従って,耐食金属材料を用いたとしても,異常な腐食の有無に関する定期点検(periodical inspection)が必要である。
 更に,塗装,金属めっき,金属溶射などの被覆防食では,皮膜の健全性の定期点検と補修が,電気防食(electrolytic protection)では電源設備や犠牲電極の定期点検と補修が必要である。
 電気防食とは,電流の作用を用いて人為的に金属の電位を制御し,腐食を制御する方法をいい,金属の電極電位を操作する方法により,電極電位を基準値(防食電位)以下に下げるカソード防食法(cathodic protection ,陰極防食ともいう),電極電位を上げて不働態領域に保つアノード防食法(anodic protection ,陽極防食ともいう)の二種に大別される。
 なお,防食対策の耐久性について,更新を前提とする機能が失われるまでの期間とするのか,機能回復の補修が可能な期間とするのか明確にしておく必要がある。
 
 環境の腐食性(防食対策の)
 ここでいう腐食性とは,採用候補になった防食対策に対する腐食性である。
 例えば,金属被覆(metallic coating)として亜鉛めっきを用いる場合は,亜鉛の腐食に与える影響を示す。
 塗料・塗装,有機ライニングなどの有機被覆(organic coating)の場合は,有機材料の腐食(劣化)に与える環境因子として紫外線,水,酸化剤(酸素,オゾン等)などが挙げられる。
 この際に,耐食金属材料と同様に,全体的な劣化のみならず,欠陥部を原因とする鋼腐食(局部腐食)に至る場合を想定し,局部劣化に影響する環境因子の把握と局部劣化の評価法,補修対策を考慮した検討が重要である。

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