化 学 (有機化学)

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 ここでは,エラストマー・ゴムに関連する用語について, 【天然・合成ゴム関係】【ラテックス関係】【製造(加硫)関係】【試験機・性質関連】【静的試験関係】【動的試験関係】【老化・劣化現象】に項目を分けて紹介する。

 【天然・合成ゴム関係】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 一般
 原料ゴム( raw rubber ): ゴム製品を製造するための天然ゴム又は合成ゴム。
 注記 1 生ゴムともいう。
 注記 2 通常はベール又は包装品。通常は配合剤を含まないが,オイル及び/又は充てん剤を含むものもある。
 ゴム( rubber ): ベンゼン,メチルエチルケトン,エタノール・トルエン共沸混合物などの沸騰中の溶剤に本質的には不溶性(しかし,膨潤できる)の状態に改質できる原料ゴム,又は既に改質されているエラストマー材料。
 注記 1 改質後のゴムの状態では,加熱及び圧力を加えても容易に恒久的な形状に再成形できない。
 注記 2 ゴムは,改質され,かつ,希釈剤を含有していない状態では,室温( 18℃~29℃)においてその長さを 2 倍に伸ばし,かつ,緩める前に 1 分間そのままに保持しても,1 分以内に元の長さの 1.5 倍未満に収縮する。
 ベール( bale ): 圧縮して成形した原料ゴムの塊。 注記 ゴムベールともいう。
 
 天然ゴム関連
 可塑度残留指数( plasticity retention index (PRI) ): 天然ゴムにおいて,140 ℃,30 分で空気加熱老化させたときの,老化前に対する老化後の可塑度の比。 注記 PRI ともいう。
 グアユールゴム ( guayule rubber ): グアユールゴムノキ( Parthenium argentatum )から,ゴム及び樹脂を抽出して分離したシスポリイソプレン。
 ゴム炭化水素( rubber hydrocarbon ): 天然ゴム中の,炭素及び水素だけで構成された重合体。
 注記 化学的に純粋な重合体で,天然ゴム中のたんぱく質,老化防止剤,ステアリン酸,伸展油などを除く。
 スキムラバー ( skim rubber ): 天然ゴムラテックスの濃縮中に分離された,濃度の薄いラテックスから得られるゴム。
 天然ゴム( natural rubber ): パラゴムノキ( Hevea brasiliensis )から得られるシス−1, 4−ポリイソプレン。
 ベールコーティング( bale coating ): マーキングを容易にしたり,他との粘着防止のために,天然ゴムのベールの表面に施される被覆。
 
 合成ゴム関係
 エラストマー( elastomer ): 弱い力で変形し,力を除いた後,急速にほぼ元の形状寸法に戻る高分子材料。
 枝分かれ重合体( branched polymer ): 直鎖状の分子が,環状ではなく分岐構造をもって結合している重合体。
 グラフト重合体( graft polymer ): 1 種類以上のブロックが,主鎖に側鎖として結合している重合体。
 注記 これらの側鎖は,結合点を除いて主鎖を構成する構成単位とは異なる構成又は配置の特徴をもつ。
 グラフト共重合体( graft copolymer ): 2 種類以上の単量体から派生したグラフト重合体。
 合成ゴム( synthetic rubber ): 1 種類又は 2 種類以上の単量体を重合して得られる原料ゴム。
 ジエン系ゴム( diene rubber ): ブタジエン又は置換ブタジエンを主体として得られる主鎖に,不飽和炭化水素結合をもつ重合体。
 樹脂配合ゴム( resin rubber ): 樹脂を添加したゴム配合物。
 注記 混合時に望ましくない粘度の上昇を引き起こさない。また,加工中の流動を抑制する。
 線状重合体( linear polymer ): 単量体単位が分岐しないで直鎖状に結合している重合体。
 熱可塑性エラストマー( thermoplastic elastomer ): 加硫せず,又は架橋せずに,使用温度においては加硫ゴムと類似の特性をもち,加工温度では特性が消滅し,容易に加工ができ,使用温度に戻すと再び元の性質を発現する,重合体又は重合体ブレンド。
 熱可塑性ゴム( thermoplastic rubber ): 熱可塑性エラストマーと同義語。
 注記 一般に業界用語として用いられる。
 ブロッキング( blocking ): 材料間の意図しない固着。
 ブロック重合体( block polymer ): 直線的につながったブロックで構成された重合体。
 粉末状ゴム( powdered rubber ): 原料ゴム又は未加硫配合ゴムを,直径 1 mm 以下の粒子状にしたもの。
 注記 製造,輸送及び貯蔵中に固まらないように,表面処理したものもある。
 油展ゴム( oil-extended rubber ): プロセスオイルを比較的高い割合で含む原料ゴム。
 注記 オイルの割合は,通常,重合体 100 部に対し 15 部以上。
 粒状化ゴム( granulated rubber ): 原料ゴム又は未加硫配合ゴムを,細断して直径 15 mm 以下の粒子状にしたもの。
 注記 製造,移送及び貯蔵中に固まらないように表面処理したものもある。

