化 学 (有機化学)

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 ここでは,身近な熱硬化性プラスチックに関連し,【熱硬化性樹脂とは】【熱硬化性プラスチックの関連用語】【添加剤の関連用語】【熱硬化性関連の特性】に項目を分けて紹介する。

 【熱硬化性樹脂とは】

 【プラスチックとは】で紹介したように,熱硬化性樹脂は,単量体(モノマー)の結合が三次元の立体的な網目構造をもち,三次元ポリマーや架橋ポリマーとも呼ばれる。
 熱硬化性樹脂は,一旦硬化した後(三次元立体構造)では,加熱しても可塑性を示さない。加熱を続けることで,ポリマー分子の熱分解がおこる。また,硬化後はいかなる溶媒にも溶けない
 従って,熱硬化性プラスチック製品の成形は,分子量の小さいモノマーや中間状態で熱可塑性のあるプリポリマー(プレポリマー)を型の中に入れ,型の内部で硬化(橋架け化を完成することで三次元網目構造を形成させる。
 なお,一般にプレポリマーとの記述例も多いが,JIS 用語ではプリポリマー( prepolymer )という。
 
 熱硬化性樹脂は,三次元立体構造を得るため,反応に関わる官能基を三つ以上もった物質を出発物質として用いる。硬化物の橋架けの程度を架橋密度( crosslinking density )といい,架橋密度の高いものほど硬く,耐熱性が高い。
 
 代表的な熱硬化性樹脂
 次節以後で紹介する熱硬化性樹脂は,フェノール樹脂( PF ,phenol formaldehyde resin ),ユリア樹脂( UF ,urea formaldehyde resin ),エポキシ樹脂( EP ,epoxy resin ),不飽和ポリエステル樹脂( UP ,unsaturated polyester resin ),メラミン樹脂( MF ,melamine resin ),ポリウレタン樹脂( PUR ,poly urethane resin )である。
 なお,ポリウレタン樹脂に関しては,既に紹介したように,熱可塑性と熱硬化性のものがある。

 

 【熱硬化性プラスチックの関連用語】

 熱硬化性ブラスチックに関連する基礎用語について,JIS K 6900「プラスチック―用語: Plastics − Vocabulary 」では次のように定義されている。
 樹脂( resin )
 不明確でかつしばしば高い相対分子質量を有し,応力を受けると流動する傾向を示し,通常は軟化又は溶融範囲を有し,かつ通常は貝殻状に割れる固体,半固体,又は凝固体の有機材料。
 広義にはこの用語はプラスチック用の基盤材料であるいくつかの重合体を明示するためにも使用される。
 プラスチック( plastic )
 必須の構成成分として高重合体を含みかつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料。
 1 同様に流れによって形を与え得る弾性材料はプラスチックとしては考えない。
 2 幾つかの国々,特に U.K.においては,公式の見解は現在,用語“プラスチックス”を複数形はもち論単数形として使用することの選択の自由も許されている。
 熱硬化性の( thermosetting )
 加熱又は放射線,触媒などのようなその他の手段によって硬化される際に,実質的に不融性かつ不溶性製品に変化し得ること。
 熱硬化性プラスチック( thermosetting plastic )
 熱硬化性の特性を有するプラスチック。
 熱硬化プラスチック( thermoset plastic )
 加熱又は放射線,触媒などのようなその他の手段によって実質的に不融性かつ不溶性の状態に硬化されているプラスチック。
 熱硬化系(プラスチック)( thermoset )
 加熱又はその他の手段で硬化した際,実質的に不融性かつ不溶性製品に変化するプラスチック。
 (注) この用語は熱硬化性プラスチック及び熱硬化プラスチックの双方を含む。
 プリポリマー( prepolymer )
 単量体又は単量体類とその最終の重合体との中間の重合度の重合体。
 単量体単位;マー( monomeric unit ; mer )
 重合過程において単一の単量体分子により形成される最大の構成単位。

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 【添加剤の関連用語】

 熱硬化性樹脂添加剤に関連する基礎用語について,JIS K 6900「プラスチック―用語: Plastics − Vocabulary 」では次のように定義されている。
 硬化剤( hardening agent ; hardener )
 その反応に加わることによって樹脂又は接着剤の硬化反応を促進し又は調節する試剤。
 ブロック硬化剤( blocked curing agent )
 一時的に不活性化されているが,物理的又は化学的な手段によって所望に応じて再び活性化できる硬化剤。閉鎖硬化剤ともいわれる
 架橋剤( crosslinking agent )
 重合体の主鎖間に分子間共有結合又はイオン結合を促進し又は調節する物質。
 (注) 架橋は放射線によってもまた生成される。
 触媒( catalyst )
 少量使用して化学反応の速度を増大し,かつ理論上は反応の終りにも化学的に不変のまま残留する物質。
 希釈剤( diluent )
 一般には,シンナー( thinner )とも呼ばれ,固形物の濃度及び接着剤組成の粘度を低減することが唯一の機能である液状添加物。増量材及び反応性希釈剤も参照。
 反応性希釈剤( reactive diluent )
 高粘度の無溶剤熱硬化性接着剤に加える低粘度の液体で硬化の間にその接着剤と化学的に反応するもの。
 (注) 粘度を一段下げる利点はその他の性質の喪失を最小限度に止めることをもたらす。希釈剤も参照。

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 【熱硬化性関連の特性】

 熱硬化性プラスチック特性・特性評価に関連する基礎用語について,JIS K 6900「プラスチック―用語: Plastics − Vocabulary 」では次のように定義されている。
 常温硬化( cold setting )
 熱硬化性材料の室温における硬化。
 硬化温度( cure temperature ; curing temperature )
 接着剤又はたい積がその接着剤を硬化するために受ける温度。乾燥温度,及びセッティング温度も参照。
 硬化時間( cure time ; curing time )
 たい積の中の接着剤を温度又は圧力,又は双方の特定条件のもとで硬化するために必要な一定の時間。
 重合度( degree of polymerization )
 (1) その分子が規則正しい繰返し単位から構成されている場合には,分子当たりの基本単位の(平均)数。
 (2) その分子が全く同等の単量体から重合によりつくられる(又は仮定されうる)場合には,分子当たりの(真の又は仮定の)マーの(平均)数。
 注−この二つの定義は必ずしも同等である必要はない。例えば,ポリエチレンに対しては,基本単位は CH2 であり,マー(単量体単位)は C2H4 である。
 ゲル( gel )
 樹脂の形成の間に生ずる最初のゼリー状の固相。
 ゲル化( gelation ; gelling )
 材料のゲル状態への転化。
 ゲル化時間( gel time )
 特定の温度条件のもとで,液状材料がゲルを形成するために必要な時間。
 ポットライフ;可使時間( pot life ; working life )
 塗布のため調製された接着剤又は樹脂が依然として使用できる状態にある間の時間。

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