腐食概論:鋼の腐食

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,腐食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒ “鋼の腐食とは” ⇒

            【腐食に影響する要因】

 【流速の影響】
 淡水の場合は,流速の増加に伴い,拡散層の厚みが減少し,鋼表面に達する酸素流束が増加する。これに伴い,腐食速度が増加するが,ある値を超えると鋼表面が不動態化し,流速と共に腐食速度が減少した。
 海水の場合は,【淡水環境】・【水質の影響(陰イオン)】の項で説明したように,塩化物イオンを多量に含むため,酸素流束が増大しても,鋼表面の不動態化を妨げる(不動態皮膜を塩化物イオンが破壊する)。このため,流速の増大と共に腐食速度が単調に増加し続けるという特徴がある。
 流速がさらに高くなると,淡水の場合と同様にエロージョン・コロージョンやキャビテーション・コロージョンの発生する領域に達する。特に,海岸等の海底付近では,砂等の流動によるエロージョンの影響も無視できない。

 【応力の影響】
 海洋環境において,【鋼腐食の基礎】で解説した腐食疲労については,他の環境に比較して海洋環境で発生し易いことが知られている。
 海洋構造物では,波浪がもたらす長周期の繰り返し応力を受ける場合には,溶接個所などの疲労を受け易い個所に電気防食を施すなどの対策が必要になる。

 【漏れ電流の影響】
 港湾等では,港湾設備や船舶から種々の漏れ電流がある。例えば,溶接作業時の溶接電流の漏れ,船舶電装品からの電流の漏れなどである。海水の電気抵抗率が低いので,これらの漏れ電流があると,【土壌環境での腐食】で解説する【迷走電流】による腐食が懸念される。
 場合によっては,他の施設で実施する電気防食の電流の影響を受けることもある。このように,海洋環境では,海水の電気抵抗率が低いことを考慮した防食設計が必要である。

 【表面付着物の影響】
 ・さび層の影響
 海水中のさび層(表面に沈着した腐食生成物の層)は,淡水中や大気中のさび層に比較し,多くの欠陥を含む保護性の低いさび層といわれている。原因として,さび層中のオキシ水酸化鉄やマグネタイトなどの腐食生成物組成や構造(緻密さ)の違いと推測されている。
 例えば,塩化物イオンなどハロゲンイオンの影響で生成する含水酸化鉄(β-FeOOH)は,大気環境,淡水環境などの腐食で生成するα-又はγ-FeOOHと結晶構造が大きく異なり,密度が小さい。さび層の保護性の低さの要因に結晶構造の違いが寄与していると推定される。
 従って,海水中でもさび層の形成と共に鋼の腐食速度は低下するが,淡水中の場合や大気中の場合に比較して,さび層の保護機能が小さく,経年による腐食速度の低下が小さいと考えられる。
 ・海洋生物の付着
 海中部,干満帯や飛沫帯の表面には,フジツボ類,セルブラ類,ホヤ類などの海洋動物が密に付着する。このため,水抵抗の増加や目視点検が困難になるとともに,生物種によってはすき間腐食の原因になる場合もある。

  ページトップへ