 

 【ラテックス関係】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 安定化ゴムラテックス( stabilized rubber latex ): 早期凝固を防止する処理をしたラテックス。
 遠心分離ラテックス( centrifuged rubber latex ): 遠心分離によって,しょう(奨)液を分離し,ゴム濃度を高めたラテックス。
 ガムディップ( gum dipping ): 繊維をゴムのりに浸すことによって,ゴムを含浸させる工程。
 加硫ラテックス( prevulcanized rubber latex ): 粒子が部分的に加硫されたラテックス。
 注記 フィルム及び一部の製品は,このラテックスを単に乾燥して作られる。
 乾燥後残さ( residue after drying ): 試験条件で,揮発せずに残った物質の量を質量分率で表した値。
 乾燥ゴム分( dry rubber content ): ラテックス又はゴム溶液中に含まれるゴム量を,ラテックス 100 質量部当たりの質量分率で表したもの。
 クリームラテックス( creamed rubber latex ): クリーミング及び分離したしょう(奨)液を除去することによって,ゴム濃度を高めたラテックス。
 ゴムラテックス( rubber latex ): ゴム粒子が,コロイド状に水に分散しているラテックス。
 しょう(奨)液( serum ): ラテックスの分散媒体。
 スラッジ( sludge ): 未配合ゴムラテックス中の沈殿物。
 濃縮天然ゴムラテックス( natural-latex concentrate ): アンモニア及び/又は防腐剤を含む濃縮天然ゴムラテックス。
 フィールドラテックス( field latex ): 濃縮又は他の処理前の天然ゴムラテックス。
 注記 防腐剤を含んでいることもある。防腐剤は,ゴムの木から得られたそのままの状態を維持するために加える。
 保存処理ゴムラテックス( preserved rubber latex ): 腐敗及びそれに伴う凝固を防止する処理をしたラテックス。
 ラテックス( latex ): 重合体の水性コロイド分散体。

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 【製造(加硫)関係】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 重合関係
 解重合( depolymerization ): 重合体から,単量体又は比較的低分子量の重合体に分解する反応。
 三元重合体( terpolymer ): 3 種類の異なる単量体から合成された重合体。
 動的架橋( dynamic vulcanization ): 熱可塑性樹脂と適度に反応性のあるゴム状ポリマーとを十分に溶融混合し,化学的に架橋したゴム相をもつ熱可塑性エラストマーを生成させるプロセス。
 注記 同じ無架橋組成に比べて,熱硬化ゴムの物性に匹敵する結果を得る。
 乳化重合( emulsion polymerization ): 石けん及び/又は界面活性剤によって,1 種類以上の単量体を分散させ,安定なコロイド状水系分散体を形成させ,反応させ,ラテックスを得る工程。
 バージン,バージンゴム( virgins (deprecated) ,virgin rubber (deprecated) ): 天然ゴムの生ゴム。
 バウンドモノマー( bound monomer ): 重合体を製造する重合反応において,同一タイプ又は異なるタイプの単量体と反応又は結合した単量体。
 注記 この用語は,合成ゴムに用いられる。バウンドモノマーは,一般に重合体中の百分率で表す。
 ホモポリマー( homopolymer ): 1 種類の単量体によって合成された重合体。
 溶液重合( solution polymerization ): 1 種類又は 2 種類以上の単量体を共通の溶剤に溶解させて,重合体を生成させる反応工程。
 
