化 学 (有機化学)

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 ここでは,JIS K 3211「界面活性剤用語」から基本的な用語を抜粋し, 【界面活性剤の分類例】【界面活性剤の製品例】【原料等の化合物】【添加剤など】【現象・状態】【性質・品質】に項目を分けて紹介する。

 【界面活性剤の分類例】

 界面活性( surface activity ): 界面に吸着が起こって界面張力を低下させるなど界面の性質を著しく変える性質。
 界面活性剤( surface active agent , surfactant ): 分子中に適当な親水基と親油基をもち,液体に溶けて低濃度で界面活性を示す物質。
 アニオン界面活性剤( anionic surface active ageht ): 水中でイオン化し,界面活性を示す部分が陰イオンである界面活性剤。
 陰イオン界面活性剤( anionic surface active agent ): アニオン界面活性剤と同じ。
 カチオン界面活性剤( cationic surface active agent ): 水中でイオン化し,界面活性を示す部分が陽イオンである界面活性剤。
 腸イオン界面活性剤( cationic surface active agent ): カチオン界面活性剤と同じ。
 ノニオン界面活性剤( nonionic surface active agent ): 水中においてイオン解離しないで界面活性をもつ界面活性剤。
 非イオン界面活性剤( nonionic surface active agent ): ノニオン界面活性剤と同じ。
 両性界面活性剤( ampholytic surface active agent , amphoteric surface active agent ): 同一分子内に陽イオン活性基と陰イオン活性基をもち,水中で条件によってアニオン又はカチオン界面活性剤のいずれかの性質を示す界面活性剤。
 高分子界面活性剤( high molecular weight surface active agent , polysoap ): 比較的高分子量の界面活性剤。
 
 石けん( soap ): 高級脂肪酸の塩類。通常はアルカリ塩をいう。
 複合石けん( complexed soap ): 石けん以外の界面活性剤を配合した石けん。主としてカルシウム石けんの分散剤が配合されている。
 洗剤( detergent ): 固体の表面に付着した汚れに対し洗浄作用をもつ薬剤。主として合成洗剤をいう。
 洗浄剤( cleaning agent , cleaner ): 洗剤と同じ。
 合成洗剤( synthetic detergent , syndet ): 石けん以外の,アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ,アルファオレフィンスルホン酸ソーダなどの合成によって製造された界面活性剤を主成分とする洗剤。

 

 【界面活性剤の製品例】

 硬水用石けん( hard water soap ): 硬水中で用いても洗浄作用のある石けん。海水石けんはその一種。
 マルセル石けん( marseilles soap ): 繊維工業などに使われる石けん。オリーブ油を主原料としたフランスのマルセーユ地方で製造された石けんに由来している。
 薬用石けん( medicated soap ): 消毒,殺菌などの医療又は衛生用に使うために殺菌剤を配合した石けん。
 台所用洗剤( detergent for kitchen ): 野菜,果物,食器及び調理器具などの洗浄のために,主として台所,調理室で用いられる洗剤。
 ドライクリーニング( dry cleaning ): クリーニング業界で溶剤を用いて衣料を洗濯すること。通常溶剤には少量のチャージソープと水が加えられる。
 チャージソープ( dry cleaning detergent ): ドライクリーニングにおいて,溶剤に添加して抱水性を付与し洗浄効果を高める薬剤。主として油溶性の界面活性剤が用いられる。
 中性洗剤: 標準使用濃度で水素イオン濃度(pH 値)が 6.0 以上 8.0 以下を示す中性の合成洗剤。
 工業用洗剤( detergent for industrial use ): 繊維工業,機械・金属工業,食品工業などの諸工業分野で用いられる洗剤。
 
 分散剤( dispersing agent , dispersant ): 微粒子を液中に分散させて,安定な懸濁液をつくるために用いられる薬剤。界面活性剤の代表的用途の一つである。
 湿潤剤( wetting agent ): 湿潤作用を促進させる薬剤。界面活性剤が用いられる。
 重質洗剤( heavy duty detergent ): アルカリ性ビルダーなどが配合された,汚れの度合いの大きいものの洗浄に用いられる合成洗剤。
 柔軟剤( softening agent ): 織物などの感触を柔らかくするために用いられる薬剤。
 浸透剤( penetrant ): 浸透を促進させるために用いられる薬剤。主として界面活性剤が用いられる。
 帯電防止剤( antistatic agent ): プラスチック,繊維などの加工工程や使用時の帯電を防止するために用いられる薬剤。界面活性剤が主に用いられる。
 水和剤( wettable powder ): 水に加えると粒子が水中に浮遊して懸濁液となる農薬製剤の一つ。
 
