化 学 (有機化学)

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 ここでは,主な非イオン界面活性剤として, 【非イオン系界面活性剤とは】【化学構造による分類】【ショ糖脂肪酸エステル】【ソルビタン脂肪酸エステル】【ポリオキシエチレンアルキルエーテル:AE 】【ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル:APE 】【ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル】【脂肪酸アルカノールアミド:DA 】に項目を分けて紹介する。

 【非イオン系界面活性剤とは】

 界面活性の原理などは,【界面活性剤とは】で紹介した。
 ここでは,家庭用品品質表示法に示される界面活性剤の区分表に記載される活性剤の中から,ノニオン界面活性剤ともいわれる非イオン系界面活性剤について紹介する。
 
 非イオン界面活性剤とは,水に溶けたとき,イオン化しない,すなわち電離しない親水基を持つ界面活性剤である。
 電離しないため,水の硬度や電解質の影響を受けにくく,他の界面活性剤と併用が可能である。近年に使用量が非常に増えている界面活性剤である。
 
 ここで紹介する界面活性剤の系統と名称を次に示す。
 脂肪酸系(非イオン):ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,脂肪酸アルカノールアミドなどがある。
 高級アルコール系(非イオン):ポリオキシエチレンアルキルエーテル( AE ),AE は,陰イオン界面活性剤の LAS とともに中心的に用いられている非イオン系界面活性剤である。
 アルキルフェノール系:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル( APE ,POE・P )

 

 【化学構造による分類】

 非イオン系界面活性剤は,構造によりエステル型,エーテル型,エステル・エーテル型及びその他に分類される。
 エステル型
 グリセリン,ソルビトール,ショ糖(蔗糖)などの多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造で,最も古い歴史を持つ。
 脂肪酸系のグリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルは食品添加物として認可され,食品の乳化剤や化粧品分野で広く利用されているが,洗浄剤として利用はほとんどない。
 
 エーテル型
 高級アルコールやアルキルフェノールなど水酸基をもつ化合物と酸化エチレン( C2H4O :1,2 -エポキシエタン,オキシラン,エチレンオキシドともいう)との付加重合で得られる。エトキシレート型とも呼ばれる。
 高級アルコール系のポリオキシエチレンアルキルエーテルは,非イオン系界面活性剤の代表的なもので,洗浄剤などの広い用途に用いられている。エーテル型には,アルキルフェノール系のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなども含まれる。
 
 エステル・エーテル型
 脂肪酸,多価アルコール脂肪酸エステルなどと酸化エチレンとの付加重合で得られる脂肪酸系のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどで,ポリエチレングリコール型とも呼ばれる。
 分子中にエステル結合エーテル結合の両方を持つ界面活性剤で,乳化剤や分散剤に用いられる。
 
 その他の非イオン界面活性剤
 親油基と親水基がアミド結合で結合した脂肪酸系の脂肪酸アルカノールアミドは,洗剤の泡安定剤として使用される界面活性剤である。
 糖類(ブドウ糖等)と高級アルコールがグルコシド結合したアルキルポリグルコシドは,皮膚刺激性が弱く,洗浄力や起泡力に優れ,化粧品,台所用洗剤,シャンプーなどへの使用が近年増えている。

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 【ショ糖脂肪酸エステル】

 脂肪酸(R-COOH)とショ糖(蔗糖)エステル型の脂肪酸系界面活性である。
 ショ糖の持つ 8 個の水酸基にステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸をエステル型に結合させたものである。
 用いる脂肪酸の種類やエステル化の程度により,蝋状やペースト状など特性の異なるものが得られる。
 ショ糖脂肪酸エステルは,食品添加物として認められた界面活性剤である。人体に対する影響,環境に与える影響が低く,安全性の高い界面活性剤として,パンやケーキの劣化抑制,マーガリン,アイスクリームの乳化安定,チョコレート,ビスケット,乳飲料,プリン,インスタント食品など多くの加工食品に使われている。
 
 ショ糖(蔗糖)とは,スクロース( sucrose )やサッカロース( saccharose )ともいわれ,六炭素の単糖で化学式 C6H12O6 の 6 員環構造のグルコース(ブドウ糖)とグルコースの異性体で 5 員環構造のフルクトース(果糖)がα-1,2-グリコシド結合した二糖類の一種である。
 ショ糖は,サトウキビ,テンサイ(サトウダイコン)などの多くの植物から得られる砂糖である。
 
 【参考】
 ショ糖と砂糖>は,同じ化学物質を意味するが,試薬として扱う場合はショ糖やスクロース>と称し,工業的製品として扱う場合は砂糖>と呼ぶのが慣習となっている。
 従って,化学物質として扱う場合は,常にショ糖やスクロース>の名称を用いなければならない。