 加硫関係
 一次加硫促進剤( primary accelerator ): ゴムの加硫に用いる主な加硫促進剤。
 架橋助剤( coagent ): 非硫黄加硫系において,低濃度で架橋効率を増加させ,特性を変化させるのに用いる配合剤。
 注記 この用語は,一般に有機過酸化物による加硫の改良に用いる添加剤と同一である。
 活性剤( activator ): 加硫促進剤の効果を増強するために,少量用いる配合剤。
 加硫剤( vulcanizing agent ,curative ,curing agent ): ゴムに架橋を生じさせる配合剤。
 加硫促進剤( accelerator ): 加硫速度の増大及び/又は加硫物の物性を向上させるために,加硫剤とともに少量用いる配合剤。
 加硫遅延剤( retarder ): ゴム配合物の加硫速度を遅くさせるために用いる配合剤。
 初期加硫抑制剤( prevulcanization inhibitor ): 加工及び加硫の温度で,ゴム配合物の架橋が始まるまでの時間を延ばすための配合剤。
 注記 1 加硫温度では,加硫速度にほとんど影響を与えない。
 注記 2 初期加硫抑制剤は,架橋の開始時期だけを遅らせる点で,加硫遅延剤とは異なる。多くの加硫遅延剤は,全体として加硫反応を抑制し,加硫速度を低下させる。
 遅効性促進剤( delayed-action accelerator ): 加硫温度で架橋の始まりが遅く,いったん架橋が始まると,急速に架橋を形成する促進剤。
 二次加硫促進剤( secondary accelerator ): 加硫速度及び加硫物の性質を最適化するために,一次促進剤と一緒に低配合量で用いる促進剤。
 注記 ブースタ( booster )ともいう。
 架橋密度( crosslink density ): 加硫ゴムの単位体積又は単位質量当たりの架橋の数。
 加硫( vulcanization ,cure ): 化学構造を変化させ,架橋することによって,ゴム弾性を付与,回復若しくは改良したり,又は広い温度領域にわたって,弾性を付与された状態に変化させる工程。
 注記 硬質化するまでの工程をいう場合もある。
 加硫戻り( reversion ): 空気が遮断された状態で,過加硫による加硫物のモジュラス及びモジュラス関連の性質が低下する現象。
 注記 この現象は,加硫温度で長時間放置することによって起こる。加硫戻りは,架橋密度の減少によって生じる。
 二次加硫( post cure ): ゴムの一つ又はそれ以上の性質を高めるために,一次加硫に続いて行う熱処理及び/又は放射線処理。
 マーチングモジュラスキュア( marching modulus cure ): 加硫温度で,モジュラスが急激に増加した後も,徐々に増加を続けていくが,最大値には達しないタイプの加硫。
 注記 マーチングキュアともいう。
 リバーティングキュア( reverting cure ): 加硫温度でモジュラスが最大値に達し,その後時間の経過とともにモジュラスが減少するタイプの加硫。
 注記 ピーキーキュアともいう。
 連続加硫( continuous vulcanization ): 特別に設計された加熱装置の中を,連続して通過させながらゴムを加硫する操作。
 硫黄加硫系( conventional sulfur vulcanizing system ): 加硫剤として比較的多量の単体硫黄を用いる,ジエン系ゴムに用いるような,はん用加硫系。
 注記 最適加硫では,主としてポリスルフィド,ジスルフィド架橋,及び非架橋型結合硫黄を含む網目構造が得られる。
 加硫系( vulcanizing system ): 要求された加硫特性及び加硫ゴム物性を得るために用いる,加硫剤及び必要に応じて用いる,加硫促進剤,活性剤,加硫遅延剤などの組合せ。
 半有効加硫系( semi-efficient vulcanizing system ,semi-EV system ): 主としてジエン系ゴムに用いるもので,硫黄,硫黄供与剤(用いない場合もある),及び通常の硫黄加硫系と有効加硫系との中間配合量の,加硫促進剤からなる,加硫系。
 非硫黄加硫系( non-sulfur vulcanizing system ): 架橋するために,単体の硫黄又は硫黄ドナーを必要としない加硫系。
 無硫黄加硫系( sulfur donor vulcanizing system ): 元素硫黄を配合しないで,硫黄をすべて,硫黄化合物から供給する加硫系。
 注記 “sulfurless vulcanizing system”と呼ぶ国もある。
 有効加硫(EV)系( efficient vulcanizing (EV) system ): ジエン系ゴムに用いるような,加硫剤としての硫黄を有効に利用する加硫系。
 注記 最適加硫では,主として熱的に安定なモノスルフィド架橋を含む網目構造が得られる。EV 加硫系は,硫黄ドナー及び/又は低濃度の硫黄単体と高濃度の加硫促進剤との組合せからなる。
 
