化 学 (有機化学)

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 ここでは,コンセントやプラグなどで身近なユリア樹脂(尿素樹脂)やメラミン樹脂に関連し,【ユリア樹脂とは】【ユリア樹脂の合成】【メラミン樹脂とは】【メラミン樹脂の合成】に項目を分けて紹介する。

 【ユリア樹脂とは】

 ユリア樹脂( UF ,urea formaldehyde resin )は,尿素樹脂ともいわれ,尿素( H2NCONH2ホルムアルデヒド( HCHO ,methanal )との重合反応で生成するユリア基( –NH–CO–NH– )を有する透明な熱硬化性樹脂である。
 なお,一般的には,ウレア樹脂と称する例も多いが,JIS 規格では「ユリア」の表記に統一されている。
 
 特性と主な用途
 ユリア樹脂の一般的な特性は,表面硬度が高く,光沢があり傷つきがたいこと,耐熱性(常用耐熱温度 90 ℃),耐有機溶剤性,機械的強度,電気的特性に優れることが挙げられる。
 しかし,耐衝撃性,耐水性,耐酸性,耐塩基性が低く,吸湿による法安定性に欠けるなどの欠点もある。
 
 透明で着色が容易なため,ボタン,食器,キャップ,雑貨類,漆製品の素地(漆を塗る木の代用)などに用いられている。
 他には,電気製品(配線器具),電気部品,合板接着剤,繊維加工,尿素樹脂塗料などにも用いられている。
 液状縮合物は合板用接着剤や紙加工分野で用いられ,固形状の材料は成型材料として電気機器の部品やボタンなどの日用品類または漆器の素地として使用される。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6916 「ユリア樹脂成形材料: Urea-formaldehyde moulding compounds 」
 JIS K 6916-1 「プラスチック−ユリア樹脂成形材料−第 1 部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎: Plastics-Urea-formaldehyde moulding compounds-Part 1 : Designation system and basis for specifications 」
 JIS K 6916-2 「プラスチック−ユリア樹脂成形材料−第 2 部:試験片の作り方及び諸性質の求め方: Plastics-Urea-formaldehyde moulding compounds-Part2 : Preparation of test specimens and determination of properties 」

 

 【ユリア樹脂の合成】

 尿素( H2NCONH2 ,urea )とホルムアルデヒド( HCHO ,methanal )水溶液を原料とし,アルカリ性または酸性下で脱水縮合反応を行う。この方法では,液状縮合物が得られる。
 
 初期反応では,尿素とホルムアルデヒドの付加反応でモノメチロールユリア( 1-(ヒドロキシメチル)尿素,(Hydroxymethyl)urea )が得られる。次いで,モノメチロールユリアがユリアと縮合反応してメチレンジユリアが得られる。
 塩基性の条件では,付加反応
は速く,縮合反応が非常に遅いため,生成したモノメチロールユリアにホルムアルデヒドが付加してジメチロールユリア( 1,3-(ヒドロキシメチル)尿素,Dimethylolurea )になる。酸性条件下では,逆に縮合反応が速く,付加と縮合反応を繰返しゲル化する。
 
 工業的には,アルカリ性触媒(水酸化ナトリウム水溶液,アンモニア水,炭酸アンモニウム,ヘキサメチレンテトラミンなど)で付加反応を行い,次いで酸性触媒(塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸など)を用いて縮合反応を進行させ,目標とする分子量の樹脂が得られた段階で中和,冷却後に液状の製品として供給する。

尿素とホルムアルデヒドの反応

尿素とホルムアルデヒドの反応

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 【メラミン樹脂とは】

 メラミン樹脂( MF ,melamine resin )は,メラミン–ホルムアルデヒド樹脂( melamine formaldehyde )ともいい,メラミン( C3H6N6 ,1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)とホルムアルデヒド( HCHO ,methanal )との共重縮合により製造された熱硬化性樹脂である。
 
 特徴と主な用途
 メラミン樹脂の一般的な特性は,無色透明で着色性が良い,耐熱性が高い,表面硬度が高い,機械的特性,電気的特性,耐アーク性,耐薬品性,耐溶剤性,耐水性に優れる。欠点としては,耐酸性に劣ることが挙げられる。
 