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 【ソルビタン脂肪酸エステル】

 ソルビタンと脂肪酸のエステル型の脂肪酸系界面活性で,食品添加物として認められ,ホイップクリームやマーガリンなどの食品用乳化剤,化粧品,工業用の界面活性剤として用いられる。
 
 ソルビタンは,単糖類のグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などを還元(アルデヒド基⇒ヒドロキシ基)して得られる糖アルコールのソルビトール( C6H14O6分子内脱水し,5 員環や 6 員環の水酸基を 4 つ持つ環状構造の化合物である。従って,ソルビタンは,基本的には糖類の一種と考えてよい。
 ソルビタン4 つの水酸基それぞれに,各種の脂肪酸がエステル結合できるので,ソルビタン脂肪酸エステルの種類は多様である。

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 【ポリオキシエチレンアルキルエーテル】

 ポリオキシエチレンアルキルエーテルAE は,アルコールエトキシレートともよばれ,アルコール酸化エチレン( C2H4O :1,2 -エポキシエタン,オキシラン,エチレンオキシドともいう)でエトキシル化(エトキシ化ともいう)して得られるエーテル型高級アルコール系界面活性剤の総称である。
 
 製法
 一般式 R-O-(CH2CH2O)n-H で表され,脂肪族アルコール( R-OH )に酸化エチレン( C2H4O )を作用させて,ポリオキシエチレン鎖を伸長させて得る。用いるアルコールにより親油基,親水基のバランスを幅広く変えることが可能である。
 この製造では,副産物としてポリエチレングリコール( HO−(CH2CH2O)n−H )が含まれる。
 
 この界面活性剤は,使用分野や原料により,セテス(薬事法),天然ヤシ油脂肪酸(家庭用品品質表示),高級アルコール系・非イオン(家庭用品品質表示)などの名称が使われている。
 
 非常に多様な用途があり,非イオン界面活性剤の中でも他とは比較できないほど大量に用いられている。
 洗濯用,台所用,住居用,シャンプーなどの洗浄用途では,陰イオン界面活性剤の LAS とともに中心的に用いられている。洗浄剤以外には,医薬品,化粧品,農薬などの乳化剤として利用されている。
 なお,アルキル基の炭素数が12~15の AE は, PRTR 制度での指定物質になっている。

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 【ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル】

 ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル APE , POE・P は,アルキルフェノール(ポリ)エトキシレートともよばれ,一般式 R-(C6H4)-O-(CH2CH2O)n-H で表されるエーテル型のアルキルフェノール系界面活性剤である。
 
 アルキルフェノール( alkylphenol :AP とは,ベンゼン核の水素原子の 1 個を水酸基,残りの水素原子の 1 個以上をアルキル基で置換した化合物で,主として炭素数 8 又は 9 のアルキル基 1 個で置換したものは非イオン系界面活性剤の原料として用いられる。
 
 APE が微生物によって分解される際の中間生成物として,AP が環境中に残る。この APの環境ホルモン作用が問題視され,APE の洗浄力は優れるが,産業洗浄での使用は世界中で急激に縮小しつつある。

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 【ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル】

 ソルビタン脂肪酸エステル酸化エチレン( C2H4O :1,2 -エポキシエタン,オキシラン,エチレンオキシドともいう)を付加したエステル・エーテル型の脂肪酸系界面活性である。
 一般式は,R-COO-[ソルビタン]-( (CH2CH2O)n-H)m( m=1~3 )で表され,ソルビタン脂肪酸エステルよりも親水性が大きく,安全性の高い界面活性剤である。
 
 主な用途に,医薬・化粧品用の乳化剤,可溶化剤,色材可溶化剤,乳化重合用安定剤,農薬アジュバント用乳化剤,水溶性金属加工油用乳化剤,シリコン樹脂用乳化剤,合成樹脂用滑剤,合成樹脂フィルム用防曇剤,消泡剤などがある。

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 【脂肪酸アルカノールアミド】

 脂肪酸アルカノールアミド DAは,アンモニア( NH3の水素が,R-CO-と,2 つのエタノール基(-CH2CH2OH )と置換した 3 級アミドで,一般式 R-CON(CH2CH2OH)2 で表されるエステル型やエーテル型に分類されない形式の界面活性剤である。
 アルカノールとは,非環式飽和炭化水素の1個,又は複数個の水素が水酸基( -OH )によって置換されたアルコールで,飽和アルコール,パラフィンアルコールなどとも呼ばれる。
 
 主な用途は,シャンプー,台所用洗剤の増粘剤・増泡剤低い毒性を生かした金属石けん(ナトリウム・カリウム以外の金属塩の石けん)の分散剤などに用いられる。

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