 補強,充てん剤関係
 アグリゲート( aggregate ): カーボンブラックの一次凝集体であって,微球状の基本粒子どうしが融着し,連鎖状又は不規則な鎖状に枝分かれした複雑な凝集形態を示すもの。
 注記 通常,基本粒子が数個から数十個の凝集体で,数十∼数百ナノメートルの大きさ。
 アグロメレート( agglomerate ): カーボンブラックの二次凝集体であって,通常のゴムの加工工程において,容易に分離可能な凝集体間が,緩く結合したもの。
 注記 通常,数十∼数百ミクロンの大きさ。
 カーボンブラック( carbon black ): 炭化水素の不完全燃焼又は熱分解によって得られる,ほぼ 95 %以上の炭素からなる物質で,かつ,コロイド大のほぼ球状の粒子の形をなしており,更に集合して粒子集合体となっている数百ナノメートル以下の物質。
 サーマルカーボンブラック( thermal carbon black ): 空気又は炎のない状態で,液状若しくはガス状炭化水素又はそれらの混合物を,制御された条件下で熱分解して得られるカーボンブラック。
 ファーネスカーボンブラック( furnace carbon black ): ガス,油又はこれらの混合物を適量の空気とともに反応炉で,連続的に不完全燃焼させて製造したカーボンブラック。
 注記 オイルファーネスカーボンブラック( oil-furnace carbon black )又はガスファーネスカーボンブラックともいう。
 体面積平均粒子径( volume-surface average particle diameter ): 個々の粒子径の 3 乗の合計を,その 2 乗の合計で除したもの。
 注記 粉体の平均粒子径を表す定義の一つ。
 比着色力( tinting strength ): カーボンブラックを白色顔料(酸化亜鉛)とともにビヒクルで練り,ガラス板などに塗ったときの反射率を測定し,その反射率を標準品の反射率と対比して指数で表すもの。
 注記 標準品は,米国の ASTM に規定している ITRB を用いる。また,色の濃いものを比着色力が大きいとする。
 よう素吸着量( iodine adsorption number ): 規定の条件下で,カーボンブラックの 1 kg 当たりに吸着される,よう素の量(g)。
 注記 カーボンブラックの表面積の尺度を表す。
 溶媒着色透過度( solvent discolouration ): 特定波長における,純溶媒の透過率に対する,カーボンブラックを抽出して得られるろ過液の透過率の比。
 注記 溶媒は,トルエンを使用するため,正式には,トルエン着色透過度という。カーボンブラック中に含まれる未分解有機物の残留程度を表す指標となる。