 AE 剤(えーいーざい: air entraining agent ): コンクリートなどの中に多数の微細な気泡を均一に分布させるために用いられる混和剤。
 減水剤( water reducing agent ): コンクリートなどの単位水量を増やすことなく,流動性をよくするか,流動性を変えることなく単位水量を減らすために用いられる混和剤。
 減摩剤( lubricant ): 金属加工,繊維加工などの際に摩擦を減少させるために用いられる薬剤。
 固結防止剤( anticaking agent ): 粉末,粉状物質が吸湿,加圧などで固まるのを防ぐ薬剤。肥料などには界面活性剤が用いられる。
 コンクリート流動化剤( superplasticizer ): 主としてレデーミクストコンクリートに用いられ,減水性とスランプロス防止性の機能をもつ混和剤。

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 【原料等の化合物】

 アルキルフェノール( alkylphenol ): ベンゼン核の水素原子の 1 個を水酸基,残りの水素原子の 1 個以上をアルキル基で置換した化合物。主として炭素数 8 又は 9 のアルキル基 1 個で置換したものはノニオン界面活性剤の原料として用いられる。
 アルキルベンゼン( alkylbenzene , alkylbenzen ): ベンゼン核の水素原子の 1 個以上をアルキル基で置換した炭化水素類の総称。主として炭素数 12 のアルキル基 1 個で置換したものはアニオン界面活性剤の原料として用いられる。
 アルファオレフィン(α− olefin ): 末端の炭素−炭素結合が二重結合である炭化水素。炭素数が 10∼20 の混合物はスルホン化,中和してアニオン界面活性剤として用いられる。
 カルボキシメチルセルロース( carboxymethylcellulose (CMC) ): セルロースとグリコール酸とのエーテルのナトリウム塩。アルカリセルロースとモノクロロ酢酸ナトリウムとの反応で得られる。
 カルボン酸塩( carboxylate ): カルボキシル基 (−COOH) をもつ有機化合物の塩の総称。
 高級アルコール( higher alcohol ): 炭素数 8 以上の脂肪族一価アルコールの総称。天然油脂を原料とするものと石油化学製品を原料とするものとがある。
 脂肪アルコール( fatty alcohol ): 天然油脂又はろうを原料として得られる高級アルコール。
 ソルビトール( sorbitol ): C6H8(OH)6 で表される六価の多価アルコール。ソルビットともいう。ノニオン界面活性剤の原料としても用いられる。
 第三級アミン( tertiary amine ): アンモニアの水素原子のすべてをアルキル基などで置換した一般式で表される化合物。カチオン界面活性剤,両性界面活性剤の原料として用いられる。
 第四級アンモニウム塩( quaternary ammonium salt ): アンモニウムイオンの 4 個の水素原子をすべてアルキル基などで置換した構造をもつ化合物。カチオン界面活性剤として用いられる。
 バイオサーファクタント( biosurfactant ): 動植物の生体内に存在する天然の界面活性剤及び微生物の代謝によって生産される界面活性物質。
 プロピレンオキシド( propylene oxide ): プロピレンの直接酸化又は塩素化後アルカリ処理によって得られる。ノニオン界面活性剤の原料として用いられる。
 ポリエチレングリコール( polyethylene glycol (PEG) ): 酸化エチレン( C2H4O :1,2 -エポキシエタン,オキシラン,エチレンオキシドともいう)の開環重合で得られ,一般式HO(CH2CH2O)nH で表される線状ポリエーテルの総称。ノニオン界面活性剤の原料としても用いられる。
 硫酸化油( sulfated oil ): 脂肪油を硫酸化し中和したもので,アニオン界面活性剤の一種。
 レシチン( lecithin ): ホスファチジルコリン。最も典型的なグリセロりん脂質の一つで,りん脂質混合物の総称として使われることもある。
 ロート油( turkey red oil ): ひまし油を硫酸化し中和したもので,硫酸化油の一種。

