鋼橋の製作

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   【4.3 その他防食対策】

 防食対策を検討する場合には,架設環境や維持管理方法を考慮して,期待耐用期間中に腐食させないように,又は構造物の健全性に影響する腐食に至らないように,適切な判断材料を用いて選択しなければならない。
 一般に,塗装は 100年以上の使用実績があり,活用できる実用環境での情報(経験値)が多い。一方,他の防せい・防食対策には,比較的に実用実績が少ないものが多い。言い換えれば,想定する環境で,耐食性能レベルを満足できるか否かの判定に,活用できる経験値が少ないので,採否の判断は実験室での促進腐食試験結果や短期間の屋外暴露試験結果などからの推定に頼ることになる。
 このため,想定外の異常な腐食にいたることも少なくない。ここで重要になるのは,事態を放置したり,対処療法に走ることなく,十分な腐食原因調査で経験値を蓄積することである。
 ここでは,比較的実用実績のある溶融亜鉛めっき鋼や金属溶射鋼について紹介する。

 溶融亜鉛めっき鋼
 溶融亜鉛めっき鋼は,溶融めっき法の一種で,鋼材や部材を 440℃前後の溶融した亜鉛浴に浸漬して,鋼材表面に鉄と亜鉛の合金層,純亜鉛層の厚い皮膜を形成したものである。
 溶融亜鉛めっき鋼は,皮膜の厚さではなく,付着量で管理される。鋼材の厚さが 6mmを超える場合には,片面当たり 550g/m2( HDZ 55)まで規格されている。
 溶融亜鉛めっきの耐腐食性については,過去の報告されている暴露試験データなどを参考にすると,大気汚染のない山間や田園地域で腐食度 5~10g・m-2・a-1の範囲,海岸近くや凍結防止剤散布環境で 10~200g・m-2・a-1の範囲にある。このように,暴露試験片ですら暴露場所の違いで,10 倍以上の大きな差を生じる場合がある。
 実構造物では,降雨の影響,乾湿の影響,環境汚染物質の付着程度が部位で大きく異なると考えられる。このことは,当該環境や類似環境で実施した試験片の暴露試験データのみで耐久性を推測するのは危険であることを意味する。
 溶融亜鉛めっき鋼を用いた橋梁の設計にあたっては,めっき浴の大きさによる制限,浸漬時の熱影響(変形など)に対する配慮が必要である。また,使用できる高力ボルトが F 8T に制限されることにも留意しなければならない。

 金属溶射
 金属溶射は,ブラスト法で適度な粗度に素地調整した鋼材表面に,溶融した亜鉛や亜鉛-アルミニウム合金などを吹き付けて,防食皮膜を形成する方法である。
 金属溶射は,皮膜の厚さで管理される。過去の暴露試験データ(鋼構造物常温溶射研究会「鋼橋の常温金属溶射設計・施工・補修マニュアル」2006.4)には,亜鉛-アルミニウム合金溶射の侵食度として,山間環境で 0.48μm・a-1海岸環境で 1.94μm・a-1との報告がある。しかし,金属溶射の品質は,素地調整の品質,溶射後に実施される封孔処理の品質などの影響を受けること,構造物構造により十分な品質が得られない部位もあることなどを考慮すると,溶融亜鉛めっき鋼と同様に,暴露試験結果では想定できないほどの早い時期に補修が必要になるケース(溶射被膜の剥がれ)もあるので注意が必要である。
 金属溶射は,構造物の大きさや形状の制約が少ないこと,熱影響を受けないことなど,塗装と同様の利点があり,今後に適用事例が増えると想定される。実用拡大のためには,部材端部の処理法,溶射ガンの取り回し困難な構造の対策など設計上の配慮や施工管理技術の充実が望まれる。

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