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 【試験機・性質関連】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 試験機関係
 可塑度計( plastimeter ,plastometer ): 材料の可塑性を測定する装置。
 注記 プラストメータと呼ばれるある種の市販の装置には,可塑性の測定ではなく,定荷重下で製品に生じたへこみを測定するものがある。
 加硫試験機( curemeter ): 加硫温度での,加硫反応の進行を測定する試験装置。
 ダイ加硫試験機,ロータレス加硫試験機( rotorless curemeter ): ダイ中空部の中に充てんした試料に,応力又はひずみを与えるために,一方のダイが他方に対してねじり又は線上の振動を行う,二つのダイをもつ振動式加硫試験機。
 ディスク加硫試験機( oscillating-disc curemeter ): 試料が充てんされているダイ中空部の中に,ねじり振動を行う両円すいディスクをもつ加硫試験機。
 デュロメータ( durometer ): 押針によって,ゴムの硬さを測定する器具。
 伸び計( extensometer ): 引張試験において,伸びを測定する器具又は装置。
 フレクソメータ( flexometer ): 試験片に曲げ,圧縮,伸長及び/又はせん断によって,周期的な変形を与える試験機。
 注記 国によっては,温度上昇及び/又は発熱の影響を測定する試験機にだけ適用する。
 
 性質関係
 粘弾性( viscoelasticity ): 材料が変形したときの粘性と弾性との組合せ。
 注記 それぞれが,時間,温度,応力及びひずみ速度の影響を受ける。
 加工性( processibility ): 原料ゴム又は配合ゴムの,ゴム用加工機械における加工のしやすさ。
 可塑性( plasticity ): 原料ゴム又は未加硫ゴム混合物において,変形させた力を除去した後も,その変形を保つ性質。
 注記 “高可塑性”は変形したままであることを示す。
 可塑度( plasticity number ): 圧縮力,時間及び温度の規定の条件下で,変形させた後の試験片の高さに基づく可塑性の尺度。
 腰の強さ( nerve ): 原料ゴム又は未加硫ゴムの変形に対する弾性抵抗。
 注記 腰の強さは通常,カレンダシートのゲージ,押出物の寸法及び/又は表面の性質に影響を与える。
 バウンドラバー( bound rubber ): 一般的に,ゴムの溶剤で抽出できないほど,充てん剤と強く結合している混合物中の一部分。
 ムーニー粘度( Mooney viscosity ): 原料ゴム又はゴム配合物の,ムーニー粘度計によって求める粘度。
 灰分( ash ): 試料を規定条件下で,灰化したときの残さ。
 かさ密度( bulk density ): 気泡を含む材料の単位体積当たりの質量。
 注記 一般にこの用語は,発泡材料及び粉体材料に適用する。
 か性カリ数( KOH number ): 固形物 100 g を含むラテックス中の,アンモニアと結合する酸性根と当量の水酸化カリウムのグラム数。
 揮発性脂肪酸数(VFA 数)( volatile fatty acid number (VFA number) ): 全固形分 100 g 当たりの,揮発性脂肪酸と当量の水酸化カリウムのグラム数。
 結合硫黄( combined sulfur ): 所定の方法で抽出後も加硫物中に残存する硫黄。
 注記 この硫黄は,有機成分(例えば,加硫ゴム又はサブ中の有機結合硫黄)及び/又は無機成分(例えば,硫酸バリウムのような無機結合硫黄)に結合している。
 抽出性硫黄( extractable sulfur ): 規定の条件下で,規定の溶剤を用いて抽出できる,ゴム配合物中又は加硫物中の硫黄。
 遊離硫黄( free sulfur ): ゴム配合物中又は加硫物中の未結合硫黄。
 注記 実際には,遊離硫黄の測定法では,元素硫黄が測定されるが,チウラムジスルフィド及びポリスルフィド中に結合している,ある種の反応性硫黄が測定されることもある。

