腐食概論:鋼の腐食

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           【凍結防止剤について】

 平成 5年(1993年)のスパイクタイヤ禁止以降,自動車のスリップ事故防止を目的にした凍結防止剤散布の量が年々増加し,最近では年間に 50万トンに達している。
 高速道路,国道では安価で,凍結防止,融雪効果の高い塩化ナトリウム(NaCl)が用いられている。
 勾配の大きい道路,跨線道路橋などのスポット的な融雪(凍結後の散布)には,散布後の発熱効果が期待でき,即効性のある塩化カルシウム(CaCl2)や塩化マグネシウム(MgCl2)が用いられている。
 凍結防止剤使用量全体の70%以上は塩化ナトリウムである。

 高速道路や国道では,路面温度の低下予測,気象予測から道路の凍結予測時刻を判定し,凍結防止を目的に塩を事前に散布している。
 散布量は,事業体により異なるが,20g・m-2が多い。予想最低気温に応じて,30~40g・m-2に変える事業体もある。
 散布回数は地域や事業体により著しい差があり,1シーズンの散布塩量が道路延長 1m当たり 50kg以上になる個所もある。

 道路に散布された凍結防止剤は,散布直後の飛散,自動車による巻き上げ飛散,融解した塩水の道路外への流出が起きる。
 散布量の増加に伴い,凍結防止剤の道路周辺環境への影響が懸念され,本格的な調査が実施されている。参考資料 1)には,新潟市の新潟西バイパスでの実態調査結果が示されている。
 これによると,平成16年1月30日から3月26日までに 57回の散布があり,総散布量は 2.4kg・m-2であった。この中で,道路外への排水路を経由した流出は総散布量の約 72%であった。
 残りの 28%の流出経路を明らかにするため,自動車の走行で巻き上げられ飛散する量を高さ方向,道路からの距離方向に設置した捕集器での計測,自動車車体に付着し持ち出される量を試験車付着量の測定と交通量から推計している。
 この結果,凍結防止剤の流出経路別に,排水路 72%飛散 20%,自動車付着 2%,不明 6%の結果を得ている。
 なお,参考資料 1)の自動車で巻き上げられた粒子の計測で,ドライガーゼ法で補修される粒子は,道路から距離 23mで半減するが,液体捕集法で計測される粒子(直径 10µm未満)は,距離 23mまでの濃度低下が非常に小さく,かなり遠方まで飛散する可能性が示唆されている。

 仙台市内の国道 48号で実施された飛散塩分量と道路からの距離の計測結果を下図に示す。
 一般道でも 20mを超える距離まで塩が飛散している。走行速度の高い高速道路では,さらに遠方への塩の飛散が想定される。

飛散塩分量と道路からの距離の関係

飛散塩分量と道路からの距離の関係
出典:参考資料 1) p.48図3-2-8から抜粋


【今後の動向】
 価格は高いが,凍結防止剤の環境影響低減を目的に,塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの塩化物系の防止剤から酢酸系の防止剤への転換が検討されている。
 この中で,高価であるが,環境影響低減を目的に札幌市等の一部で実用されているカルシウム・マグネシウム・アセテート(CMA)の金属腐食に与える影響を検討している。この資料では,飽和食塩水にCMAを添加したときの効果を試験し,CMAに腐食抑制効果が期待できることを示唆している。

 【参考資料】
 1)木村恵子,曽根真理,並河良治,桑原正明,角湯克典:“凍結防止剤散布と沿道環境”,国土技術政策総合研究所資料 No.412(平成19年7月){凍結防止剤散布の植物や地下水に与える影響を調査したものである。}
 2)初鹿 敏明:“道路融雪剤に関する研究”,公益財団法人 ソルト・サイエンス研究財団 助成研究報告書 9612(1996年)(http://www.saltscience.or.jp/general_research/1996/199612.pdf){凍結防止剤の種類の自動車に使用される金属の腐食に与える影響を検討している。}

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