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 【添加剤など】

 起泡剤( foaming agent ): 安定な泡を立てるために用いられる薬剤。界面活性剤やたん白質などが用いられる。
 泡立て剤( foaming agent ): 起泡剤と同じ。
 発泡剤( foaming agent ): 起泡剤と同じ。
 起泡力増進剤( foam booster ): 溶液の起泡力を増すのに役立つ薬剤。起泡剤と併用されることが多い。
 泡立て増進剤( foam booster ): 起泡力増進剤と同じ。
 気泡安定剤( foam stabilizer ): 溶液の泡まつの安定性を増す作用をする薬剤。
 泡安定剤( foam stabilizer ): 気泡安定剤と同じ。
 泡切り剤( foam breaker ): 破泡剤と同じ。
 抑泡剤( foam inhibitor , foam suppressor ): 起泡作用を抑止する薬剤。
 解こう(膠)剤( peptizer , deflocculation ): 凝結したコロイドの沈殿又は固体ゾルをコロイド溶液の状態に戻すために用いられる薬剤。
 可溶化剤( solubilizing agent ): 界面活性剤など可溶化のために用いられる薬剤。
 凝集剤( Flocculant ): 凝集を容易にするのに役立つ薬剤。
 ゲル化剤( gelling agent ): ゾルの状態からゲルの状態にするのに役立つ薬剤。
 蛍光増白剤( fluorescent brightener ): 近紫外部の光を吸収し,紫青又は青の蛍光を発し,繊維を白く感じさせる染料。繊維製品のほか,紙,パルプの増白にも用いられ,洗剤にも配合される。
 再汚染防止剤( antisoil redeposition agent ): 繊維を洗浄するとき,一度除去された汚れが再び付着するのを防止する目的で洗浄剤に配合される添加剤。
 殺菌剤( disinfectant , germicide ): バクテリア,かびなどの菌類の繁殖を防止し,死滅させる薬剤。
 消泡剤( antifoaming agent , defoaming agent ): 破泡剤,抑泡剤の総称。特殊な界面活性剤又はシリコーン油が用いられる。
 増粘剤( thickener ): 液体に分散又は溶解させて粘度を増すのに用いられる薬剤。
 増摩剤( antislipping agent ): 摩擦抵抗を大にして滑り止めを目的とする薬剤。
 乳化剤( emulsifier ): 安定なエマルションを生成するのに用いられる薬剤。
 乳化重合( emulsion polymerization ): 乳化剤を用いて単量体を水中に分散させ,重合させる方法。
 乳化破壊剤( demulsifier , emulsion breaker ): エマルションを破壊して二液相に分離するために用いられる薬剤。
 ビルダー(洗剤用)( builder (for detergents) ): 石けんや合成洗剤に添加してその洗浄作用を向上させるために用いられる物質。けい酸ソーダ,ゼオライトはその代表例。

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 【現象・状態】

 泡立ち( foaming ): 泡ができること,また,それが持続する状態。
 界面現象( surface phenomenon , interfacial phenomenon ): 表面や界面の性質が顕著に現れるために起こる現象。毛管現象,ぬれ,起泡などがその代表的な例である。
 可溶化( solubilization ): 溶媒に難溶な物質が,界面活性剤のミセル中に溶解することによって溶媒に溶けたようになる現象。
 コアセルベーション( coacervation ): 高分子や界面活性剤の溶液が条件の変化によって液/液相分離を起こす現象。二つの相は同成分を異なる割合で含み平衡を保つ。
 転相( phase inversion ): エマルションの連続相と分散相が逆転して O/W 型エマルションから W/O 型エマルションへ(又 はその逆に)変化する現象。
 乳化( emulsification ): 互いに溶解しない二液体の一方が微粒子となって他方の液体中に分散し,エマルションを生成する現象。
 分散( dispersion ): 一つの相の中に他の物質が微粒子状に散在する現象。
 分散性( dispersibility ): 界面活性剤の代表的な性能の一つで,分散系をつくる性質のこと。

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 【性質・品質】

 界面自由エネルギー( surface free energy ): 液体や固体の界面が内部に比べ過剰にもっている自由エネルギー。
 界面張力( interfacial tension ): 単位面積当たりの界面自由エネルギー。
 起泡力( foaming power ): 溶液にかくはんなどの外力を加え比較的安定な泡を作らせる能力。界面活性剤の代表的な性能の一つ。
 洗浄力( detergency ): 汚れを基質から除去し,これを溶液又は分散状態にする能力。
 耐硬水性( stability in hard water ): 界面活性剤やその他の物質の硬水中における安定性。
 脱脂力( degreasing power ): 固体表面に付着した油類を除去する能力。
 表面張力( surface tension ): 液体の表面に作用する表面積をできるだけ小さくしようとする力。液体表面の単位面積当たりの自由エネルギーで表す。
 
 エタノール可溶分( ethanol soluble matter ): 合成洗剤を規定の方法でエタノールに溶解したとき,溶解する物質又はその量を百分率で表したもの。
 エタノール不溶分( ethanol insoluble matter ): 石けんを規定の方法で 95%のエタノールに溶解したとき,溶解せずに残る物質又はその量を百分率で表したもの。
 HLB(えっちえるびー)( hydrophile-lipophile balance ): 界面活性剤の親水性と親油性(疎水性)の程度を表す尺度。親水性の強いものほど値は大きい。親水性親油性比と同じ。
 曇り点( cloud temperature , cloud point ): ノニオン界面活性剤水溶液の温度を上昇させたとき,白濁し始める温度。通常は,白濁し相分離が起こる。曇点ともいう。
 クラフト点( Krafft temperature , Krafft point ): 界面活性剤の水への溶解度を温度を変えて測定したとき,溶解度が急に大きくなる温度。
 けん化価( saponification value ): 試料の油脂 1g を完全にけん化するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数。
 けん化( saponification ): 油脂又はエステルがアルカリによって加水分解し,石けんを生成する反応。脂肪酸のアルカリによる中和反応も含まれる。
 純石けん分( pure soap content ): 石けん試料中の石けん分(脂肪酸中和物)含量。
 比界面張力( relative interfacial tension ): 灯油の試験液に対する界面張力と灯油の水に対する界面張力との比。通常は滴容法によって求める。
 比表面張力( relative surface tension ): 水と試験液の表面張力の比。通常は滴容法によって求める。

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