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 【静的試験関係】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 圧縮永久ひずみ( compression set ): 圧縮変形を起こす力を完全に除去した後も残存する変形。
 注記 1 固形ゴムでは,圧縮永久ひずみは,規定の条件下で測定し,一般に元のたわみ又は変形に対する百分率で表す。
 注記 2 スポンジ材料では,圧縮永久ひずみは,規定の条件下で測定し,一般に元の厚みに対する百分率で表す。
 応力( stress ): 物体内部のある一点を通る一定の平面に作用する内力の強さ(又は内力の成分のその点における強さ)。
 注記 応力は,単位面積当たりの力で表す。引張試験,圧縮試験又はせん断試験で用いるように,応力は,試験片の断面の元の寸法を基にして計算する。
 応力緩和( stress relaxation ): 一定のひずみのもとでの経時的な応力の減少。
 硬さ( hardness ): へこみに対する抵抗。
 ガフ・ジュール効果( Gough-Joule effect ): ひずみを与えた状態で,温度を上げると加硫ゴムが収縮し,下げると元に戻る現象。
 注記 ひずみを与えた状態で温度を上げていくと弾性応力は温度上昇とともに増大する。同様に,一定の伸びを与えて温度を上げると,ひずみが増加する。この効果は,低温及び配合物では現れない。
 クリープ( creep ): 一定の応力のもとでの,経時的なひずみの増大。
 国際ゴム硬さ(IRHD) ( international rubber hardness degrees (IRHD) ): 硬さの単位。規定の条件下で試験片に規定の押針でへこむ深さから得られる量。
 注記 IRHD のスケールでは,押針を押し込んだときに,測定可能な抵抗を示さない材料を 0 とし,全くへこみのない材料を 100 とする。このスケールは,JIS K 6253 に規定されている。
 セット( set ): 変形を生じさせる力を完全に取り除いた後に残る変形。
 弾性( elasticity ): 変形を与えた力を除去したときに,元の寸法及び形状を回復しようとする性質。
 ネッキング( necking ): 材料を延伸したときに生じる,断面の局部的な減少。
 伸び率( percent elongation ): 試験片又は一様な断面をもつ部分の伸びで,元の長さに対する百分率。
 破断後のセット( set after break ): 引っ張って破断させた後の,試験片の永久ひずみ。
 破断伸び( elongation at break , ultimate elongation ): 破断時の試験片の伸び率。
 引裂き( tear ): 切りきず又は鋭角的若しくは局部的な変形の箇所で,高応力の集中によって生じた,ゴムの機械的な破壊。
 引裂強さ( tear strength ): 規定の試験片を引き裂くのに要する最大の力。
 注記 この力は,試験片の主軸に平行に作用する。
 ひずみ( strain ): 力による物体の元の寸法からの変化。
 引張永久ひずみ( tension set ): 試験片を伸長し,自由に収縮させた後,残留する伸び。
 引張応力( tensile stress ): 試験片を引っ張るのに要する力。
 注記 加えた力を試験片の元の断面積で除して計算する。
 引張強さ( tensile strength ): 試験片を引っ張って破断させるのに要した最大の引張力。
 引張モジュラス( tensile stress at a given elongation ,tensile modulus ): 試験片の特定部分が,所定の伸びになるまで引っ張るのに要した力。
 マリンス効果( Mullins effect ): 変形と回復の結果生じる,加硫ゴムの弾性モジュラスの減少。