 メラミン樹脂成形品としては,引張強度,硬度,耐衝撃性がユリア樹脂より優れ,硬く,感触が良く,耐水性,耐薬品性に優れ,有害成分を含まないため,食器類(皿,茶碗など),衣類のボタン,化粧品や薬品のびんやキャップなどに多く用いられている。
 なお,樹脂自身がマイクロウェーブを吸収して発熱するので,電子レンジ加熱用の容器に適しないため,食器等での用途が限定される。
 着色が容易で,表面光沢があり,表面硬度が高く,耐熱性,耐薬品性,耐摩耗性があるため,化粧ボード,テーブルトップ,建築物,船舶,車両の内装材などに利用される。
 また,電気的特性にも優れるため,配線,照明部品,プラグ,コンセント,配線機器部品,制御部品,摺動部品,電源スイッチ,リレーケース,ブレーカーなどにも利用されている。
 
 メラミン樹脂用途の過半数を占めるは接着剤としては,木工用,耐水性合板用の接着剤が主流で,他に家屋の外装,屋根下地,風呂内装などの接着剤にも用いられる。
 メラミン樹脂接着剤の特徴は,一般的な熱硬化性接着剤より可使時間が長く,耐熱性,耐水性,耐老化性,表面硬度が良好である。 シックハウス症候群として知られる建材からの揮発性化学物質が問題になり,建築物内装用途の需要は激減した。
 
 塗料(メラミン樹脂塗料)用メラミン樹脂は,エポキシ樹脂,熱硬化型アクリル樹脂,アルキド樹脂と混合した金属の焼付け塗装用として用いられている。
 例えば,アルキド樹脂とメラミン樹脂を混合した塗料(アルキド・メラミン樹脂塗料)は,光沢のある焼付け塗料として,自動車,バイク,冷蔵庫や洗濯機などの家電製品などに用いられる。
 他に,ユリアとの共縮合で得た樹脂をアルキド樹脂と併用した酸硬化型塗料は化粧合板用塗料として,メチルエーテル化した初期縮合物は電着塗装用の水溶性塗料として,ヒドロキシアルキルビニルエステル基と反応させ,電子線硬化型,又は紫外線硬化型の塗料として利用されている。
 
 関連 JIS 規格
 JIS K 6917「メラミン樹脂成形材料」,JIS K 6917-1「プラスチック−メラミン樹脂成形材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」,JIS K 6917-2「プラスチック−メラミン樹脂成形材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

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 【メラミン樹脂の合成】

 メラミンホルムアルデヒドとの反応は,前項で紹介したユリア樹脂の反応と同様に,付加反応によるモノメチロールメラミン( C4H14N6O :4,6-Diamino-2-(hydroxymethylamino)hexahydro-1,3,5-triazine )を経由した縮合反応による初期縮合物が得られる。
 メラミンは 3 個のアミノ基( –NH2を持つので,1 分子当りホルムアルデヒドが 6 分子まで付加反応できる。一般的なメラミン樹脂では,平均で 3 分子程度付加した状態のメチロールメラミン類混合物が用いられる。
 
 中性あるいは塩基性の条件下で反応させると,ホルムアルデヒドが 1 個付加したモノメチロールメラミンが生成し,次いでこれにホルムアルデヒドがさらに付加しジメチロールメラミンが生成する。反応が進むことで,メチロール基( –CH2OH )の結合(メチロール化)が進み,放置すると最後的にヘキサメチロールメラミンまで進む。
 付加反応によるメチロール化は, pH 10 付近で最も早いが,pH 10 を超えるとメルロール基間の縮合反応によるエーテル化が起こり,メラミン樹脂の特性に悪影響を及ぼすので,一般的に合成条件として pH 9 以下が用いられる。
 酸性条件下では,ユリア樹脂と同様に付加反応によるメチロールメラミン類の生成と縮合反応による重合が起こる。生成物は疎水性のため,重合が進むことでゲル化した樹脂液(初期縮合物が得られる。

メラミンとホルムアルデヒドの反応

メラミンとホルムアルデヒドの反応

   メラミン樹脂の製品加工
 成形材料は,塩基性触媒( pH 9 )で,メラミンホルムアルデヒドのモル比 1:2~3 ,温度 75~90 ℃で反応させ,得られた初期縮合物に充填材を混練する。
 乾燥,粉砕,着色などの工程,充填材などの添加剤,成形方法などは,ユリア樹脂の場合とほぼ同様である。
 接着剤は,液状の初期縮合物を主成分とし,硬化剤,増粘剤,増量剤などを配合して用いられる。具体的には,合板用の接着にはこのままで用い,それ以外の用途では減圧濃縮して必要な粘度に調整する。
 硬化剤にはユリア樹脂の場合と同様の硬化剤が用いられるが,室温では十分硬化しないため100℃以下の加熱硬化を行う。硬化剤には,約 10 質量%の塩化アンモニウム水溶液に 2~5 質量%の塩酸を添加したものが用いられる。

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