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 【動的試験関係】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 機械的疲労限界( mechanical fatigue limit ): 繰返し変形において,化学的作用のない状態で疲労寿命の著しい減少を生じない程度に,試験片又は製品に加えられる最大の繰返しひずみ。
 屈曲寿命( flex life ): 所定の方法で屈曲される試験片が,規定の疲労状態となる屈曲回数。
 減衰係数,c ( damping constant, c ): 加えた力のうち,変形と直交する(90 度位相がずれた)力の成分を,変形速度で除した値。
 実効応力( root-mean-square stress ): 変形 1 サイクルにおける,応力の二乗の,時間的平均値の平方根。
 注記 対称的な正弦応力では,この値は,応力振幅を 2 で除したものと等しい。
 実効ひずみ( root-mean-square strain ): 変形 1 サイクルにおける,ひずみの二乗の,時間的平均値の平方根。
 注記 対称的な正弦ひずみでは,この値は,ひずみ幅を 2 で除したものと等しい。
 損失せん断弾性係数,G"( loss shear modulus, G" ): せん断ひずみと直交する(90 度位相がずれた)せん断応力を,ひずみで除した値。
 損失弾性係数,E"( loss Young's modulus, E" ): 法線ひずみと直交する(90 度位相がずれた)法線応力を,ひずみで除した値。
 耐衝撃性( impact resistance ): 衝撃力による破壊に対する抵抗。
 対数減衰率,Λ ( logarithmic decrement, Λ ): 減衰振動において,同位相の連続する振幅の比の自然対数。
 貯蔵せん断弾性係数,G'( elastic shear modulus, G' , storage shear modulus, G' ): せん断ひずみと同位相の,せん断応力成分を,ひずみ量で除した値。
 貯蔵弾性係数,E'( elastic Young’s modulus, E', storage Young's modulus, E' ): 法線ひずみと同位相の,法線応力成分を,ひずみ量で除した値。
 熱弾性( thermoelasticity ): 温度を上昇したときに生じるゴムのような弾性。
 ばね定数,K ( spring constant , K ): 変形と同位相の力成分を,変形で除した値。
 ヒステリシス( hysteresis ): 変形と回復の 1 サイクルにおいて,エネルギー損失をもたらす現象。
 ヒステリシスロス( hysteresis loss ): 変形と回復の 1 サイクルにおける,機械的エネルギーの損失。
 注記 通常は温度上昇として現れる。
 ひずみ振幅( strain amplitude ): 最大変形と平均変形との差の,変形を与える前の元の寸法に対する比。
 注記 変形の片側のピークを意味する。
 引張疲労( tension fatigue ): 繰返し引張応力を,試験片又は製品に与えたとき,き裂の成長によって破壊が生じる過程。
 疲労寿命( fatigue life ): 試験片又は製品を,規定条件下で変形させたとき,規定の疲労破壊状態になる変形回数。
 疲労破壊( fatigue breakdown ): 周期的変形による,試験片又は製品の劣化。
 注記 劣化速度は,環境要因,例えば温度,酸素,オゾン及び反応性液体に影響される。
 複素せん断弾性係数,G( complex shear modulus, G: せん断応力のせん断ひずみに対する比。
 注記 複素数で表す。
 複素弾性係数,E( complex Young modulus, E: 法線応力の法線ひずみに対する比。
 注記 複素数で表す。
 摩耗抵抗指数( abrasion resistance index ): 同じ規定条件下で測定した,試料ゴムの体積損失に対する標準ゴムの体積損失の比。
 注記 百分率で表す。
 レジリエンス( resilience ): 試験片を変形させる入力エネルギーに対する,瞬間的に回復したときの出力エネルギーの比。

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 【老化,劣化現象】

 JIS K 6200「ゴム‐用語:Rubber−Vocabulary 」に規定される用語を抜粋して紹介する。
 老化現象
 老化( ageing ): ある時間,ある環境下にさらされている間に生じる材料特性の不可逆的な変化。
 ある時間,ある環境下に材料をさらす操作。
 ウェザリング( weathering ): 屋外暴露において,物質に有害な影響を及ぼす要因の組合せ。例えば,日光,オゾン,酸素,湿度,温度など。
 オゾンき裂( ozone cracking ): オゾンの作用によって,引張ひずみ下で,ゴム表面に生じるき裂。
 注記 オゾンき裂は,引張ひずみの直角方向に生じる。通常,主鎖に不飽和結合をもつゴムに起こる。
 加圧酸素老化( oxygen-bomb ageing ,oxygen-pressure ageing ): 暗所,高温及び高圧下の酸素中で起こる老化。
 空気加熱老化( air oven ageing ): 暗所及び常圧下で,高温度の空気循環装置の中で起こる老化。
 クレージング( crazing ): 通常,光劣化によって,ゴムの表面に現れるランダムパターンの浅いき裂の形成。
 注記 オゾンき裂と異なり,クレージングはゴムに作用する引張ひずみに依存しない。
 自然老化( natural ageing ): 自然条件下での老化。
 注記 自然老化は屋外及び屋内で起こるが,ウェザリングという用語は屋外暴露だけに用いられる。
 促進暴露( artificial weathering ): 屋外暴露の影響を促進した,実験的条件で行う,試料の暴露。
 促進老化( accelerated ageing ): 短時間で,自然老化の影響を反映するように意図した,試験環境での老化。
 注記 劣化速度は,通常は温度の上昇によって速くなる。ときには酸素又は空気の圧力の上昇,湿度の上昇など,他の条件の変化が組み合わされることもある。
 耐光暴露色堅ろう度( colour-fastness on exposure to light ): 光暴露によって生じる色変化の抵抗性。
 注記 色堅ろう度は,一般的に視感による評価(基準色又は標準色を使用)又は計器による評価によって判定する。耐光堅ろう度( light fastness )ともいう。
 たな老化( shelf ageing ): 製造から最終使用までの,貯蔵期間中の老化。
 
 劣化現象
 チョーキング( chalking ): 表面劣化の結果,ゴム表面の粉状残さの生成。
 貯蔵硬化( storage hardening ): 貯蔵中の原料ゴム又は未加硫ゴムの粘度の増加。
 注記 貯蔵硬化は,低温結晶化とは異なり,熱的に可逆性ではない。
 貯蔵寿命( storage life ,shelf life ): 材料又は製品が,製造後に,規定の条件下で,規定の性質を維持する期間。
 日光チェッキング,日光き裂,太陽チェッキング( sunlight checking ,sunlight cracking ,sun checking (deprecated) ): 日光暴露によって生じるゴム表面のひび割れ,クレージング又はき裂。
 熱劣化( thermal degradation ): 外部から与えられた熱,又は内部に発生した熱による温度上昇で起こる劣化。
 フロスティング( frosting ): 空気中でオゾンの作用によって,ゴム表面につやのないブルーム状の物質が生成する現象。
 臨界ひずみ( threshold strain ): ある温度で,あるオゾン濃度を含む空気に,ある時間暴露したとき,オゾンき裂を生じない最大の引張ひずみ。
 
 現象表現
 色うつり( colour staining ): 糸又は織物による,意図しない色の移行。
 注記 例としては,着色を意図しない染料又は着色剤を含む水,ドライクリーニング用溶剤又は類似液体に浸せきしたときの色の移行,染色した他の材料と直接接触し,ブリード又は昇華によって起こる色の移行などが挙げられる。
 ウィッキング( wicking ): 圧力差又は毛細管現象によって,繊維に沿って生じる,気体又は液体の移動。圧力差又は毛細管現象によって,ゴムを被覆した布の繊維部分の糸に沿って生じる気体又は液体の移動。
 汚染( stain ): 熱,圧力又は日光の環境下で,配合剤による加硫ゴム又は他の接触するものに生じる汚れ。
 注記 汚染の分類としては,移行汚染,浸透汚染,接触汚染及び溶出汚染がある。
 移行汚染( migration stain ): ゴムと直接接触していない箇所の表面に,ゴムによって生じる汚染。
 浸透汚染( penetration stain ): ゴムと接触している物質の,表面又は反対側の表面に生じる汚れ。
 接触汚染( contact stain ): ゴムに直接接触した物体の表面部分に生じる汚染。
 溶出汚染( extraction stain ): ゴムからの液状溶出成分に接して,相手物質の表面に生じる汚染。
 水蒸気透過速度( water vapour transmission rate ): 一定の蒸気圧力差で,規定の時間に,試験片の単位面積当たりに,一方の面から他方の面に透過する水蒸気の速度。
 粘着性( tack ): 未加硫ゴム又は配合ゴムの接触する表面どうしが,互いに密着しようとする性質。
 プラッキング( plucking ): 接着された 2 層をはく離する場合,むしり取られたゴムが界面にところどころ残る現象。
 ブリード( bleeding ): ゴム表面へ液体の配合剤又は液状物質が染み出る現象。
 ブルーム( bloom ): ゴム表面へ,配合剤中の固体物質が移行する現象,又は移行した物質。
 注記 ブルームは,ゴムの表面状態を変化させる。
 膨潤( swelling ): 試験片を液体に浸したり,蒸気にさらしたりしたときに生じる,試験片の体積の増加。
 注記 仏語の“gonflement”には,英語で通常表現される“blowing”も含まれる。

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